レビュー

個性が大事! 尖ったBluetoothスピーカー【JBL編】

LEDで光るスピーカーと円盤分離タイプ

 スマートフォンの普及に伴い、保存した音楽を手軽に楽しめるものとしてBluetoothスピーカーが一般的なものになりつつある。ソニー「SRS-BTS50」やUltimate Earsの「BOOM」などの筒型タイプや、コンパクトでも重低音再生が可能なBOSE「SoundLink Mini」など、2013年も話題の機種が次々と登場した。

 一方、市場にライバル製品ひしめく状態になると、その中で存在感を発揮しようと、ユニークな特徴を持った製品も登場し始めている。ここでは数回にわけ、そうした“尖った”特徴を持ったBluetoothスピーカーを紹介する。

 トップバッターはJBL。言わずと知れた老舗のハイエンドオーディオメーカーだが、Bluetoothスピーカーも積極的に展開。スマホ用外部バッテリとしても使える「JBL CHARGE」やスタンド型スピーカー「JBL ONBEAT MICRO」など、様々なモデルを提案している。その中でも異彩を放つのが、年末に発売が開始された「PULSE」(パルス/オープンプライス:実売19,800円前後)と「VOYAGER」(ボイジャー/オープン:同27,800円前後)だ。

JBL PULSE
JBL VOYAGER

JBL PULSE

【スピーカーが光る事に意味はあるのか!?】
一見すると普通のBluetoothスピーカーだが、側面がLEDで光る

 PULSEは、形状だけを見ると普通の円柱形Bluetoothスピーカーだが、最大の特徴は側面にグルっとLEDを配置。カラフルに“光るBluetoothスピーカー”だ。「スピーカーが光ってどうなるの?」という冷静なツッコミが口から出そうになるが、編集部で開封してみると、瞬く間に「うわ、何これ」、「なんか光ってる! スゲェ」と人が集まってくる。スピーカーが光ると、「人にウケる」、「目立つ」。シンプルだが最大の特徴だ。

 LEDであるため、明るい部屋でも鮮やかな発色が楽しめるが、部屋を少し暗くするとイルミネーションとしての効果が倍増。様々な色に変化する様子を見ていると、雑貨屋などに売っている、オイルが浮かんだり沈んだりするランプを眺めているような気分になる。音を出さなくても、インテリアとして存在感を発揮できるスピーカーというのも珍しい。外形寸法は79×182mm(直径×高さ)で、重量は520gだ。

明るい部屋で使うとこのような見た目だが
部屋を少し暗くすると、雰囲気もグッとアップ

 光る事がウリなので、光の色や、“光り方”は多彩に設定できる。上部にカラフルなボタンが輪っかのように配置されており、例えば赤いボタンに指で触れると、発色が赤くなる。七色のボタンは、色が入り混じり、刻々と変化するモードだ。白いボタンは明るさを示しており、黒っぽいボタンを選んでいけば、LEDの輝度が抑えられる。完全にLEDをOFFにするモードもある。

天面。Bluetoothのペアリングボタン、電源ボタン、ライティングモードの切り替えボタンが縦に並んでいる。その周囲に、円形に小さなボタンが並んでいる。左側がライティングのカラー、右側が明るさ調節だ
天面のカラーボタンを押すと、イルミネーションの色が変化する
明るさ調節も可能
光り方の変更もできる

 光り方は、天面のモードボタンを押せば切り替えられる。音楽に合わせてイコライザのように光のメーターが上下するモード、霧のようにゆらめくモード、上から下へと色の輪が循環するモードなど、多彩だ。イコライザーモードは、スピーカーを横倒しすると、上下するメーターの向きも連動して変化する。ボリュームを増減すると、その瞬間だけLEDが白くなり、白い部分の面積でボリューム値を表現してくれる。

LEDイルミネーションのサンプル

 本体だけでも光り方の設定が可能だが、JBLのプレーヤーアプリ「JBL Music」(無料)をインストールすると、スマホからも設定できる。プリセットライティングパターンの色や明るさをユーザーがカスタマイズしたり、本体のボタンを押した時に適用されるライティングモードの入れ替えも可能。アプリからLEDを完全に制御できるため、アプリのバージョンアップで、ライティングパターンの追加なども可能だろう。

アプリ「JBL Music」から、ライティングパターンを変更しているところ
アプリにはアイコンが並んでいるが、中央上段のライティングモードが、スピーカー本体に内蔵されているもの。下段はアプリ側にあるもの。このアイコンを入れ替える事で、スピーカー本体のモードボタンを押した時に切り替わるライティングモードを変更できる
このように、カラーや明るさをユーザーがカスタマイズする事も可能

 完成度の高いアプリだが、さらなる欲求も高まってくる。例えば、バラードでは青いイルミネーション、ノリの良い曲では赤になど、プレイリストの楽曲ごとに、事前に指定した色に変化するとか、再生する時間帯によって変化するなんてのも面白そうだ。

 数日使ってみて「派手で人の注目を集められる」、「暗くした部屋で光らせるとリッチな気分になれる」といった効果以外にも、便利な事があった。私は寝る前、布団の中でスマホを片手に、BDレコーダに録画した番組を転送して鑑賞しているのだが、ベッドサイドに「PULSE」を設置。スマホのスピーカーを使わず、PULSEから音を出して、リッチなサウンドで番組が楽しめる。

 そして鑑賞後、「スマホを充電台に戻す」、「メガネを机の上に戻す」という2つの動作が必要なのだが、部屋は真っ暗。部屋の電気をつけるのも面倒なので、いつもはスマホの画面をライト代わりに、手探りで充電台や机を探しているのだが、PULSEがあるとアプリから輝度をアップさせ、簡易的なベッドサイドランプとして扱える。まあ、スマホからアプリを操作する手間を考えると、手を伸ばして部屋の電気を付けた方が簡単じゃないかと言われそうだが、“全部スマホから操作できる”というSFっぽさが面白い。

 また、アクション映画などを見ながらPULSEの光を赤系などに設定すると、背後の天井やら壁やらに赤い光が反射。小さなスマホの画面で見ているのに、部屋全体がライトアップされる事で、アトラクションにも似た、リッチな気分でコンテンツが楽しめた。

【 音はどうなのか 】

 イルミネーションの楽しさはさておき、Bluetoothスピーカーなのだから音も重要だ。基本的な仕様としては、Bluetooth 3.0に準拠。プロファイルはA2DP/AVRCP。コーデックはSBCに対応。背面にステレオミニのアナログ入力もあるので、スマホ以外も接続できる。NFCにも対応する。

 40mm径ユニットを2基搭載していると言うが、外から見る事はできない。搭載するデジタルアンプにより、最大出力は6W×2ch。バッテリの持続時間はLEDを光らせながらで約5時間だ。

底面にNFCマークを用意。タッチするだけでペアリングできる
アナログ音声入力も備えている

 音質を一言で言うと「明瞭なクリアサウンド」。付帯音の少ない、伸びやかな高音が持ち味で、派手な外観とは裏腹に、まっとうな音を出すスピーカーだ。筐体のサイズから考えると、もう少し低域が出て欲しいと思うが、中域はそれなりに出ているので、いいわゆる「ハイ上がりでスカスカした音」ではなく、聴いていてストレスは感じない。

 ヴォーカルが明瞭で、歌詞がクリアに聴き取れる。ただ、中低域が弱いので、ゆったりとした音に身を任せるような、BGM的な聴き方ができるスピーカーとは少し違う。逆に、スマホでテレビのトーク番組を観たり、radikoアプリでラジオ番組を聴くといった使い方をすると、中低域の膨らみや付帯音が少ないので聴き取りやすい。だが、アクション映画や戦艦がドンパチやるアニメなどを観ていると、もう少し低域の迫力が欲しいと感じる。

 個人的には、出ない低域を無理に出そうと音をいじって全体の明瞭度が下がるよりも、出せる音をクリアに出すという音作りには好感が持てる。ただ、七色に変化するイルミネーションを見ていると、「こういう派手な演出が好きな人は、低音モリモリな迫力のサウンドが好きなのでは?」という疑問も浮かぶ。「七色に光る→ディスコっぽい→低音ズンドコのディスコサウンド」という私の昭和的な思考から来る思い込みも過分に含まれているが、“ミラーボール的な派手さ”と“音質の派手さ”がマッチしていないように感じる。例えば、ワイヤレスでBluetoothサブウーファと連携できるとか、何台か数珠つなぎして音をリッチにできるとか、追加提案も欲しいところだ。

 前述のように、イルミネーション機能のさらなる強化にも期待したい。LEDの個数は不明だが、もっと数を増やして輝度や解像度をアップさせ、歌詞が側面に流れるとか、アルバムのジャケットアートが表示できるとか、ユーザーが用意した画像ファイルを表示できるなど、インテリアとしての強みを伸ばしていくのもアリだろう。

JBL VOYAGER

【スピーカーからUFOが!?】

 VOYAGER(ボイジャー)と聞くと、惑星探査機を連想する。巨大アンテナのような外見がユニークなモデルだ。シーリングスピーカーを透明のケースに入れたようにも見える。前面中央に丸い縁取りがあるので、オーディオに詳しい人なら、同軸スピーカーユニットのようにも見えるだろう。

VOYAGER
エンクロージャの外側は透明
背面

 中央部分に電源ボタンやBluetoothのペアリングボタン、ボリュームボタンなどを備え、この状態で据置型Bluetoothスピーカーとして使えるのだが、この中央操作部分を、まるでくりぬいたように取り外す事ができる。取り外しても、この中央部分、円盤のような部分から音楽は流れ続けている。人前でこのギミックを見せると、ほとんどの人が「ええっ!?」と驚いてくれる。スピーカーの真ん中が取り外せると思っている人は普通いないので当たり前だが。

中央部分がボコッと外れる
真ん中がポッカリと空いてしまった

 構造は理解すれば単純。この円盤部分がBluetoothスピーカーの本体なのだ。それがハメ込まれていた大きなスタンドは、サブウーファ+充電台。両者はマグネットで接続されており、気軽に取り外しできる。円盤部分にはバッテリを内蔵しているので、取り外してもBluetoothスピーカーとして、そのままスマホからの音を流し続けられる。サブウーファに接続すれば、低音がリッチになるほか、ACアダプタからの給電で円盤部分の充電も可能というわけだ。

円盤部分。これがBluetoothスピーカー本体だ
質感や剛性は高い
円盤部の背面。しっかりとシリコンのインシュレータがついている
サブウーファのアップ。ここに磁石が入っており、円盤部と結合する
円盤部にもUSB端子を装備。ここから充電する事もできる
サブウーファに接続するACアダプタ

 円盤の本体部には40mm径のフルレンジユニットを2基搭載。サブウーファ側には、77mm径ユニットを内蔵している。最大出力は、円盤部が7.5W×2ch、サブウーファが15W。再生周波数特性は65Hz〜20kHz。円盤に内蔵するバッテリでの動作時間は約5時間。なお、円盤部にはUSBポートがあるので、サブウーファに戻さなくても充電は可能だ。Bluetooth 3.0準拠で、プロファイルはA2DP/AVRCPに対応する。

 使い方だが、円盤+サブウーファの状態で、斜め上を向いたデザインになっているため、PCなどのデスクに設置すると、音が耳にダイレクトに届いて使いやすい。外形寸法は210×127mm(直径×高さ)。重量はポータブル部が400g、サブウーファが1.2kg。Bluetoothスピーカーとしては大型の部類ではあるが、男性ならば片手で運べるサイズ&重さだ。

円盤部は上を向けて設置し、無指向性スピーカーに

 例えば、リビングの机に設置。スマホから音楽を楽しんだ後、書斎のノートPCがある机に移動する……という場合、円盤部だけを取り外し、スマホと共に書斎に行けば、音楽が途切れる事なく移動できる。円盤部の底面にはインシュレータが備わっており、上を向けて設置するようになっている。こうする事で、音は上に向かって放射され、無指向性スピーカーとして利用できる。

 他にも、PC用の机に円盤+サブウーファを設置。寝る時になったら、円盤だけを取り外して、枕の横などに置き、radikoなどを聴きながら眠る……という使い方も良いだろう。綺麗な話でなくて恐縮だが、聴いている音楽が最高潮に盛り上がっている時にトイレに行きたくなり、停止するのも気が削がれるので、円盤部だけ取り外して、そのまま上着のポケットに入れ、音楽を聴きながらトイレに行き、戻って来て再びサブウーファとドッキングなんて使い方も可能だった。ただ、トイレと部屋が遠い場合は、スマホも一緒に持っていかないと音切れしてしまうと思うが……。

【音はどうなのか】
サブウーファの背面にはアナログ入力も備えている。なお、円盤部を取り外すと、アナログ入力からの音は止まる仕様だ

 結論から先に言うと、このVOYAGER、音が良い。円盤+サブウーファ状態で聴いてみると、ワイドレンジかつ、付帯音の少ないクリアな音で驚かされる。試しに8〜10人程度が入れる会議室で、音が充満するほどボリュームを上げてみたが、筐体がビビらず、音楽が破綻しない。

 この音のクリアさの秘密は、エンクロージャの剛性の高さと、低重心なデザイン、しっかりとしたシリコン製のインシュレータなどによるものだろう。ユニークな見た目とは裏腹な実力派だ。もちろん、地鳴りのような低音は望めないが、「藤田恵美/camomile Best Audio」から「Best OF My Love」を再生しても、アコースティックベースのゆったりとした響きと、ヴォーカルのクリアな高域の抜けが両立できている。ノートPCと組み合わせ、BGM的に聴いてみたが、十分な音質だ。

 円盤部を取り外すと、当然ながら低域がスッパリ無くなる。ただ、上を向けて設置し、無指向性スピーカーとして使うため、キツイ中高域だけがガンガン耳に届くような事はなく、広がりのあるリッチなサウンドは維持されている。

 筐体の剛性が高いため、低価格なBluetoothスピーカーでありがちな、プラスチックエンクロージャの鳴きが乗った安っぽい音にはならない。

 また、コンパクトとは言え、手のひらより大きなサイズではあるため、ヴォーカルで必要となる中域はキッチリと出る。音が痩せたり、高域寄り過ぎてキンキンしたサウンドにはなっておらず、ストレスは無い。暫定処置ではなく、この円盤状態のまま、何時間か音楽を聴いてもいいなと思わせてくれるクオリティだ。ただ、ベースの量感や、ドラムのスネア、パイプオルガンの地鳴りのような低音などは当然ながら出ないので過度な期待は禁物だ。

 使い勝手で気になったのは、円盤部分は“上に向けて設置する事しかできない”事だ。部屋に自分しかおらず、無指向性でなくても良いかなと思っても、完全な円盤型なので、縦に固定できない。そのままコロコロ転がっていってしまうのだ。上向きにした状態で、下に消しゴムなど何かをはさんで、片側を持ち上げて、前方への指向性を持たせる工夫が必要だった。

 なお、背面にはサブウーファと結合するための強力な磁石が搭載されている。好奇心で、編集部にあったロッカーに近づけてみると、見事に磁力で固定できた。だが、円盤部自体の重量が400gあるため、少し力を加えるとポロッと外れてしまう。本来想定された使い方ではなく、落下すると故障などの危険性もあるので、このような使い方はやめた方が良いだろう。

ロッカーに貼り付けられたが、落ちやすいので真似しないほうが良いだろう

個性的で完成度も高い

 光るとか、分離するとか、個性的な機能があると、どうしても「それ以外の機能がおろそかになっているのではないか」と思いがちだ。だが、今回の2機種は、いわゆる“出オチ”ではなく、スピーカーとしてもまっとうに作られており、完成度は高い。

 JBL PULSEは、スマホからのライティング制御が可能なので、遠隔操作できるイルミネーションとして、インテリア的な使い方ができるのが面白い。音楽が鳴っていない時は邪魔なBluetoothスピーカーに、もう1つの役割を与えるという考え方は斬新だ。ただ、“光るだけ”と言えばそれまでなので、それに飽きてしまうと単なるBluetoothスピーカーになってしまう。このライティング機能があれば、日常生活のこんな時に便利そうだな、誰か来た時に話が弾みそうだなと、利用シーンがいろいろと想像できる人にマッチするだろう。

 VOYAGERは、音質の良さと共に、目玉の分離機能が日常生活での使いやすさや、利用シーンの拡大に直結しているところを評価したい。価格は「PULSE」(実売19,800円前後)と「VOYAGER」(同27,800円前後)で、VOYAGERの方が高価だが、音の良い据置型のBluetoothスピーカーと、ポケットに入る小型のBluetoothスピーカーの2台がセットになった製品と考えると、逆にリーズナブルと言っても過言ではないだろう。

 Bluetoothスピーカーは、スマホから音楽がワイヤレス伝送できる事が特徴だが、スマホと接続すれば、音楽を流すだけでなく、もっといろいろな事ができる可能性がある。そんな“これから先のBluetoothスピーカー”の姿を、一足先に予感させてくれる2モデルだ。

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PULSE

(山崎健太郎)