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ソニー、4K/手ぶれ補正強化/画質向上の新アクションカム。フルHDも刷新

 ソニーは、アクションカムの新モデルとして、4K/30p撮影可能な「FDR-X1000V」と、フルHDモデルで手ブレ補正などを強化した「HDR-AS200V」を3月13日に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は、「X1000V」が51,000円前後、同モデルのリモコンキット(腕時計型リモコンRM-LVR2付属)「X1000VR」が60,500円前後。「AS200V」が37,500円前後、リモコンキット「AS200VR」が47,000円前後。

4K/30p撮影可能な「FDR-X1000V」

 X1000Vはアクションカムの最上位モデルとして、AS200VはAS100Vの後継モデルとして展開。小型・軽量な「HDR-AZ1」は併売となる。X1000VとAS200Vの違いは、X1000Vのみ4K撮影機能を搭載している事。筐体もやや大きくなっている。ただし、それ以外の主な機能は2機種で共通している。

フルHDモデルの「HDR-AS200V」
上から「FDR-X1000V」、「HDR-AS200V」、従来モデルのAS100V
モデル名X1000VAS200VAS100V
画素加算なしの
全画素読出
4K撮影
ハイスピード記録1080/120p
720/240p
720/120p
WVGA/240p
720/120p
WVGA/240p
新手ブレ補正
SteadyShot
三脚穴内蔵
付属防水ハウジング10m防水5m防水5m防水
ループ録画
マニュアル設定
風音低減
音声記録ON/OFF
ハイライトムービーメーカー
内蔵GPS

4K/30p撮影に対応したX1000V

 X1000Vは、XAVC S形式で最高4K(3,840×2,160ドット)/30pの録画に対応。4K/24p撮影にも対応する。ビットレートは約100Mbps/60Mbpsが選択できる。

 フルHDの撮影にも対応しており、最高1080/60pまでをサポート。撮影フォーマットはMP4/XAVC Sから選択でき、MP4では最高ビットレート28Mbps、XAVC Sでは100Mbpsの撮影もできる。

 4K映像を処理できる画像処理能力を活かし、フルHDでのスローモーション撮影も可能。XAVC Sで1080/120p、720/240p、MP4では720/120p、480/240pなどをサポートする。連続撮影時間は4K時で50分、それ以外のモードでは115分。

録画ボタンは天面に備えている。NFCに対応するほか、GPSも搭載
底部
上がAS200V、下がX1000V。長さは異なるが、三脚穴を備えたアダプタを取り付けるための、前方の穴の位置は同じ。本体にも三脚穴がある

 本体のみでIPX4の防滴性能を備え、雨や水しぶきに耐えられるが、10m用の防水ケース「SPK-X1」も同梱する(単品発売モデルはオープンプライス/実売5,500円前後)、60mまでの水中撮影に対応するための別売ダイブドア「AKA-DDX1」(同/実売3,500円前後)も用意する。水中で4K撮影を行なうためにはこれらのアクセサリが必要となる。

X1000V
別売の10m防水ケース「SPK-X1」
60mまでの水中撮影に対応するためのダイブドア「AKA-DDX1」

 筐体サイズやデザインはAS100Vから若干大きくなっており、後部が伸びたスタイルになっている。しかし、三脚穴を備えたアダプタを取り付けるための、前方の穴の位置は同じ。後部の空間に余裕があれば、AS100Vと同じような感覚でカメラを取り付けられるという。さらに、本体自体にも三脚穴を備え、アダプタを使わずに固定する事もできる。

 録画ボタンは天面に装備。後部には電池蓋があり、内部にはバッテリやHDMI、USBなどの端子が並ぶ。電池蓋は、後ろから見て右側の端子側が片方だけ開けるようになっているため、バッテリをホールドして撮影を続けながら、USB端子やHDMI出力にケーブルを繋ぐといった使い方ができる。

背面部分
裏蓋を全て空けたところ
このように右側の蓋だけを開けて端子にアクセスする事もできる
底部にはプラグインパワー対応のマイク入力も装備する

 外形寸法は約24.4×88.9×51.7mm(幅×奥行き×高さ)。重量は、付属バッテリNP-BX1を含めて約114g。

 撮像素子は1/2.3型のExmor R CMOSで、総画素数は1,280万画素、有効画素数は動画で約880万画素、静止画で約879万画素。レンズはツァイス・テッサーで、焦点距離は35mm換算で17.1mm(170度設定時)、21.8mm(120度時)。明るさはF2.8。

X1000V/AS200Vに共通する新特徴

 2機種に共通する特徴は、CMOSセンサーのデータ読み出しにおいて、画素加算なしの全画素読み出し可能なセンサーを新たに採用したこと(従来は2ピクセル同時処理の画素加算方式)。これにより、ジャギーやにじみを抑えた、より高画質な撮影が可能になるという。

 さらに、手ブレ補正を強化。高周波振動に対して、より高い補正力を発揮できるようになっている。具体的には、マルチコプターなどに取り付けて空撮を行なう際に、プロペラから伝わる高周波振動で、映像が小刻みな波打ちが発生するような現象を抑えている。自転車やバイクなどに取り付けた場合の補正能力もアップ。「従来の約3倍以上の補正力がある」としており、「SteadyShot」と名づけている。

 なおX1000Vで4K撮影する場合は、手ぶれ補正機能は利用できない。

 風音低減機能も搭載。サイクリングやバイクなどの走行中、風ノイズを大幅にカットできるとする。

AS200V
サイズやデザイン、ボタンの配置はAS100Vと基本的には同じだ
録画ボタンは背面に、天面にボタンは無い
各端子には底部からアクセスする

 5分、20分、60分、120分から選択できるループ録画機能も用意。古い映像から上書きしながら録画を続ける機能で、設定時間のループ撮影が可能。メモリ容量を気にせず撮影でき、釣りで魚がかかった瞬間など、決定的な瞬間を逃したくない場合に利用できる。

 マニュアル設定が可能になっているのも特徴で、露出設定、ホワイトバランスの調整、カラーをビビット/ニュートラルから選択できるようにもなっている。

 なお、ループ録画やマニュアル設定機能などを、AS100Vなどの従来モデル向けにファームウェアアップデートなどで提供する予定は今のところ無いという。

三脚穴付きの台座がブラックになった。左はAS100Vに付属するもの

 AS200Vは総画素数約1,280万画素、有効約880万画素(動画時)、約879万画素(静止画時)の1/2.3型 Exmor R CMOSセンサーを搭載。レンズはツァイス・テッサーで、焦点距離は35mm換算で17.1(170度設定時)、21.8mm(120度時)。明るさはF2.8。連続撮影時間は115分。

 外形寸法は24.2×81.5×46.5mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約68g。

 AS200Vに付属する防水ケースは「SPK-AS2」で、5m防水タイプとなる(X1000Vは10m)。

 どちらのモデルも、記録メディアはメモリースティックマイクロ、microSD/SDHC/SDXCに対応する。

AS200V
付属の防水ケースを装着したところ

再生・削除に対応した腕時計スタイルリモコンを単売

 ライブビューリモコン「RM-LVR2」との連携も強化。リモコンから画角や録画状況のチェックができるほか、撮影した映像の再生・表示(音は再生されない)、ファイルの削除までリモコンからできるようになった。

ライブビューリモコン「RM-LVR2」

 なお、新機種のリモコンキット「X1000VR」と「AS200VR」に同梱するリモコン「RM-LVR2」は、単品でも発売される。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は15,000円前後。

 このリモコンは「HDR-AZ1」に付属しているものとは異なり、GPSを搭載していない。AZ1はGPSを省く事でカメラ本体の小型化を実現し、GPSは付属リモコン「RM-LVR2V」側に内蔵している。一方で、新モデルの「X1000VR」と「AS200VR」はGPSを搭載しているため、リモコン側はGPSを搭載していない「RM-LVR2」(型番の最後にVが無い)となる。

 そのため、RM-LVR2とAZ1を組み合わせて利用した場合は、GPS機能が利用できなくなる。

リモコンキットのHDR-X1000VR
リモコンキットのHDR-AS200VR

スマホアプリとの連携で撮影中、撮影後も便利に

CP+ 2015で参考展示された、スマートフォン/タブレット向けアプリ「PlayMemories Mobile」の新バージョン。最大5台のカメラ映像をモニタリング/制御できる

 カメラを制御するスマートフォン/タブレット向けアプリ「PlayMemories Mobile」を、春に新バージョンの5.2にアップデート予定。複数のアクションカメラを同時にコントロールできるようになり、各カメラからの映像をアプリ上の1画面で確認できるマルチビューが利用できるようになる。

 マルチビューでは、最大5台のカメラ映像をモニタリングでき、同時シャッター、同時録画スタート/ストップ、動画/静止画モード切り替えが可能。従来と同じように、個別のカメラの映像を大きく表示し、1台ずつ制御するシングルビューモードも備えている。

 撮影後に、ビデオ編集が苦手な人でも手軽にコンパクトな動画を作成できるようにサポートする機能も強化。「ハイライトムービーメーカー」は、自動的に編集を行なってくれる機能で、撮影中にカメラが自動でハイライトポイントをマーク、アプリの「PlayMemories Mobile」を使い、そのハイライトポイントデータを用いて、ハイライト映像を作成。YouTubeやFacebookなどにアップロードし、他者とシェアしやすくなる。

 なお、ハイライトとして作成されるファイルは720/30p。素材となるカメラ内のデータは、スマートフォン側に動画を全てコピーする必要は無い。

 さらに、スマートフォン/タブレットでより細かく、なおかつ簡単に動画編集ができるアプリとして「Action Cam Editor」というアプリも春に無料で提供予定(Android 4.3/iOS 8.0以降対応)。

 カメラから端末にXAVC S/MP4の動画ファイルを取り込み、切り出し/結合、タイトルやクレジットの挿入、スロー再生(1/2、1/4、1/8※音声はミュート)、倍速再生(X2、X4、X8※音声はミュート)、上下反転、ミラー反転、BGM挿入、ミキシングなどが行える。タイムラインの編集操作はタッチで可能。編集した動画を720p/1080pで書き出せる。

 時期は未定だが、GPSはバージョンアップにて対応予定としている。

 PC用動画編集ソフトとして提供している「Action Cam Movie Creator」にも新機能を追加。PC内の音楽ファイルを、動画のBGMに使えるようになるほか、X1000Vの新機能に合わせて、1080/120p、HDの240pも対応フォーマットに追加する。

新アクセサリも

 取り付け用のアクセサリも拡充。価格はオープンプライスで店頭予想価格は、ヘルメットの側面に装着するためのヘルメットサイドマウント「VCT-HSM1」が3,000円前後、サーフボードに取り付けるためのボードマウント「VCT-BDM1」が3,500円前後。

ヘルメットサイドマウント「VCT-HSM1」
ボードマウント「VCT-BDM1」

ウェアラブルカメラを一般層へ

X1000Vの使用イメージ

 ソニーは、アクションカメラを含めた2014年のウェアラブルカメラ市場において、メーカーシェアトップの43%を獲得。モデル別でも、AS100Vが台数シェアトップの25%を獲得している。

 市場全体は2012年の3万台から、2013年に9万台(前年比300%)、2014年の14万台(前年比156%)と2桁成長を続けており、2015年には同143%の20万台市場になると予想。現在はAV/IT先進層が主な購入層だが、ターゲットを一般層へも拡大していく。

 そのために、現在の利用用途のトップである自転車(サイクリング)などのスポーツだけでなく、観光旅行や自動車でのドライブ、バイクでのツーリング、家族や子供の日常といった、レジャーや日常用途での利用も提案。ラインナップを拡充した。

 X1000Vは何よりも高画質にこだわるユーザーへ、AS200Vは機能バランスを重視する人に、AZ1はサイズや装着感を重視するユーザーをターゲット。撮影後の編集などをアプリで手軽に行なえるようにする事も、一般層への拡大に向けた強化ポイントとなる。

(山崎健太郎)