レビュー

AndroidウォークマンでAmazon Music HDも高音質! 「A100」を使い倒す

ポータブルオーディオプレーヤーの代表格であるウォークマンの大きなトピックとして、Androidを搭載したモデルが久々に登場。ついにSpotifyやAmazon Music HDなどの音楽ストリーミングアプリも高音質で再生できるようになった。実売32,000円からという手ごろな価格でも注目のモデル「NW-A100シリーズ」をさっそく使ってみたので、その楽しみ方や音質などについて紹介したい。

ウォークマンNW-A100シリーズの「NW-A105HN」

注目のストリーミング音楽配信へついに対応

日本レコード協会の調査によれば、7~9月のサブスクリプション音楽配信の売上が、四半期で初めて100億円を超え、音楽配信売上額全体でも前年比115%の181億円に上るという。オーディオファンの間でも、今年ほど熱くストリーミングが話題に上るのは初めてではないだろうか?

注目されている大きな理由の一つは、日本でもハイレゾによるサブスクリプション型音楽配信サービスが本格的にスタートしたこと。コアなオーディオファンには、TIDALやQobuzが知られているが、これらは国内ではサービスをスタートしていない。そんな中、既に定額配信サービスを行なっているAmazon Musicがハイレゾに対応し「Amazon Music HD」として9月17日に開始した。

国内勢もソニー・ミュージックエンタテインメントがmora qualitasを11月25日にスタートさせた。国内向けに開始されたこれらの配信サービスは、オーディオファンのみならず、今後は熱心な音楽ファンからも注目の的となる可能性を持っている。

音楽ストリーミングの普及では米国などより遅れていた日本も、今では多くのスマホからSpotifyやApple Musicなどで音楽を定額で楽しめるようになっている。来年以降、5Gがスタート/普及していくにつれて、スマホからいつでもどこでもハイレゾが聴ける世の中が来るのも時間の問題だろう。

そしてこの秋のタイミングで、ソニーからもついにストリーミングに対応した新ウォークマンが登場。2011年の「Z1000シリーズ」や、2013年「F880シリーズ」以来、久々のAndroid搭載機として11月2日に発売されたのが「NW-A100シリーズ(以下A100)」だ。

NW-A100シリーズ

かつてのAndroidウォークマンとの大きな違いは、Google Playストアで各種音楽配信サービスのアプリが登場し、それらを利用可能になったこと。せっかく高音質の音楽配信が始まった今、音楽専用機としてスマホより少しでも上質なサウンドを楽しみたい。そんな期待に応えるべく登場した機種となる。今回はイヤフォン付きの16GBモデルNW-A105HNを試用した。

Amazon Music HD楽曲も再生可能になった

基本機能おさらい。Androidスマホとの違いは?

A100は従来のウォークマンAシリーズと同様に、内蔵ストレージやmicroSDカードに収めたハイレゾ音源の再生に対応する。これに加えて、ストリーミングなどのオンライン再生もまとめていい音で楽しめるモデルとなったのが大きな進化点だ。

価格はオープンプライスで、実売価格はストレージ16GBの「NW-A105」が32,000円前後、32GBの「NW-A106」が37,000円前後、64GB「NW-A107」が47,000円前後。16GBモデルにイヤフォンが付いた「NW-A105HN」が39,000円前後。

カラーバリエーションは、ブラック、ブルー、アッシュグリーン、オレンジ、レッドの5種類。今回使ったのはブルーだ。

OSはAndroid 9.0を搭載。Google PlayからアプリをダウンロードしてSpotifyやYouTube Music、Apple Music、Google Play Musicなどのストリーミング音楽も楽しめる。

Wi-Fiは、IEEE 802.11a/b/g/n/ac対応で2.4GHz/5GHzのデュアルバンド。SIMカードスロットは搭載しないため、4G LTEなどの通信ができないのと、カメラやスピーカーも搭載していないのがAndroidスマホとの大きな違いだ。

Bluetooth 5.0搭載で、送信コーデックはSBC、AAC、LDAC、aptX、aptX HD。高音質コーデックとしては、HWA以外のすべてに対応している。

音楽をいい音で楽しむ喜びや感動は、筆者を含めたオーディオ好きな人々が常に訴えてきたことだが、広く音楽ファンの日常生活になじむ使い方ができる製品が存在するかといえば、まだまだというのが現状。

一方で、スマートフォンの中で音楽を含む多くのことができるようになった今、普及モデルであるウォークマンA100は、“いい音だけ”ではなく、音楽をどこまで気軽に楽しめるものにしてくれるのかが重要なポイントだ。その実力をチェックしていこう。

ストリーミング音楽再生をチェック

基本的な点として、ストリーミングはスマホやタブレットでおなじみのAndroid OSを搭載しているので、アプリ個別の動作保証こそないが、各種のストリーミングアプリが使える。

ダウンロード音源については、moraの公式アプリで直接購入し、ダウンロードまでアプリ内で簡単にできる。アカウントにログインしてダウンロード機能を試してみたが、PCでダウンロードしてポータブルプレーヤーにコピーしていた筆者にとって、これは本当に楽チンで感動した。

一方、他社サービスではあるが、e-onkyo musicはChromeなどのブラウザで購入した音源を公式アプリHF Playerでダウンロードする方法で試すと、なぜか保存可能容量が0MBのままでどう設定を変えても空き容量不足でダウンロードできなかった。端末固有の問題かは不明だが、e-onkyo musicもダウンロード機能が使えると便利なので、アプリ/本体どちらに原因があるか分かれば、改善を期待したい。

【編集部追記】e-onkyo music楽曲をHF Playerからダウンロードできなかった問題について、ソニーから「貸出しした機材のバージョンが、市販品より以前のものだったことが起因していたと思われる」との回答がありました。同社は「おそらく、購入された一般の方には起きない事象なのではないか」とコメントしています(12月2日追記)

もう一つのポイントは、アイ・オー・データ機器の「CDレコ」を接続してCDからの直接取り込み(リッピング)も可能なこと。リッピングからアーティスト名などのタグ付けもPC無しで完結できる。そして、Bluetooth接続も幅広いコーデックに対応しているから、ワイヤレスイヤフォンやBluetoothスピーカーなども高音質で楽しめるのだ。

「CDレコ」を使ってCDからの楽曲取り込みも可能

もちろん、従来のウォークマンと同様に、パソコン用のソニー公式アプリ「Music Center for PC」で管理する楽曲を転送する方法も引き続き利用可能。アプリをVer.2.2.0にアップデートすれば、A100シリーズも認識して利用可能になる。

インターフェイスは、ソニー独自のWM-PORTではなく、USB Type-C(USB-C)へと変更されたのも大きなポイント。USB-Cは既にほとんどのAndroidスマホやパソコンに採用されており、上下どちらでも挿せる端子の形でおなじみだ。今後も主流と思われるUSB規格なので、その意味でも安心できる。

USB Type-Cを採用

再生対応フォーマットは、DSDが最大11.2MHz、WAV 384kHz/32bit(float/Integer)、FLACは384kHz/24bit。32bit-Integer(整数)はネイティブ再生可能。ただし、DSDはPCM 176.4kHz/32bitへの変換再生、352.8kHz以上のPCMは、1/2レートへのダウンコンバート再生となる。最近対応機器が増えているMQAもサポートしている。

オリジナルの音質設定アプリも魅力

では、実際の音質をチェックしていこう。まずはNW-A105HNのプレーヤーとしての地力を見るため、オフライン再生で聴いた。ストリーミングウォークマンと言っても、ここがしっかりしていることが肝心だからだ。厳密にプレーヤーとしての実力をチェックするため、手持ちのスタジオモニターヘッドフォンであるヤマハの「HPH-MT8」を使用した。

オリジナル音楽プレーヤーアプリ「W.ミュージック」でインストから歌モノまで何曲か聴いてみる。まずS/Nや空間の広がり感は期待を超えるものだった。歪みも少なく、高域はクリアに伸びており、刺激成分はなく耳に優しい。音像のディテール表現はもう少し上を求めたいところだが、価格帯を考えれば十分過ぎるほど。

サウンドとしては、音像を強調する傾向が感じられた。ボーカルは特にグッと前に出てハッキリ聴こえる。ただ、モニターヘッドフォンでシビアに聴いても、押付けがましいような強調ではないので、そこは個性といえる範囲だろう。帯域バランスはナチュラルで、低域にも安っぽい誇張が無いのは好印象だ。「ソースダイレクト」で各種補正無しでも十分に楽しめる。エントリー機の持つ基礎力として申し分ない。

一点注意してほしいのは、複数の音楽再生アプリを使う場合の操作方法だ。AとBのアプリがあったとして、Aの音楽再生の途中でアプリを終了し、Bのアプリを起動する。Bのアプリで音楽再生を行ない停止したあとアプリを終了。ここで本体の再生ボタンを押すと、終了したはずのAのアプリの音楽が途中から再生された。この現象を回避するには、音楽再生をストップしてからアプリを終了すること。これを守れば、終了したはずのアプリが唐突に再生を始めることはなかった。

プレーヤーとは別にプリインストールされている音質設定アプリは、ソニーならではの魅力的な機能がてんこ盛り。個人的に興味深かったのは、DCフェーズリニアライザーとバイナルプロセッサー。DCフェーズリニアライザーは、アナログアンプの低域位相特性をデジタルアンプでもDSP演算で再現する機能だ。低域のキレやグルーブに違和感があったら、本機能をONにするとたちどころに聴き慣れた音に変わるからすごい。ソニーが「本機能を必要とする楽曲には大きな効果を感じられる」としている通り、中には効果が分かりにくい曲もあった。ONかOFFか、どちらが正解ということはなく、曲によって適宜変更して楽しみたい。

左下が再生用の「W.ミュージック」アプリ、その右が音質設定アプリ

バイナルプロセッサーは、アナログレコード特有の音響現象をDSP技術により再現する機能だが、好みが分かれると思った部分だ。特に相性が良かったのはDSD音源。PCM変換によって失われてしまうDSDらしさを、本機能により蘇らせる効果はあった。具体的には、滑らかで温度感のある音に変化する。高域が緩やかにロールオフしている模様で、ノイズの意図的な付加によりS/Nは若干悪くなるが、デジタル録音特有の聴き疲れが軽減されるように感じる。48kHz/24bitのJ-POPにも適用してみたら少しレトロな音色になった。好みはあると思うので、楽曲のジャンルでON/OFFを使い分けたい。

総合すると、ソースダイレクトのピュアな音は魅力だが、DCフェーズリニアライザーがハマる楽曲は積極的に使いたい、というのが個人的な見解だ。

CDから楽曲の直接取り込みも楽々

続いて、CDレコを使ったCDリッピングを試す。CDが売れない時代とは言っても、音楽ファンの間でまだまだCDは聴かれている。特典目当てはもちろん、同人/インディーズ界隈など、CDでしか手に入らない音源も残っている。いわゆる“サブスク解禁”が普通になりつつある過渡期の今、CDをリッピングして聴くニーズはまだ潰えることはない。

今回のタイミングで、ウォークマンの公認製品となったアイ・オー・データ機器のCDレコ「CDRI-LU24IXA」(直販14,080円/税込)を合わせて試用したので、使い方の流れを簡単に紹介しよう。

アイ・オー・データ機器のCDレコと連携

あらかじめA100にはCDレコアプリをインストール。CDレコ本体にACアダプターとUSBケーブルを繋ぎA100とUSBで接続、CDレコアプリを起動する。CDメニューから「CDを取り込む」を選択。デフォルトでは圧縮音源への変換になるので、ロスレスのFLACにしたい場合は設定を変更しておこう。

CDをセットすると、自動的に読み込みを開始し、Gracenote Music IDを使用してタグ情報やジャケット画像を取得できる。筆者の自主音楽制作ユニットであるBeagle Kickのアルバムをセットしたら、タグ情報だけでなく、ジャケット画像まで取得できた。これは、iTunesを使ってCDのタグ情報をGracenoteに送信しておいたのが効いたのだろう。そうでなくても、メジャーどころの作品ならほとんど、曲名や画像取得などは自動で取得/反映されるので便利だ。

Gracenoteから楽曲情報やジャケット画像を取得して表示できた

ちなみに、リッピングで使ったのは高音質なMQA-CD。そのままでは、普通のCDフォーマットのFLACとして認識する。PCを使ってリッピングしたファイルにMQA Tag Restorerを適用すれば、ウォークマンは正しくMQAファイルとして認識した。

MQA-CDはFLACとして認識
MQA-CDからリッピングしたファイルにMQA Tag Restorerを適用するとMQAと認識

音楽サービスによって音質に違い。DSEE HXで劇的な改善効果

いよいよストリーミング再生を試していこう。ロッシーではSpotify、ロスレスではAmazon Music HDのアプリで試聴した。なお、mora qualitasのAndroidアプリは12月中の提供開始を目指しているとのことで、今回はまだ試せていない。

まず、機能面の前提としてA100は、Androidの仕様により公式の「W.ミュージック」以外の音楽アプリはすべて48kHz/16bitでDA変換されるようだ。オリジナルのサンプルレートで再生したい場合は、W.ミュージックを使うことになる。USB-OTGケーブルを使ったデジタル出力を行なえば、アプリによっては一定の制約はあるものの、そのままのフォーマットで外部DACに出力可能だった。ストリーミングは、オリジナルのレートによらず、すべて48kHz/16bitへの変換が間に入っている。

これについては、ハイレゾに対応したAmazon Music HDにおいて、Androidの音楽回路をバイパスできる(SRCを行なわない)よう対応を検討しているとのこと。mora qualitasは最初から対応して登場することを期待したい。

「W.ミュージック」以外のアプリ再生時は48kHz/16bitで再生
外部DAC接続での再生時
192kHz/32bit再生時
DSD 5.6MHz再生時

まずはSpotifyを聴いた。音質は、圧縮音源であることが明確に分かる。ロッシー配信に慣れている方にも音の粒立ちや、S/Nの良さがスマホに比べて向上していることに気づくだろう。圧縮音源やCD音源をハイレゾ級にアップスケーリングするDSEE HXをONにすると、ロッシー音源がCD並に近づいた印象を受けた。リバーブの残響が階調を増し自然に感じられた。高域がナチュラルに伸び、空気感が一定程度出てくる。

Spotify再生画面

続いて、Amazon Music HD。96kHz/24bitの音源を試した。前述の通り48kHz/16bitへの変換が入っていることから、ハイレゾらしさはあまり感じられない。解像度が甘く、音像のディテールも潰れ気味だ。しかし、CD音質の音源をSpotifyと比べてみたら、これは良い方向で大きく違いがある。圧縮音源は、高域のシャリシャリ感はもとより、楽器の実在感に厳しい部分があったが、Amazon Music HDのCD音質の音源は、それがある程度改善している。しかし、48kHz/16bitへの変換が一度入っているため、非整数倍のレート変換および変換自体による鮮度の低下は否めなかった。

それがDSEE HXをONにすると劇的に改善。音場は左右に広がって、耳の近くで鳴っていた狭苦しい感じが軽減された。ドラムやギターの音にキレやスピード感が出てきた印象。音の粒がきめ細かく、歪み感を抑えて復元されている。ギターのカッティングやピアノのアタック、ドラムのシンバルなど、楽器音の生っぽさが明らかに増しているのだ。DCフェーズリニアライザーも楽曲によって合わせて掛けると、より音楽的に豊かな音になったことも特筆しておきたい。

それにしてもDSEE HXの効果には恐れ入った。最大で192kHz/32bitまで拡張するとのことだが、今回アップスケーリングに加えてAIによる楽曲のリアルタイム分析が加わっている。楽曲の情景に合わせてリアルタイムに動作を切り替えるという本機能は、実に自然なハイレゾ感・情報量の増加を味わえる。試しにW.ミュージックでドラマCDの音源を聴いたとき、DSEE HXをONにすると本当のハイレゾ版を聴いているような錯覚に陥った。効果音、BGM、音声、目まぐるしく変わるソースの内容に対して、違和感がまったくない、純粋にいい音になったと手放しで喜べる変化だった。

「デジタル補正なんて、どうせ無理矢理ビット拡張をして高域成分を足しているのだろう」などと穿った見方で敬遠したら絶対にもったいない。ぜひストリーミングと組み合わせて使ってほしい注目の機能だ。音楽専用機だからこそ、そしてソニーだからこそ、味わえる満足感といえる。

なお、せっかくのストリーミング、家ではスピーカーで楽しみたいという方もいるだろう。本機のような現存するほぼすべてのコーデックに対応したモデルなら、LDACやaptX HDに対応したBluetoothスピーカーと組み合わせるのもオススメだ。アンプとスピーカーで鳴らすなら、OlasonicのNA-BTR1やiFi-AudioのZEN BlueといったBluetoothレシーバーが適任だろう。筆者はZEN Blueにて、接続と再生を行なった。

aptX HDでワイヤレス伝送してBluetoothレシーバーを介してスピーカーで聴くことも

試したところ、SBCやAACは圧縮による粗さが目立ったのであまりお勧めしないが、aptX以上では、ながら聴きとして十分なサウンドで聴くことができた

Bluetoothコーデック選択画面

バッテリー消費に注意。改善のコツも

Wi-FiでAmazon Music HDからCD音質以上の音源を受信し、同時にBluetoothのハイレゾ級コーデックで送信すると、本体の発熱が結構ある。バッテリーの消耗も激しい。普段使いの中でもAndroid端末としての通信などによる電力消費があるため、バッテリーの持続時間を延ばすなら配慮が要りそうだ。ソニーはオンラインヘルプでとても丁寧に「電池を長持ちさせるコツ」を公開しており、Androidのバッテリーセーバー設定や、それ以外でのバッテリー消費を抑える方法などを説明している。音質面に影響を与えずにバッテリーを節約したい方はチェックするといいだろう。

今回使ったNW-A105HNに付属するイヤフォンを組み合わせた、ノイズキャンセリング機能も試してみた。設定は、フルオートAINCの他に電車・バス、航空機、室内がある。聴き比べてみると、低域の処理には違いがあるようだが、基本的にフルオートAINCなら環境ノイズに応じて微調整してくれるのでまずはこれを選ぼう。

電車の中で試してみると、予想していたより音の鮮度は低下しなかった。外の音が完全に聞こえなくなるわけではなく、音の輪郭や音階の変化により集中できる印象だ。ハッキリと耳元で鳴ってくれている感覚があり、音楽に浸ることができる。付属イヤフォンは、イヤフォンの外側から音が鳴っているような開放感が特徴だ。中域はまろやかで甘い響きが個性的だ。

NW-A105HNに付属のノイズキャンセリング対応イヤフォン。カラーは本体と共通

価格以上の満足がある有力モデル。ストレージは多めに

今回試用した機種は16GB。システムで既に8GB使用しており、追加でアプリをいくつかインストールすると5GB弱の保存領域が残った。インストールしたアプリは、mora、HF Player、Spotify、Amazon music HD、CDレコ、Neutron Music Playerの6つ。プリインストールのアプリは削除していない。加えて、ハイレゾの魅力にハマっていくと、ストレージは早いうちにいっぱいになっていく。

moraアプリ画面

これが初めて使うハイレゾプレーヤーという方でも、32GB程度の保存領域はあった方がいいと思う。ストリーミング再生も可能なので、キャッシュデータやオフライン再生用の保存データのことも考えると余裕を持っておくに越したことはない。内蔵メモリだと32GBより多いのは最上位の64GBモデルしかないが、microSDカードによる容量増設も検討したほうがよさそうだ。PCからの転送速度は高速な内部ストレージに比べわずかに遅くなるものの、容量に対する価格が安く済む。

ソニーのAndroid搭載機としては6年ぶりの新製品となるウォークマンA100。注目のストリーミング音楽にも使えて、手頃な価格とサイズでありながら音質はエントリー機と侮れないクオリティであることを実感できた。今までは主にスマホでしか楽しめなかった、無限に近い音楽を聴けるストリーミングを、より良い音で楽しめる新しい選択肢としてA100を使ってみてはいかがだろうか。

橋爪 徹

オーディオライター。ハイレゾ音楽制作ユニット、Beagle Kickのプロデュース担当。Webラジオなどの現場で音響エンジニアとして長年音作りに関わってきた経歴を持つ。聴き手と作り手、その両方の立場からオーディオを見つめ世に発信している。Beagle Kick公式サイト