レビュー

スカパー! 4KとREGZA 50Z10Xで体験する“家4K”の魅力

4Kの圧倒的なリアリティを手軽に。4K放送入門

 3月1日にスタートした4K放送「スカパー! 4K」は、124/128度CS放送の「スカパー! プレミアムサービス」上において、「スカパー! 4K 総合」(Ch.596)と、映画専用の「スカパー! 4K 映画」(Ch.595)が展開されている。2014年6月にスタートした4K試験放送「Channel 4K」を加えると、3つの4Kチャンネルが揃い、「放送の4K時代」がいよいよ幕開けしたといえる。

東芝REGZA「50Z10X」

 スカパー! 4Kを体験した速報記事はすでにお伝えしたが、4K放送の導入までの経緯や注意点を、現状唯一の4Kチューナ内蔵テレビである東芝REGZA Z10X「50Z10X」を使って紹介しよう。約1週間の4K放送体験では、4K放送の魅力と課題が見えてきた。

導入に必要なのは「テレビ」、「アンテナ」、「ICカード」

 4K放送の視聴のために必要なのは、「124/128度CSデジタル対応アンテナ」と、「4Kチューナ搭載テレビ」もしくは「4Kチューナ+4Kテレビ」、「スカパー! プレミアムサービス用ICカード」の3点だ。

Myスカパーで専用ICカードを申し込み

 今回は4K対応のスカパー! プレミアムチューナを内蔵した50型4K REGZA「50Z10X」を用意した。Z10Xシリーズ以外の4Kテレビを利用する場合、4Kチューナのソニー「FMP-X7」やシャープ「TU-TD1000」を組み合わせる必要がある。またテレビのHDMI入力端子が、最新著作権保護技術「HDCP 2.2」に対応している必要もある。

 注意したいのは、REGZA Z10Xの場合スカパー! プレミアムサービス用ICカードが同梱されておらず、別途請求する必要があるということ。そのためREGZA Z10Xを購入/設置して、すぐに4K放送を見るためには、事前にICカードを請求しておく必要がある。なお、4Kチューナ/レコーダのソニー「FXP-X7」とシャープ「TU-TD1000」は製品にICカードが同梱されている。

 スカパー!の窓口に電話、もしくはWebサービスの「Myスカパー!」から、ICカードの発行を依頼する。筆者はMyスカパー!からカードの発行依頼を行なったところ、2日後には自宅に送られてきた。

2日でICカードが届いた

 3月1日の4K放送開始の前日(2月28日)に50Z10Xを搬入し、アンテナからの配線作業などを行なうなど、かなりドタバタの導入になったが、事前にカードを取り寄せていたため、28日中に4K放送(Channel 4K)を視聴可能になった。

アンテナが設置できればシンプルな設定

スカパー!用アンテナ「SP-AM400M」

 筆者の自宅では、ベランダにアンテナを立てて110度CSデジタル放送の「スカパー!」を視聴している。4K放送の導入にあたり、アンテナを124/128度対応のものに変更しようとしていたが、改めて調べてみると筆者宅のアンテナ「SP-AM400M」は110度だけでなく、124/128度に対応していた。

 スカパー!では、アンテナ本体と設置工事費込で5,000円で、業者によるアンテナ設置を行なっているキャンペーンを実施している(3月31日まで)。当初はそちらを使おうと考えていたが、対応アンテナだったため、継続利用することとした。

 アンテナのCS124/128度用出力端子と50Z10Xを接続したところ、あっさり映像が写ってホッとした。接続後に、スカパー!プレミアムサービスの「スカパー!プロモ599」(Ch.599)が映り、アンテナレベルも充分だった。

 ただし、スカパー!プレミアムとスカパー!でアンテナ線を共有できないので、アンテナの110度CS用出力と、124/128度CS用出力のそれぞれに、アンテナケーブルを接続する必要がある。ケーブルの取り回しなどは事前に考えておいたほうがいいだろう。

スカパー!用アンテナ「SP-AM400M」は110度CSのほか、124/128度CSにも対応していた

 アンテナ設置のハードルはさほど高くはないし、設置業者に依頼するのもさほど手間ではないだろう。ただし、最近のマンションなどでは、そもそもアンテナ設置を禁止している物件なども多いし、建物の共用アンテナでもBSと110度CSは多くの物件で入っているが、124/128度は少ないと思われる。4K放送導入のハードルになるのはこうしたアンテナ設置に関わる部分だろう。なお、4月4日からは、NTT東西のフレッツ光サービス経由での4K放送もスタート予定だ。

本体向かって右側面にスカパー! プレミアムサービスのICカードスロットと、アンテナ入力

 アンテナで受信できてしまえば、テレビ側の設定はシンプルだ。50Z10Xの側面のスロットにICカードを入れて、アンテナケーブルを接続するだけ。50Z10Xでは、地デジ/BSのアンテナ入力は背面側にまとめられているが、4K放送関連のアンテナ入力やカードスロットは向かって右側面にまとめられている。

 50Z10X側の設定はシンプルで、「スカパー! かんたん設定」画面で設定を行なうだけだ。視聴の可否、アンテナタイプ(標準 or 共聴)、暗証番号設定、放送視聴制限設定と、画面の案内に沿って選択していくだけで設定が完了する。なお、ここで設定する暗証番号は、後ほどスカパー! 4K映画のPPVなどで利用するものだ。

スカパー! かんたん設定
アンテナレベル
暗証番号を入力
視聴年齢制限を行なわない場合は[20歳]を選択

 なお、スカパー! 4K総合と4K映画の一部の放送自体は無料だが、利用のためには、スカパー! プレミアムの月額基本料(税込421円)とスカパー! プレミアムの最低1チャンネルの契約(税込み432円~)と、最低でも月額853円は必要となる。つまり、スカパー! 4Kは「スカパー! プレミアム加入者向けの無料放送」といったところだ。加入料として初回に3,024円(税込)が必要だが、3月1日~31日までの契約者は無料となっている。

 スカパー! プレミアムサービスに接続してから最初の2週間は、一部のチャンネルを除き全チャンネルが無料で視聴できる体験期間となる。この期間に加入したいチャンネルを選べるように、ということなのだが、スカパー! 4K映画でPPVを購入する場合、本契約を行なっていないと視聴できないので注意したい。契約処理自体は、スカパーのWebサイト「MYスカパー!」や電話で行なえる。

 スカパー! 4Kだけでなく、'14年6月から放送している4K試験放送「Channel 4K」についても申し込みが必要だ。せっかく4K放送が受信できるのだから、こちらも開通処理を行なっておきたい。電話で窓口連絡するだけで、その後30分程度でChannel 4Kが視聴可能になった。申込の電話を切る際に窓口の担当氏が、「それでは、4Kの高画質をお楽しみください」と言っていたのが印象に残った。

地デジと遜色ない「50Z10X」の4K放送の操作感。シンプルな録画機能

リモコン

 4Kチューナを内蔵した「50Z10X」の場合、リモコンの[スカパー!]ボタンで、スカパー! プレミアムチューナに放送を切り替えるだけで、スカパー! プレミアムの番組表が表示され、「スカパー! 4K 総合」(Ch.596)を選べば簡単に4K放送を楽しめる。

 スカパー! プレミアムのチャンネル数は大量のため、番組の一覧性はよくないのだが、50Z10Xでは自分が契約中のチャンネルのみを番組表表示する機能を備えているのでこれらを利用したい。

 また、スカパー! プレミアムの放送視聴時に、リモコンの[1]などの数字ボタンに任意のチャンネルを割り当てることも可能で、筆者は[1]にスカパー! 4K総合を、[2]にスカパー! 4K映画を、[3]にChannel 4Kを割り当てた。これにより、リモコンのスカパー!ボタンを押してから、[1]~[3]ボタンを押せば、好きな4Kチャンネルをすぐに呼び出し可能になる。

スカパー! プレミアムには多くのチャンネルが
スカパー! ボタンで、スカパー! プレミアムチューナをすぐに呼び出せるのがZ10Xの特徴
リモコンの1~3ボタンに4K放送の各チャンネルを割り当て

 チャンネル切替のレスポンスは、地デジより若干遅い程度で、実際の利用上は全く問題ないレベルだ。

 3月上旬現在、スカパー! 4K 総合の放送時間は、平日/休日ともに10時~24時、スカパー! 4K 映画は、平日が12時~24時、土日が10時~24時となっているようだ。Channel 4Kは、平日が12時~19時、土日が10時~22時となる。

CANVIO DESKの1TBモデル

 平日の帰宅時間が23時過ぎの筆者は、ほとんど平日4K放送を見ることができない。ただし、スカパー! 4Kのスタートにあわせて、REGZA Z10Xシリーズが録画に対応。別売USB HDDへの録画予約が可能になった。今回東芝のUSB 3.0 HDD「CANVIO DESK」の1TBモデルを接続して録画した。なお、東芝ではZ10X購入者向けにタイムシフトマシン対応USB HDD「THD-250T1A/450T1A」をプレゼントするキャンペーンを5月31日まで実施している

 4K放送の録画といっても、地デジ/BS録画とほとんど同じで、番組表から録画したい番組を選ぶだけ。放送波をそのまま録画し、長時間の録画モードなどは用意されない。圧縮効率の高い最新のHEVCコーデックを使っているとはいえ、3,840×2,160ドット/60fpsの高精細映像のためHDD容量を消費する。1TBでも50時間弱しか録画できないので、今の4K放送をひたすら録画してしまうと、2週間程度で使い果たしてしまいそうだ……。

スカパー! 4K総合を録画。地デジとほぼ同じだ

 録画番組の操作方法は、4Kも地デジもほぼ変わらないが、早送り/戻しや30秒スキップ、15秒バックといったトリックプレイのレスポンスは、地デジの操作時よりはやや遅くなっている。例えば、4K放送録画番組で30秒スキップをすると、画面は瞬時に切り替わるが、音声が出るまで2秒ほど待たされる。とはいえ、ストレスを感じるというほどでもない。

 また、放送側の問題なのだが、現在のスカパー! 4K総合やChannel 4Kの放送は、スポーツや音楽ライブなどが多く、CMがほとんどない。そのため、当初は3時間の音楽ライブの4K放送の番組の後半を見たい、といったときにひたすら早送りして、「ちょっと使いにくいな」と感じた。

 もっともこれは50Z10X側で解決策が用意されており、リモコンの[サブメニュー]から[サーチ]を選び、[01:30:00](1時間30分)など時間を指定すれば、その時間をすぐに頭出しできる。ちょっとボタン操作が増えるが、4K放送を中心に利用する場合は活用したい機能だ。

サーチを選んで、頭出し時間を入力

 現時点では4K放送には、BDや他の機器などへのダビングについての規格が用意されておらず、録画は純粋にタイムシフト用となる。シンプルな録画機能には不満はないのだが、シングルチューナのため、Channel 4Kとスカパー! 4Kで放送時間がかぶるとどちらかを選ばなければならないという問題はある。もっとも50Z10X以外もダブルチューナ機は無いし、現状再放送も多いので、再放送でカバーするという考え方もありだ。

 なお、後述するスカパー! 4K映画のPPV番組は、“コピー禁止”になっているため、USB HDDへの録画はできない。

4Kの圧倒的な画質が楽しめる「スカパー! 4K 総合」

 スカパー! 4K総合は、音楽やスポーツを中心にした総合編成チャンネル。実際、放送開始後の1週間は、途中に「ドキュメンタリー」や「紀行」番組をはさみながらも、サッカーや音楽ライブが中心の編成となっていた。

スカパー! 4K総合の1週間番組表
映像メニュー

 実際に見てみると、4K放送の魅力は「圧倒的な画質」に尽きる。

 基本的に50Z10Xの画質モードは[おまかせ]を使って視聴したが、Jリーグ「ガンバ大阪×FC東京」の生中継では、スタンド中央から見下ろすカメラの映像で、ピッチ上の各選手の動きが手に取るように感じ取れるし、LED広告が雨の陸上トラックに反射して揺らめく様子にも目を奪われる。視力が上がったような錯覚を覚えるというか、いつも見ているものの質感が変化したように感じ取れるのだ。

 「スカパー! 音楽祭」では、明暗差のあるシーンにおいても明部、暗部ともに階調がしっかりと出ており強く印象に残る。暗いステージに点光源がチラホラといった画質的に難しいシーンでも破綻はなく、安心してみていられる。暗い画面でもしっかりとディテールが見えるだけでなく、強烈なライトで照らされたステージ上の衣装の艶や風合いの表現などに目を奪われる。

 じっくり見ていると、ディテールがにじみ出てくるような解像感があり、ステージの奥行きや質感もHDとは違った感触を覚える。単純に精細なだけでなく、あらゆる面でワンランク上の質を感じさせる。

 ギターのシミや傷だけでなく、衣装の輝きやシワや陰影もリアリティがある。残酷ではあるが、若作りなアーティストも、肌やシワにはそれなりの年輪や貫禄が感じられてしまう。アナログ放送からデジタル放送への移行時にも言われていたが、4K放送で“生々しすぎない”ようにするための演出や化粧などの工夫も必要かな、と思った場面もあった。

 また、リアリティという点では、ハッとさせられたのが“震え”の表現だ。アーティストが歌っている最中の唇や頬の震えが見えるだけでなく、緊張からかトーク中の手や顔の震えも感じられ、見ているだけの自分も緊張してくるようだ。「4Kの魅力はその場に居るような臨場感」などと言われるが、現場以上に“見えてしまう”ことが、現場とは違うリアリティを創造しているように感じられた。

 「4K放送のライブ中継は難しい」と言われていたが、Jリーグ「ガンバ大阪×FC東京」を見ても放送映像では、全然問題は感じなかった。気になったのは(録画放送だが)「スカパー! 音楽祭」の和田アキ子のトークシーンで、衣装のスパンコールが照明に反射してかなり派手なスミアが出ていたぐらいだ。

 「ハービー・ハンコック One Night Premium Live」は、暗いステージとスポットライトという音楽ライブらしい難しい環境だが、ライトに照らされたジャケットのディテールなどの情報量に目を奪われる。さらに、印象的なのは、ドラムの太い低音やピアノのアタック感などがしっかりしていること。ボリュームを相当あげても、ビビらず力強い中低域をダイナミックに鳴らしてくれる。

 50Z10Xのスピーカーは、下向きのいわゆるインビジブル型だが、音像は画面のセンターからきっちり感じられ、出力もかなり上げられる。スカパー! 4K総合では音楽ライブが多いだけに、音質がしっかりしているテレビのほうが、その魅力をより引き出してくれるはずだ。

 Channel 4Kで放送したボクシング「村田諒太世界戦略IV ~BOXINGダイヤモンドグローブSP」でも、村田選手のボディ打ちの“ドスッ”という低音が太く心地よく響く。映像だけでない、音のライブ感の魅力が充分に堪能できた。映像の情報量が多いので、「前から8列目くらいの子供が試合に飽きて、隣の親(?)をデジカメで撮影している」とか、無駄な情報も目に入ってしまうのはある意味4K放送の難点か。「会社をサボって観戦にいったら、確実にバレそう」などと思ってしまった。

50Z10Xでスカパー! 4K総合を視聴

 「Berryz工房 ラストコンサート2015 Berryz工房行くべぇ~!」では、開幕前の武道館の上部のカメラの映像が印象的。徐々に人が席に着いて、まだ明るい会場にサイリウムの明かりがチラホラうつり、徐々にその明るさを増していきながら暗転。観客のテンションが一気に上がって歓声とコールが沸き起こる様子を、4Kの高画質でひたすら撮影し続けている。あまりBerryz工房を知らない筆者にとっても、観客の思いが伝わる感動的なシーンだった。

 一部のステージ撮影カメラの画質が、若干見劣りするように感じられたが、それでもライブの勢いはしっかりと体験できた。

 「電流爆破デスマッチ!大仁田厚vs髙山善廣 初代爆破王者決定戦」も面白い。大仁田選手、高山選手の汗や血、苦痛にまみれた表情に、やけに汚れたコーナーポスト、両選手のやや緩んだ肌の感触などが妙にリアルであるとともに、電流爆破の強烈な光源の煌きのインパクトが凄い。直下型LEDのREGZA Z10Xの輝度パワーが存分に発揮されるシーンだが、ちょっと明るすぎる気もした。

 また、両選手が傷つき、流血し、苦しんでいる“痛み”は確かに感じるのだが、音楽ライブやスポーツのような圧倒的なリアリティより、不思議とCGの世界を見ているような錯覚を覚えたのもこの番組ならではかもしれない。

スカパー! 映画に感じる4Kならではの「質感」。コンテンツ拡充に期待

 PPVの「スカパー!4K 映画」(Ch.595)も見てみた。まず視聴のためにはスカパー! プレミアムサービスの契約とインターネット接続環境が必須となる。

 番組開始時間に、スカパー! 4K映画にチャンネルをあわせると、[プレビュー中 購入で決定]というメッセージが表示され、[決定]を押すと暗証番号入力になる。あとは決定を押すだけで購入完了だ。スカパー! の月額請求にあわせて、課金される。価格は「ネイチャー」、「時をかける少女 4K Scanning」、「蘇える金狼 4K Scanning」、「野獣死すべし 4K Scanning」が540円。「スターチャンネル presents 恋するリベラーチェ」はスカパー! プレミアムサービス契約者無料となっていた。

番組開始後、プレビュー中に[決定]ボタンを押す
暗証番号入力画面
購入確認画面
スカパー! 4K映画のPPVは録画禁止

 スカパー! 4K映画のPPV番組は[録画禁止]となっているため、あとは“見るだけ”だ。

 今回は、「時をかける少女 4K Scanning」を画質モード[映画]で視聴したのだが、スカパー! 4K総合の“4Kらしい”高精細でノイズレスな映像を体験した後だと、「あれ? これって4K?」と、地味に感じてしまった。フィルムグレイン(フィルム撮影作品特有の粒子感)がかなり強く、“もやっ”と見えてしまうが、ノイズっぽくはならずあくまでもグレインらしく見える。

 4Kの“高精細”を期待するとやや期待はずれかもしれないが、スタッフロールなどの、タイトルの文字周りなどがスッキリと見え、モスキートノイズは全く見うけられない。オープニングの桜を背景に校舎が映るシーンも、驚くほど立体的に見える。黒板の板書のチョークの濃淡が感じられるし、アイロンがピンと利いた制服の感じや、シワだらけのぐたっとしたジャケット、校舎の柱の傷やシミの情報量が、質感の違いとして知覚できるようになってくる。

 インパクトは薄いが、4Kならではのしなやかさは充分に味わえた。ただ、本作ではエンディングのスタッフロールが左右に動く場面が、その移動時に引っかかりが感じられたのは気になった。

 スカパー! 4K総合とはまた異なった4Kの魅力が味わえるという意味では、スカパー! 4K映画の魅力は確かにある。しかし、現在の「時をかける少女」、「蘇える金狼」、「野獣死すべし」、「ネイチャー」だけというラインナップは、寂しいのも事実だ。

スカパー! 4K映画の週間番組表。同じ番組が多い

 4Kが当たり前のハリウッド新作はもとより、かつての名作のリストアなども4K以上の解像度でスキャンして行なわれている。4K放送というクオリティ面での魅力を最大限に活かした映画を発揮できる、そうしたチャンネルに育てていって欲しい。

 スカパーでは、「話題の洋画、邦画や過去の名作など幅広いジャンルの作品を年間50本程度放送予定」としているので、今後の拡充に期待したい。なお、PPV以外の時間は「4K 日本の風景」などの4K番組を放送しており、これらは録画可能となっている。

4K放送のリアリティとそれを引き出すZ10Xの魅力

 4K放送の一番の驚きはやはり「画質」だ。4K放送のデモは、取材先や販売店など、様々なところで見ているので、理解しているつもりでいたが、自宅の普段暮らしている環境の中で見る4K画質は、やはり別次元の感動がある。

 今回視聴したコンテンツも、4Kでなかったら見なかったかもしれないが、新しい番組を見てみると、4Kならではの映像の見え方や新しい発見が日々生まれてくる。家に帰って「今日の録画番組」を楽しみにする、というのも久しぶりの経験だ。

 その4Kの画質を引き出すのが「50Z10X」。音楽ライブの煌き感や強烈なライトの明滅、暗部のディテールなど、4Kの楽しさを存分に伝えてくれるのはもちろんなのだが、地デジの画質も、フルHDテレビ(42Z7)から見違えるほど向上。俳優のクローズアップでの衣装や肌の質感、バラエティのテロップ周りのノイズの少なさなど、時折4Kと錯覚するような情報量が普段見ている番組で味わえたのも嬉しいところだ。

 操作面においても、4Kチューナを内蔵したことで、ほぼ地デジと同じ操作で、戸惑うことは無い。4K放送を自然にテレビに統合しており、4K放送を特別なものでなく、当たり前のものに感じられるのが嬉しい。

 もっとも、まだ4K放送ははじまったばかり。スカパーJSATは加入数を明らかにしていないが、Channel 4Kを運営するNexTV-Fによれば、3月時点の加入者数は「数千レベル」とのこと。本格放送のスタートにより、多くのメーカーの参加に期待するとともに、多くの人にこの別次元の画質の魅力を感じて欲しい。そのためにも、スカパー! 4K総合、映画のコンテンツのさらなる拡充も期待したいところだ。

(協力:東芝ライフスタイル)

臼田勤哉