◇ 過去の連載 ◇
【Watch記事検索】
【新製品レビュー】

バイクや自転車の視界をフルHDで「GoProHD HERO2」

高fps対応のスポーツ用マウント型カメラ最高峰


GoProHD HERO2

 さまざまなスポーツ・アウトドアシーンで活躍するマウント型ビデオカメラ「GoProHD HERO」の新モデル「GoProHD HERO2」が2011年10月に発表され、国内ではタジマモーターコーポレーションから12月1日に発売になった。価格は31,498円。

 高い映像品質を誇るだけでなく、街中での気軽な撮影から、砂塵や水中、激しい振動などにさらされるヘビーデューティーな環境での撮影までカバーする汎用性、耐久性の高さもあって、前モデルはマウント型ビデオカメラのデファクトスタンダードといえるほどの絶大な支持を得ている。新しい「GoProHD HERO2」は、その動画性能にさらに磨きをかけ、静止画撮影機能なども向上させた、いわばアップグレードモデルだ。

 「GoProHD HERO2」には、用途に応じて“アウトドア”、“モータースポーツ”、“サーフ”の3つのエディションが用意され、それぞれで付属するマウント用パーツなどが異なっている。今回はこのうち“モータースポーツ・エディション”と各種オプションパーツをお借りすることができたので、街乗り用自転車と、競技用オートバイに取り付けたときの実際の走行映像を交えてレビューしたいと思う。



■前モデルから大きく向上した基本性能

 「GoProHD HERO2」は、1,100万画素の1/2.3型CMOSイメージセンサーを備えたビデオカメラである。動画、静止画ともに固定焦点でズーム機能はもたず、露出、ホワイトバランスはともにオート。充電はUSBケーブルで行ない、最長2.5時間の連続撮影が可能だ。記録媒体はSD/SDHCカードで、最大容量となる32GBのSDHCカード使用時には、1080p/30fpsの動画を約4時間分記録できるとしている。

 本体サイズは60×36×42mm、重量は97gと、前モデルと変化がなく、従来のアクセサリをそのまま使用可能だ。ハードウェア部分で前モデルと大きく異なる点を挙げると、画素数を500万画素から1,100万画素とし、レンズの鮮明さを2倍向上させたとしている点の二つ、ということになる。

GoProHD HERO2。通常ハウジングを装着するので、このままでは使わない 側面
背面 上面 ハウジングを装着

 撮影可能な動画は、解像度で大きく分けると4種類。1080p(1,920×1,080ドット/30fps/15〜20Mbps)、720p(1,280×720ドット/30fps/10Mbps、1,280×720ドット/60fps/15Mbps)、960p(1,280×960ドット/30fps/12.5Mbps、1,280×960ドット/48fps/12.5Mbps)、WVGA(848×480ドット/60fps/8Mbps、848×480ドット/120fps/14Mbps)の撮影モードがあり、1080pではさらに画角の異なる3つのモードを選べる。左右の画角が170度の“WIDE”、同127度の“MEDIUM”、90度の“NARROW”を用意しており、720pでもファームウェアアップデートにより同様に3種の画角に対応する。

モード フルHDモード
1,920×1,080
HDモード
1,280×960
HDモード
1,280×720
WVGA(SD)モード
848×480
画角 90度/127度/170度 170度 90度/127度/170度 170度
フレームレート 30fps 30/48fps 30/60fps 60/120fps

 60fpsや120fpsの高フレームレート動画はスローモーション再生を想定したもので、再生速度の変更が可能なメディアプレーヤーをユーザー自身で用意しなければならない。とはいえ、通常再生でも、より滑らかな映像が見られるため、スローモーション用途にこだわることもないだろう。

 動画のコーデックはMPEG-4 AVC/H.264で、出力ファイルの拡張子はMP4となる。音声は、どの動画解像度でもAAC/48kHz/128kbps VBR/2chステレオ。内蔵マイクで録音できるほか、別途外付けマイクを利用することも可能だ。

1,100万画素の設定で撮影した静止画像のサンプル。魚眼レンズに近い見え方になる。

 また、本製品では静止画像撮影機能の強化も図られた。前モデルは撮影可能な静止画像が500万画素、画角はWIDEのみだったところ、本製品では500/800/1,100万画素の3種類から選択でき、500/800万画素では“WIDE”と“MEDIUM”から画角を選べる。また、連写は秒間3枚から10枚へ、連続撮影(コマ撮り)の間隔については従来の1〜60秒に加え、0.5秒ごとの撮影も可能となっている。出力フォーマットはJPEGだ。

 ビデオカメラにおける静止画像撮影機能は、一般的に補助的な意味合いの強いものになりがちだが、本製品では、記念撮影的にその瞬間を切り取りたいとき、あるいはログのように静止画像で随時記録を残しておきたいときなど、幅広く活用できる。特に連続撮影(コマ撮り)機能は一般的なビデオカメラやデジタルカメラにはあまり見られない機能だ。静止画像で出力されるため動画にする場合はひと手間かかってしまうが、いわゆるタイムラプス映像を作成することも可能だろう。



■グローブ越しでの操作も考慮された専用ハウジング

本体をハウジングに格納したうえで専用のステーなどを使って固定する

 本製品はあくまでも車両やヘルメット、あるいは撮影者自身の体に固定して使用することを目的としており、一般的なビデオカメラやデジタルカメラのような使い方に向いたモデルではない。三脚を利用するためのネジ穴はなく、固定する際には防水・防塵に対応する付属の専用ハウジングを使用することが前提となり、それに本体を格納したうえで、専用ステー、アタッチメントを組み合わせて車両やヘルメットなどへ取り付けることになる。

 撮影モードの切り替えや各種設定などは、本体前面に設けられた小型液晶パネル上で確認しながら、同じく本体前面と上部にある二つのボタンで操作する。別売りのオプションとなる液晶モニター「LCD BacPac」があれば、本体背面に取り付けることで、映像のプレビューや撮影した動画の再生なども行なえ、PCがなくてもその場で見栄えの確認や正しく記録できているかをチェックできるようになる。


オプションの液晶ディスプレイ「LCD BacPac」は、本体背面に簡単に装着できる。
厚手のグローブ越しでも操作が可能

 本体の各種ボタンはハウジング装着時でも操作可能で、押しやすいように凸状に飛び出している。そのため、たとえばオートバイ乗車中にグローブをはめたままボタン操作するのも苦にならない。夏用の薄手のグローブはもちろん、レザーグローブや冬用の厚手のものであっても、問題なく操作できる。



■自転車への取り付けはハンドル周りのスペースに要注意

モータースポーツ・エディションのパッケージ内容。写真内の一番左から2番目、マニュアルの下にあるものが「3方向ピボットアーム」

 今回お借りした“モータースポーツ・エディション”には、本体とハウジングのほかに、自動車の車体などに取り付ける際に用いる大きな吸盤の付いた「サクションカップマウント」や、取り付け方向と角度を自由に調整可能な「3方向ピボットアーム」、ヘルメットや外装などの平面、曲面に取り付ける際に利用する接着剤付きのバックルなどが同梱されている。


大きな吸盤が付いた「サクションカップマウント」は、自動車などへの取り付けに便利 バックルは微妙な曲面にもしっかり取り付けられるよう接着面が湾曲したタイプも付属する
ハンドルバーシートポストマウントと、LCD BacPac、ハウジングカバー

 自転車の車載カメラとして使用する場合は、一般的にはハンドルバーに取り付けることになるだろう。

 ハンドルバーへの取り付けには「3方向ピボットアーム」と、別売オプションの「ハンドルバーシートポストマウント」を使う。微妙な角度の調整が可能なのはもちろんのこと、これらマウント用パーツのアーム連結部分はすべて同じ形状をしており、アームを1本省いたり、逆方向に接続することも可能。アームの増減や簡単な接続変更で、前方だけでなく、側方や後方にもカメラを向けられるという高い自由度を実現している。


撮影に使用したクロスバイク

 取り付けの前には、ハンドル周りのスペースに余裕があるかどうか、あらかじめ確認しておきたい。通勤・通学、買い物などに使うシティサイクルのほか、MTBや競技車両のような必要最小限の装備しかない自転車であれば、ハンドル周りのスペースに余裕があるため取り付け場所に困ることは少なそうだ。

 しかし、中・長距離のサイクリングやツーリングを楽しむための自転車だと、比較的装備が多くなりがちで、ハンドル周りに余裕がないことも珍しくない。変速のためのレバーやスイッチ、ベル、電池式ライトのほか、サイクルコンピュータ、ポータブルGPSなども装着していれば、それらの位置や装着方法を変更しないと本製品のマウント用パーツが取り付けられない場合もある。


自転車の斜め前方と左右から
ハンドルに所狭しと並ぶさまざまな装備。これらの位置調整が必要になることもある

 実際に、筆者の自転車ではそれらの装備がハンドルバーに所狭しと並んでおり、「3方向ピボットアーム」の固定用ネジの差し込み方向を考えながら取り付けなければいけなかった。頭を悩ませるほどの問題ではないが、ハンドルへの取り付けを考えているのなら、既存の装備品の位置を調整可能かどうかは重要だ。



■自転車の走行映像を撮影してみる

 自転車による実走行の動画撮影にあたっては、自転車の乗り入れが可能な公園を使用した。全体的にゆっくり走行し、前半は平坦な舗装路、中盤は少し上り坂となる狭い道で、なおかつ日陰と逆光により明暗の差が大きい状況、後半は若干凹凸のある石畳が混じった路面となっている。同じコースを撮影モードを変えながら、できる限り同じシーンになるよう繰り返し走行した。

【動画サンプル】

1080p/30fps/WIDE
(66.4MB)
1080p/30fps/NARROW
(101.4MB)

【1080p/30fps/WIDE】

【1080p/30fps/NARROW】

 このとき、「GoProHD HERO2」本体はハンドル中央の右側、右グリップの手前に取り付けた。スタート地点にある街灯の柱の位置や、撮影者の影の見え方で、画角の違いがはっきり出ていることがわかる。“WIDE”では、画面の右端にわずかに撮影者の指が見えるほどの視界の広さを確保しており、本体の固定位置を数センチ手前方向へ引くだけで、ブレーキ操作も十分カメラの視界に入ってくるだろう。

 前半は舗装路面ではあるが、荒く、小石がまばらに浮いた状態のため、非常に細かい振動が発生している。自転車のように軽量な車両では、路面の細かい凹凸による振動を拾ってしまうようだ。とはいえ、大きくブレて見にくくなるようなことは一切なく、振動しつつもクリアな映像を常に保っている。狭路から出口にかけては明暗が大きくなるものの、細部まで良好な画質のままだ。

 720p/60fpsは、他の30fpsの動画と比べると滑らかに見えるが、そもそも走行速度がゆっくりであるため、あまり大きな差は感じられない。ただし、GoProHD HERO2における60fpsや120fpsなどの高フレームレート動画は、前述したようにスローモーション再生を主な用途としている。再生速度の変更が可能なメディアプレーヤーソフトを使うことで、動きの激しい動画でも注目したい場面をより詳細に把握できるようになる、というのが主目的のため、街乗り自転車への車載時は高フレームレートの必要性はそれほど高くないだろう。


■オートバイへの取り付け時は走行中の安全面への配慮が必須

ハンドルバーへの取り付け時は、このような見栄えになる

 「GoProHD HERO2」をオートバイの車載カメラとして使用する際に注意しておきたいのは、ハンドルのタイプによって取り付け方法が大きく異なることである。筆者の車両は自転車と同様のバーハンドルタイプに変更しているため、前述の自転車と全く同じ取り付け方法で対応できたが、セパレートハンドルタイプの車両では、取り付けスペースがほとんどないため、“ハンドルバーシートポストマウント”は利用できないものと考えられる。


ハンドルバーへの取り付け部分をズームアップ 正面と背後からの見た目
「LCD BacPac」装着時と非装着時。装着時は若干厚みが増すが、ハンドル操作の邪魔になるほどではない

 ちなみに、そのような車両にビデオカメラを車載するとき、他のビデオカメラ製品ではガソリンタンク給油口部分に固定できるステーを利用することが多い。「GoProHD HERO2」では、現在のところ給油口に取り付けるためのステーは存在しないため、付属の接着剤付きバックルを用いて、ハンドル中央のトップブリッジ上、あるいはフロントフェンダーの上やヘルメットに固定することになるだろう。

 しかし、ヘルメットに固定する場合は注意が必要だ。たとえばフルフェイスヘルメットは、ハイエンドモデルになると重量が1,500gをわずかに超える程度である。「GoProHD HERO2」本体は、ハウジング込みで169g、マウント用パーツを加えても200gほどと、ビデオカメラとしては軽量であるものの、1,500gのフルフェイスヘルメットに加わる200gは影響が大きいことに留意しておきたい(しかもマウント用パーツの長さに応じて遠心力がより大きくなる)。街中を軽く流すくらいであれば問題にならなくても、長時間のツーリングや激しい加減速を繰り返すスポーツ走行時は首に負担が大きくなるため、避けた方が無難といえる。万が一の転倒時には、地面などに「GoProHD HERO2」を激しく叩きつけて破損する可能性も高い。

フロントフェンダーに取り付ける場合は、固定位置をよく考えないとサスペンションが縮まったときに「GoProHD HERO2」が挟まれて破損することになる

 フロントフェンダーに取り付けるときも、フェンダー自体の固定位置によっては、フロントサスペンションが伸び縮みすることを考慮に入れておかなければならない。ブレーキング時などに前輪に荷重がかかると、フロントフェンダーとその上部にあるヘッドライト(あるいはアンダーブラケット)付近との距離が縮まり、「GoProHD HERO2」が挟まれるかっこうになる。サスペンションが最大限に縮まった状態でも十分なクリアランスを確保できるかどうかも、あらかじめチェックしておきたいところだ。

 さらに、ハンドルバータイプの車両であっても、オートバイのハンドルにはスイッチボックスやブレーキ・クラッチのリザーバータンク、ミラーステーなどがあり、いずれにしても自転車以上に取り付け位置がシビアであることは間違いない。ハンドル操作の邪魔にならず、視界を遮らない位置に、他の部品と干渉したり簡単に脱落してしまわないよう、確実に固定する必要がある。公道を走行する場合はなおのこと、事故につながりそうな要因はすべて取り除いておかなければならない。



■ オートバイの走行映像を撮影してみる

 オートバイによる実走行の動画撮影にあたっては、クローズドな敷地内の舗装路面にパイロンを複数設置し、あらかじめ決められたコース取りで走行する、いわゆるジムカーナのルールで行なう形とした。最高速度はせいぜい60km/h程度であるが、強い加減速を短時間で繰り返すため、街乗りとも、サーキットでの高速走行とも異なる負荷をかけることになる。

【動画サンプル】

1080p/30fps/WIDE
(74.6MB)
1080p/30fps/MEDIUM
(74.8MB)
1080p/30fps/NARROW
(101MB)
720p/30fps/WIDE
(50MB)
720p/60fps/WIDE
(75.9MB)

【1080p/30fps/Wide】
【1080p/30fps/Medium】
【1080p/30fps/Narrow】
【720p/60fps/Wide】
【720p/30fps/Wide】

 固定した「GoProHD HERO2」のすぐ右前にメーター類が位置していることから、車体右方向の視界が遮られることになってしまったが、かえって“WIDE/MEDIUM/NARROW”の画角の違いをはっきりと区別できる映像となった。“NARROW”はかなり視界が狭く、奥行き感やスピード感はあまり感じられないため、速度の出るようなこういったシーンでは“WIDE”が最もマッチしているようだ。

 路面の凹凸は実際にはかなり多いものの、細かいギャップはタイヤやサスペンションが吸収していることもあり、映像は常時安定した画質を維持している。エンジンの振動によるブレもごくわずか。タコメーターの針が示す数値はもちろん、スピードを出してもアスファルトの肌理まではっきり見て取れる解像感の高さはすばらしいの一言だ。60fpsの映像では、ハードブレーキング時のフロントタイヤとサスペンションからの微細なフィードバックまでもが忠実に再現されている実感がある。

 WVGAサイズの120fps設定での撮影も行ってみたところ、ビットレートがそれほど高くないこともあって、他の撮影モードよりも1段画質が落ちる印象だ。それでも十分に鮮明な映像ではあるが、製品の本来の想定どおり、120fpsのモードは超スローモーション再生が必要な場面で用いるのがよいだろう。

【動画サンプル】

WVGA/120fps/WIDE
(67MB)
【WVGA/120fps/WIDE】

■ 車載用途では間違いなくおすすめの一品

 車両へのビデオカメラの取り付けは、相応の振動対策や安全面への配慮が必要になり、車両の既存の装備などからも制約が出てきてしまうのは当然と言える。その点、「GoProHD HERO2」本体や各種マウント用パーツは、それらの対策や制約を克服するのに必要十分な強靱さとフレキシビリティーを備えているといってよい。

 たとえば、「3方向ピボットアーム」や「ハンドルバーシートポストマウント」、接着剤付きのバックルの組み合わせで、あらゆる車両に確実に、自由に取り付け可能な安心感は特筆ものである。映像についても、車両の微振動で激しく乱れるようなことはなく、上下左右方向にかなり大きな力が加わっても安定した画質を得られる。今回オートバイの走行動画を撮影した際には2度ほど転倒してしまったが、本製品が脱落することはなく、事前のネジの締め付けが不十分だったためにアームが傾いただけで、一切破損することはなかった。もちろん、カメラ本体が不調になることもなく、その後の撮影も順調に行なえた。

 車載以外に、ウェアラブルビデオカメラとしても使いたいときは、やはり「GoProHD HERO2」本体のサイズや重量がどうしても気になる場面は出てきそうである。そうなると、「Contour」シリーズというウェアラブル用途に特化したライバル製品も選択肢に入ってくるかもしれない。ただ、ウェアラブルカメラとして使いつつ、時々は車載カメラとして使いたいということであっても、「GoProHD HERO2」は迷わずおすすめできる製品だ。なにより、どのような利用シーンにも対応できるであろう固定用オプションパーツの充実度が飛び抜けている。

 競合と言えそうな「Contour」シリーズも、この12月に新モデルが発売になった。一人称視点の撮影に特化したビデオカメラは、通常のハンディタイプのビデオカメラでは得にくいダイナミックな映像を手軽に撮影でき、ビデオ投稿のネタとしても使いやすい。十分な性能をもちながら、より安価なモデルも各社から続々登場してきており、この分野のビデオカメラの進化からますます目が離せなくなりそうだ。


(2011年 12月 22日)

[ Reported by 日沼諭史 ]