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事前に予約募集、100枚からアナログレコードをプレス&販売できる「Qrates」

 トウキョウ・デジタルミュージック・シンジケイツ(TDMS)は、ファンディングシステムを用いて、音楽アーティストがファンに向けて事前に作品を聞かせながら予約を募集する事で、100枚からの少ロットでアナログレコードのプレス&販売ができるプラットフォーム「Qrates(クレイツ)」のβ版サービスを24日から開始した。

Qratesの利用イメージ

 近年再評価され、ブームとなっているアナログレコード。しかし、アーティストや音楽レーベルがレコードプレスをオーダーする際には、最低300枚程のまとまったロット数で工場へ発注し、レコード販売店で取扱ってもらうための流通パートナーなどが必要となり、「知名度や資金力の少ないアーティストや音楽レーベルにとっても気軽にレコードを製造し販売する事は難しい状況」(TDMS)だという。

 また、少ロットのオーダーでは製造単価が上がり、流通手数料や小売りのマージンを加えると、アーティストやレーベルに収益が戻りにくい構造にもなる。

 Qratesは、アーティストがストリーミング配信やダウンロード販売を行ない、ファンに先に作品を聞かせながら、アナログレコードの予約を募集するのが特徴。これにより、100枚からの少ロットでもリスクを負うことなくプレスオーダーができ、募集枚数の完売時には収益も受け取れる独自のファンディングシステムになっているという。

 アーティストはプレス製造にかかる費用や在庫リスクを気にせず、100枚以上であれば一枚単位で任意の数量をプレスし、ファンに販売可能。サービスの基本利用料は無料で、価格は自由に設定できる。収益は、製造原価と、販売成立時にQratesの販売手数料(販売総額合計の15%)が引かれた金額がアーティストやレーベルに支払われる。製造が伴わない販売のみの利用時は販売総額の10%。

 プレスだけをオーダーしてアーティストやレーベルが自身で全て買い取る事も可能。その他のプレス工場を使って作られた在庫を販売する事もできるという。

レコードのデザインやサイズ指定をしているところ
フリーダウンロードやレコード購入特典楽曲の設定なども可能

 ジャケットやラベルなどの作成に利用できる3Dデザインツール、製造枚数や販売単価などをシミュレーションしながらビジネスをコントロールするマネージメント機能、音楽がどのように聞かれているのかを知るためのマーケティングスタッツ機能なども備え、フリーダウンロードやレコード購入者特典としてのボーナストラックの提供、ジャケットをデザインしたサイン入りTシャツをセットにしたり、レコードを購入したファンのみが入場できるライブチケットをセットにするといった販売にも対応できるという。

アーティストが自分のショップを持つ感覚で販売ページをカスマイズできる
Tシャツやライブチケットなどのグッズも販売できるという

(山崎健太郎)