レビュー

自宅テレビを4Kに。今すぐ観られる4Kを「REGZA 50Z20X」で楽しむ

 4Kテレビが気になっていても、地上波やBSのテレビ番組がHD解像度である今は、手持ちのフルHDテレビに大きな不満は無いという人は少なくないだろう。ただ、「コンテンツ不足」と長く言われてきた中でも、新たな映像配信や放送が始まったこともあって、徐々にではあるが4K番組が増えてきた。

 そこで、自宅でフルHDテレビを使っている筆者が4Kテレビに置き換えてみると、今の生活がどう変わっていくのか? ネット配信の4KやHDR対応に注力し、録画機能も充実した東芝「REGZA 50Z20X」を置いて、4KのVOD(ビデオオンデマンド)配信サービスを中心に「すぐ楽しめる4K」を体感した。

REGZA 50Z20X

4K/大画面化しても軽量に。地デジ映像も不満なし

 まず、4K導入前のテレビ環境を簡単に説明すると、テレビはソニーの46型「KDL-46W900A」。'13年のフルHD最上位機種で、トリルミナスディスプレイをフルHDモデルにも導入するといった画質面の進化もあった。2年経っても大きな不満はないが、4Kテレビの画面サイズや価格のバリエーションも増えてきた中、そろそろフルHDから4Kに乗り換えたくなってきた。

 そこで選んだのは、東芝「50Z20X」。4Kの高画質に加え、今後の重要なトレンドとなりそうな「HDR(ハイダイナミックレンジ)」にもいち早く対応。映像処理の「4KレグザエンジンHDR PRO」という名称からも、注力していることがうかがえる。また、録画機能「タイムシフトマシン」も備えるのもREGZAを選ぶ大きなメリットだ。置く場所の制約もあって、極端にサイズは大きくはできなかったが、画面サイズのアップもしたいという判断で、現在の46型から50型にした。「50Z20X」の実売価格は37万円前後。

 50Z20X本体の外形寸法は112.8×22.8×71.6cm(幅×奥行き×高さ)、重量は16.5kg。フルHDの46W900Aが104.9×29.8×64.8cm(同)で、17.3kg。46型を買ったときも、その前の42型より大幅に軽くなったことに驚いたが、50型4Kにグレードアップしてもさらに軽くなるとは予想していなかった。大画面なので2人で持ち運ぶ方が安心だが、1人でも十分に持ち上げられる重さだ。

50Z20Xの手前に、フルHDの46W900Aを置いてみた。横幅はほとんど同じで、上方向に伸びた印象

 ベゼル幅は上下左右それぞれ約1cm程度とスリムで、前後に並べても、全体の横幅は大きく変わらない印象。高さがやや上がったくらいだ。ただ、最近は背の低いテレビが多いせいか、縦方向に大きくなったことは思いのほか効果があるようで、電源を入れて地デジを視聴すると、インチ数は大きく変わっていないものの、大きくなったことは実感できた。

 一方、大画面化で心配していたのは、HD画質だと引き延ばすことで単に粗さが目立つかもしれないという点。実際に地デジやBSなどの放送を観ると、画面が大きくなった実感に比べ、粗くなった印象は少なかった。開発時にも「地デジ画質の向上」をテーマに掲げていたこともあって、ノイズが目立つシーンもほとんどなかった。なお、地デジ画質の向上へのアプローチなどは、以前の西田宗千佳氏によるインタビュー記事で詳しく紹介されている

NetflixやひかりTVで、買ってすぐ観られる4K

 導入したからには、とにかく最大の魅力である4Kコンテンツをすぐに観たい。50Z20Xで最も簡単に始められる4Kサービスは、アンテナやSTBなどが不要な「VOD」だ。まずは50Z20Xで楽しめる「Netflix」や、「ひかりTV 4K」などを使ってみた。

Netflix登録前の初期画面

 国内では9月に始まったNetflixで4K作品を観るには、月額1,450円のプランへ加入する。まずは1カ月無料体験があるので登録してみた。テレビ本体またはパソコン、スマートフォンで加入手続きして、すぐ視聴できる。このプランでは、4台までの機器で同時に観られる。なお、50Z20XのリモコンにはNetflix用のボタンがある。テレビの電源OFF状態からでも、このボタンを押すと起動してNetflixのトップメニューへ移る。

 [UltraHD 4K]というアイコンがついた4Kコンテンツのラインナップは、今のところ米国ドラマが中心で、「ブレイキング・バッド」や、「ブラックリスト」などの作品に加え、マーベル作品が実写ドラマ化された「デアデビル」や、歴史ドラマの「マルコ・ポーロ」といったNetflixオリジナルドラマも多いことから、4Kへの注力がうかがえる。

リモコンのNetflixボタン
プラン選択
UltraHD 4K作品

 「デアデビル」は、目の見えない代わりに研ぎ澄まされた身体感覚を持つ弁護士の主人公が、夜は覆面のダークヒーローとなって悪者を懲らしめるという内容。闇夜の格闘シーンでは、深く沈んだ黒と、闇の中での微かな陰影も精細に描かれており、素早い動きも見逃さずに楽しめる。

 新しい作品だけでなく、「タクシードライバー」や「ザ・エージェント」、「フィラデルフィア」といった映画も4Kで配信されている。'76年作品である「タクシードライバー」を視聴したところ、グレインの多さや、暗闇のノイズ感などで時代の雰囲気は残しつつ、4Kのメリットは所々のシーンで活かされている。例えば走るタクシーのボディをアップで捉えたシーンでも解像感の高さによって大画面で観ても違和感は無い。また、主人公トラヴィスがデートに誘うベッツィーが最初に登場するシーンでは、真っ白なドレス姿が、4Kで新たな鮮烈さを持って再現。“古臭さ”を感じさせず、作品の雰囲気も壊していないため、単に懐かしいだけでなく、観たことが無い人にもすんなり入り込める映像となっている。

 Netflixで[4K Ultra HD]作品でピックアップ表示されたのは30件(12月21日時点)だった。数としてはまだ少ないが、「デアデビル」などのオリジナルを含め、多くの作品に日本語5.1chなどの吹き替え音声も収録されているなど、リッチなコンテンツが楽しめるのは4Kテレビに変えた満足感が得られる。ドラマや映画だけでなく、海外コメディや、キース・リチャーズのドキュメンタリーといった作品も4Kで配信されている。'16年にNetflix独占配信されるドラマ「火花」(又吉直樹原作)など、国内の作品も期待できそうだ。

 次は、ひかりTVが'14年10月より開始した4K VOD作品を視聴。Netflixとの大きな違いは、既に国内作品が多いこと。まず観たかったのは、ひかりTVが4Kでは独占で見逃し配信している「孤独のグルメ」。HDでも文句なしに楽しめるコンテンツだが、これが4Kとなるとどう変わるのか楽しみだった。筆者は以前からひかりTVに加入しており、ある時から「おてがるプラン」という休止状態に近いプランに変更していたので、これを見放題の「おねうちプラン」(月額3,780円)に変更。電話上でプラン変更を伝え、その後ひかりTV側の手続きに10分ほど待って、すぐに4Kサービスが楽しめた。

ひかりTVの4K番組など
4K見逃し配信の「孤独のグルメ」を視聴

 メインである食のシーンに入る前から、何気ない街角の風景で奥行き感がより際立つことに驚かされる。視聴したのはジンギスカンの店を訪れる回で、焼きあがったラム肉のロースやラムチョップの脂のツヤまで細部をリアルに表現。食べている五郎さんの“額のテカり”までもがリアルで、すぐ向かいの席で見せつけられているような錯覚に陥る。HD配信で見ても面白い作品ではあるが、“飯テロ”感は4Kで倍増している。

 オリジナル制作の4K作品も様々なジャンルがある。今年の夏の甲子園決勝「仙台育英×東海大相模」では、球場全体を俯瞰する映像でも、観客の輪郭まではっきりととらえている。また、1塁側にあるカメラから投手を映し、画角はそのままで向こう側に見える3塁側の応援団席へフォーカスを移動するシーンなど、カメラマンの意図する絵も伝わりやすい。ランナーが2、3塁でスクイズ失敗があったシーンは、上から俯瞰した映像で観ても、ランナーや守備の選手の細かな動きがよく分かり、緊張感も伝わってくる。

 その他にも、アシカやエイ、マンタ、ジンベエザメといった様々な種が生きるメキシコの海をとらえた「ナショジオ グレイトネイチャー『世界大自然気候:バハカリフォルニア半島』」や、音楽作品の「クラシックコンサート〜ザ・シンフォニーホールで『新世界』を聞く」、グラビア作品「4Kの女神」、NHKオンデマンド作品などの様々な作品が配信されていた。なお、4K作品の多くは見放題作品に含まれていたが、映画は有料(756円/72時間など)の作品もあった。

 さらに注目したいのは、4Kの「HDR対応コンテンツ」も配信されたこと。50Z20Xでは12月17日に行なわれた本体ファームウェアアップデートで、ひかりTVの4K HDRに対応。4K作品のカテゴリの中に[HDR]という項目が加わり、夜の花火のような明暗差のある映像も忠実に再現するHDRコンテンツを視聴できるようになった。

4K HDR作品にも新たに対応した

 配信されているHDR作品は、「自衛隊観艦式2015」や、「神宮外苑花火大会2015」、「The Legend Car〜夢のスーパーカー対決」などのひかりTV制作の番組に加え、「薪能 安達原」(NHKエンタープライズ)を含む10作品(12月21日時点)があった。自衛隊観艦式は、逆光の状態で護衛艦などを映すシーンが多かったが、手前の暗い部分も潰れずに細部まで表現。また、HDRの特徴的な映像といえば花火が挙げられるが、神宮外苑花火大会の暗闇と眩しい火花のコントラストを破たんさせずに映像化していたのが印象的だった。

4K HDR作品のラインナップ
自衛隊観艦式2015

 なお、50Z20Xで利用するひかりTVでは、Netflixでの操作とは異なり、早送り/巻き戻しができなかった。30秒送りや10秒戻しといった一定間隔でのスキップは行なえるが、Netflixだとシーンのサムネイルを確認しながら早送り/巻き戻しできるのに比べると「1セリフ分だけ戻したい」時などに不便さを感じることもあった。

 4K対応の配信サービスとしては、これら以外にも「4Kアクトビラ」が利用可能。まだ作品数は少ないが、ひかりTV 4Kでも観られるNHKオンデマンドの作品のほか、「東京グルメ噺」シリーズなどのグルメ番組、東京五輪を目指す日本のアスリートを撮影した「Beautiful Japan towards 2020」などが配信されていた。これらのVODサービスとは少し異なるが、YouTubeの4K動画も視聴できる。

4Kアクトビラでは、NHKオンデマンドの4K作品などが視聴できる
YouTube 4K
50Z20Xで利用できるビデオサービス

アップデートで新しいひかりTVの4K IP放送も

4K IP放送がスタート

 先ほど触れた、50Z20Xのアップデートでは、4K HDRの他にも新機能としてひかりTVの「4K IP放送サービス」にも対応。名前の通り、光回線を用いた商用サービスとして11月30日より始まったもので、総合編成の「ひかりTVチャンネル 4K」(104ch)と、エンタメ/報道/ライフスタイルニュース専門の「モデルプレス TV by ひかりTV 4K」(105ch)の2つのチャンネルを用意。VODとは異なり、テレビ放送のように番組を流し続けるサービスだ。これらのチャンネルを、STB不要で観られるのもZ20Xシリーズなどのメリット。料金プランは先ほどの「おねうちプラン」などの場合、追加は不要。

 ひかりTVのトップページから直接「ひかりTVチャンネル 4K」などを選局できるほか、番組表を開いて選ぶことも可能。現時点では、HDの「ひかりTVチャンネル」(102ch)や「モデルプレス TV」(103ch)のサイマルに近く、既に4K VODで配信されている番組との重複もあるが、お笑いなどVODに無い作品もある。まだ始まったばかりなので番組の拡充はこれからだと思うが、モデルプレスのチャンネルで行なわれている生放送など、放送という形態を活かしたコンテンツが増えていくことにも期待したい。

 放送に関して言えば、今回は試していないが、4K放送チューナ(124/128度CS)も内蔵しているため、別途アンテナを設置すればスカパー! の4K放送を視聴できるのも大きなポイントだ。

ソフトウェア更新画面
4K IP放送視聴時は、右上にロゴを表示
ひかりTV 4Kの番組表

タイムシフト録画で、話題になった番組も見逃さない

 筆者の視聴環境では、主な録画はパナソニックの3チューナ/1TB搭載BDレコーダ「DMR-BZT700」や、ネットワークレコーダの「nasne」で行なっている。

 今回、地デジ6チャンネル録画に対応するするタイムシフトマシンに対応した50Z20Xを使うため、USB HDD「THD-500D2」(5TB)への録画や、再生機能の「ざんまいプレイ」なども試した。タイムシフトマシン録画使用時の録画可能時間は約80時間、通常録画使用時の録画可能時間は、地デジの場合約125時間、BS/110度CSデジタルの場合約88時間。

USB HDD「THD-500D2」を接続。縦置き/横置きのほか、テレビ背面への装着も可能
テレビ背面のタイムシフトマシン用USB端子に接続

 録画するチャンネルや時間帯などを設定してタイムシフトマシン録画を開始すると、「過去番組表」から選んで番組を視聴できる。放送後に話題になった番組を、もし録画し忘れていても後からチェックして見直せることなどが大きなメリット。ニュースになった話題の人物の映像をまとめてチェックすることも可能。

過去番組表

 便利だったのは音声認識で、リモコンの下側にある「ボイス」ボタンを押した後、その下側にあるマイクに向かって「○○が観たい」などと話すと、過去番組表から該当する作品を探してリストアップしてくれる。タレントやスポーツ選手などはかなりの精度で認識。例えば、サッカーの澤穂希選手が引退した翌日に、様々なスポーツニュースでの特集をまとめてチェックするといったことができた。また、ドラマで「相棒が観たい」と話すと、過去のシーズンの再放送も含めて、現在放送されているものがチェックできる。

ボイス機能の設定画面
リモコン下部に[ボイス]ボタンとマイクを内蔵
録画済みの番組から、スポーツニュースを探して視聴
放送中の番組を視聴しながら、人気の番組やおすすめ番組、よく見る番組などを呼び出して再生できる「ざんまいスマートアクセス」画面

 一つ希望を言えば、検索で見つかった作品を連続再生する機能もあるとよかったと思う。「シーン検索」という機能を使えば、特定のタレントが関連したシーンをまとめて視聴できるが、番組全体では無く一部のシーンに限った見方となる。放送ではないが、YouTubeでは検索で見つかった動画の再生が終わると、一定時間後に関連した他の番組が始まる機能が実装されている。これと同様に、例えば好きなタレントが出る短い5分番組などが複数見つかった場合、1つが終わると自動で次も視聴できると、操作を繰り返すことなく「ながら見」ができて便利だと思う。

映像モード[標準]で、タイムシフトマシン録画をしている状態で消費電力を測定

 常時録画するタイムシフトマシンを使うにあたり、消費電力がどれだけになるかも少し気になっていた。ワットチェッカーで調べたところ、映像モード[標準]では88W、[おまかせ]では94W。タイムシフトマシンをONにしてもほとんど変わらず、電源を切って録画だけ続けている状態では33W前後だった。フルHDのソニー46W900Aでは画質[スタンダード]で50前後なので、これより増えてはいるが、サイズや機能を考えると納得できる範囲だと思う。

良質な4Kドラマにどっぷり。テレビの付き合い方も変わる?

 今回、4KのVODを中心に試したが、思いのほかサービスによって違いがあったのと、4K番組のジャンルが増えてきたのを実感した。美しい自然や映画などの分かりやすい高画質映像だけでなく、バラエティを含む日常の番組が当たり前に4Kで観られる時代も、放送と配信をうまく組み合わせられれば、そう遠くはないだろう。

 これまでと見方が大きく変わったのはドラマ作品。海外ドラマは「シャーロック」などのメジャーな作品以外はあまり観ていなかったが、Netflixオリジナル番組の「デアデビル」や「マルコ・ポーロ」などは映像の美しさと内容がうまく融合し、知っている俳優がほとんどいなくても、映画のように物語の中へグイグイ引き込まれた。しっかり作り込まれた映像やストーリーの濃さは、予算の大きさなども影響していると思うし、“全て4Kのおかげ”というつもりはないが、映像の持つ語り掛ける力が、作品の魅力にプラスされているのは間違いない。このほかにも、4Kの魅力を味わえるネイチャードキュメンタリー作品などは、家族で楽しむのに最適なコンテンツといえる。

 ここまで紹介した4Kテレビの魅力が、STBなどの追加無しで視聴できるのも便利で、電源やネット回線を余計に確保しなくても複数サービスを使える。地上波の放送はタイムシフトマシン録画で逃さずキープしつつ、好きなドラマなどは、高画質な4K配信でとことん楽しむ。テレビとの付き合い方を気楽に便利な方へ変えてくれるのを実感した。

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(中林暁)