レビュー

スマホ連携高速化、無線LAN SD「FlashAir 16GB」

新機能「フォトシェア」や画像自動更新なども試す

 東芝から、無線LAN搭載SDHCカード「FlashAir」の16GBモデルが7月6日に発売された。'12年3月に発売された8GBモデルから容量が倍になり、スピードクラスもclass 10に高速化(8GBモデルはclass 6)された。

 基本スペックだけでなく、無線LAN LSIのソフトウェアも改善。写真データを無線LAN通信で転送する速度を約30%高速化するなど、使い勝手を高めたとしている。従来モデルのユーザーとしては気になっていたので、購入して手持ちのスマートフォン/タブレットへの画像転送機能などを試した。使用したデジタルカメラはオリンパス「PEN E-P3」で、スマートフォン/タブレットは、iPhone 4Sと第3世代iPadを使っている。

容量と転送速度が向上、価格もより手頃に

パッケージ

 まずは、FlashAirの基本的な使い方をおさらいする。SDカードに無線LANを搭載した製品で、デジカメに入れて撮影して、スマートフォン/タブレット/パソコンにワイヤレスで画像転送できるものだ。旅行などで写真を撮ったときに、カードをデジカメに入れたままの状態で写真をスマホに転送できるため、スマホからSNSなどへ簡単にアップロードできる。

 同様の製品は、無線LAN SDカードの先駆けといえる「Eye-Fi」のほか、別売microSDカードを入れて好きな容量を選べるアダプタ型の「PQI Air」などもある。既に多くのメーカーなどが参入していることもあり、価格も以前に比べると少しずつ下がっている。FlashAir 8GBモデルの発売時('12年3月)は実売7,000円前後だったが、新しい16GBモデルは、8月12日時点ではヨドバシカメラやビックカメラのサイトで5,500円前後(8GBモデルは4,000円前後)となっている。

 初代の8GBモデルが発売された頃は、SafariなどのWebブラウザのみで、写真を1枚ずつスマホに保存するというシンプルな操作が特徴だったが、その後iOS/Androidアプリもリリースされ、複数枚の一括転送も可能になった。以前、8GBモデルをレビューしたときはまだアプリが存在していなかったため、今回はアプリの利用方法も後で簡単に紹介する。

【16GBと8GBの主な仕様】

型番 SD-WC016G SD-WB008G
種別
SDHC
容量 16GB 8GB
ユーザー領域 約14.4GB 約7.2GB
SDスピードクラス Class 10 Clas 6
無線LAN
IEEE 802.11b/g/n
無線LAN
セキュリティ
WEP、TKIP、AES (WPA/WPA2)

 カードの外観は従来モデルを踏襲した白いデザインで、容量/転送速度などの表示以外はほぼ同じ。FlashAirの文字とロゴの部分が、従来の8GBは光沢のある表面なのに対し、16GBはマットになっているくらいで、こうした違いも並べて見比べないと分からない程度だ。

16GBモデルのカード本体
16GB(左)と、既発売の8GB(右)
Wi-Fi設定でFlashAirのSSIDを選択

 基本的な使い方は、特に8GBと変更は無い。FlashAirカードをデジカメに入れて電源ONにすると無線LANも自動でONになる。接続したいスマホ/タブレット/PCの無線LAN接続先を、FlashAirのSSID「flashair_xxxxx」(xxxxxは英数字)に設定し、取扱説明書に書かれたパスワードを入力すると接続が完了する。

 そこから、SafariなどのWebブラウザを使って「http://flashair/」にアクセスするか、iOS/Androidアプリ「FlashAir」を起動すると、カード内のフォルダにアクセス可能。そこから写真をプレビューして、スマホなどの本体にコピーするという流れだ。

 デジカメの電源を入れると無線LANもONになると最初に書いたが、無線LANの起動を手動にすることも可能。無線LANを使いたくない時は、スマホ側のFlashAir設定メニューで「手動起動モード」を選ぶ。その後、FlashAir内にある画像「FA000001.JPG」をデジカメの操作で「プロテクト ON」にすると、無線LANが停止する。もう一度、この画像を「プロテクト OFF」にすると再び無線LANが起動する。

ブラウザ利用時の初期画面
ネットワーク設定
無線LAN起動モードの選択画面で、手動起動にも変更できる
iPadのSafariでFlashAirのカード内にある写真を表示

 まず、第3世代iPadとiPhone 4Sで、Webブラウザ(Safari)からアクセスした。なお、複数のスマホ/タブレットでFlashAirを利用したい場合は、最初に接続する端末をどれにするかを決めておくことが重要。これは、無線LANの詳細設定や、後述する「フォトシェア」などの機能が、最初に紐付いた端末でしか利用できないためだ。もし、よく使う端末ではないものを最初に紐付けてしまった場合は、PCソフト「FlashAir Tool」を使ってカードを初期化することでやり直せる。

 スマホと無線LAN接続して、最初に実感できたのは、一覧表示されるまでの時間が短くなったこと。カード自体の転送速度が向上しただけでなく、無線LAN LSIのソフトウェアも改善したことで、写真データを無線LAN通信で転送する速度を約30%高速化したという。従来モデルと比べると、サムネイルで一覧表示されるまでの時間や、スクロールした時の読み込み時間などで違いはハッキリ表れていた。

 また、WebブラウザでFlashAirのフォルダ内を表示した状態で追加で撮影すると、自動でリストに写真が追加されるようになった。今回試した限りでは、シャッターを切った後、3〜5秒程度でスマホに読み込んで表示された。いちいち再読み込みしなくても一覧が更新されるので、旅先などあまり手間を掛けたくない時でも操作の手順が減るので便利だと感じた。なお、2台以上のスマホ/タブレット機器を同時に接続しているときは、自動更新されるのは1台のみで、他は手動で再読み込みする必要があった。2台のうち、どちらを自動更新するかという規則性は正確には分からなかったが、今回試した限りでは、先にブラウザで接続した機器を自動更新するというわけではなさそうだ。

 ファイルをスマホにコピーするときは、 サムネイル/リスト表示から、1つのファイルを選んで表示させ、写真をロングタップ(長押し)すると、[画像を保存]または[コピー]を選ぶことで行なえる。保存するとカメラロール内に記録され、コピーすると、メールなど他のアプリにそのまま画像を貼り付けられる。

1枚を選択すると、最初は小さく表示される
少し待つと大きく表示
ロングタップするとコピー/カメラロールへの保存が可能

 なお、8GBモデルと16GBモデルでは、Webブラウザ表示のUIも少し異なっている。例えば、サムネイル表示時は撮影日付順に区切られているが、16GBでは“次の日付”または“前の日付”にジャンプできるボタンも用意されている。また、1枚の写真を拡大表示したときに、[>]や[<]のボタンで次/前の写真に移動できる(8GBでは、次の写真を見るときも一度サムネイル一覧に戻らなければならなかった)ほか、自動で次々表示するスライドショーも可能になった。さらに、リスト表示時は、右側の[>]の部分をタッチすると、写真の詳細情報(ファイル名、撮影日時、ファイルサイズ)が表示される。これも8GBモデルではできない。操作のムダを省き、コピーしたい写真をすぐに選んで転送しやすくなったと感じる。

iPhone 4SのSafariで表示。16GB(左)と8GB(右)でUIが異なる
16GBではリスト表示も可能
画像のファイル容量も確認できる
動画は、他のアプリを使って保存することなどで再生可能になる

 なお、撮影した動画については、従来モデルと同様にブラウザ上でそのまま再生することはできなかったが、ブラウザから他のアプリに保存することは可能で、Dropboxなど他のアプリを呼び出して一旦コピーして再生することは可能だった。

特定のフォルダだけ友人に公開する「フォトシェア」

フォトシェアの設定画面

 16GBモデルで追加された新機能の一つ「フォトシェア」は、特定の日付とフォルダの写真のみを周囲の人に公開できるというもの。友人と写真を共有したい時に、カメラのフォルダ内すべてを見せるのは気が引けるという場合もあるし、画像が多すぎると表示に時間がかかってしまうので、特定のフォルダだけを公開できるのは便利だ。

 この機能は、初期設定したスマホのWebブラウザから操作する。設定画面から「フォトシェア」を選ぶと、日付とフォルダごとに表示されたサムネイル一覧が表示される。ここから公開したいフォルダ1つを選び、OKを押すと、公開する日付とフォルダの確認メッセージが表示される。OKすると、公開用の一時的なSSIDとパスワード(00000000)を表示。その場にいる友人などにSSIDとパスワードを伝え、各人のスマホからそこに無線LAN接続すると、公開されたフォルダだけが閲覧でき、そこから好きな画像をコピーできる。最初の端末で「公開終了」ボタンを押すと、フォトシェアを停止する。

日付を一つ指定すると、その日付のファイルのみ友人と共有できる
他のスマホから指定のSSIDにアクセスすると、さきほど指定した1日分の写真のみ閲覧できた

初代から1年を経て、着実に進化したモデルに

iPadアプリでの表示

 これまではWebブラウザからの操作を説明してきたが、アプリからの操作も簡単に紹介する。Webブラウザからの操作との大きな違いは、画像を複数選択してコピーができる点。全て選択して一度にコピーすることもできる。

 また、UIの細かな点にも違いがあり、例えばサムネイルから1枚の画像を選んで大きく表示したい時は、単にタップするのではなくロングタップとなる。そこから次の画像を見たい場合は左右フリックで切り替えられる。コピーするときは、画面下の[ダウンロード]をタップするとカメラロールに保存される。そのほか、一覧表示時に、特定の拡張子のファイルだけを非表示にすることも可能。なお、Webブラウザのように追加撮影画像の自動更新は行なえない。また、「フォトシェア」もアプリからは利用できない。こうした違いを踏まえ、自分に合った方を選ぶといいだろう。なお、8GBでも16GBでも、アプリ利用時は同じUIとなる。

アプリの場合、複数選択してダウンロード可能
非表示ファイルの設定も
Androidアプリの表示(ウォークマンのNW-F807使用)

 今回試したFlashAir 16GBモデルは、転送速度やUIの改善などで、従来の8GBモデルユーザーから見ても買い替えて良かったと思える完成度になった。8GBが発売された頃に比べると、今ではデジカメ本体に無線LANを内蔵する機種も増えてきたので、少し16GBが発売されるまで時間がかかってしまった印象もある。とはいえ、まだ手持ちのデジカメが無線LAN内蔵でない人や、他の無線LAN SDカードの使い勝手などに不満があるという人には、以前より価格も手頃になったこの製品をおすすめしたい。

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FlashAir 16GB

(中林暁)