レビュー

ハイレゾプレーヤーの完成形? 「AK120」を聴く

デュアルDAC搭載で129,800円。AK100やR10と比較

AK120

 先日リニューアルした「e-onkyo music」など、ハイレゾ音源配信サービスの発展により、我々が手に入れられるハイレゾ音楽ファイルは、数もジャンルも豊富になった。ファイルが増えていくと、PC+USB DACの家庭内環境だけでなく、ポータブルプレーヤーでも、ハイレゾ音楽をそのまま、高音質で楽しみたいという欲求が出てくる。

 そんな流れを受け、ハイレゾ対応プレーヤーも着実に増加。昨年の8月に登場した、Android OS採用の「iBasso HDP-R10」(実売88,000円前後)や、iriverが「Astell & Kern」ブランドで昨年10月から展開している「AK100」(直販54,800円)など。HiFiMANからも、内蔵アンプ交換が可能なハイエンド「HM-901」(予約価格は99,900円)が今後登場予定だ。

 この中で、購入しやすい価格や、コンパクトな筐体で人気を集めているのが「AK100」。ヘッドフォン系イベントに取材へ行くと、発売から半年も経っていないにも関わらず、AK100をプレーヤーとして使い、試聴している人の姿をよく見かけるようになった。

 そんなAK100に、兄貴分的なモデルが追加される。その名も「AK120」(AK120-64GB-BLK)だ。6月上旬発売で、直販価格は129,800円(予定)。AK100の直販54,800円と比べると倍以上となり、兄貴というより父親だろうか。いったいどんな音なのか、聴いてみたい。

サイズやデザインに大きな違いは無し

 試聴の前に、AK100とAK120の違いを見ていこう。

高級感のあるケースに入ったAK120。ケースでも、最大の特徴であるデュアルDACがアピールされている

 AK100は、ハイレゾ対応プレーヤーながら、コンパクトかつシンプルなデザインが特徴だが、AK120でもその方向性は変わらない。上位モデルと聞いて、分厚く、巨大になるのかと身構えたが、AK100と横幅や薄さは同じ。縦が1cmほど長くなっているだけで、約89.1×59.2×14.4mm(縦×横×厚さ)に抑えられている。重量も約122g(AK100)と約144g(AK120)とあまり違いはない。実際、手に持っても「ちょっと長くなったかな」という程度で、ワイシャツの胸ポケットや、ジャケットの内ポケットなど、ちょっとした空間にもスッと入れられる使い勝手の良さは踏襲されている。

 外観もヘアライン仕上げで違いは無く、端子などのレイアウトもほぼ同じ。上部にヘッドフォン出力兼用の光デジタル出力端子と、光デジタル入力端子を各1系統装備。底部に、充電・転送用のUSBマイクロ端子も備えている。

AK120
上部にヘッドフォン出力兼用の光デジタル出力端子、光デジタル入力端子を装備
底部にはmicroSDカードスロットを2基備えている
左がAK100、右がAK120
左がAK100、右がAK120。横幅や高さは同じで、縦が少し長くなっている

 デジタル入出力を備えている事からわかるように、単なるプレーヤーとして使うだけでなく、例えば、他のDAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプと組み合わせ、AK120をデジタルトランスポートとして使用したり、別のプレーヤーから光デジタル出力した音声を、AK120のDAC+アンプを通して聴くといった使い方も可能だ。

 2機種に共通する特長は、WAV/FLAC/WMA/MP3/OGG/APE/AAC/Apple Lossless/AIFFと、豊富なフォーマットの再生に対応している事で、FLAC/WAV/Apple Lossless/AIFFは24bit/192kHzまでをサポート。ハイレゾ配信サービスで購入した24bit/192kHzのファイルでも、そのまま転送・再生できるのがウリだ。

 内蔵メモリはAK120が64GB、AK100が32GB。さらに2機種とも、メモリ拡張用にmicroSDカードスロットを、底部に2基備えている。このスロットは、AK120では64GBまでのカードに、AK100では32GBまでのカードに対応。これにより、最大メモリ容量は、AK120では192GB(64GB+64GB+64GB)まで拡張できる。AK100では96GB(32GB+32GB+32GB)までだ。

 ハイレゾファイルでは、1曲のファイルサイズが大きくなるため、メモリ容量は多ければ多いほど嬉しいものだ。なお、底部のスロットには小さな“ドア”もついており、カードの紛失を防いでくれる。小さなドアはカチッと閉じられ、筐体の精度の高さが伝わってくる。“オーディオ機器らしい”ポイントと言えるだろう。

 オーディオらしいと言えば、側面にあるボリュームダイヤルもそうだ。ボリュームステップは152と細かく、ダイヤルをカチカチと回しながら、絶妙な音量に調整できる。このダイヤルも精度が高く、操作していて気持ちが良い。AK120では、AK100には無かったボリュームガードがダイヤルの脇に装備されている。これにより、例えばバッグの中で誤って回してしまったり、何かが引っかかったりしにくくなっている。なお、設定で、画面を消している時にはボリュームをロックする事も可能だ。

左がAK100、右がAK120。新たにボリュームガードを備えた
ボリュームステップは152と細かい

 これ以外にも、機能面でAK100とは大きな違いがある。11日の「春のヘッドフォン祭 2013」で発表されたように、今後のファームウェアアップデートにより、AK120にはUSB DAC機能と、DSDファイルの再生機能が追加される予定という。

 いつ公開されるのか、どのような機能になるのかなど、詳細は未発表だが、アユートでは、「6月上旬の発売の時点で、(2つの新機能に)対応した状態で発売するのか、1つだけの対応になるのかなど、現在最終調整中」(営業部 マーケティンググループ 藤川真人氏)としている。例え日本での発売日にアップデートが間に合わなかったとしても、新機能はそれほど遅くならずに利用できるようになりそうだ。

 このアップデートにより、例えばノートPCとAK120をUSB接続し、PCの音を高音質で楽しむ事ができるようになり、ポータブルプレーヤーとして外に持ち出す時以外でも、AK120の利用シーンが増える事になるだろう。

モデル名 AK120 AK100
DSD再生
※今後追加予定
×
USB DAC機能
※今後追加予定
×
ギャップレス再生
※今後追加予定
内蔵メモリ
システム領域含む
64GB 32GB
拡張スロット microSD/SDHC/SDXC
(最大64GB)×2
microSD/SDHC
(最大32GB)×2
DAC Wolfson WM8740×2 Wolfson WM8740×1
インピーダンス 22Ω
バッテリ 2,350mAh
リチウムポリマー
2,000mAh
リチウムポリマー
連続再生 約14時間 約16時間
充電時間 約6.5時間 約5時間
外形寸法
(縦×横×薄さ)
約89.1×59.2×14.4mm 約79×59.2×14.4mm
重量 約144g 約122g

 また、イタリアの職人が手掛けたという、自然素材の本革で加工された「イタリアンレザープレミアムケース」が付属。液晶保護シート裏・表用各1枚(予備)も同梱している。ケースはシックなデザインで、高級感がある。入れたままでもUSB充電やイヤフォンの接続、ボリューム操作も可能だ。

イタリアの職人が手掛けたという「イタリアンレザープレミアムケース」が付属

デュアルDAC搭載

 中身にも大きな違いがある。AK100は、DACにWolfsonの「WM8740」を使っているが、AK120は、そのDAC2を2基内蔵。L/Rチャンネル、それぞれに個別のDACを配した、デュアルDAC構成になっている。これが音にどのような影響を与えるか楽しみだ。

 また、見落としがちなポイントだが、スペック表を見比べると、出力インピーダンスがAK100の22Ωから、AK120では3Ωと小さくなっている。これにより、特にインピーダンスの低いイヤフォンやヘッドフォン接続時の、低域の音圧アップなどが期待できる。AK100のレビュー時にも、低域のパワー感の不足を指摘したが、この部分も改良した形だ。なお、AK100の出力インピーダンスが高いのは、販売する日本以外で各国の基準に合わせたためだという。

 ディスプレイサイズは2.4型で共通。320×240ドットのIPS液晶。静電容量方式のタッチパネル仕様で、触れると瞬時に反応。今回お借りしたモデルのファームウェアバージョンは1.00だが、動きは快適で、ストレスは少ない。なお、このバージョンに前述のDSD再生やUSB DAC機能は付いていない。

 メニューまわりや再生中の画面はAK100と良く似ており、別の機種と言うよりも、“同じ機種のバージョン違い”のような印象。基本的な操作方法はAK100のレビュー記事を参照して欲しいが、大きく違う点は、AK120にはアイコンを用いたトップメニューが用意されているのに対し、AK100は文字を縦にスクロールするトップメニューを採用している事だ。

AK120のトップメニュー
トップメニューの比較。右がAK100

 また、AK120では再生中の画面に、家のアイコンを用意。ここに触れると、瞬時にトップメニューに戻る事ができる。トップメニューには「アルバム」、「アーティスト」、「フォルダ」、「ジャンル」などのアイコンが並ぶ。文字のみのメニューも慣れれば大丈夫だが、アイコンの方が一目で判別できて快適だ。画面サイズが変わらないのだから、AK100にも、今後のファームアップデートでこのメニューを採用して欲しいものだ。メニューの中でユニークなのは、ハイレゾ音楽ファイルをまとめて表示してくれる「MQS」(Mastering Quality Sound)だろう。

 細かい追加機能として、AK120ではアルバムジャケットの表示方法が設定できる。AK100は、ディスプレイに全画面表示するようにアルバムジャケットをズーム表示していたが、AK120では左右に黒帯を入れて、ジャケットの全体表示も可能になった。

再生画面の比較。左のAK120には家のアイコンが加えられ、ここからトップメニューに戻れる
ジャケット表示方法が選べるようになった
左のAK120で、サイズに合わせた表示をしているところ

 さらに、AK100ではできなかったギャップレス再生に対応。ライブアルバムを沢山持っているという人には見逃せない機能だろう。特にAK100ユーザーから要望が多かったという機能だという。なお、AK100にもファームウェアアップデートでギャップレス再生機能は今後追加予定だそうだ。

ハイレゾファイルだけを表示してくれる「MQS」メニュー
AK120ではギャップレス再生にも対応した
アルバムを選択しているところ

 また、バッテリが2,350mAhに増量された(AK100は2,000mAh)。しかし、連続再生時間は、AK100の約16時間から約14時間に減り、充電所要時間も約5時間から約6.5時間と長くなっている。DACを2個搭載している事などで消費電力は増加していると思われるが、バッテリを増量してもその分を相殺しきれなかったのだろう。もっとバッテリを大きくして欲しいという気持ちもあるが、そうするとAKシリーズのコンパクトさが損なわれる可能性もあり、悩ましい部分でもある。だがそれでも14時間は持つので、通勤の行き帰り、取材先への移動中などに使っても特に問題はなかった。

貸出機のファームウェアは1.00

 なお、10分、30分、1時間、2時間から選べるオートパワーオフ機能も備えている。また、起動時間はAK120で約19秒、AK100で約17秒と、2秒ほど遅いが、ファームがまだ1.00なので今後ブラッシュアップされていくだろう。また、起動までを見比べていると、AK120はホーム画面を表示するのにワンテンポ時間がかかっている印象だ。

AK100とAK120を聴き比べる

 ではAK100とAK120を聴き比べてみよう。イヤフォンはShure SE535、ヘッドフォンはソニーのMDR-1Rなどを使っている。

AK100

 まずはSE535を接続。24bit/192kHzの「The Eagles/Hotel California」を、AK100で再生する。AK100の音は随分聴いているが、極めてニュートラルで色付けが少なく、ギターの弦の動きなど、細かく繊細な描写がわかりやすいプレーヤーだ。ジャズやクラシックなど、アコースティックな楽曲と良くマッチする。情報量の多さを素直にそのまま出してくるタイプだが、情報量が多いため、描写は破綻せず、高域はキツくなり過ぎず、しなやかさも兼ね備えている。

 一方で、低域はドライブ力が弱く、低い音も出てはいるのだが、音圧が今ひとつ足りない。タイトで締まりは良い、マニア受けする低域なので、これはこれで良いのだが、勢いのある中高域と比べると派手さが少なく、高域ばかりが意識に残り、“高域寄りのプレーヤー”という印象を受ける。ダイナミック型のカナル型(耳栓型)イヤフォンなど、もともと低域が豊かなイヤフォン/ヘッドフォンと組み合わせるとバランスが良い。

AK120に交代

 筐体サイズがさほど変わらないAK120も、似たような傾向なのではと思いながら交換してみると、音が激変して「おおっ」と思わず声が出る。「Hotel California」の冒頭、AK100では、ギターの弦のメロディーラインが主張していたが、AK120では「ズシーン」という地響きのようなベースの量感が、メロディーラインの下にしっかりと広がり、圧倒される。デュアルDACによる描写の細かな違いは後回しにして、まずは出力インピーダンスが下がった事での、音圧の向上に驚かされる。これは誰にも、一聴でわかる大きな違いだ。

ヘッドフォンでも違いは大きい

 SE535から、ヘッドフォン「MDR-1R」に切り替えると、この違いはより大きくなる。AK100では、ボリュームをフルに上げても、低域の迫力はさほどアップしない。AK120では、低域のボリュームが大きく……というより、「地響きが激しくなる」という印象で、頭蓋骨を揺さぶるような低域が出て、ある種の“凄み”を感じる。だが、決してボワボワと不必要に膨らんだ低域にはならず、AK100のタイトな、締まりのある低域の良さも維持。そのタイトな中に、硬くて重い“芯”が一本通り、それが地面に深く突き刺さるイメージだ。

 また、AK120は音の1つ1つに勢いがあるため、ボリュームをさほど上げなくても、中低域の満足感が得やすい。クオリティの高い中高域に負けないバランスが実現されている。AK100でも同じような音にならないかとボリュームを上げるが、音像は膨張していくものの、勢いは強くならず、心地良い音というより、うるさい音になってしまう。

 次に、デュアルDACの効果を知るため、低域から離れて中高域に注目。 「藤田恵美/camomile Best Audio」から「Best of My Love」を再生すると、ヴォーカルはどちらも生々しいが、AK120の方が、本当に耳のそばに歌手の口があるような実在感がある。

 この理由は立体感にある。ヴォーカルやベースの音像が定位しているが、その背後に広がる空間の奥行き、そこに広がっていく音の余韻の描写が、AK120の方が細かく、豊かだ。AK100も空間表現は豊かだが、AK120はさらに上回るため、音数が多い、賑やかな楽曲でも、それだけに意識を奪われず、背後の空間にも注意が向く。これにより、AK120ではサウンドステージが立体的に感じられ、それに伴ってヴォーカルの音像も立体的に、より生々しく感じられるのだろう。

 音の分離もAK100より良くなっており、大編成のクラシックでも、個々の音の重なり具合、音の構造が良く分かる。AK120を数時間使った後でAK100に切り替えると、音楽が平面的に感じられ、ヴォーカルが一歩下がったように聴こえてしまう。

 こう書いていると、AK100の音が悪いように思われるかもしれないが、このプレーヤー自体、音質はトップクラスであり、あくまで“AK120と比べた場合”の話だ。だが、こうしたデュアルDACによる描写力の向上に、低域の音圧アップが組み合わさり、総合的にAK100とAK120の間には、かなりの音質差が生まれている。

他社製品と比較

 同じハイレゾプレーヤーである、iBasso Audioの「HDP-R10」(実売88,000円前後)とも較べてみたい。このモデルは、カナダESS Technologyの32bit DAC「SABRE32 Reference audio DAC ES9018」を搭載。I/V変換には、TI製の低歪みオペアンプをLR独立して搭載。ヘッドフォンアンプには、TIのオペアンプ「OPA627」と、高速バッファ「BUF634」をLR独立して搭載している。

左からiBasso Audio「HDP-R10」、Ak120、AK100、iPhone 4S

 「Best of My Love」で比較すると、低域の量感は「HDP-R10」の方が豊かで、アコースティックベースの響きがゆったりと広がる低重心サウンド。しかし、瞬間的な低音の沈み込みは、AK120も同程度まで沈んでいる。R10は中低域を豊かに、AK120はタイトに締めるという方向性の違いと言えるだろう。

 中高域は、クリアで硬質なAK120に対し、R10は柔らかでウォーム、暖色系のサウンドだ。BAイヤフォンを使った時に、AK120では女性ヴォーカルのサ行などにキツさを感じるシーンもあるが、R10は抑えられている。このあたりは音作りの違いと言えそうだ。情報量の豊かさの面でも良い勝負だ。

 しかし、R10はAK120の2.5倍くらいの大きさがあり、AK120は「よくこのサイズで、この音が出せているな」と感心する。また、Android OSに専用アプリを組み合わせたR10は、動きが全体的にモッサリしており、音質面では良いライバルだが、操作性・携帯性ではAK120の方が圧倒的に優れている。

AK100+外部アンプ VS AK120

AK100とD12 Hjを接続

 AK100とAK120の比較では、AK120が上位モデルで、なおかつ価格も2倍以上違うため、全面的に優れているのはある意味“当然の結果”と言えるだろう。だが、それではつまらないので、AK100でもう少しあがいてみたい。

 AK100には光デジタル出力がある事に注目し、光デジタル入力を備えた、iBasso AudioのDAC内蔵ポータブルヘッドフォンアンプ最上位「D12 Hj」(実売32,000円前後)を用意。AK100から光デジタルで出力し、D12 Hjに入力してみた。ただし、D12 Hjの光入力は24bit/96kHzまでの対応で、192kHzのデータは再生できない。しかし、このアンプは、DACとオペアンプ部分それぞれをLRで独立させた、デュアルモノ・オペアンプ、デュアルDACという豪華仕様だ。

左がAK100+D12 Hj、右がAK120。音は良いが、使い勝手は……

 この「AK100+D12 Hj」とAK120を対決させると、実に興味深い。低域の駆動力がアップし、中高域の音の張り出も強くなったAK100のサウンドは、かなりAK120に近づく。厳密に聴き比べると、AK120の方が情報量の面で鮮度が高く、ストリングスの描写などで違いが出る。また、低域の生々しさもAK120が僅かに上で、全体的なコントラストも強く、彫りの深い描写だ。しかし、両者の差はかなり縮められる。光デジタル出力があるおかげで、こういう“グレードアップ”ができるのもAK100/AK120の面白さだろう。

 ただ、音は良いが、当然ながらAK100とD12 Hjという、“2つの箱”をケーブルで繋いで持ち歩く煩わしさはつきまとう。しばらく我慢して使った後で、AK120に戻り、サッと胸ポケットに収納できると「音の良さも大事だけど、このサイズは強力な武器だなぁ」としみじみ思ってしまう。

まとめ

 AK120の音を簡単にまとめると、AK100でクオリティが高かった中高域をさらに進化させ、分解能の高さ、立体感の向上を実現。同時に、AK100が弱かった低域の音圧もアップし、「これならば外部アンプを繋がず、AK120単体で使い続けても良いかな」と思わせてくれる、トータルバランスの良い再生音になったと言えるだろう。今後、DSDファイルの再生もサポートすれば、スペック面でも隙の無いモデルに進化しそうだ。192GBまで拡張できるメモリも、ハイレゾファイルのヘビーユーザーには嬉しいポイントだろう。

 だが問題は直販予定価格129,800円という価格だ。実際に使ってみると、“このサイズで、この音”という大きな魅力を実感でき、「おいそれとは買えないなぁ」という最初の驚きから、「でも欲しいなぁ」という気持ちに変化する。好意的に考えると、直販54,800円のAK100に、3万円くらいの外部アンプを接続したようなサウンドを、AK100からわずかなサイズアップだけで実現したと言うこともでき、価格差もある程度納得できる。

 また、前述の通り、将来的にはDSD再生、およびUSB DAC機能も追加される。USB DAC機能の詳細はまだ不明だが、おそらくハイレゾファイルの再生もサポートしてくるだろう。外出時だけでなく、家の中でPCで音楽を楽しむ時のUSB DACとしても活用できると考えれば、価格の心理的ハードルもさらに下がるかもしれない。個人的には、10万円を切るくらいの実売価格になってくれると嬉しいのだが。

 サイズ面も含め、ハイレゾファイルを気軽に持ち歩き、その音質を屋外でも十分に満喫できるプレーヤーとして、完成度が高く、1つの完成形という印象も持つ。価格はさておき、多くの人に一度試聴して欲しいプレーヤーだ。

(山崎健太郎)