ミニレビュー

スマホ連携で音楽検索やフィットネスアプリ制御、カシオのBluetooth腕時計を試す

 腕時計型のウェアラブルデバイスが話題になりつつある昨今だが、タフネス&多機能で世界的に知られるカシオの腕時計「G-SHOCK」シリーズなども、ここへきて本格的にウェアラブルデバイスとしての機能を取り込み始めた。9月19日に発売された新しいG-SHOCK「GBA-400」(23,000円)と、9月27日発売のスポーツウォッチPHYS(フィズ)シリーズ最新モデル「STB-1000」(13,500円)の2機種だ。

スマホ連携機能が充実したカシオの腕時計新モデル「GBA-400」と「STB-1000」

 2012年に初めてBluetoothでスマートフォンと連携するG-SHOCKをリリースしてからおよそ2年。今回の2機種では各モデルの性格に合わせ、それぞれ“オーディオ”と“フィットネス”という異なる用途に向けてスマートフォン連携機能を作り込んできた。各機種の詳しい使い勝手などを紹介しよう。

多彩な機能をスマホアプリからコントロール

 1つ目の機種は、アナログ時計とデジタル時計の機能を兼ね備えたG-SHOCK「GBA-400」だ。本体性能としては、G-SHOCKシリーズならではの20気圧防水と耐衝撃構造によるタフネスさをもち、世界100都市の時刻を表示できるワールドタイム、100分の1秒単位で計測可能なストップウォッチ、1秒単位で設定できるタイマーなどの機能を備える。

G-SHOCK「GBA-400」

 その中でもポイントとなるのが、省電力無線通信のBlutooth SMARTによる「モバイルリンク機能」。iPhone 4s/5/5c/5sと、一部のAndroid端末とのワイヤレス連携が可能となっており、iPhone 6/6 Plusについても9月17日時点で対応予定と公表されている。

 全てのスマートフォン連携機能を利用するには、スマートフォン側でアプリを2つインストールする必要がある。1つは端末とのペアリングや時計本体の各種設定を行える「G-SHOCK+」で、もう1つはオーディオ関連のコントロールに用いるプレーヤーアプリ「G'MIX App」だ。

ペアリングと基本設定に用いる「G-SHOCK+」アプリ
プレーヤー機能を備えたオーディオ連携用の「G'MIX App」

 G-SHOCK+アプリを使ったスマートフォン連携機能は、基本的には、時計本体でも設定できる要素をより簡単に扱えるようにしつつ、一部機能を拡張できるようにするもの、という位置付け。

 GBA-400は多数の機能を備えており、通常はそれらを時計本体の四隅や左右にあるボタンとダイヤルを駆使して操作することになるが、全ての手順を完璧に覚えて使いこなすのは難しい。

 しかしG-SHOCK+を利用することで、たとえば時刻合わせやバックライトの点灯時間調整をワンタッチで行なったり、ワールドタイムの選択を、時計本体が標準で用意している100都市を超える300都市から選べるようにするといった操作が可能になる。しかもスマートフォンの画面上のわかりやすいインターフェースで簡単に実行できるのだ。

「G-SHOCK+」アプリで表示した腕時計の基本設定画面
ワールドタイム、タイマーなどの設定がわかりやすく、手間も少ない
アプリを使わない場合、時計本体のボタンを駆使して操作することになるが、覚えるのが大変だ

腕時計からアプリの機能をコントロール

 一方の「G'MIX App」は、一般的なミュージックプレーヤーとしても利用可能なオーディオ連携専用のアプリ。ミュージックプレーヤーとなる“PLAYER”に加え、“SEARCH”と“SOUNDER”という大きく分けて3つの機能が統合されている。“PLAYER”ではプレイリスト・アーティスト・アルバム・楽曲別に一覧して音楽再生が可能。iPhoneではiTunesで同期しているものと同じ楽曲を扱える。

大まかに“PLAYER”、“SEARCH”、“SOUNDER”の3つの機能を備える「G'MIX App」
楽曲の再生が可能な一般的なプレーヤーアプリとしても使える

 さらに目玉機能として、“SEARCH”では、SoundHoundの音楽認識技術を活用し、スマートフォンの周囲で聞こえている音楽を解析して楽曲情報を取得できる。“SOUNDER”は、あらかじめ用意されたメロディや好きな楽曲を、ワンタッチでスマートフォン上で鳴らせるというものだ。

周囲で流れている音楽を解析して楽曲情報を得られる“SEARCH”機能
メロディなどをワンタッチで鳴らせる“SOUNDER”機能

 以上アプリの説明にやや脱線してしまったが、GBA-400ではこれら“PLAYER”、“SEARCH”、“SOUNDER”の各機能をコントロールしたり、アプリ上で表示している情報をGBA-400の液晶で表示したりできる。ペアリング設定後、Bluetooth接続をオンにした状態であれば、3つの機能全てを利用可能だ。

 操作方法を簡単に説明すると、時計本体右下のボタンで3つの機能や動作モードを切り替え、右側のダイヤルで楽曲などを選択し、左下のボタンで再生・停止を行なう。防水などの性能を維持するためか、力の入れ方によってはボタンが固く感じたり押しにくかったりする場合もあるが、操作手順としては覚える要素も少なく、すぐにマスターできるだろう。

小さいながらもかなり快適な操作性

 では、時計側から具体的にどのようにコントロールして、どんな風に使えるのか見てみよう。

 まず時計本体右下のボタンでコントロールする機能を切り替えるが、ここで使いたい機能は最初にG'MIX App上で選択しておく。利用できるのはボリューム調整、イコライザー・音場選択、プレイリスト選択、アーティスト選択、アルバム選択、楽曲選択、SOUNDER機能の最大7つ。腕時計のボタンを押すたびにこれらを1つずつ切り替えていくため、特に必要なさそうなものは除いて、使いたい機能だけを選ぶと良いだろう。

右下のボタンを押すたびにコントロールする機能を切り替えられる
使う機能はアプリ上であらかじめ絞るよう設定しておくことが可能

 時計側でボリューム調整モードに切り替えた場合は、時計本体右側のダイヤルでiPhoneの音楽再生時の音量を変更でき、イコライザー・音場選択モードでも同様にダイヤルを使って、あらかじめG'MIX App上で設定しておいた最大5つのイコライザー・音場のセットを選択できる。

このダイヤルで設定項目の選択などを行なう
操作方法の簡単なマニュアルもアプリ上に用意されている
音質を変化させるイコライザーと音場の選択
直感的な操作でカスタム設定を作ることも可能
イコライザーと音場の組み合わせを最大5つまで保存しておく。ここで保存したものを腕時計側から選択できるようになる

 プレイリスト・アーティスト・アルバム・楽曲選択の各モードでも、同じようにダイヤルでミュージックライブラリの内容を順次切り替えて選択していける。以上のモードを選んでいる時は、時計本体左下のボタンでいつでもライブラリ内の楽曲を再生・停止することが可能だ。

 GBA-400の液晶サイズは決して大きくはなく、楽曲再生中に液晶に表示される曲名の文字数(アルファベット・数字等は17文字まで、カタカナは5文字まで)や文字種にも制限がある(曲名に表示できない文字が含まれていると液晶に表示されない)。しかし、少なくとも操作性については慣れればかなり快適。ポケットやカバンに入れているスマートフォンを取り出すことなく音楽を聞けるため、電車通勤時でつり革につかまっている時、あるいはクルマの運転時など、便利に感じる場面は多い。

腕時計側からSEARCH機能も利用可能

 SOUNDERは使いどころがなかなか難しい機能かもしれない。代表的な使い方としては、スマートフォンをどこかに置き忘れた時に時計側から操作することで、スマートフォンから音を鳴らして探しやすくするといったものがあるだろう。こちらについてもダイヤルを使って、あらかじめアプリ上で設定した最大6種類のメロディーを選んで鳴らせる。

 SOUNDER機能については、iPhoneではPCのiTunes上にあるファイル共有機能でファイルコピーすることで、またAndroidではUSB接続したPCからスマートフォン内の特定のフォルダにファイルコピーすることで、任意の音声ファイルを鳴らすことも可能になっている。

 そして、Bluetooth接続時、時計本体左上のボタンにはSEARCH機能が割り当てられている。一度押せばG'MIX AppのSEARCH機能と連携し、周囲で流れている音楽を解析して曲名を腕時計の液晶に表示する。

 例えば、街頭で気になる音楽が聞こえてきた時や、ライブ会場で演奏している楽曲のタイトルを知りたくなった時などに使えるだろう。回線速度や音楽の聞こえやすさにもよるが、静かな室内のスピーカーで音楽再生し、Wi-Fi環境で利用した際には、早ければ数秒で楽曲情報を取得して時計に曲名が表示された。「曲名が知りたいけれど、スマホを取り出して検索するほどでもないかな……」という時にマッチするだろう。

SEARCH機能を使って、周囲で流れている音楽の曲名を腕時計上で知ることができる

 このSEARCH機能については、Bluetooth接続が解除されている状態でも利用可能だ。ダイヤルを2回連続で素早く回すことで、一時的にBluetooth接続が行なわれ、即座に音楽解析が実行されて時計に曲名を表示した後、再びBluetooth接続が解除される。普段はBluetoothをオフにしておいて電池をできるだけ節約したいユーザーに都合の良い機能だ。

ランニングとサイクリングで活躍する「STB-1000」

 もう1機種、PHYS(フィズ)シリーズの最新モデル「STB-1000」についても紹介したい。

 こちらのモデルはスポーツウォッチという位置付けで、ランニングやサイクリングに最適な機能が盛り込まれた腕時計となる。

スポーツ向けウォッチPHYS(フィズ)「STB-1000」
軽量でG-SHOCKよりは比較的コンパクトなデジタル時計となっている

 10気圧防水、世界100都市のワールドタイム表示、100分の1秒単位のストップウォッチ、1秒単位のタイマーといったG-SHOCK譲りの高性能・高機能を誇り、もちろんモバイルリンク機能も備える。

 こちらのモバイルリンク機能では「CASIO WATCH+」アプリと、サードパーティ製の各種スポーツ・フィットネスアプリと連携する形になる。対応機種は今のところiPhone 4s/5/5c/5sのみ。GBA-400と同じくiPhone 6/6 Plusへの対応も予定されている。

「CASIO WATCH+」アプリでペアリングと基本設定が行なえる

 STB-1000に対応しているスポーツ・フィットネスアプリは、心拍センサーや自転車用のケイデンスセンサーなども開発しているWahooの「Wahoo Fitness」、「Runtastic GPS」、「Runmeter GPS」、「MapMyRun」など。これらのアプリ上に表示される情報をSTB-1000の液晶でも表示できる、というのが特徴だ。

 Bluetooth接続の手順はGBA-400とほぼ同様で、アプリは別だがCASIO WATCH+で時計の基本設定が行えるのも同じ。ただ、スポーツ・フィットネスアプリ上でSTB-1000がセンサーの1種として認識されるところがGBA-400とは大きく異なるポイントだ。

 Bluetooth対応の心拍センサーやケイデンス・スピードセンサーと組み合わせることで、センサーから取得した情報とアプリ側が提供する情報を、アプリ上に表示できるのはもちろんのこと、腕時計の液晶にも表示できる。

心拍センサーや自転車用のケイデンス・スピードセンサーとも連携する
Wahoo Fitnessでセンサー類とSTB-1000をBluetooth接続したところ

 たとえばセンサーによる心拍数、自転車のペダル回転数、車速のほか、それらから算出された消費カロリー、アプリのGPSで取得した緯度・経度などを表示可能。しかも各種情報の表示レイアウトまでカスタマイズでき、複数のレイアウトを用意して腕時計側の操作で切り替えながら、運動中に多くの情報をチェックすることも可能となっている。

Wahoo Fitnessでは運動中に画面表示する要素をさまざまなパターンから選べるのはもちろんのこと……
STB-1000で表示する要素をカスタマイズすることもできる
ワークアウト時間、心拍数、消費カロリーをSTB-1000に表示してみた
ワークアウト中、腕時計のボタンにどの機能を割り当てるかも設定できる

 ランニング時やサイクリング時にスマートフォンを携行してフィットネスなどに活かしている人も多いと思うが、特に本気のランニング時にはスマートフォンの画面を見ることが困難なので、腕時計でさっと状況を確認できるのはありがたいのではないだろうか。自転車にスマホを取り付けるホルダが無く、リュックなどにスマホを入れた状態でも、必要な情報が腕時計で確認でき、記録のスタート/ストップ制御ができるというのも便利だ。

 なお、STB-1000も、GBA-400のようにオーディオコントロールの機能を備えている。iPhone標準のミュージックアプリを利用し、再生・停止・前後スキップ・ボリューム調整が行なえる。もちろん、スポーツ・フィットネスアプリの使用中も同様の操作が可能だ。

 アプリ上で腕時計のボタンごとに各種操作を割り当てることが可能だが、当然ながらボタンの数は限られるので、運動中に使いたい他の機能とのバランスを考えると、プレーヤー機能にボタンをどれだけ割り振るべきか悩ましいところではある。

 また、利用できるフィットネスアプリは「Wahoo Fitness」や「Runtastic GPS」、「MapMyRun」など様々だが、アプリによってはミュージックコントロールが利用できないなど、使える機能に違いがある。そのあたりの情報はカシオのページにまとめられている

バリバリ使う人も、そうでない人も

スマートフォン連携する点では似ているが、用途は明らかに異なる2機種

 GBA-400、STB-1000ともにBluetoothでスマートフォン連携するという意味では近しい関係にある製品だが、用途は全く異なると言える。一方はG-SHOCKのブランドを取り入れつつ、音楽のある生活を存分に楽しみたい人向け、もう一方はランニングやサイクリングに今より一歩進んだ形で取り組みたい人向け、といったイメージだ。

 ただ、最初からスマートフォンとバリバリ連携させてオーディオやフィットネスの機能を駆使したい、というユーザーでなくても、これら2製品を購入する価値は十分にありそうだ。機能の多い腕時計だけに、一般的な設定をスマートフォンから簡単に行なえるのは、もはやこの種のアイテムには欠かせない機能と感じるほどだ。そこから少しずつ深い連携機能を試していき、自分なりの使いこなし方を探っていくのも楽しみの1つになるのではないだろうか。

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日沼諭史

Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、現在は株式会社ライターズハイにて執筆・編集業を営む。PC、モバイルや、GoPro等のアクションカムをはじめとするAV分野を中心に、エンタープライズ向けサービス・ソリューション、さらには趣味が高じた二輪車関連まで、幅広いジャンルで活動中。著書に「GoProスタートガイド」(インプレスジャパン)、「今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ大事典」(技術評論社)など。