レビュー

プラズマ派も納得。豊かな色で魅せる4K VIERAの高画質

上質な映像と洗練の操作性。TH-60CX800の実力を検証

 パナソニックがプラズマテレビから撤退して1年以上の時間が経ったが、筆者(鳥居一豊)宅では今もリビングでプラズマテレビが稼働中。4Kテレビが主流になりつつある今、見劣りを感じる部分も目に付くようになってはいるが、その黒の深さ、それによって醸成される色の豊かな描写は今でも十分に魅力的だ。

 パナソニックは現在、IPSパネルを使った4Kテレビを高級モデルの主軸としてラインアップしている。4Kテレビへの参入も他社よりもやや出遅れたものではあったが、これまでのテレビ作りの技術の蓄積、プラズマテレビで得た画作りのノウハウを元に、巻き返しを図っている。

 TH-60CX800は、今春発売された4Kテレビの上級モデルで、昨年発売のAX900/AX900Fシリーズに続くモデル。4K IPSパネルに直下型LEDバックライトを組み合わせるなど、基本的な構成はAX900/AX900Fシリーズを踏襲し、HDR(ハイ・ダイナミック・レンジ。従来は抑えられていた明るい光をより現実に近い明るさで表現する技術。年末に登場予定のULTRA HD Blu-ray規格でも対応)などの新技術を採用している。

 今回、TH-60CX800を長期間お借りし、日常的に使ってみた。短時間の視聴が精一杯のいつもの視聴レポートと違って、ユーザー目線で日々使いながら気付いた点を紹介していきたい。

視聴ルームに設置したTH-60CX800。いかにも大画面テレビといった存在感はあまり感じさせないたたずまいだ

 60型のテレビというと、大画面テレビに慣れている自分でも大きいと感じる。重量はともかく、寸法的に一人で開梱したり組み立てるのは不可能というのも大きさを実感する部分だ。搬入は専門の業者の手をお借りしている。だが、無事に組み立てが終わってテレビ用のラックに載せてしまうと、そのサイズ感は思ったよりも大きくないと感じる。ベゼルの細いデザインや、スリムな形状のスタンドなどがその理由だろう。

 ちなみに、デザインの異なるCX800Nはスタンドの形状が異なっており、さらにローボードなどの低い位置への設置を意識して、約3度傾けた設計としている。設置する場所やインテリアなどに合わせて選ぶといいだろう。

スラントデザインのVIERA CX800Nシリーズ(TH-60CX800N)
CX800はシンプルなデザイン(写真はTH-55CX800)

 早速、アンテナやBDレコーダとの接続をして、初期設定を行なった。側面と背面にある接続端子は、すべて4K/60p信号に対応するHDMI入力が3系統、D4入力×1、ビデオ入力×1、光デジタル音声出力×1、LAN端子×1となっている。このほかに、USB端子×3(うち1系統はUSB3.0端子)、SDカードスロット×1を備える。装備としては十分だ。

側面と背面にある接続端子。HDMI端子などは横向き、または下向きに接続するようになっており、端子部分が出っ張ることがない。壁際に寄せて設置しても接続がしやすい
フルリモコン。ダイレクト選局用の12キーをはじめ、豊富なボタンを備える

 リモコンは通常のフルリモコンと、シンプルな形状の音声タッチパッドリモコンの2種類が付属する。フルリモコンは従来と大きく変わらないデザインで、ダイレクト選局用の12キーも備えるため、ボタンは多めな印象。使いたい機能をダイレクトに呼び出せるボタンも充実しており、慣れてしまえば使いやすい

 逆に音声タッチパッドリモコンはタッチパッドと十字キーのほかは、最小限の機能ボタンがあるだけだ。マイクも内蔵しており、音声操作や音声検索なども行なえる。

タッチパッドリモコン

Firefox OS搭載の新メニューは、シンプルかつスムーズな操作感

 初期設定を一通り済ませて、さっそく使ってみた。まず意外だったのは、ホームメニューが大幅にシンプル化されたこと。これまでのように放送画面を縮小して周囲にさまざまな機能を配置したメニューではなく、放送画面に重ねるようにして、「テレビ」、「アプリ一覧」、「接続機器一覧」、「録画一覧」というアイコンが表示されるだけだ。テレビ放送を見る、ネットワーク機能を使用する、入力の切り替え、録画番組の視聴といった目的別のアイコン選択で、テレビの機能をシンプルに使えるようになっている。

 ただ、このホームメニューでできることは、フルリモコンならばそれぞれ機能ボタンがあるので、ホームメニューを経由することなくダイレクトに呼び出せる。機能ボタンは配置場所がバラバラなため直感的に使うにはある程度ボタンの場所を覚える必要があるが、慣れてしまえば、フルリモコンでの操作の方が早い。新しいホームメニューは音声タッチパッドリモコンで快適かつ直感的に操作するためのものだろう。

ホームメニューを押した状態。画面に丸いアイコンが表示され、選択したアイコンが一回り大きく表示される。視聴を続けながら各種機能を呼び出せる

 Firefox OSの採用で一新された操作メニューは、デザインだけでなく操作性についての考え方が大きく変わっていると感じた。従来のようにあれもこれもまとめて画面の中に押し込んでみせるのではなく、ユーザーが能動的に見たいコンテンツや使いたい機能を選ぶようなスタイルと言える。

 最初は、従来の操作メニューにあったような、見る/探す/ネット機能のような機能一覧が見あたらず、ちょっと戸惑ったが、そういったものはすべてネットワーク機能とともに「アプリ一覧」の画面に盛り込まれている。

アプリ一覧の画面。多彩なネットワーク機能をはじめ、番組表の表示や番組検索といった機能アイコンもここに登録される
アプリ一覧の画面。多彩なネットワーク機能をはじめ、番組表の表示や番組検索といった機能アイコンもここに登録される。スマホ的な操作感と言える

 逆に各種の設定や番組表などは、従来のデザインを踏襲しており、フルリモコンでよく使う機能をダイレクトに選択するような使い方だと、操作メニューが一新されたことに気付かないほどだ。このあたりの新しい操作体系と従来からの操作体型の分け方はうまくできていると思う。

番組表の画面。デザインなどは従来とまったく同じ。ジャンル色分けの表示や、表示チャンネル数の切り替えなども行なえる
動画配信サービス「NETFLIX」を選んだところ。まだサービス開始前のため、紹介の画面が表示される。ここから通知メールの登録なども可能

 そして、実に便利だと感じたのが、視聴中に呼び出せる「インフォメーションバー」。これは、リモコンのホームボタンを長押しすると表示されるもので、画面上部に「お天気」、画面右に「お知らせ」、画面下に「おすすめ」、画面右に「裏番組表」のタブが現れる。それぞれを十字キーで選択すると、オーバーレイ表示でそれぞれの情報が表示されるといった具合だ。

「インフォメーションバー」を表示したところ。テレビ放送だけでなく、外部入力からの映像を見ている場合でも同じように呼び出せる

 裏番組の確認はもちろんのこと、天気予報や視聴中の番組に関連する番組、あるいはよく見る番組などを視聴しながら手軽に確認できるのは実に便利だ。テレビ放送をはじめとした映像コンテンツの視聴を継続したまま、さまざまな情報にアクセス可能なマルチ操作的な動作が、Firefox OSによる新しい操作メニューの大きな特徴と言えるだろう。

 これまでの多彩なネット機能を備えたテレビでは、多彩な機能があるのはわかるが、肝心のテレビ放送などの視聴の邪魔になる感じがあり、本末転倒のような気もした。個人的な感覚では、テレビの大画面でYouTubeを見る必要性はほとんど感じていなかった。だが、見たい番組が見つからないようなとき、よく見る番組としてテレビ放送や録画番組とともにYouTubeの番組もリストアップされていると、ついついそちらもチェックし、面白そうなものならちょっと見てみようかという気にもなる。

 あくまでコンテンツ視聴を主体とし、必要とあらば能動的に多彩な機能にアクセスしやすい操作系とすることで、結果的に多彩な機能を誰でもスムーズに使えるようになった。これはCX800シリーズの大きな魅力と言える。

左側にある「裏番組表」を表示した状態。比較的小さなスペースだが、番組タイトルだけでなく、番組内容も表示される。放送視聴時なら、子画面で裏番組の放送も表示する
上側にある「お天気」を表示。住んでいる地域などの天気予報をインターネットからの情報を取得して表示する。意外と役立つ
下側の「おすすめ」の表示。録画番組やYouTubeなどを切り替え可能で、よく見る番組などをリストアップしてくれる。番組探しに便利だ

 最初の数日間こそ、フルリモコンで従来とあまり変わらない使い方をしていたが、新しい操作系の勘所がわかってくると、テレビ放送の視聴が主体なら音声タッチパッドリモコンの方が使いやすいことに気がついた。シンプルなボタン配置でとっつきやすいし、テレビ視聴を気軽に行なえるだけでなく、裏番組表の表示やアプリ機能の呼び出しまでスムーズに行なえるのは実に便利だ。

音声タッチパッドリモコンのマイクボタンを押した状態。画面の下のマイクのアイコンが表示される

 そして、音声タッチパッドリモコンのもうひとつの特徴である音声操作も快適だ。リモコンの音声ボタンを押すと、画面の下に音声入力用のアイコンが表示されるので、リモコンに向かってしゃべるだけでいい。「ニュース」と言えばニュース番組を一覧してくれるし、出演者などの人名での検索なども可能。

 音声の認識もなかなかのもので、キーワード入力の不便さはほぼ解消されたと言っていい。また、電源オン/オフなどのちょっとした操作はハンズフリーのダイレクト音声操作にも対応しているので、リモコンを持たずに使うことさえできる。最初は独り言のようで気恥ずかしさもあるが、慣れてしまうと部屋に入って「電源オン」というだけでテレビ放送が表示されるのはかなり便利だ。

ニュース番組を検索してみたところ。テレビ放送のほか、YouTubeなどの番組からも該当するものを一覧してくれる

 なお、操作に対するレスポンスも十分満足できるレベルで、従来のモデルから買い換えた場合でも、番組表のスクロールなどが遅くなったとは感じないだろう。テレビ視聴との同時操作が増えながらも、快適な操作感も実現しているのは、システムLSIの性能の高さと同時にFirefox OSの実力とも言えそうだ。

しっとりと丁寧な映像で、階調表現がスムーズ。輝きの再現は見事なもの

 では、いよいよ画質・音質を見ていこう。最初のうちは日常的に使いながら、プリセット状態の画質モードを切り替えるだけで、基本的な画質の傾向を見ていった。「ダイナミック」は店頭用で、一般的な部屋では明るすぎる。外光が入るようなかなり明るい環境で選ぶモードだ。「スタンダード」は標準的な明るさで、「ダイナミック」のような強調感も少なく素直で見やすい。「リビング」はやや照明を落とした室内向けのようで、「スタンダード」よりもやや暗くなる印象。「シネマ」は明るい部屋で映画を見るセッティングで、明るめの画質のまま色温度を下げているモード。「シネマプロ」は暗い部屋で映画を見るためのモード。このほかに、自由に調整できる「ユーザー」や、「キャリブレーション」、「プロフェッショナル」といったモニター用途に向けたモードも備わっている。

 今回は、テレビ放送など一般的な明るさの部屋で視聴する場合は「スタンダード」の設定値をベースに「ユーザー」モードで基本的な画質調整を行なって視聴した。画質面での大きな特徴であるハイコントラストと「ダイナミックレンジリマスター」を活かすため、明るさは黒浮きを感じないところまで上げ、ふだんよりはやや明るめの画質設定としてみた。

 暗い環境での視聴は、「シネマプロ」をベースに調整を行なった。デフォルトでは各種の高画質機能をオフになることが多かったが、色再現を向上するカラーリマスターや、ダイナミックレンジリマスターなどはオンとして、色再現やダイナミックレンジの広さなど、最新の4Kテレビの実力がよくわかる設定としている。

映像モードの選択画面。8つのモードが用意されており、使用環境やコンテンツに合わせて切り替えられる
シネマプロの調整結果。カラーリマスターは不自然な色合いになることも少ないので、積極的に使いたい
シネマプロの調整結果の後半。リマスター超解像やダイナミックレンジリマスターなども活用し、効果のほどを確認している
シネマプロでの、画質の詳細設定の画面。コントラストAIはカスタムとして、黒の締まりと階調感を好みに合わせた。ガンマ補正は2.4としている。
ユーザーの調整結果。ベースはスタンダードの数値とし、明るさオートをオフにするなど、好みに合わせて微調整している。
ユーザーの調整結果の後半。こちらはリマスター超解像はオートとし、テレビ放送の多彩なコンテンツに合わせやすくしている

 なお、視聴距離は1.5mほどで、画面の高さ741mmに対して1.5H(高さの1.5倍)ほどの距離で見ている。4Kテレビの最適視聴距離ではあるが、一般的なリビングに置いた状態から考えるとかなり近い。このくらいの位置関係で見るのならば、6畳間でも十分に置けるだろう。ちょっと贅沢な使い方だが、画素のすき間が識別できないほどの4Kの高精細さと、視野を埋め尽くすように広がる画面は、映像の臨場感が格段に高まる。リビングに置く場合も、ふだんはもっと余裕のある距離で見ていても、ここぞという時はぐっと画面に近づいて見るといいだろう。

 地デジ放送やBS放送を見てみると、見やすさを意識したしっとりとした滑らかな映像になっている。放送由来のノイズのチラつきは多少散見されるものの、アップコンバートに起因するノイズ感やりんかくの不自然さなどもない。高精細さを欲張るような派手さはないが、落ち着いて楽しめるものに仕上がっている。

 感心したのは動きのスムーズさと階調感の良さ。僕は基本的に動画補間の違和感が気になってあまり使わないのだが、本機のWスピードは補間による動きの違和感も少なく、動きの滑らかさがしっかりと出て好ましかった。そして、階調感は暗部はもちろんのこと、明るい部分の階調もかなりよく出る。空の雲の微妙なニュアンスはもちろん、野球中継での白いユニフォームの生地の輝きが良く出て、素材の質感まで伝わる再現だった。そのため、決して解像感にこだった表現ではないものの、質感やディテールに不満はあまり感じない。

 また、色の再現性も華やかさと自然な色合いのバランスがよく、肌の色は血色がよく、しかしファンデーションを厚塗りしたような不自然な感触にはならない。人工芝の緑は鮮やかでありながら、明暗の階調もよく出る。興味深いのは赤の再現で、イルミネーションの点滅のような蛍光レッドはまさに人工的な赤になるが、濃いめのルージュをさした唇に不自然さはなく、赤色系の多彩な色の変化をよく再現できていたこと。原色の鮮烈さと中間色の階調の豊かさがしっかりと両立できており、なかなか優れた再現だ。

 プラズマテレビユーザーの視点で、やや厳しく暗部の締まりや階調再現をチェックしてみたが、一般的な室内の明るさの環境では、黒の締まりに不満はない。直下型LEDバックライトの効果が十分で、「中」を選べば十分に深みのある黒が得られる。

インターステラー ブルーレイ&DVD セット

 続いては、BDソフト「インターステラー」を「シネマプロ」モードで見た。部屋の明るさは全暗ではなく薄暗い程度に落とした。ちょうどルームライトを付けたくらいの明るさだ。明るさや色再現などもこの環境に合わせて調整している。

 部屋を全暗としなかったのは、さすがに絶対的な黒の締まりが不足していたため。いかに直下型LEDバックライトといえども、シネスコ画角の場面での上下の黒帯では、やや黒浮きを感じてしまった。このあたりは、多少差を感じた部分。しかし、薄暗い程度に明るくすると黒浮きはほとんど気にならなくなる。実際、手元のリモコンを探すのにも困るほどに暗い全暗は実用的とは言い難いので、一般的な使い方で黒浮きを心配することはほとんどないだろう。

 暗部の階調感の良さは、膨大な砂嵐や凶作でゆっくりと破滅へと向かっていく地球での生活シーンでよくわかる。窓を閉め切った室内の暗さがしっかりと出ていて、しかも薄暗い室内にあるテーブルなどの家具の存在はきちんと再現されている。薄暗い部屋の中に窓から光が差し込む場面のコントラスト感も見事だ。部屋の中に吹き込んだ砂が何者かのメッセージで縞模様に降り積もっていくが、差し込む光の陰影がよく再現されていた。BDソフトなど質の高いソースでは、S/N感の良さだけでなく、精細さもかなりのレベルで再現された。おそらくはソースに合わせた映像調整が行なわれているようで、ソースの質が向上するほど、4Kらしい精細感がしっかりと得られるようになる。

 そして、圧巻だったのは、宇宙空間の場面。遠くにありながら強烈な光を放つ太陽の輝き、星ひとつ見えないほどに真っ暗に沈んだ宇宙空間、太陽の光を受けた宇宙船の白い船体、こうした陰影が生々しいほどのリアルさで再現された。その感じはニュースやドキュメントなどで見た、リアルな宇宙の映像そのものと言えるレベルだし、リアル映像では白く飛んでいた宇宙船や宇宙ステーションは、その質感がよくわかるほどに階調感がしっかりと再現されている。ULTRA HD Blu-rayで採用されるHDRはさらに優れたものになると思われるが、TH-60CX800で見た「インターステラー」の宇宙空間もそれに迫るほどの高いコントラスト感と、眩いばかりの光の強さが体験できた。ふだんはプロジェクターで映画を見ていることもあり、こうした輝度のパワーが満喫できる映像の見応えは直視型の4Kテレビならではと感じる。

音声調整のメニュー。サラウンド機能や低音強調などの機能がある。設置場所の影響を微調整する「壁寄せ設定」などもある

 ちなみに音質だが、ミッドレンジスピーカーに、低音用のウーファー、パッシブラジエーターも組み合わせた「ダイナミックサウンドプロ」を搭載。テレビ放送では声がくっきりとした聴きやすい音が楽しめた。ミッドレンジスピーカーは下向き配置で、低音用ユニットは背面と、決して音質に有利な配置ではないが、音がこもってしまうような感じも少なく、広がり感のある音が楽しめた。

 もちろん、「インターステラー」はロケットの発射シーンなどをはじめとして、強烈な低音が含まれているがそうした絶対的な低音のパワーを求めるならば、本格的なアンプやスピーカーによるサラウンドシステムがあったほうがいい。

 だが、感心したのはサラウンド機能が案外よく出来ていたこと。1.5Hの近接視聴ということもあり、左右の広がりや前後の奥行きがしっかりと感じられた。セリフなどがぼやけてしまうようなこともなく、豊かな広がりと定位の良さが再現できていた。小音量でもきちんと効果があるので深夜にひとりでじっくりと映画を見るようなときには、けっこう役に立つ。

4Kゲーム、4K放送、4K動画と、4Kコンテンツもじっくり見てみた。

 つづいては、4Kコンテンツを見てみる。まずはPCを接続し、3,840×2,160(60Hz)の解像度で表示。広大なデスクトップが眼前に広がる。手持ちの40型4Kテレビの場合だと文字が小さいと感じるが、60型ならば文字の小ささはほとんど気にならない。もちろん、1.5Hほどの近接視聴だからだが、フォントサイズの拡大などをせずに4K解像度のデスクトップをフルに活かすなら60型くらいのサイズがちょうど良いのかもしれない。お約束のように全画面表示でグーグルマップを表示してみたが、60型の大画面に東京の東半分を精密な衛星写真が表示される様子は壮観だ。

 お目当ての4Kゲームは、PC版の「グランドセフトオートV」。これをPCとグラフィックボードのスペックが許す限りの高画質設定を盛り込み、4K表示でプレイしてみた。ちょっとした家庭用ゲームのムービーのような画質でそのままプレイできるのはちょっと感激できる。広大な街全体をゲームの舞台とした本作は、その街を車やバイク、あるいはジェット戦闘機で自在に飛び回れる。建物などが精密に再現されていることにも驚くが、ハイスピードで車を飛ばしているときの風景の流れる様子などは、うっかりすると実車と間違え兼ねない。ここでも、車の金属部分の輝きやビルの窓の反射など、光の効果が豊かに再現された。もちろん、CGでのライティング効果だが、その輝き感などはいっそう強烈さを増している。

各画質モードに備わっているオプション機能。ゲームモードや、4Kピュアダイレクトといったモニター的に使える機能もある

 このゲームはPS4などでのフルHD版も発売されているが、PC版では4K表示を意識してグラフィックはさらに質を高めており、4Kネイティブで表示するともはやゲームとは思えないような高解像なグラフィックが楽しめる。画質調整のオプションで「ゲームモード」をオンにすると表示遅延の影響もほとんど感じず、快適にプレイができた。

 そして、今度は4K放送を見てみた。東京の夜を空撮で捉えた「東京夜景」などを見てみたが、ビルの窓の中の様子が見えるような精細感の高さと、暗いビルの陰影と窓の灯りやネオンの眩い光の対比が見事だ。この番組は暗部を締めると陰影が潰れるし、陰影を出そうとすると黒が浮くというなかなか難しいソースだが、夜景の明暗差の大きい映像が存分に味わえた。4K撮影ならではの精細感が得られるのは当然だが、カリカリの高解像感ではなく、質感を感じさせる丁寧な仕上がりに好感が持てた。ソースが4Kとなると解像感も不満のないレベルだが、それ以上に豊かな色で質感やその場の空気感をしっかりと再現していると感じた。

 最後は4K動画。手持ちの4Kビデオカメラ「HDR-AX100」で3,840×2,160(30p)/転送レート100Mbpsで撮影した映像を見てみた。高解像度というよりも、映像の生々しさにびっくりした。時間の都合で近所の景色を適当に歩き撮りした程度なのだが、それだけに見慣れた景色がリアルにテレビに映し出されたのには驚く。色や光まで忠実に再現されたための生々しさだと思う。100Mbpsの高い情報量をしっかりと再現した実力は見事なものだ。

放送はもちろん、これから登場する4Kコンテンツも満喫できる高い表現力

 最初にテレビ放送を見ていたときの印象に比べると、BDソフト、4Kコンテンツとソースの質を高めていくごとに、そのソースの差以上に映像の表現力が高まっていくのを感じた。4Kコンテンツも放送や動画配信、そしてULTRA HD Blu-rayと高品質なものが登場してくるが、そうした高品位なコンテンツも十分に満喫できる実力を備えていると気付いた。4Kテレビなのだから、4Kコンテンツを存分に楽しみたいという人にこそ、おすすめしたいテレビだ。

 プラズマテレビユーザーとしても、黒の締まりこそ差を感じたものの、階調表現や豊かな色という点では、十分な実力を感じた。なにより、輝度パワーを活かしたエネルギッシュな映像の力はプラズマテレビでは得られないものだ。ノイズをよく抑えて見やすくまとめた上品な画作りも日常的に使うテレビとして好ましい。

 地デジ化に合わせて薄型テレビを手に入れた多くの人にとって、買い換え時期となっているようで、4Kテレビや60型クラスの大画面テレビへ買い換える人も増えている。とはいえ、4Kの次の8Kまで将来が見えていると、買い換えを躊躇う人も少なくないだろう。8Kはともかく、本格的な4Kコンテンツの増加が始まる今ならば、やはりこれから登場する4Kコンテンツには対応できることは欠かせない。HDRなどの機能面はもちろんだが、TH-60CX800はそうした高品位なコンテンツの良さを十分に味わえる実力を備えていることがわかった。

 洗練された操作性も含めて、今後長く愛用できるテレビ。これからテレビの買い換えを考えている人におすすめしたい4Kテレビだ。

(協力:パナソニック)

鳥居一豊

1968年東京生まれの千葉育ち。AV系の専門誌で編集スタッフとして勤務後、フリーのAVライターとして独立。薄型テレビやBDレコーダからヘッドホンやAVアンプ、スピーカーまでAV系のジャンル全般をカバーする。モノ情報誌「GetNavi」(学研パブリッシング)や「特選街」(マキノ出版)、AV専門誌「HiVi」(ステレオサウンド社)のほか、Web系情報サイト「ASCII.jp」などで、AV機器の製品紹介記事や取材記事を執筆。最近、シアター専用の防音室を備える新居への引越が完了し、オーディオ&ビジュアルのための環境がさらに充実した。待望の大型スピーカー(B&W MATRIX801S3)を導入し、幸せな日々を過ごしている(システムに関してはまだまだ発展途上だが)。映画やアニメを愛好し、週に40〜60本程度の番組を録画する生活は相変わらず。深夜でもかなりの大音量で映画を見られるので、むしろ悪化している。