【レビュー】PCとマッチする小型コンポ、TEAC「Reference 01」を聴く

-多機能アンプと高音質USB DAC。ヘッドフォンも活用


ノートPC、iPhoneと組み合わせたところ

 低価格・コンパクトながら高音質が楽しめるUSB DACは、ヘッドフォンやイヤフォンのブームと合わせ、新しいオーディオの形として広がりを見せている。USB DACだけではなく、ヘッドフォンアンプも内蔵したものや、スピーカー用のアンプを内蔵したものなど、色々なバリエーションが存在する。大雑把にまとめると、PCとの接続が可能な事、デスクトップに置けるようなコンパクトサイズである事、あたりが共通の特長と言えるだろう。

 そんな特徴を網羅しつつ、PCと親和性の高い、新しいオーディオの形を体現しているのが、ティアックのReference 01シリーズだ。




■3つの製品をラインナップ

 製品としては3つあり、USB DAC兼ヘッドフォンアンプとしても使える「UD-H01」(オープンプライス/実売5万円前後)、同じくUSB DAC機能を備え、スピーカー駆動も可能なプリメインアンプ「A-H01」(同4万5,000円前後)、DACも内蔵したiPod用ドッキングステーションの「DS-H01」(同3万円前後)がラインナップとなる。

 また、これらとの組み合わせを想定した同軸2ウェイブックシェルフスピーカーとして、「S-300NEO」(同4万円前後)というモデルも用意されている。

USB DAC兼ヘッドフォンアンプとしても使える「UD-H01」USB DAC機能を備え、スピーカー駆動も可能なプリメインアンプ「A-H01」iPod用ドッキングステーションの「DS-H01」
3台を重ねたところ」同軸2ウェイブックシェルフスピーカー「S-300NEO」

 主な機能は下表の通り。

モデル名UD-H01A-H01DS-H01
実売5万円前後4万5,000円前後3万円前後
USB DAC
ヘッドフォンアンプ
アンプ
Bang & Olufsen ICEpower製
50ASX2
クラスDアンプ
iPodトランスポート
DACチップBurrBrown 1795×2
(デュアルモノラル構成)
BurrBrown PCM5102BurrBrown PCM1796
アシンクロナスモード
出力端子XLR×1
アナログRCA×1
ヘッドフォン標準ジャック×1
ヘッドフォン標準ジャック
スピーカー出力
アナログRCA×1
光デジタル×1
コンポジット×1
S映像×1
入力端子USB
同軸デジタル
光デジタル
USB
同軸デジタル
光デジタル
アナログRCA
USB
(PC同期用)
PCと「UD-H01」を組み合わせたところ。ヘッドフォンだけで楽しむのであれば、これ単体でもOK

 3つのコンポが用意されているが、全てを必ず揃える必要は無く、使い方に合わせて選択できるのが単品コンポの利点。例えば、音楽ソースにPCを使い、リスニングには主にヘッドフォン使用。PC用アクティブスピーカーを既に持っているという場合、USB DAC兼ヘッドフォンアンプの「UD-H01」を購入すれば、音のグレードアップが図れる。ヘッドフォンは当然として、「UD-H01」のアナログ出力にアクティブスピーカーを接続すれば、スピーカーの音もグレードアップできる。

 本格的なピュアオーディオ用スピーカーが使いたい場合は、プリメインアンプ「A-H01」を選択。USB DAC機能も備えているため、PCとUSB接続し、後はアンプに接続したピュアオーディオ用スピーカーなどをドライブすれば良い。ヘッドフォン出力も備えているため、ヘッドフォンも活用できる。

 音楽再生時にPCを使わず、iPodをソースとしてシンプルに楽しみたいのであれば、そこに「DS-H01」を追加すれば良い。PC接続にも対応しつつ、PCレスでも楽しめるコンポが出来上がるわけだ。


USB DAC「UD-H01」の背面プリメインアンプ「A-H01」の背面iPod用ドッキングステーション「DS-H01」の背面

 機能面で注意したいのは、3つの製品全てにDACが入っている事だ。これにより、3機種を揃えず、単品でも活用の幅が出てくる。

 もちろん予算に合わせて、とりあえず一番機能が豊富な「A-H01」を購入し、ヘッドフォンやスピーカーでサウンドを楽しみつつ、お金に余裕ができたら、「UD-H01」を追加して音のグレードアップを図り、「DS-H01」を追加してPCレス環境に発展させてみるという流れもアリだろう。



■小ささが最大の魅力

 3機種共通する特長として、横幅が215mmに抑えられている事が挙げられる。2台横に並べても、フルサイズのコンポ程度の大きさに収まる。高さや奥行きも抑えられており、例えば「UD-H01」の場合、奥行きは231mm、高さは61mmだ。これにより、デスクトップへの設置や、3つのコンポを重ねて使用する事も可能。各機種にはインシュレータが備わっており、重ねても機器間にわずかな隙間が生まれる。また、プリメインアンプ「A-H01」は、発熱が少ないデジタルアンプとなっている。

 3台を重ねれば、1台の専有面積で済み、そもそも1台の専有面積が少ないのは大きな魅力だ。このサイズならば、机の上に置いたノートPCの隣や奥など、ちょっとしたスペースに設置できる可能性が高まる。PCと親和性の高いオーディオ機器では非常に重要な部分だ。欲を言えば、縦置き設置もできるようにして欲しかったところだ(インシュレータは底面だけについている)。

3台重ねたところ「A-H01」の天面。発熱が少ないデジタルアンプとなっている

 フロントパネルはアルミだが、天面などはプラスチック。見た目の質感は高いが、持ち上げた時の触感はあまり高級ではない。ただ、重量は各モデルとも1kg以上あるため、適度な重さを感じ、「安物コンポ」という感じは一切ない。

 組み合わせを想定したスピーカー「S-300NEO」は、コンパクトなブックシェルフで、リアバスレフタイプ。コンパクトと言っても、外形寸法は184×229×240mm(幅×奥行き×高さ)、重量は1台4.3kgあり、PC用アクティブスピーカーのサイズとは次元が違う。コンポとノートPCに加え、このスピーカーも机の上に全て乗せようとすると、かなりの広さの机が求められるだろう。デスクトップPC+23型程度のワイド液晶モニタという環境では、モニタ脇のスペース的にこのスピーカーが置けない可能性も高い。

 ただ、スピーカーの高さが240mmに抑えられているため、縦に長い2ウェイブックシェルフと比べると、設置の自由度は高い。例えば机の脇にある本棚の中に入れたり、机の奥にある出窓に置いたりなど、アイデア次第で対処は可能だろう。

Reference 01シリーズを横に並べたところ3台重ねると省スペースになる


■各モデルの特徴

 DAC内蔵プリメイン「A-H01」の特徴は、Bang & Olufsen ICEpower製のクラスDアンプ「50ASX2-SE」を内蔵している事だ。PWM変換時の信号劣化を抑えるHCOM(Hybrid feedback Controlled Oscillating Modulator)や、出力段のアナログ信号変換時に、原音とのズレを比較して最適な補正値を適用するMECC(Multivariable Enhanced Cascade Control)技術を搭載している。出力は40W×2ch(4Ω)と、デスクトップで使うには十分すぎるパワーがあるが、クラスDアンプで電力消費量/放熱量が少ない。

スピーカーターミナル部分

 DACはBurrBrownの「PCM5102」。USB接続時はアシンクロナスモードに対応し、PCのクロック精度に起因するジッターノイズを排除した転送が可能だ。USB接続時の対応OSはWindows XP/Vista/7と、Mac OS X 10.6.4以降。

 コンパクトなアンプではあるが、スピーカーターミナルはAWG8まで対応した大型のスクリュータイプで、バナナプラグにも対応。ボリュームノブはモータードライブタイプで、付属リモコンでボリューム操作をすると、自動的に回るなど、随所にこだわりを感じさせてくれる。

 iPodドッキングステーション「DS-H01」の天面には、Dock端子を装備。端子カバーは、開くとそのままiPod/iPhone/iPadの背中を支えるスタンドにもなっており、シンプルなデザインながら使い勝手が良い。搭載したiPodのサウンドをデジタル出力できるほか、充電も可能。前述の通りDACも備えているため、アナログ出力する事もできる。DACはBurrBrown「PCM1796」。PCとの同期用スイッチも備えているため、音楽再生だけでなく、PCのiTunesとの有線同期も可能だ。


カバー兼スタンドを立ち上げ、iPhoneを乗せたところ

 USB DACの「UD-H01」が、前述の2モデルと大きく違うのは、DACにBrown「PCM1795」を採用し、なおかつ、これを左右各チャンネル用に搭載したデュアルモノラル構成になっている事。24bit/192kHzまで対応しており、全てのデジタル入力は非整数倍アップサンプリングにより、192kHzにアップコンバートした後でD/A変換される。USBでPCと接続した時は、アシンクロナスモードにも対応する。

 また、アナログ回路部も、左右チャンネルの信号経路が同距離になるよう、パターンを左右対称にレイアウト。オペアンプには、IV変換性能に優れたFET入力オペアンプ「MUSES8920」(新日本無線製)を採用。ヘッドフォンアンプ部にも、ライン出力と同品質のオペアンプが使われている。また、ライン出力はアナログRCAに加え、XLRのバランス出力も装備している。なお、USB接続時の対応OSはWindows XP/Vista/7で、XPは32bit版のみ対応。Mac OS X 10.6.4以降にも対応する。

 実売5万円と、3機種の中で一番高価な事からもわかるが、多機能で手軽に色々な事ができる「A-H01」と比べ、「UD-H01」は、単体DACとしてのクオリティを高めた、1クラス上のモデルという印象だ。

アンプに付属するリモコン。上部にダイレクトソース切り替えボタンが並んでいる

 なお、各機器にリモコンを付属しているが、「A-H01」に付属するリモコンで、他の機種を操作する事も可能。例えばiPhoneを載せたトランスポートを、A-H01のリモコンから制御可能。再生、一時停止、メニュー表示、メニュー移動なども可能。また、リモコン上部には入力切替のダイレクトボタンも備えている。

 スピーカーの「S-300NEO」は、同社のロングセラーモデル「S-300」とよく似たデザインの、同軸2ウェイユニット採用ブックシェルフ。ウーファの口径は13cm。中央にあるツイータは、不要振動を防ぐために特殊ウレタンでカウリングされている。ネットワークには空心コイルを採用。エンクロージャはレッド系チェリーで、天然木の突板に、多層塗装を施し、バフ研磨されており、かざした手や顔が映るほど光沢がある。


同軸2ウェイユニットを搭載エンクロージャは多層塗装&バフ研磨の光沢仕上げ。背面。スピーカーターミナルはバイワイヤリング/バナナプラグ対応の24Kメッキタイプ


■聴いてみる

 

foobar2000での出力設定
 まずはシンプルに、プリメイン「A-H01」を使ってみる。USBケーブル(クリプトンのUC-HR)を使い、ノートPC(Windows 7 64bit)と接続。ドライバはTEACのページで提供されているものを使用する。インストールと認識が完了すると、デバイス名として「SPDIF OUT(TEAC USB HS ASYNC AUDIO DEVICE)」が現れる。後は再生ソフトで、「SPDIF OUT(TEAC USB HS ASYNC AUDIO DEVICE)」を指定すればOK。今回は再生ソフトに「foobar2000 v1.1.11」を使い、WASAPIモードで出力している。

 

 再生音は過度に主張する帯域が無く、極めてニュートラル。雑味も少なく、スピーカーも良いが、ヘッドフォンで試聴すると情報量の多さがよりよく分かる。音の傾向はメリハリが少なく、音像の輪郭をカリカリに描写するタイプではない。どちらかと言うと、ゆったりと漂うような自然なサウンドだ。低域の分解能はやや甘めで、JAZZ「Kenny Barron Trio/Fragile」では、ルーファス・リードのベースに、もう少し凄みが欲しいと感じる。

 スピーカーの音も聴いてみる。当然ではあるが、出てくる音のスケールや、周波数帯域の広さ、低域の沈み込みは、一般的なPCスピーカーと次元が異なるピュアオーディオクオリティ。特に音のクリアさに大きな違いがあり、エンクロージャ固有の鳴き、響きが少なく、音に余分なキャラクターがつかない。プラスチック筐体が多いPC用アクティブスピーカーではなかなか出ない高純度な音だ。


スピーカーにはスパイクを取り付け可能。フットベースも付属する

 足元にも工夫があり、付属するスパイク型インシュレータを取り付けられる。インシュレータは、スピーカーの振動を机に伝えない役目を持つため、デスクトップオーディオでは非常に重要な要素である。というのも、スピーカーの底板などの振動がそのまま机に伝わると、机が振動して“机の音”が再生音に混ざり、クリアさを阻害するためだ。スパイクのまま設置しても良いが、傷がつくのを防ぐため、フットベースも付属する。これにより、足の裏までズズンと沈み込むようなルーファス・リードのベースを再生しても、音像が明瞭で、低域のフォーカスがにじまない。量感豊かな音が、締まりとキレを伴って楽しめる。これだけ低い音が出ていれば、サブウーファが無くても満足できるだろう。

 デスクトップで使用していると、40~50cm程度の至近距離で聴くため、マルチウェイスピーカーでは耳に届く音のバランスが気になるところ。だが、「S-300NEO」の場合は点音源に近い同軸ユニットであるため、各ユニット帯域の繋がりが良く、スムーズなサウンドが耳に入り、高域だけが目立つような事も無い。

次にUSB DAC「UD-H01」を接続してみる。USB接続の方法はアンプと同じで、ドライバを入れ、USBケーブルを接続するだけ。UD-H01とA-H01のドライバは共通なので、先にインストールしてあれば、再度インストールする必要はない。

 ヘッドフォンを使い、USB DAC「UD-H01」と、プリメイン「A-H01」、どちらもUSB接続の音を聴き比べてみる。音楽はクリプトンの「HQM」で配信されている、24bit/96kHz、FLACのJAZZ「Kenichi Yoshida Trio/STARDUST」から「Take The A Train (Billy Strayhorn)」を再生する。ヘッドフォンは「A-H01」に接続したままで、「A-H01」内蔵USB DACの音と、「A-H01」に接続した「UD-H01」の音を比べてみる。「A-H01」のDACを使った状態から、「UD-H01」に切り替えると、音に深みが出る。広い空間に波紋のように広がるサックスの音に陰影が生まれ、よりドラマチックになり、背筋がゾクゾクするような生々しい音になる。

 「Fragile」のアコースティックベースで聴き比べると、違いはより明瞭。「A-H01」のDACで聴くと、低い音が「ヴォー」とぼやけた音像で押し寄せてくるだけだが、「UD-H01」では、その中に太い芯が通っており、ボリュームを上げた状態では背骨に太い杭をガツンと打ち込まれたような迫力を感じる。classicのチェロでは、「グォーン」と響く低い低域の中で、弦が震える様子や、一瞬静寂が訪れた時に、観客席からかすかに聴こえる靴音の生々しさで、実力を感じさせる。「A-H01」のDACも素直で良い音だが、比べるとやはり「UD-H01」はワンランク上の音質だ。

 次に、ヘッドフォンを「A-H01」から抜き、「UD-H01」のヘッドフォン出力に直接接続。すると、広がるサックスの音が消える間際の細かな描写や、全体の精密さがアップ。より生々しく、自分が楽器のほうに一歩近づいたような情報量の増加を感じる。ただ、低域の迫力や厚みは、「A-H01」を通した方がダイナミックだ。鮮度と迫力のどちらをとるかという好みや、再生する楽曲によって、どちらが良いか意見は分かれるだろう。

 なお、「UD-H01」で気になるのは44.1kHzからハイレゾのファイルを再生した時など、サンプリング周波数が変わると、カタン、カタンという切り替えのリレー音(?)がする事だ。慣れるまでは気になるかもしれない。

 iPod用ドッキングステーション「DS-H01」のDACも気になるが、USB入力やデジタル入力は備えていないため、前述のような比較はできない。そこで、iPhone 4Sを乗せ、iPodトランスポートのDACで変換し、アナログで出力した音声と、デジタルで出力し、「UD-H01」でアナログ変換したものを、両方「A-H01」に入力し、聴き比べてみた。「DS-H01」で変換したものは、クリアで精細感があり、スッキリとしたサウンド。個々の音像の輪郭は平坦で、全体的に硬質な印象だ。だが、十分高品質なサウンドであり「これで十分かも」と感じる。

 だが、「UD-H01」に切り替えると、グッと音像にコントラストが生まれ、メリハリがつく。派手になるというわけではなく、音像の周囲の、何も音が無い部分はより静寂になる。そのため、コントラストが向上したように感じるのだ。音像が立体的に感じられると、奏でられる音楽もリアルになり、魅力が向上。レビューを忘れてつい聴きこんでしまう。やはり価格なりの違いはあると言えるだろう。

 1週間ほど、スピーカーとヘッドフォンを切り替えながら使っていたが、ヘッドフォンでは情報量の多さを聴きとりたくなるため、「UD-H01」のヘッドフォン出力に直接繋いで楽しむ事が多くなる。また、周囲が静かな夜にヘッドフォンを使うシーンが多い。一方、「A-H01」に接続したスピーカーは、昼間に少し大きめの音で、音に体が包み込まれる感覚を味わいたい時に使うようになる。どちらも高いクオリティで両立できるのが好印象だ。

 また、家に帰るとPCの前に座る生活をしているので、PCと同じ机の上にあるコンポでiPhoneを充電・同期し、PCからのサウンドもコンポで楽しむという生活スタイルでは、非常に活用の機会が多くなる。PCを終了した後でも、iPhoneを音源にして音楽をスピーカー/ヘッドフォンから流す事もでき、重宝する。

 ちょっと変わった使い方として、ゲーム機のPlayStation Vitaのステレオミニ出力を、アンプの「A-H01」に入力し、ゲーム(ラグナロクオデッセイ)も遊んでみたが、小型ゲーム機のスピーカーでは出せないワイドレンジ、かつ重厚なサウンドに圧倒され、操作ミスをしてボスにやられてしまった。プレーヤーの腕も悪いが、ナローレンジで聞き流していたBGMが、別の曲に聴こえるほどの迫力で迫ってくるため、意思と無関係に緊張感が高まる。雄大なサウンドに聴き惚れながらどっぷりと楽しみたいゲームがある場合は、これくらい本格的なシステムと組み合わせて遊ぶと、大きな満足感が得られそうだ。



■まとめ

12.1型液晶のノートPCをシリーズ一式を並べたところ。コンパクトとは言え、スピーカーも含めるとそれなりに設置面積は必要

 サイズの小ささと、USBオーディオ機能、ヘッドフォンアンプの搭載により、PCとの親和性が高いコンポだ。PCをよく利用する人には、活用シーンが多いモデルになるだろう。同時に、単品コンポとしての再生音の良さや、高品位なデザイン、そして必要なコンポだけを買い揃えられる自由度が最大の魅力だ。財布と相談しながら、コンポを買い換えたり、買い足してグレードアップしていく楽しみは、ピュアオーディオの醍醐味でもあり、従来はハイコンポなどが担っていたオーディオ世界への入門機としての役割も果たしてくれそうだ。

 一方で、幾つか気になる点もある。1つはスピーカーのサイズ。184×229×240mm(幅×奥行き×高さ)というサイズは、ピュアオーディオ用ブックシェルフとしては小型だが、PCや、横幅が215mm、奥行き230mm程度のコンポと共にデスクトップに設置しようとすると、それなりのスペースが必要になる。ノートPCやディスプレイの左右に置きやすい、細身の、PC用アクティブスピーカー程度の、もう1回り小さなスピーカーもラインナップに欲しいと感じる。

 また、今回はシリーズのコンポ3つを組み合わせているが、この組み合わせを揃えると、3モデル全てにDACが搭載され、重複しているのが気になる。USB DAC「UD-H01」を加えると、そのDA変換ばかりを使う事になるので、アンプとドッキングステーション内蔵DACを使わなくなり、もったいない。

 現在は、シリーズを一式揃えると「UD-H01」(実売5万円前後)、「A-H01」(同4万5,000円前後)、「DS-H01」(同3万円前後)、「S-300NEO」(同4万円前後)で、合計16万円程度になる。アンプやドッキングステーションからDACを省いたモデルを追加したり、よりコンパクトなスピーカーも投入するなど、できれば一式で10万円以内、もしくは、ちょっと超える程度に収める選択肢も登場すると、PCスピーカーからステップアップしやすいシリーズになるだろう。

 新しいニーズに応える、PCとの親和性が高いコンパクトな単品コンポのさらなる盛り上がりにも期待していきたい。


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(2012年 3月 13日)

[ Reported by 山崎健太郎 ]