レビュー

巨大化しただけじゃない? Ultimate Earsの新BTスピーカー「MEGABOOM」を聴く

 ロジクールが、Ultimate Earsブランドの新Bluetoothスピーカーとして1月28日に発売する「UE MEGABOOM(WS900)」。“メガ”と名付けられている通り、UEの定番モデル「UE BOOM」をそのまま巨大化したようなデザインのユニークな製品だ。

UE MEGABOOM(WS900)、エレクトリックブルー

 その発売に先駆け、実物に触れ、音を聴くことができた。どうやら「巨大になっただけ」ではない進化ポイントが幾つかあるようだ。

巨大化したUE BOOM

 概要をおさらいしよう。1月28日発売で、価格はオープンプライス。直販価格は30,000円。既存のUE BOOM(WS700)は18,857円なので、2倍よりもやや低価格になっている。カラーはチャコールブラック、エレクトリックブルー、ラヴァレッド、プラムを用意する

 MEGABOOMの外形寸法は83×226mm(直径×高さ)で、重量は877g。BOOMは65×180mm(同)、538gなので、一回り大きい。サイズからすると、さぞ重いのだろうと覚悟して手にとると、拍子抜けする。確かにBOOMよりは重いのだが、見た目で想像するよりもかなり軽い。片手で鷲掴みして、部屋を移動するのも難なくできるだろう。

左がUE BOOM(WS700)、右がUE MEGABOOM(WS900)。サイズの違いは一目瞭然。だが、見た目ほど重くはない
このようにユニットが配置されている

 定格出力は18W×2で、ユニットは50mm径のフルレンジ×2基と、105×47mmのパッシブラジエータ×2基を搭載している。再生周波数帯域は65Hz~20kHzだ。

 基本的なスペックはBOOMを踏襲。Bluetoothに対応し、NFCもサポート。対応端末とワンタッチでペアリングできる。iOS/Android用アプリを使うことで、2台のMEGABOOMと接続・再生でき、パワフルなステレオ再生も可能。同じサウンドを2台から再生する“ダブル再生”モードも用意している。ステレオミニのアナログ入力も備え、Bluetooth非対応の機器とも接続できる。

ラヴァレッドモデル

 アプリと連携した機能が強化されているのがMEGABOOMの特徴。PCを使わず、アプリからのファームウェアのアップデートや、アプリからの電源ON/OFF、アラーム、イコライザなどの設定が可能になっている。そのため、アプリはBOOM用のものと異なり、MEGABOOM専用のものを利用する。

アプリからワイヤレス接続の制御や、バッテリ状態の確認、各種セッティングなどが行なえる
防水性能がIPX7に強化された

 また、ロジクールの黄佑仁氏によれば、今後のアップデートにより、MEGABOOMとBOOMとという異なる機種での同時接続も可能になる予定だという。音が変わってしまうので、MEGABOOMとBOOMをステレオのL/Rに割り当てるというよりも、「広いリビングにはMEGABOOM、書斎はBOOMというような使い方をイメージしている」という。

 また、MEGABOOMでは防水性能がIPX7に強化。屋外での使用も想定しているが、防水性能を強化しながら、音質を低下させず、より向上させた事が特徴とのこと。充電用のUSB端子や、ステレオミニ入力部分には、ゴム製パーツで保護されるようになっている。

BOOMとMEGABOOM、サイズは違うがデザインは共通している
MEGABOOMの底面。USB端子やアナログ入力が、ゴムパッキンで保護されている

 リチウムイオンバッテリを内蔵しており、最大20時間の連続再生が可能。BOOMの15時間よりもさらに長くなり、「オールナイトのパーティーでも、朝まで鳴らし続けられる」(黄氏)という。充電所要時間は約2.5時間。マイクも搭載し、ハンズフリー通話もできる。

音を聴いてみる

 スマートフォンのXperia Z1と、NFCを使ってペアリング。音を出してみる。

Xperia Z1とNFCでペアリング

 BOOMも、ポータブルBluetoothスピーカーとしては大きな音が出せるモデルだが、さすがにMEGABOOMは、それとは比較にならないスケール感豊かなサウンドが出てくる。サイズ的にポータブルと言えるのがギリギリという印象ではあるが、片手で手軽に移動できるサイズの筐体から、予想を超える迫力のあるサウンドが出てくる。

 特に中低域の沈み込み、量感が大幅に向上。BOOMでは低域が強い楽曲を再生すると「ボンボン」と、低い音が伸びきらない面があるが、MEGABOONは「ズンズン」と腹に響く低い音がシッカリ出ており、音楽に安定感がある。

 音圧も豊かで、アコースティックベースの「ブワッ」と押し寄せるような低域が、肺を圧迫するかのようにパワフルに迫ってくる。

 防水性能を高めたことで、抜けの悪い音になるのではと心配したが、実際に聴いてみると、高域のクリアさや付帯音の少なさはBOOM譲りで、自然なサウンドが楽しめる。ボーカルもリアルで、中低域がしっかり肉厚に出てくるので聴き取りやすい。

 BGM的に聴くだけでなく、小型のオーディオ用スピーカーのように扱い、真正面で音楽と向き合って聴くような使い方にも耐えられるだろう。その場合は、もう1台追加でステレオ仕様で楽しみたいところだ。

 音量的には、広めの会議室であっても、ボリュームを半分程度に上げただけで十分過ぎるほどの音が出る。BGM的に鳴らすのであればもっと抑えても良いだろう。逆に、これだけの音が出せるのであれば、屋外に持ち出し、キャンプで使ったり、プールサイドに置いたりといった使い方もできそうだ。

 黄氏によれば、MEGABOOM開発のキッカケもそのあたりにあり、「BOOMの音質には高い評価を各国で頂きましたが、屋外で利用される方も多く、もっと低音が欲しい、もっと大音量が欲しいという声が多く、そうしたニーズに応えるために開発されたのがMEGABOOM」だという。

 「本来音楽というものは、複数の人数で、空間で楽しむものです。日本ではイヤフォンやヘッドフォンで一人で楽しむのがメインになっていますが、もともとはステージでミュージシャンがパフォーマンスをして、他の観客と一緒に、その空間も含めて楽しむのが音楽。そんな原点に立ち返って、“大音量で再生する事”をコンセプトに開発したのがMEGABOOMです」(黄氏)。

ロジクールの黄佑仁氏
MEGABOOM開発のコンセプト

 防水性能の強化に加え、Bluetoothでのワイヤレス通信距離を30mと長めにしているのも、屋外での使用を想定したものだという。これから暖かくなるにつれ、屋内だけでなく、外でも活躍の機会が増えそうな新モデルだ。

山崎健太郎