ミニレビュー

Windows 10対応のフル機能DTCP-IPアプリ「DiXiM Play」

軽快なレスポンスが魅力。リモート対応や番組持出も

 デジオンは28日、DTCP-IPプレーヤーアプリのWindows版「DiXiM Play Windows ストア アプリ版」(DiXiM Play)を発表した。8月1日より同社のオンラインストア「DiXiM Store」を通じて販売される。

DiXiM Play Windows ストア アプリ版

 これまでDiXiMブランドのDTCP-IPプレーヤーアプリは、iOS版を除けばプリインストールやバンドルなどで提供されることが主だったが、DiXiM PlayはWindows ストアから誰でも購入できる点が特徴。価格は買い切りではなく月額200円のサブスクリプション型となるが、これまでと比べて入手の機会が大幅に広がった。

 機能面ではレコーダやNASに保存した番組を自宅内のネットワーク経由でストリーミング再生する機能に加え、録画番組をPCに保存する持ち出し再生や、外出先からインターネット経由でストリーミング再生するリモート視聴など、外出先での視聴環境も充実。スカパー! プレミアムサービスLinkなど有料放送サービスのSTBとの連携にも対応している。

 対応OSはWindows 8.1に加えて、7月29日に公開された最新の「Windows 10」もサポート。対応PCのスペックも幅広く、ハイスペックPCはもちろん低価格タブレット向けのCPUであるAtom Z3735Fなどにも対応。ストアアプリ化したことでタブレットでもタッチ操作で手軽に楽しめる。

 今回は発売前の試用版を使い、CPUにAtom Z3770を搭載した富士通製Windowsタブレット「QH55/M」にWindows 10をインストールした。機能や使用感などをレビューする。

QH55/MにWindows 10を入れてテスト

利用は月額200円。ライセンスはPCにつき1台だが月内2回まで変更可能

 DiXiM PlayはWindows 8.1/Windows 10にプリインストールされているWindows ストアアプリから入手が可能。なお、本レビューを執筆している7月29日現在は、「DiXiM Play SE」という名称のアプリが配信されているが、これはバッファロー/アイ・オー・データ機器のNAS専用版なので、それらの製品を持っていなければ利用できない。

 アプリをダウンロードして起動すると「DiXiM ID」とライセンスの登録が促され、画面の指示に従って登録を行なう。DiXiM IDは任意のメールアドレスをIDとして登録し、パスワードや姓名、パスワードを忘れた時のヒント、生年月日と電話番号の登録が必要。その後登録したIDでログインするとメールアドレスに確認コードが送信され、DiXiM Playで確認コードを登録するとIDの設定は完了だ。

初期設定時にはDiXiM IDが必要
DiXiM IDの登録画面

 ライセンスは月額200円の料金を決済するためのもので、決済方法はクレジットカードのほかドコモとauのキャリア決済が利用可能。1ライセンスで利用できる端末は1台のみだが、月内であれば2回まで利用する端末を変更することができる。

ログインして登録メールアドレスに確認コードを送信
DiXiM ID登録に続いてライセンスを取得

Modern UIベースのシンプルな画面。Atomタブレットでも快適に動作

 DiXiM Playの画面構成はWindows ストアアプリということでWindows 8.1のModern UIに近く、すべての機能が正方形のアイコンで表示されている。メニュー構成は一番左に宅内視聴やテレビ番組のライブ視聴、持ち出し番組、リモート視聴などがまとめられており、続いてお気に入りやダウンロード番組を管理する「マイメニュー」、リモート視聴や持ち出し番組の機器を設定する「設定」、サービスの概要を紹介する「その他」で区分されている。

DiXiM Playの画面

 宅内のレコーダやNASに保存した番組を視聴するだけであれば特段の設定は不要。「サーバー」からを選択すると同一ネットワーク内のDTCP-IP機器が一覧表示され、視聴したい番組を選択するだけで再生が始まる。

宅内のサーバー一覧
番組一覧

 前述のWindowsタブレット「QH55/M」を利用し、フレッツ光向けルータ「RV-A340NE」にIEEE 802.11aで接続、同一ネットワーク内にあるnasneの3倍モードで録画した番組を再生したところ、7秒程度で再生が開始された。スキップ機能なども数秒程度で再生されるため、低価格タブレット向けのAtomシリーズでもレスポンスは良好だ。

 トリックプレイは15秒送り/5秒戻しのほか、0.8/1.2/1.5/2の倍速再生、チャプターに対応。チャプターはリストから時間を指定してスキップすることも可能だ。続きから再生にも対応しており、1度再生した番組であればアプリを終了しても続きから視聴できる。

再生画面。画面タッチでメニューを表示

 番組一覧で該当の番組を横にスワイプするか右クリックで、番組のブックマークや画質選択、ダウンロード、削除、はじめから再生が可能。番組のダウンロード時は残りのダビング回数が表示され、「OK」を選択したのちに画質を選択すると、ダビング回数を1消費して該当の番組をWindowsに保存できる。

番組一覧で右クリックまたはスワイプするとメニューを表示
ダビング回数の確認
録画ビットレートの設定

 nasneに3倍モードで録画した番組を画質変更せずに「x3」で保存したところ、約17分でダウンロードが完了。また、画質を「mobile」に変更した場合は、3分でダウンロードが終了した。mobileのビットレートは不明だが、3倍モードと比べて1/5~1/6程度のダウンロード時間であることを考えると画質もそれなりで、人物の輪郭などは若干のブロックノイズが見える。とはいえワンセグに比べると遙かに画質は高く、モバイル環境で視聴するには十分だろう。

番組持ち出しで、外出先で視聴

放送中番組のライブ視聴や外出先からのリモート視聴も対応

 ライブ視聴とリモート視聴を利用する場合は、事前に機器のペアリングが必要。それぞれ画面の「ライブ視聴設定」「リモート視聴設定」から設定できる。

 なお、ライブ視聴とリモート視聴はそれぞれ機器が対応している必要があり、宅内ストリーミングが再生可能であってもライブ視聴とリモート視聴は対応していない場合がある。DiXiMのサイトによれば、リモート視聴は現在のところアイ・オー・データやバッファローのNASのみで利用可能だが、今後はNEC製PCの一部、シャープのAQUOSブルーレイと東芝レグザサーバー/ブルーレイの一部にも対応予定という。なお、現在のところnasneはライブ視聴のみ利用可能で、リモート視聴には対応していない。

 ライブ視聴は「ライブ視聴設定」を選択し、対応機器を選択するだけで登録は完了。その後「ライブ視聴」から、放送中のテレビ番組をリアルタイムに再生できる。リアルタイムのため当然ながらトリックプレイは非対応で、チャンネルを切り替える場合は画面を横にスワイプするか、画面をクリックし、上部に表示されるチャンネル名からプルダウンで変更できる。

ライブ視聴設定
対応機器をライブ視聴用に設定
放送中の番組をPCでストリーミング再生できる

 リモート視聴も同様に「リモートサーバー設定」を選択すると対応機器が一覧に表示され、DiXiMリモートアクセスサービスの利用規約にチェックを入れて該当の機器を選択するだけで登録は完了だ。

リモート視聴の設定
対応機器であればDiXiMリモートアクセスサービスに登録してリモート視聴が利用できる

 ただ、現時点ではリモート視聴の対応機種がNASだけのため、録画番組しかリモートで視聴できないのは残念。放送のリモート視聴や対応機器の拡充に期待したい。

番組名での絞り込みに対応。FLACの音楽再生も

 画面左上のメニューからは番組の検索やアプリ設定が可能。検索はサーバー単位だが、番組名の部分一致で検索できるため、録画番組が多すぎて探し出すのが大変という場合に便利。ドラマなどのタイトル名で検索すれば該当のドラマだけを一覧表示することも可能だ。

左上のメニューから検索や設定が可能
キーワード「ヨルタモリ」で検索したところ

 アプリ設定からは、画面のリスト表示/グリッド表示の切り替えに加え、ビデオやフォト、音楽の再生方法、スキップ戻し/送りの秒数指定や画質選択などが設定できる。

アプリ設定

 番組再生以外の機能としては、音楽再生にも対応。新たにFLAC再生に対応したため、FLACのハイレゾ楽曲ファイルをストリーミング再生できる。FLACを含む楽曲再生の場合はサーバーを選択後に「ミュージック」を選択(DLNAサーバーによって名称は異なる)、該当の楽曲を選択すると再生が始まる。楽曲を右クリックまたは横にスワイプし、画面下部のメニューから「ミュージック」を選択するとプレーヤー画面が表示され、リピートやシャッフル、スキップといった機能が利用できる。

音楽再生画面。一番下はFLACのサンプル楽曲
再生画面

 再生に関してはFLACのほかにMP3やAACも再生可能だった。ただしFLACに関してはファイル容量が大きいこともあり、QH55/Mでは再生までに10秒ほど必要だった。FLAC再生はある程度PCのスペックも必要そうだ。

レスポンスの軽快さが魅力。スティックPCで利用するといった応用も

 発売前ではあるがDiXiM Playの機能を一通り試してみたが、リモート視聴や持ち出しといった機能の充実はもちろん、レスポンスの良さが魅力に感じた。DTCP-IP対応アプリケーションは動作が重いことが多いのだが、Atom搭載のWindowsタブレットでも十分動作するのは嬉しい。

 絞り込みも地味ではあるが便利な機能だ。これまでリモート視聴やストリーミング視聴をする際、録画番組が多すぎると見たい番組を絞り込むのも一苦労だったのだが、検索で絞り込めることで自分の見たい番組にたどり着くのも容易になった。

インテル Compute Stick

 Modern UIということもあってWindowsタブレットでの利用が主に想定されていると思われるが、最近流行のスティック型Windows PCにインストールするのも面白そうだ。自宅で番組をWindowsに保存しておき、出張先のホテルや会社でテレビやディスプレイに装着して番組を楽しむ、という使い方もできるだろう。

 気になるのは価格で、月額200円という価格設定は手に取りやすくはあるものの、年間では2,400円とかなりの値段になってしまう。買い切りもしくは年額設定の料金プランなども欲しいところだ。

甲斐祐樹