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【CP+】キヤノンのミラーレス「EOS M3」、ペンタックスのフルサイズなど新カメラ多数

 国内最大級の写真映像関連イベント「CP+ 2015」(シーピープラス2015)が12日、パシフィコ横浜で開幕した。期間は15日まで。入場料は当日一般1,500円で、Web事前登録者は無料。ここでは、デジタルカメラの中でも、高い動画撮影機能を備えたモデルなど、AVファンにも注目の展示をレポートする。

会場はパシフィコ横浜

キヤノン

 キヤノンは、2月6日に発表した13機種の新製品を「EOS ALL STARS 2015」として一挙に紹介している。

13機種の新製品を含めた「EOS ALL STARS 2015」

 CP+の会場で初披露されたのは、1型センサーを搭載した「PowerShot G3 X」の試作機。現在開発中だが、発売日などは未定だという。

PowerShot G3 Xの右側面。上部に録画用と思われるボタンがある

 1型の大型センサーと、35mm換算で24~600mm相当の光学25倍ズームレンズを搭載しながら、持ち歩きやすいサイズを実現。大型センサーを活かした、ボケ味が楽しめ、1台で広角から望遠まで幅広い撮影に対応できるとする。機能の詳細は未定だが、天面部の右端に動画撮影用と思われる専用ボタンも装備している。

 ハイエンドコンパクトカメラとして、キヤノンはPowerShot Gシリーズを展開しており、「G1 X Mark II」や「G7 X」をラインナップ、そこに新モデルが加わる形となる。

PowerShot G3 X

 ミラーレスの新機種は「EOS M3」。ハイスピード化した「ハイブリッドCMOS AFIII」を搭載。2,420万画素のAPS-Cのセンサーを備え、別売のEVF(EVF-DC1)を接続してファインダー撮影にも対応する。

 フルサイズの一眼レフでは、「EOS 5D」の派生モデルと位置付けられる、5,060万画素の「EOS 5Ds」、ローパスフィルタをキャンセルした「EOS 5DsR」が登場。超高画素による情報量の多さを活かし、プリントから大画面ディスプレイの表示など、様々な鑑賞スタイルに耐える静止画撮影が可能な点をアピールしている。

ミラーレスの新機種「EOS M3」
ローパスフィルタをキャンセルした「EOS 5DsR」

 エントリーゾーンには「EOS 8000D」と「EOS Kiss X8i」の2機種を投入。Kiss X8iは、子供の成長を手軽に、綺麗に撮影したいというニーズに、8000Dは上位モデルのボタンレイアウトや設定機能などを取り入れ、エントリーながらより撮影自体を楽しみたい層に向けて訴求している。

EOS 8000D
EOS Kiss X8i

 コンパクトデジカメ、PowerShotシリーズの注目モデルは「SX710 HS」。5軸の手ブレ補正機能を備え、水平回転軸、縦回転軸の電子補正が進化。回転軸補正や上下左右補正も組み合わせ、「走り撮り」や「後ろ歩き撮り」の揺れを大幅に軽減できるとする。動画は1080/30/60pのMP4記録に対応。1/2.3型、2,030万画素のCMOSを搭載し、レンズは35mm換算で25~750mmの光学30倍。

 「PowerShot N2」は、スクエア形状の筐体と、レンズ周囲のリング状のシャッターボタンがトレードマーク。ワンシャッターで複数パターンのエフェクトを適用した画像を記録する「クリエイティブショット」を搭載。動画撮影でも利用でき、ライブビュー中にシーン解析が行われ、可変フレームレート(通常再生、スロー再生、早送り)、色フィルタ、トイカメラ風の周辺光量落ち効果、残像効果などを自動的に適用する。

 カメラ以外では、1TB HDDを内蔵、NFCで対応カメラとペアリングし、撮影データを蓄積、テレビにHDMI出力できる「Connect Station」も紹介。表示するだけでなく、インターネットにも接続でき、SNSなどでコンテンツを共有可能。ファームウェアアップデートによる機能強化も予定されている。

5軸の手ブレ補正機能を備えた「SX710 HS」
スクエア形状の「PowerShot N2」
Connect Station

ソニー

 昨年から発売している、光学式5軸手ブレ補正機能をボディに内蔵した「α7 II」を筆頭に、35mmフルサイズCMOSを搭載した「α7」シリーズなどEマウントボディ全機種と、アクセサリを展示。

 さらに、「α6000」などに搭載しているカバーエリアの広さと高速AF、高い予測精度を特徴とする独自のAF「4D FOCUS」によるフォーカシングが体験できるようになっている。

光学式5軸手ブレ補正機能をボディに内蔵した「α7 II」
鳥の模型が天井を旋回、地面には鉄道模型が走行するなど、動きのある被写体でフォーカス性能が試せる展示になっている
4Kハンディカムでは初めて「空間光学手ブレ補正」機能を搭載した「FDR-AXP35」

 ビデオカメラでは、現行機「FDR-AX100」比で体積約30%、質量約20%減の小型・軽量化を実現しつつ、4Kハンディカムでは初めて「空間光学手ブレ補正」機能を搭載した「FDR-AXP35」などを展示している。

 さらに、「VAIO Prototype Tablet PC」も参考展示。Core i7のクアッドコアプロセッサや、Intelの「Iris Pro」グラフィックスアクセラレータ、Windows 8.1 Pro 64bit版を搭載。ディスプレイは12.3型/2,560×1,704ドットを採用したパワフルなタブレット型PCで、処理能力の高さを活かしたRAW現像作業などのデモを行なっていた。発売日や価格は未定。

VAIO Prototype Tablet PC

オリンパス

OM-D E-M5 Mark II

 マイクロフォーサーズのレンズ交換式ミラーレス新モデル「OM-D E-M5 Mark II」が展示の中心。撮像素子は4/3型LiveMosで、有効1,605万画素。通常の静止画撮影で解像度は4,608×3,456ドットだが、センサーを動かしながら、16メガの画像を8枚撮影、そのデータを元に画像処理を行ない、4,000万画素相当の高解像写真を保存できる「40Mハイレゾショット」機能を搭載。解像度はJPEG時7,296×5,472、RAWで9,216×6,912となる。

 ボディ内手ぶれ補正機能である「5軸VCM手ぶれ補正」を進化させ、世界最高という、シャッタースピード5段分の補正を実現。レンズ内手ぶれ補正では補正できない回転ぶれも強力に補正。低輝度、低速シャッターでも手ぶれのない写真が撮影できるとする。

 動画撮影機能「OM-D MOVIE」では、5軸手ぶれ補正機構と、小型軽量のボディとレンズを組み合わせる事で、三脚無しでも安定した動画撮影ができるとする。マルチフレームレート、50Mbpsの高ビットレート、ALL-Intraに対応し、タイムコードの設定も可能、プロレベルの編集作業にも対応できる。記録方式はMPEG-4 AVC/H.264のMOVで、AVI(Motion JPEG)も選択できる。MOVでは、1,920×1,080/60pまでの撮影が可能。

 会場では、「E-M5 Mark II」のチタンカラーモデルも参考展示。フィルムカメラのOM-3Tiと同じカラーリングを採用しており、来場者の反応を見ながら、製品化の可能性を探っている段階だという。

チタンカラーの「E-M5 Mark II」
左がフィルムカメラのOM-3Ti

 マイクロフォーサーズマウントのレンズを装着してスマートフォンからの操作で撮影できる小型デジタルカメラ「OLYMPUS AIR A01」も、注目を集めている。レンズマウントと撮像素子で構成する円筒形の小型モジュールで、重量は147g(バッテリやメモリーカード含む)。モニタは搭載しない。

 本体に4/3型1,605万画素LiveMOSセンサーを搭載し、JPEG/RAW静止画や、最高1,920×1,080ドット/30pのMPEG-4 AVC/H.264(MOV)動画撮影に対応。制御・撮影用のスマホアプリを多数用意しており、1回の撮影でフレーミングやエフェクトなど6パターンの写真が楽しめる「OA.Genius」や、14種類のアートフィルターと9種類のアートエフェクトの組み合わせで写真の仕上げを変えられる「OA.ArtFilter」などを用意。

 iOS/Android用のSDKを公開しており、サードパーティのメーカーや個人がアプリや周辺機器を開発できる環境を整えているのも特徴。

スマホアプリと連携する小型デジタルカメラ「OLYMPUS AIR A01」
レール上のOLYMPUS AIRを操作しながら撮影するというデモ
OLYMPUS AIRを装着できるiPhoneケースを3Dプリンタで作成するデモも

エプソン

 デジタルカメラなどの電子ビューファインダー(EVF)向けの高温ポリシリコンTFT液晶パネル「ULTIMICRON」(アルティミクロン)を高解像度化したモデルや、書き換え周波数を120fpsに高めた開発品を参考出展している。

 1モデルは高解像度が特長で、デジタルカメラのEVF向けとしては世界最高クラスという1,400×1,050ドット、従来比約1.9倍の高精細を実現。もう1モデルは、書き換え周波数も従来比2倍となる120fpsに高め、動体の追従性を向上。色再現性も約30%向上させたという。

 他にも、色再現域を従来比30%拡大した試作機や、0.3型(対角0.77cm)の超小型モデルも展示。解像度はVGAで、デジタルカメラで人気のプレミアムコンパクトモデルなどへの採用を想定しているという。

120fpsと60fpsモデルの比較展示
高解像度モデル
0.3型(対角0.77cm)の超小型モデル
スマートグラスの「MOVERIO」を写真鑑賞デバイスとして訴求

 ブースでは他にも、スマートグラスの「MOVERIO」体感コーナーを大々的に展開。スマートグラスを使った写真の楽しみ方を紹介している。

リコーイメージング

 ペンタックスのコーナーでは、開発中の35mm判フルサイズセンサー搭載デジタル一眼レフカメラを参考展示している。Kマウントを採用しており、「2015年中の発売を目指して開発中」とのこと。動画撮影が可能なのかを含めたスペックは未定だが、背面のモニタ脇には中央に穴が空いた丸いボタンが見える。動画撮影向けの専用ボタンと思われる。

35mm判フルサイズセンサー搭載デジタル一眼レフカメラ

ニコン

 ニコンブースの目玉は、天体撮影専用デジタル一眼レフ「D810A」(5月下旬発売/実売税込み42万円前後)。Hα線(波長656.28nm)まで高い透過率を維持する特性の赤外カットフィルタを備える事で、一般的なカメラでは淡くしか写せない星雲を鮮やかに撮影できるのが特徴。基本仕様はD810を踏襲している。

天体撮影専用デジタル一眼レフ「D810A」
このような写真が撮影できる

富士フイルム

 ミラーレスカメラの新モデル「X-A2」を紹介している。Xマウントを採用しており、2013年11月に発売した「X-A1」の後継モデル。人物の瞳を検出して瞳にピントを合わせる「瞳AF」、接写時に自動的にマクロモードに切り替わる「オートマクロAF」など、AF性能が向上している。

 コンパクトデジカメの「XQ2」は、「XQ1」の後継モデル。撮像素子は2/3型、有効1,200万画素のX-Trans CMOS II。レンズは、35mm判換算での25~100mm/F1.8-4.9の4倍ズーム。新たに「マルチターゲット オートエリアAF」を装備。ピント合っているエリアを自動的に最大9点表示する。また像面位相差AFも搭載している。

ミラーレスカメラの「X-A2」
コンパクトデジカメの「XQ2」

パナソニック

 Android 4.4を採用し、LTEなどの通信機能を搭載しながら、1インチセンサーのカメラ機能も内蔵する“コミュニケーションカメラ”「LUMIX DMC-CM1」の展示が人気を集めている。3月12日から、2,000台限定での発売を予定。microSIMカードに対応したSIMロックフリー端末となる。

LUMIX DMC-CM1

 カメラ部は、ハイエンドコンパクトカメラに搭載される、有効画素数2,010万画素の1インチMOSセンサーを搭載。レンズは35mm判換算で28mm、開放F2.8のLEICA DC ELMARIレンズを搭載。画像処理用に「ヴィーナスエンジン」を搭載する。

 操作面では、マニュアル撮影機能を充実させると共に、絞りやシャッタースピード、クリエイティブコントロールなどの設定が可能なコントロールリングも装備。「カメラを操作する喜びを味わっていただける」とする。4K(3,840×2,160ドット)/15pの動画撮影も可能。

DMC-CM1のレンズ部分
背面はスマホライクなデザインだ

 また、DMC-GH4など、4K動画撮影に対応したカメラも紹介。4Kで動画を撮影し、決定的瞬間を約800万画素の静止画として切り出す「4K PHOTO」機能を体験できるコーナーも設けている。

 ドローンにDMC-GH4を搭載した展示機も用意。GH4の4K画質で、空撮も可能な事をアピールしている。

「4K PHOTO」の体験コーナー
ドローンにDMC-GH4を搭載した展示機

EIZO

ColorEdge CG248-4K

 EIZOブースでは、4K対応の23.8型液晶ディスプレイ「ColorEdge CG248-4K」を展示。4月20日発売で、価格はオープンプライス。直販価格は税込27万円。

 3,840×2,160ドットの解像度に対応したハードウェアカラーマネジメント対応ディスプレイ。ColorEdgeの4K対応ディスプレイは、DCI解像度(4,096×2,160ドット)対応の「CG318-4K」(3月発売。直販価格は税込54万円)が発表済みだが、映画制作市場向けのCG318-4Kに対して、解像度をUHDにすることなどで価格を抑えたモデルとなる。

東芝

 無線LAN搭載SDHCメモリカード「FlashAir」や、近接するだけでデータの高速伝送が可能な「TransferJet」対応機器の展示やデモを実施。世界初のNFC搭載SDHCメモリーカードも初披露した。詳細は別記事で掲載している。

 さらに、次世代SDメモリーカード規格「UHS-IIインターフェイス」、「UHSスピードクラス3」に対応した、EXCERIA PRO SDカードも参考展示。最大読み出し速度は260MB/s、書き込み速度は240MB/sを実現する。容量は16GB~128GBまで用意する予定。

 4Kテレビの「58Z10X」や、4Kディスプレイ搭載ノートPC「4Kダイナブック」なども出展。4K解像度での写真鑑賞の魅力をアピールした。

世界初のNFC搭載SDHCメモリーカード
EXCERIA PRO SDカード
4Kテレビや4K PCでの写真鑑賞をアピール

(山崎健太郎)