東芝、私的録画補償金に関するSARVH提訴の対応を説明

-「現段階では購入者から徴収はできない」


11月11日発表


 株式会社東芝は、社団法人私的録画補償金管理協会(SARVH)が東芝に私的録画補償金の未納付相当額の支払いを求め、東京地方裁判所に提訴した件についての対応を発表した。

RD-G503W

 SARVHは10日、デジタル放送専用DVD録画機器に関わる私的録画補償金の未納付相当額3,264万5,550円の支払いを求め、東芝を提訴した。この問題は、地上アナログチューナ非搭載のデジタル録画機器が私的録画補償金の対象となるか、という点において、権利者団体と機器メーカーの考えの違いが争点となっている。

 東芝は、地上アナログチューナ非搭載のデジタル放送専用録画機器について「著作権保護技術が施されてコピーが制限されているため、補償金の対象か否かについては結論が得られていない」とし、「現段階では購入者から補償金を徴収できないと判断している」とする。そのため、2009年2月発売のアナログチューナ非搭載DVDレコーダ「RD-E303」、「RD-G503K」、「RD-G503W」と、8月発売の「RD-E1004K」、「RD-E304K」の5製品は発売当初から補償金を徴収していないという。

 しかし、補償金を権利者に分配する窓口となるSARVHでは、デジタル専用録画機も補償金の対象機器に当たると判断。さらに文化庁からも対象機種という回答を得たこともあり、東芝に支払いを求め、提訴に踏み切った。

 日本における私的録画補償金は、補償金の支払者を消費者に設定。メーカーがデジタル録画機器に補償金を上乗せして販売し、消費者の製品購入価格に補償金を含むという形で徴収するという制度になっているが、東芝は、現在補償金を徴収していない理由について「補償対象か否かが明確でない状況で補償金の徴収を行ない、その後、当該機器が補償金徴収の対象外とされた場合、商品購入者に対する補償金の返還が事実上不可能。そのため、当該商品のご購入者から補償金を徴収できないと考える」と説明している。

 なお、「今後、アナログチューナー非搭載DVDレコーダが補償金の対象であると明確化された場合」については、「それ以前に当社の当該商品をご購入いただいた方から過去に遡って補償金をいただくことはない」とする。

 東芝では今後の対応について、「著作物の権利者や消費者の方々とともに解決に向けた議論に真摯に取り組む。また、経済産業省と文化庁が、消費者、権利者、製造業者など関係者の合意のもと、必要な措置を適切に講じることを期待する」としている。


(2009年 11月 11日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]