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シャープ、モバイルロボット電話「RoBoHoN」'16年発売

プロジェクタ内蔵小型ロボは13自由度で音声操作

 シャープは6日、レーザープロジェクタを内蔵したモバイル型ロボット電話「RoBoHoN(ロボホン)」を発表した。2016年前半の発売を目指して開発しており、7日より開幕するCEATEC JAPAN 2015にも出展する。

RoBoHoN(ロボホン)

 “RoBoHoN”は、ロボットクリエイター高橋智隆氏(ロボ・ガレージ代表取締役)と共同で開発。高橋氏のロボット技術とシャープの携帯電話技術を融合した次世代の携帯情報通信端末。高さは約19.5cmで、二足歩行が可能なヒューマノイドロボットとして、小型のサイズを実現。「衣類のポケットや鞄などに入れて、屋外へも手軽に持ち運んで使用できる」という。重量は約390g。

重量は約390g

 モバイル通信(LTE/3G)と、IEEE 802.11b/g/n無線LANを搭載(11nは2.4GHz帯のみ)対応し、音声通話やメールやカメラ、液晶タッチパネルなど携帯電話の基本機能を搭載。SIMも内蔵する。カメラは800万画素で、HD動画撮影にも対応するほか、音声対話型のUIで、ロボホンをカメラマンとしてリモートでシャッター操作を行なわせることも可能。

電話できる

 さらに、新開発のフォーカスフリーの小型プロジェクタも搭載。写真や映像、地図などを壁や机などに投影することも可能。デバイスはレーザーで、解像度は1,280×720ドット。

カメラで撮影した写真をプロジェクタで投写
RoBoHoN(ロボホン)プロジェクタ起動デモ

 各機能は「RoBoHoN」との音声対話で簡単に操作可能で、様々なコミュニケーション動作やキャラクター性によって自然な対話を実現。例えば、メール着信時も「○○さんからメールだよ」と音声通知を行ない、メール本文の読み上げや、返信なども可能。対話により「愛着を持って使用できる」としている。

 OSは「Androidベース」だが、Androidではない。背面のタッチパネル液晶は2型/320×240ドットで、音声対話だけでなく、タッチ操作も行なえる。対話音声操作の話者を覚えることも可能だが、だれでも音声操作は行なえるという。

背面の液晶ディスプレイ

 二足歩行やダンスなどの動きを持たせることも可能で、自由度(関節を動かせる数)は13。高橋智隆氏がこれまで手がけたロボットよりは少ないとのことだが、持ち運びや耐久性、コストなどを勘案しての判断。一方、対話型の音声操作UIのために首や顔の表情/動きを重視しているため、首だけで3自由度をもたせているという。

 バッテリ駆動時間は「1日つかえる(高橋智隆氏)」とのことだが、二足歩行やダンスなど、モータを動かす動作や、プロジェクタを利用すると、バッテリ駆動時間は短くなる。

RoBoHoN(ロボホン)
ロボホンダンス
話しかけて操作
ロボホンのアプリで呼んだタクシーに何故かロボホンを掲げる
プロジェクタも内蔵
おでこにカメラとプロジェクタ投写部
ロボホンが撮影

新しい電話のかたちが「ロボホン」

ロボットクリエイターの高橋智隆氏(左)とシャープ長谷川専務執行役員(右)

 シャープ 代表取締役 兼 専務執行役員 コンシューマーエレクトロニクス社長の長谷川祥典氏は、ロボホンを「全く新しい製品で、シャープのココロプロジェクトの象徴的な製品」と紹介。音声対話やセンシング・人工知能、話しかけて広まる嗜好理解、小型化技術など、CEカンパニーの技術を結集し、「ケータイがタッチUIで進化したように、音声対話UIで電話の使い方が変わる。新しい電話のかたち」とアピール。さらに、「買って終わりではなくどんどん進化し、長く寄り添える存在になる」という。

 搭載OSやCPUなどの詳細は明らかにしてしていないが、「ロボホンを作ったのは技術誇示のためではなく、お客様に提供するため。2016年前半に発売予定で、詳細は別の機会に」と述べ、製品化に向けて開発を進める姿勢を示した。

記念撮影してロボホンで投写
高橋智隆氏

 ロボットクリエイターの高橋智隆氏は、ロボホンを「新しいハードウェアプラットフォーム」と定義。日本の精密機械とキャラクターデザインを組み合わせ、人の形をもったことで話しかけやすく、親しみやすいロボットを目指したとする。「今日をきっかけにロボを一人一台、ポケットの中に入れて使っていただけるのでは」と語った。

スワロフスキーや革ケースなどのアクセサリも
RoBoHoN(ロボホン)コンセプトムービー

ロボホンとともに家電のAIoT化を進める

シャープ コンシューマーエレクトロニクスカンバニーの長谷川社長

 10月1日からカンバニー制に移行したシャープ。コンシューマーエレクトロニクスカンバニーのの長谷川祥典社長は、「人にいちばんやさしいシャープ」というキーワードを紹介したうえで、ネットワーク/クラウド連携により、“我が家流”に成長する家電の実現を目標に掲げた。

 その実現のためのビジョンが「AIoT」。モノのインターネットとしてCEATECでも人気のキーワード[IOT]に、AI(人工知能)の要素を加える事で、家電を人工知能化し、「もっと人に寄り添う家電になる」という。必要な技術は、音声対話と、センシング・人工知能、嗜好理解で、これらを活かした家電の実現を目指す。

シャープが目指す家電
AIoTを目指す

 また、WebAPIも用意し、ECやクッキングサイトなど各種サービスとの連携やビジネスパートナーとの協力も推進していく。このAIとクラウド連携した家電を訴求するのが、「ココロプロジェクト」で、CEATEC JAPANの展示もココロプロジェクトと、8KやFFDなどのディスプレイ技術の中心となる。

必要な技術
外部のパートナーとの協力
ロボホン

 そのココロプロジェクトの代表例として今回発表されたのが「ロボホン」だが、10月30日発売の冷蔵庫「SJ-TF50B」や、電子レンジ「ヘルシオ AX-XP2WF」もクラウド連携で、音声対話に対応。

 また、AQUOSにおいても、Android TVベースの海外モデルで、新UIコンセプトを紹介し、画面OFF状態で人が近づくと起動し、声でコンテンツをおすすめするというデモを行なうなど、新カンパニーにおけるシャープの家電の姿をアピールしている。

冷蔵庫「SJ-TF50B」
ヘルシオ AX-XP2WF
AQUOSの前に着座すると自動起動し、ユーザーの好みの番組を案内する

(臼田勤哉)