レビュー

映像配信時代のテレビ進化。dTVにも対応した4K VIERA「CX800」

 昨年(2015年)からのテレビのトレンドといえば、「4K」に加え、スマート化をさらに進めたAndroidやFirefox OS搭載などのモダンOS対応。これにより、テレビにおいても柔軟にWebサービスなどを追加できる体制が整いつつある。

 パナソニックの「VIERA CX800シリーズ」も、初のFirefox OS搭載テレビとして'15年5月に発売され、注目を集めた。ただし、その後も順次機能追加/強化され、テレビ/大画面ディスプレイとしての魅力を高めている。もっとも重要なのは、映像配信サービス対応だろう。

 昨年は「SVOD」とも呼ばれる定額制のストリーミング型映像配信サービスが盛り上がり、9月には世界最大級のNetflixが日本上陸し、対抗するように、dTV、ひかりTV、Hulu、U-NEXTといった国内サービスも強化。Amazonもプライム会員向けの映像配信としてプライムビデオの日本展開を開始した。

 VIERAも当初からHulu、TSUTAYA TV、niconico、U-NEXTなどに対応していたが、9月のサービス開始にあわせて、NetflixやAmazonビデオにも順次対応。さらに、12月には国内最多の会員数を有するdTVに対応するなど、主要サービスをほぼ全てカバーすることとなった。これらのサービスの伸長が予想されていたとはいえ、発売後の“進化”というのはユーザーにとっては嬉しいポイントだろう。今回は、dTVを中心に、進化したVIERAの映像配信対応を試した。

テレビで進む映像配信対応

 今回利用したのは、49型の「TH-49CX800N」。画面を3度傾斜させたスラントデザインで、CX800シリーズでは最も小型だが、ほぼ50型なので、4Kの迫力は存分に味わえる。外形寸法は110×67.9×21.1cm(幅×奥行き×高さ)で狭額縁デザインのため、前面のほぼすべてが画面といった趣きだ。

TH-49CX800N
リモコン。NETFLIXボタンを装備。配信には[アプリ]や[ホーム]ボタンを活用する

 テレビ放送やBDの画質はもちろんいいのだが、今回の主題は映像配信サービス。詳しくは以前のレビュー等を参照してほしい。定評のあった色表現に加え、コントラスト感も向上。また、HDMIのHDR映像入力(HDR10)対応アップデートも行なわれている。テレビの本質ともいえる画質にぬかりはなく、最新のスペックを有している。

 VIERA CX800シリーズは、Firefox OS搭載ということもあり、Webでシンプルなユーザーインターフェイス。リモコンの[ホーム]ボタンを押すと、[テレビ]、[アプリ一覧]、[接続機器一覧]などの簡単メニューが現れるので、アプリ一覧から使いたい映像配信サービスを選べばいい。

ホーム
アプリ一覧
アプリをダウンロード

 配信サービスは、Netflixやアクトビラ、YouTube、Hulu、ひかりTV、niconico、U-NEXT、楽天SHOWTIME、dTVなどに対応。[アプリ]画面から選択できるほか、対応サービスについて[マーケット]からダウンロードして追加できる。

 パナソニックでは、テレビを単なる「放送受像機」ではなく、「暮らしの中で役立つディスプレイ」と位置づけ、ネットサービスや周辺機器連携を進めており、映像配信の強化もその一環といえる。

 上記は「メーカー側の事情」だが、実際のコンテンツ流通においても、SVODの盛り上がりにあわせて、“独自”コンテンツや“先行配信”コンテンツの獲得合戦もスタートしており、特定のサービスでしか見られない魅力的なコンテンツが増えている。NetflixやAmazonは4K製作のオリジナルドラマを強化しているし、日テレはHuluでの見逃し配信を強化、dTVも進撃の巨人のスピンオフ版や、4Kドラマや音楽ライブ、ひかりTVもドラマ、ドキュメンタリーなどを制作している。Netflixが又吉直樹の芥川賞受賞作「火花」を映像化するのも、「オリジナル作品強化時代」の象徴的なトピックといえ、これまでの「放送」やBD/DVDなどの「パッケージメディア」だけでなく、「配信」がクリエーターにとっても、ユーザーにとっても重要なチャンネルとして定着しつつある。

 各配信サービスの利用は、リモコンの[ホーム]で[アプリ]からHuluやdTVなど、任意のサービスのアプリを選ぶだけ。また、任意のアプリをホーム画面に[追加]できるので、契約中のサービスをホーム画面に登録しておけば、ホームの1ボタン操作だけで、アプリを選択できるようになる。アプリアイコンの並び順も変更できる。

ホームに登録で、アプリをホーム画面に追加できる。アプリの順番は並べ替えできる

 なお、Netflixだけは特別扱いで、VIERAのリモコンに[NETFLIX]ボタンを装備。このボタンを押すだけで、VIERAの電源OFF時でも、Netflixが立ち上がり、利用プロファイルと作品を選択するだけで視聴できる。VIERAでのNetflix利用については昨年9月の記事も参照してほしい

各配信サービスのアプリをホーム画面に追加した
アクトビラ

 4K対応という点では「アクトビラ」も4Kアクトビラを展開しており、アプリだけでなく、リモコン左上に専用ボタンも用意している。4Kの無料/有料コンテンツのほか、NHKオンデマンドなども視聴可能。

dTVもHuluもさくさく。配信のそれぞれの特色

Huluのアカウント入力などにUSBキーボードは利用できず

 あとは、VIERA上で、各サービスのアカウントを登録すれば利用できる。ただし、テレビのリモコンでIDやパスワードを入力するのは面倒、という人も多いだろう。筆者もその一人で、USBキーボードを用意して接続したものが、Hulu、dTVなどのサービスでは文字入力できなかった(なお、NetflixやYouTubeでは文字入力が可能)。

 ただし、この点もサービス側で配慮されており、例えばHuluでは、先にPCやスマホで契約済み済みであれば、アクティベート用ページでパスコードを入れるだけで、VIERAの認証が完了。dTVも、PCなどで先にアカウントを作っておく必要があるが、アプリのdTV対応テレビ認証機能を使って、画面に表示されたパスコードを入力するだけで、アカウントとテレビを紐付けられる。こうした工夫により、「テレビで映像配信」のハードルがかなり下がってきたと実感する。

dTVはスマホでパスコードを入れるだけで、VIERAとのアカウント連携が完了
Huluはログイン画面右下に表示されるアクティベーションコードを、連携済みのPCのブラウザから入力するだけ

 dTVを立ち上げると、自動的におすすめ作品の冒頭などが再生開始される。これは、dビデオからdTVにリニューアルした時に導入された「ザッピングUI」で、リモコンの左右でdTVの[チャンネル]を切り替え、上下でチャンネル内の番組選択が行なえる。

 左右で選択するチャンネルは、[あなたにおすすめ]、[海外ドラマ]、[国内ドラマ]、[アニメ]、[カラオケ]、[シアター]などが用意されている。スマホやタブレットや専用STBのdターミナルで用意されている「FOXチャンネル」が、VIERAでは視聴できないのはやや残念だ。

dTV。独自STB「dターミナル」の「ザッピングUI」をVIERA上で再現
左右でチャンネル切り替え。再生中に[クリップ]なども可能

 ザッピングUIは、番組を選ばなくても、自動的に再生が始まるという“テレビ的”な操作感で、他のSVODサービスとはかなり趣が異なっているが、本当にテレビのチャンネルを切り替えるような感覚はなかなか気持ちいい。また、チャンネルや番組切り替えのレスポンスも良好で、早送り/戻しなどのトリックプレイも行なえる。もちろん、スマホやPCで視聴中の番組の続きをテレビで見る、レジューム再生にも対応している。

 映画やテレビドラマの画質は、ほとんどHDコンテンツということもあり、テレビ放送と遜色なく、解像度不足は感じない。ただ、dTVの場合、カラオケなどでSDコンテンツがあるので、ザッピング中にそれらが入ってくると「ネット感」は出てきてしまう。

 4K番組は、現時点ではAAAのミュージックビデオ4作品のみ。「さよならの前に」を4Kで見てみたが、演出上も立体感と解像感にこだわっているようで、確かに4Kらしい情報量が感じられ、髪の質感や顔の陰影、服のたわみディテール感などは他のHDコンテンツとは大きな差がある。時折階調が落ちるように見えたこともあったが、間違いなく高画質な配信だ。ただし、dTVにおける4K再生は、早送りなどのトリックプレイでかなり待たされ、あまり実用的ではない。このあたりはNetflixのほうが優れている。

4K配信のAAA「サヨナラの前に」

 dTVでは、2月にR15/4K番組「裏切りの街」の配信も予定しているなど、4K制作のオリジナル作品にも取り組んでいる。この4Kが見られるのは、現状テレビではVIERAとBRAVIAの一部機種だけとなるが、海外サービスと競うように4K強化に取り組んでいる点は歓迎したい。

dTVの再生画面

 検索機能もあるが、USBキーボードや音声入力には対応しない。ただ、一文字入れるだけで変換候補を出してくれるため、かなり使いやすい。dTVがプッシュ中の人気番組は、“ザッピング”しているだけで、大抵たどり着けるほか、スマホやタブレットで見ている番組を「クリップ」登録すれば、テレビでも[クリップ]からアクセスできるようになるので、テレビで検索機能を使う機会はさほどないかもしれない。

コンテンツ一覧
検索機能

 dTVに加えて、NetflixやHulu、Amazonビデオなど、筆者が現在契約中のサービスも試したが、それぞれがテレビに最適化したインターフェイスで、NetflixやAmazonビデオはカテゴリを縦軸で選び、横軸で細かくコンテンツを見ていくナビゲーション、Huluは横移動中心となっているが、どのサービスもテレビにしっかり最適化され、リモコンでの操作に戸惑うことはない。

 個人的には、4Kドラマの充実はNetflixが魅力的に感じるし、dTVのザッピング感も好み。Huluはテレビ用UIがかなりシンプルなのだが、見逃し系の番組の充実は目をみはるものがあるなど、一概にどのサービスがいいとは言えない。どのサービスを選ぶかは、「コンテンツ次第」という当たり前の結論になってしまう。どのサービスにどのコンテンツがあるか、串刺しで検索できる機能があると最高なのだが……。

Netflix
Hulu
Amazonビデオ

 各サービスの差を探すと、起動に関してはNetflixが一番早い。他のサービスもアプリを選んで、3秒以内にスプラッシュ画面が起動し、10秒以内には番組視聴可能になるが、Netflixだけは特別のようで、1秒程度で起動。その後すぐにプロファイルの選択画面が出て、再生できる。

配信“フル対応”で、購入後も進化する魅力

 4K対応という点でも、VIERAはシンプルで使いやすい。例えばNetflixは、PlayStation 4(PS4)やApple TVでも見られるが、解像度はフルHDまでとなる。せっかくの4Kテレビをフルに楽しむためにも、特別なデバイスや設定の必要なしに、4Kを楽しめるVIERAのメリットは大きい。

 個人的にも自宅では、主にPlayStation 4でNetflixとHulu、プライムビデオを、Netflixとプライムビデオを4K画質で見る時だけFire TVを、dTVを見るときにはdターミナルに繋ぎ変えるという運用をしていたが、CX800に慣れてしまうとすごーく面倒に感じる。なにしろCX800であれば、全ての機能が1台に統合され、1台のリモコンで全てまかなえるのだから。

 そんなにサービスを使い分けなくても、どれか1つのサービスを使い続けてもいいのだが、現在の配信サービスは群雄割拠で競争が厳しいだけに、少し工夫すれば、お得かつ最大限に映像配信を楽しめる。例えば、dTVが1月10日まで展開していた「スターウォーズ」イッキ見のような企画では、月額500円で過去作品が見放題になるため、レンタルビデオよりも安く、HD画質で楽しめるし、延滞の心配もない。また、Netflixも、見たい4K作品が出た時だけ、プレミアム(4K/1,450円)にし、普段はスタンダード(HD/950円)にするなど、少しの工夫で、より深くコンテンツを楽しめる。

 契約やアカウントの管理は必要ではあるが、複数のSTBやゲーム機などを繋ぎ変えずに、操作や視聴を1本化してシンプルにできる、という意味で、VIERA CX800の映像配信フル対応は素晴らしい。入力切替等の手間や操作のシンプルさを考えると、一つのリモコンで完結するVIERAのわかりやすさは圧倒的で、家族などにも説明しやすい。どのサービスを選ぶにしろ、VIERA CX800であれば、映像配信の充実した番組と迫力を、リラックスしながら楽しめるはずだ。

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TH-49CX800

(協力:パナソニック)

(臼田勤哉)