レビュー

タイムシフトマシン歴1年。REGZA Z7を使い倒す:後編

TVとしての魅力大。ざんまいプレイやサーバーも

 好きなテレビ番組を、好きな時間に好きなだけ見たい───。誰もが一度は夢見るライフスタイルを現実化させた、東芝の「タイムシフトマシン」。筆者も2011年末のレグザサーバー(DBR-M190)導入以来、「タイムシフトマシンのある生活」を過ごしてみたが、とにかく便利と断言できる。

 そのタイムシフトマシンを進化させたテレビ「REGZA Z7シリーズ」が10月に発売された。47型の「47Z7」を長期間お借りして、普段使いのテレビと入れ替え、仕事半分・実用半分でミッチリとその使用感を試してみた。【前編】では、筆者宅への導入やタイムシフトマシンの基本機能を紹介したが、この後編では「ざんまいプレイ」や「TimeOn」の新機能やサーバーの活用例などをレポートする。

REGZA 47Z7
筆者宅に設置した「47Z7」

ざんまいプレイは、タイムシフトマシンの使い勝手を加速させるか

 タイムシフトマシンに蓄積された番組を、より多彩な観点から発見しようというのが「ざんまいプレイ」だ。レグザサーバーにも番組検索機能はあるが、これを発展させたものといえる。起動も簡単で、オンタイム視聴、録画番組の再生いずれのタイミングでも「ざんまいプレイ」ボタンを押すだけで起動する。このあたりの具体的な操作感は、前回までのレビューも参照してほしい。

ざんまいプレイ機能の1つである「ほかにもこんな番組」

 筆者は約1年に渡ってレグザサーバーを使ってきたが、過去番組表以外の手段で番組を探す機能はまさに待望のもの。特に視聴中の番組に関連する番組を右側に表示する、ざんまいプレイの「ほかにもこんな番組」機能は、レグザサーバーだけではどうやっても代替できない機能だけに、期待度がかなり高かった。

 関連番組のおすすめが期待通りの時もある。ただ、ここでネックとなるのがタイムシフトマシンの保存容量だ。レグザサーバーと比べた場合はどうしても蓄積番組量が相対的に少ない。実際「ほかにもこんな番組」を表示してみても、好みのものがなくて結局そのままメニューを閉じてしまうことが少なからずあった。

 今回は東芝純正オプションの2TB HDD「THD-250T1」を使ってるので、6TB HDDなどを接続することである程度解消は可能だ。ただ、好みの番組が見つからない時があるのは、番組保存容量以外にもいくつか要因があると思う。まず、何らかの番組を見ていて、似た傾向の番組をさらに見たいかは、あくまでもケースバイケースだということだ。ドラマの次にドラマ、アニメの次にアニメを見る、というのは言葉にすると非常に自然なのだが、人間の生活はそこまで単純化できない。タイムシフトで番組を見ているうちに、時計を見て23時過ぎであることに気付き、予定を変えて深夜ニュースを見始めるとか、ある程度の生活パターンに沿った番組視聴傾向もある。

なぜ、この番組がレコメンドされたかの理由が分かれば、なお便利だろう

 また、何故この番組がレコメンドされたのか分かりづらい点も要因としてある。リストには、番組タイトル、サムネイル、放送日時などが表示されるものの、同じジャンルの番組だからなのか、出演者が共通しているからなのか、同じ時間帯の番組だからなのかといった理由までは分からない。背中を押してくれる「もう一声」が欲しいのだ。

 もちろん、サッカー中継を再生しているときに、スポーツニュースが候補として優先表示される感覚は実際にあるのだが、単にNHKの毎時の「ニュース」が表示されても、利便性がそこまで高いとは言えない。逆に、まったく馴染みのない番組が表示されても、それだけで見るのはハードルが高い。

 ざんまいプレイは番組を知るきっかけの1つとしては十分機能しているが、番組表ベースでの従来型番組探し手法を一掃、一新するものではない。タイムシフトマシンの過去番組表をサポートする、いち機能であるとの認識が重要だ。

 この観点からは、ざんまいプレイでは「いつもの番組」、「あなたにおすすめ番組」をむしろ活用すべきかもしれない。こちらは、いま視聴している番組が何かに関わらず、番組を勧めてくれる機能。新聞テレビ覧の下の方にある「今日の注目番組」と似た効能があると言える。Z7の電源をオンにし、ざんまいプレイ内のおすすめ番組を一通り見て、特に興味を惹かれるものがなければ、昔ながらのザッピングに戻ることもあるだろう。

見慣れた番組をリマインドしてくれる「いつもの番組」
「あなたにおすすめ番組」も活用したい

 ざんまいプレイは便利だが、もっと単純に、蓄積した番組をシャッフル再生できるモードなどがあってもいいかもしれない。メニューから番組を選んだり、再生が終わった後に選び直すことなく連続再生できたら、通常の放送とはまた違った面白みが出てきそうな気もする。

タイムシフトマシン再生中は、二画面表示などができない

 タイムシフトマシン周りでもう1つ要望を挙げるなら、二画面同時表示だろうか。Z7では、片方の画面でタイムシフトマシン番組を再生、もう片方でリアルタイム放送や通常録画の再生という組み合わせは不可能になっている。そもそも、タイムシフト再生中にリモコンの二画面ボタンを押しても、注意メッセージが出て、それ以上の操作はできない。

 この点、レグザサーバーは独立した録画機器なので、テレビ側への仕様には依存しない。そのため、テレビのチューナで通常の放送を見ながら外部入力であるレグザサーバーの番組を見られる。なかなか難しいとは思うが、REGZAでも今後の対応を期待したい。

気になる! シーンリストは便利だが、TimeOnの安定性に課題

「気になる! シーンリスト」を実際に表示したところ

 ざんまいプレイと並ぶ注目の新機能が「TimeOn」。インターネットから番組情報を取得することで、テレビを今までにないスタイルで楽しめるというものだ。特に、番組内のシーン情報を人力で解析し、それをもとにCMスキップできる「気になる! シーンリスト」機能には驚かされた。

 もちろん、この機能にはそれなりの制限がある。もっとも基本的なところとしては、シーン情報の付加が放送終了から数時間後であり、リアルタイムではない。このため、実時間から30分ほどの遅れで番組を見るようなケースでは、シーン情報を参照できない。

リアルタイムで放送を見ているときに「気になる! 」ボタンを押すと、こんなエラーメッセージ

 もう1つ、シーン情報が付与されるのは、東京、東海、大阪地域のNHK/民放キー局の地上デジタルテレビ放送ということ。すべての放送局/チャンネルがシーン情報に対応しているわけではなく、BS、ローカル放送局には対応しない。

 気になる! シーンリスト機能を利用するには、録画済みの対象番組を再生中に、リモコンの「気になる! 」ボタンを押す必要がある。この際、一瞬だが画面がブラックアウトし、音声が途切れる。どのようにシーン分割するかは番組によって異なるため、一概に説明するのは難しいが、CMの始まり・終わりの部分ではほぼ間違いなく分割される。また、番組内コーナーが転換する場面などにも、しっかりシーン情報が付くようだ。

 個人的に気にしていたのは、スポーツ中継のシーン情報。今回、FIFAクラブワールドカップの中継で確認してみたが、前半・後半程度のシーン分割は行なうものの、得点シーンであるとか、選手交代シーンなどを切り出して見るという段階には達していないようだった。このあたりの判断は、ある程度主観も反映させる必要があるだけに難しい。フィギュアスケート中継では、競技者が交代するごとに分割されていた。

サッカー中継のシーンリストでは、ゴールシーンの切り出しまでは行なわれていなかった
フィギュアスケート中継では、録画番組ということもあってか、演技者ごとのシーン分けがなされていた

 一方、サービスの安定性・挙動という面では、TimeOn全体で課題がある。特に、キーのレスポンスが不安定なのは問題だ。リモコンの「気になる! 」ボタンを押してもメニューが立ち上がらないという現象がしばしばあった。テレビの電源オン・オフを経て、もう一度「気になる! 」ボタンを押すと、今度は問題なくメニューが立ち上がるのだが、安定して使えるようにしてほしい。

 メニューの遷移スピードも遅め。インターネット通信を用いる機能だけに、サーバーとのデータ送受信などでも時間がかかっていると思われるが、もう少し改善されないことには常用しづらい。エラーメッセージの表示タイミングを調整するとか、TimeOn関連のリモコン操作時に専用の反応音を割り当てるとか、目に見える形での何らかの工夫が欲しい。

 スピードや安定性が改善した暁には、録画番組再生を開始すると同時に、気になる! シーンリスト情報を自動でダウンロードするような仕様にも期待したい。

「みどころシーン再生」は芸能人ファンにぴったり

 気になる! シーンリスト機能が視聴中の番組をより楽しむ機能であるのに対し、「みどころシーン再生」はシーン単位での番組探し機能と言える。リモコンに専用ボタンがないため、普段使いの中では見逃しがちな機能ではあるが、TimeOnの実力を知るにはもってこいの機能と言える。

 特にその真価を発揮するのが、人気歌手やタレントの名前での検索。例えば「akb」と入力すると、AKB48の番組が山ほど出てくる。それこそ歌番組内の歌唱シーンはもちろん、本人らが登場していないバラエティー番組でAKB48がトークテーマとなったシーン、さらには紅白歌合戦の宣伝ミニ番組(5分)などもひっかかる。

 この場面においても、やはり重要なのが、タイムシフトマシンに保存されている番組の絶対量だ。今回、筆者が録画設定しているのは夜19〜25時の間だけ。昼間の時間帯にいくらスゴイ番組があったとしても、録画されていない以上はみどころシーン再生の対象にはならない。やはりタイムシフトマシンを使うのであれば、大容量HDDを選択したい。

 検索キーワードの入力が手間だったり、パッと思いつかない場合に便利なように「急上昇ワード」という機能も用意されている。Yahoo! JAPAN提供による、インターネット検索の人気語を集めたものであるため、100%必ず関連番組を発見できる訳ではないが、「なにか面白いネタがないかな? 」というタイミングにはピッタリだ。

 とはいえ、この候補語は最大でも8種類のため、フルに機能を使いこなしたいならリモコンからテンキーで文字入力をする必要がある。ただ、Z7シリーズの文字入力はかなりシンプルなため、携帯電話での文字入力機能と比べてさすがに見劣りする。そろそろ、テレビにも、予測変換機能くらいは欲しいところだ。

TimeOnの底力を感じさせる「みどころシーン再生」。下部に表示されている「急上昇ワード」を選択するだけでも利用できる
人気の歌手やタレントの名前で検索すると、非常に細かなシーン分割をしていることが実感できるはずだ
そろそろ予測入力・変換機能が必要かも

無線LAN機能付き。サーバーとしても便利なZ7

 ここまでZ7シリーズの録画機能を中心に見てきたが、実機を試用する中で、他にも驚かされることが多かったので、少しご紹介したい。

 まず、「無線LAN機能内蔵」である点。TimeOnをフル活用するにはインターネット接続が必須なだけに、従来から東芝機を使っていた人にとっては嬉しい改善だ。

ついに無線LAN機能を内蔵。ネットワーク機能を気軽できるようになった
接続テストの結果。通信速度が十分かも教えてくれる

 無線LANは電波を使う仕組み上、接続の安定性という面では課題もある。特に薄型テレビはラックなどに固定して使うため、電波の掴みが悪いからといって容易に場所をずらせないケースもある。筆者宅の居間がまさにそれ。居間のテーブルでノートPCを使う場合、電波強度はまったく問題ないのだが、壁際のラックに置いたレグザサーバーはイマイチ電波の掴みが弱い。

 後に、無線LANコンバータを別途準備して接続性が改善するか試したのだが、大きな変化はなかった。問題のない世帯が大半かとは思うが、家の構造、家具の配置、無線LANルータとの位置といった要因が複雑に入り組むので、過信は禁物だ。

 今回、47Z7を設置した私室にはルータ親機があるため、有線LANと無線LANそれぞれで接続を試してみたが、極端な差は感じなかった。突き詰めれば有線LANが有利だとは思うが、無線LANの利用しやすさは、やはり代えがたい。

 ネットワーク接続が容易になったことで、Z7は録画番組サーバーとしての価値も高まったように思える。実際、手持ちのレグザサーバーで、Z7に保存された番組を非常に快適に見ることができている。

 サーバー機能の実用性を高めている要因として、設定メニューの拡充があるだろう。Z7ではサーバー機能において「使用する(常時)」という設定値を選べるようになっている。これにより、Z7の電源がオフになった状態でもサーバー機能が有効化される。Z7の電源状態を意識することなく、他の機器から気軽に番組を見られるようになったというわけだ。

 レグザサーバーではこのあたりの設定項目が異なる。常時電源オン設定がなく、必要に応じて対応機器からリモートで電源をオンにするという形式のため、筆者が試した限りでは、DTCP-IP対応のあらゆる機器から難なくアクセスできるという段階にはなかった。

 対して、Z7をサーバーとした場合、今までの苦労はなんだったのかというほど快適に映像を見られている。

 ただし、東芝製スマートフォンやタブレットからもワイヤレス再生ができないのは残念の一言。手持ちのAT570で試しても「このタイトル(番組)は再生できません」のエラーメッセージが出るのみだった。タブレット側がMPEG-2 TSの録画番組をそのまま表示できないからだと思われるが、タブレットでも見られれば、より便利になるのだが……。

個人的にZ7のキモだと思っている「サーバー設定」。レグザサーバーから大きく変わった部分だ
手持ちのAT570でワイヤレス再生を試すと「このタイトル(番組)は再生できません」のエラーメッセージが。残念

まとめ〜テレビとしての魅力大。レグザサーバーと比較すると…?

 以上、47Z7と共に過ごした約2週間の記録をお伝えした。タイムシフトマシン機能自体は、レグザサーバーですでに確立したものとなっており、その周辺機能が順当に進化してきたというのが率直な感想だ。

 不足している点を挙げるとすれば、やはりタイムシフトマシンの保存容量だろう。TimeOnを利用するにしても、容量が多いほど使い勝手が向上するのは間違いない。東芝純正製品は吊り下げ設置というメリットがあるものの容量は2TBの一択。サードパーティー製品では4/6TBモデルが用意されているのでタイムシフトを楽しむなら大容量を選びたい。また、REGZAでもAVC録画をサポートすることでの録画時間拡張を期待したい。同時に、タイムシフトマシンの静音化も進めてほしい。Z7本体はファンレスで気になる動作音も特にないが、HDD部分については就寝時などに気になる人もいるだろう。

 タイムシフトマシンの容量に限りがある以上、通常録画も上手く使いたい。ほぼ実時間がかかるものの、タイムシフトマシンから通常録画領域へのダビングは積極的に利用したい。また、気になる番組がある場合は、これまでのHDDレコーダ時代同様、早めの録画予約をすべきだ。

 これらの課題解消の一助となりそうなのが、2013年1月下旬に実施予定の本体アップデート。キーワードによるおまかせ自動録画が追加されるとのことなので、タイムシフトマシンのそもそもの対象外であるBSチャンネルを楽しむにも効果を発揮するだろう。

 今回の記事のためにZ7をお借りするにあたって、興味の中心はタイムシフトマシンだった。ざんまいプレイやTimeOnによって、どのように進化したのか。特に、レグザサーバーからどんな点がパワーアップしたのかを検証してみたかった。

 ただ、Z7が手元に届き、使っていく中で一番魅力を感じたのは、実は狭額縁デザインだった。小売店の店頭で狭額縁のテレビを間近に見てもなお「狭額縁ってなんの意味があるんだろう? 無理せず今までどおりのデザインでいいのに」と思っていた筆者だが、完全に変節してしまった。映像に集中できるというメリットも多少あろうが、それよりも所有の満足感をくすぐられたというほうが大きい(買ったわけではないが)。

 タイムシフトマシン機能のみをレグザサーバーとZ7で比べた場合、優劣は正直言ってつけがたい。容量をとるか、ざんまいプレイやTimeOnによる機能性をとるか、実に悩ましい。しかし「テレビを買い替えるついでにタイムシフトマシン」といった方にはZ7がピタッとはまると思う。

 Z7の購入を検討している人は、タイムシフトマシン用HDDの容量についてはぜひ熟考してほしい。2TBで40時間、4TBで80時間、6TBで120時間というのがだいたいの目安になる。筆者は、ちょっと無理をしてでも6TB HDDを用意し、約5日分の録画を実現したほうが最終的な満足感が高くなると考える。

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(森田秀一)