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4K8K対応の新聞はコレだ! 第1回「“勝手に”4K8Kラテ欄アワード」

4K8K放送がスタートした2018年12月1日。同じ日に、ほとんど誰からも注目されなかったが、新放送の開始に合わせて、ひっそり“アップデート”されたものがある。

新聞の「ラテ欄」だ。

ラテ欄とは“ラジオ・テレビ欄”の略称で、新聞の中面や最終面に掲載されている番組表を言う。チャンネルを縦に区切って、番組を放送時間順に表組み掲載するラテ欄の基本的なスタイルは、新聞はもちろん、テレビ情報誌やテレビ・レコーダーのEPGなどにも使われている。

コレがラテ欄

ラテ欄は、放送局やラテ欄専門の通信社からやってくる情報を元に作られるが、情報すべてが載るわけではなく、各社のラテ欄チームが情報を編集して出来上がっている。そのため、ラテ欄を比べると内容や見せ方など違いが意外と大きい。

そこで今回、全国紙をメインに集め「4K8K放送開局後のラテ欄がどこまで新放送に対応しているのか?」という極めてニッチな視点で調査、格付けを行なうことにした。

題して、4K8K対応の新聞はコレだ! 第1回「“勝手に”4K8Kラテ欄アワード」である。

新聞6紙を強制招集! 4K8K放送が充実しているラテ欄は? をチェック

今回購入した新聞は、朝日、産経、東京、日経、毎日、そして読売新聞の全6紙だ。いずれもコンビニなどで販売されているもので、比較的入手しやすい新聞をセレクトした。

新聞6紙を強制招集!

調査は至ってシンプル。4K8K放送をほぼ毎日チェックしている、いち視聴者(筆者)の視点で、各紙のラテ欄が「どれだけ4K8K情報を載せているか?」を調べる。

具体的なチェック項目は下記の通り。重要度の高いものから順に並べている。

  • NHK BS8Kの番組表が掲載されているか?
  • NHK BS4K、BS民放の4Kチャンネル番組表が掲載されているか?
  • ピュア4K番組か否かの表記(4K記号)があるか?
  • 掲載場所の探しやすさ、見やすさ
  • 1chあたりの掲載枠、文字数(情報量)、文字サイズ(概算値)

8K番組表の有無を最重要視したのは「世界唯一の8K放送を専門メディアが応援しないで誰がする!」という、筆者の個人的な見解を反映させたものに他ならない。4K情報はきちんと網羅しているのに、8K情報を掲載していないが故に、順位が落ちてしまった新聞は、ご容赦願いたい。

なお、紙面のチェックには、2018年12月1日(土曜)朝刊版と、2019年1月26日(土曜)朝刊版の2つを用いた。開局日(=ラテ欄アップデートの初日)の紙面が基本にはなるが、約2カ月の間にラテ欄の変更があったかも知れないと考え、直近の紙面でも確認を行なっている。

それでは、独断と偏見による「“勝手に”4K8Kラテ欄アワード」のランキングを発表していこう!!

第6位「東京新聞」……まさかの掲載無し! 今はまだ“4K8K非対応新聞”だ

第6位は、中日新聞東京本社が発行する「東京新聞」だ。

東京新聞

東京新聞のラテ欄は“中央面”に掲載されていて、新聞本体から番組表と文化・娯楽ページが抜き取れるようになっている。この仕様は、今回比較した6紙の中でも東京新聞だけの特徴で、テレビっ子の購読者にはとても使いやすい掲載スタイルだと思う。

番組表ページが本体から取り出せる

が、しかし。肝心の4K8K番組情報が、ラテ欄のどこにも見当たらない。

地上波/BSが載る表面(カラー)、民放BS/CSが載る裏面(モノクロ)を探しても、NHK BS8Kはもちろん、NHK BS4Kの掲載も無い。BS朝日/BS-TBS/BSテレ東/BSフジの掲載はあるものの、その内容は2K放送限定。4K情報を欲する購読者にとっては、残念なラテ欄である……涙。

4K情報が載ってない……涙

念のため、直近の紙面('19年1月26日付け朝刊)も確認したが、内容は変わらず。あらゆるチェック項目で得点を付けることができず、今回は最下位となってしまった。

同紙は東京を中心に展開する地方紙。他の全国紙と同列に比較したのはやや気の毒だったかもしれない。ただ、世界に冠たる“TOKYO”を名乗る新聞だ。来たるべき2020年の8K五輪に向け、是非紙面の4K8K対応をお願いしたい。

第5位「日本経済新聞」……8K非対応だが、4Kチャンネルの情報量はNo.1

サラリーマンのバイブル(?)「日本経済新聞」が第5位にランクインした。

日本経済新聞

日本経済新聞(日経)のラテ欄は中面掲載。掲載場所が固定されていないが、大体いつも30~33ページ付近に挿入されている。1面や最終面を見ても「テレビ番組表は●●ページです」などの、親切な知らせも無く、読者はページをめくって番組表のページを探さなければならない。あくまで株価や経済、産業などの最新情報を優先する“経済紙”なので、ラテ欄の優先度は低いのだろう。

地上波の番組表とBS/CSの番組表は、それぞれ別ページで取り上げている。開局日のBSテレ東枠には色付けされていたが、基本はモノクロだ。

残念ながら、NHK BS8Kの情報は無く、NHK BS4Kと民放BS4Kの番組表が掲載されている。民放の番組欄には、ピュア4K(4K制作番組)を示す「4K記号」も付いている。

4Kチャンネルと、NHK BS1/NHK BSプレミアムとが同じサイズで掲載する

日経の特徴は、4Kチャンネルと、NHK BS1/NHK BSプレミアムとが同じスペースサイズで紹介されている点だ。具体的には1chにつき、約38×119mm(横×縦)というやや大きめのスペースに、横10文字/縦33行もの番組情報が詰め込まれている。NHK BS4Kと民放BS4Kの掲載に、33行も使っているのは、日経だけだ。

1chにつき、横10文字/縦33行もの情報量はスゴい。高さは約119mmもある
26日付けのNHK BS4Kもこの通り。天国のロレンスも喜んでいるに違いない

文字は他紙に比べると小ぶり(12級程度)で平体。「小さすぎて読めなーい!」という、ギリギリのラインだろうか。また行間が広く、番組表全体の見栄えがスッキリとしているのも日経の特徴だ。

NHK BS4Kの「イ」(約40倍で撮影・以下同)

NHK BS8Kの掲載が無いこと、ラテ欄の掲載場所や一覧性の低さ(地デジとBSが完全に別ページ掲載・モノクロ)などの理由から、第5位としたが、4K放送の情報量はナンバーワンである。

第4位「産経新聞」……開局日の1面は深キョン仕様でサイコーだった

第4位は、フジサンケイグループの産業経済新聞社が発行する「産経新聞」だ。

産経新聞

産経のラテ欄は、最終面と中面に放送波を分けて掲載している。最終面(カラー)には主要な地上波とBS民放チャンネルを、そして中面(モノクロ)には地方局や有料のBS/CSチャンネルを載せている。

日経と同じく、産経にはNHK BS8Kが掲載されていなかった。一方、NHK BS4Kの番組表は中面に掲載。掲載枠は約42.5×86.5mm(横×縦)で、番組情報は横10文字/縦21行。文字はやや大きく14.5級程度。

NHK BS4K('18年12月1日付け朝刊)
NHK BS4Kの「イ」

民放BS4Kの番組表は、地上波チャンネルの真下に、横一列で掲載されている。4K制作番組を示す4K記号も付いており、一目で4K番組が識別できる。1chあたりの掲載枠は、約33.5×84mm(横×縦)。番組情報は横10文字/縦21行。文字は13.5級程度で、やや長体がかかっている。

民放BS4K('18年12月1日付け朝刊)
BS朝日4Kの「イ」

産経は、中面に掲載するNHK BS4K番組表の右横に「きょうのBS4K」コーナーを設置している。オススメの民放4K番組を紹介する枠のようだが、最終面の4K記号と情報がかぶるので、ここは8K紹介枠でも良かった気がする。

きょうのBS4K('18年12月1日付け朝刊)

ちなみに。開局日の産経は、ダントツに4K8Kしていた。深田恭子が1面をジャックした放送開始特集(カラー)で通常紙面を包み込むという“スペシャル仕様”は、開局日ならではのサプライズな演出だった。それに、NHK BS8K/NHK BS4K/民放BS4Kのオススメ番組を写真付きで35タイトル以上も取り上げるなど、番組紹介も一番充実していた。

開局日の熱は、冷めてしまったのだろうか……涙。

深キョン新聞爆誕の瞬間('18年12月1日付け朝刊)
見よ! この番組紹介を!!

第3位「朝日新聞」……8K有り。でも民放のピュア4Kが分からない!

第3位にランクインしたのは、朝日新聞社が発行する「朝日新聞」だ。

朝日新聞

朝日のラテ欄も、最終面と中面の2ページで各放送波を分担して取り上げている。最終面(カラー)には主要な地上波とBS民放チャンネルを、そして中面(モノクロ)には地方局や有料のBS/CSチャンネルを掲載する。

NHK BS8KとBS4Kの番組表は、中面(ページ右端)に掲載されている。

掲載枠はNHK BS8Kが約44×57mm(横×縦)で、BS4Kが約44×72mm(同)。番組情報はBS8Kが横10文字/縦16行で、BS4Kが横10文字/縦21行。文字はどちらも13.5級程度。

NHK BS8K('18年12月1日付け朝刊)
NHK BS4K('18年12月1日付け朝刊)
NHK BS4Kの「イ」

民放BS4Kの番組表は、地上波チャンネルの下に掲載している。

掲載枠はBS朝日 4K/BSテレ東 4K/BSフジ 4Kが約43×76mm(横×縦)、BS日テレ/BS-TBS 4Kが約43×73mm(同)。番組情報はいずれも横10文字/縦21行。文字は13.5級程度。

残念なことに、朝日のラテ欄には4K制作番組を示す“4K記号”が無い。「一体どれがピュア4K番組なのか?」が番組表だけでは判断ができず、これでは2Kの番組表と何ら変わらない。

4K独自編成の場合は、番組表の最下段に「4K独自」と記載するようだが、現状の民放4Kは2Kチャンネルと4Kチャンネルに同じ内容を流す“サイマル放送”が圧倒的に多い。開局日に実施したような4K独自編成はレアケースなのだ。4K記号の早期追加を期待したい。

民放BS4K('18年12月1日付け朝刊)
4K独自編成の場合は、番組表の最下段に「4K独自」と記載
BS朝日 4Kの「イ」

第2位「読売新聞」……8Kに対応、4K記号は無いが紹介枠有り

第2位は、世界最大847万の発行部数('18年4月時点)を誇る「読売新聞」だ。

読売新聞

読売のラテ欄も、産経や朝日と同様、最終面と中面とで各放送波を分けて掲載する。最終面(カラー)には主要な地上波とBS民放チャンネルを、そして中面(モノクロ)には地方局や有料のBS/CSチャンネルを載せている。

NHK BS8KとBS4Kの番組表は、中面(ページ中央)にある。

掲載枠はNHK BS8Kが約38×35mm(横×縦)で、BS4Kが約38×69mm(同)。番組情報はBS8Kが横10文字/縦9行で、BS4Kが横10文字/縦21行。文字はどちらも12級程度。

NHK BS8Kの情報量は、朝日と比べて7行少なく“必要最低限”といったところ。

NHK BS8K('18年12月1日付け朝刊)
NHK BS4K('18年12月1日付け朝刊)
NHK BS4Kの「イ」

民放BS4Kの番組表は、地上波番組表の右側に掲載されている。掲載枠は、約42×69mm(横×縦)。番組情報は横10文字/縦21行。文字は14級程度。

残念ながら、読売のラテ欄にも4K制作番組を示す4K記号が無く「一体どれがピュア4K番組なのか?」が分からない。

民放BS4K('18年12月1日付け朝刊)
BS朝日 4Kの「イ」

読売ではその救済策として、中面(NHK BS8K/BS4K番組表の下)に「民放系4K」という特別枠を用意し、NHK BS4Kと同じサイズの掲載枠に、ピュア4K番組を紹介している。

民放系4K('18年12月1日付け朝刊)

ただ、開局日や年末年始などピュア4K番組が多い日は、枠内に情報が収まりきらず、掲載漏れもだいぶ目立つ(開局日のBS-TBS 4Kで放送された「クリスマスの約束」など)。

今後民放のピュア4Kが増えてくるであろうことも踏まえると、民放系4Kという枠だけで取り上げるのは無理がある。朝日同様、4K記号の早期追加を願う。

第1位「毎日新聞」……パーフェクトで文句なし。これぞ“4K8K対応新聞”

ラテ欄アワードの第1回優勝を飾ったのは、毎日新聞だ。

正直、毎日のラテ欄は文句の付けようが無く“4K8Kユーザー”のために作られたとしか思えない、完璧な仕上がりである。

毎日新聞

新しいチャンネルを中面に掲載する新聞が多数を占める中、毎日は唯一、NHK BS8K/BS4K番組表を地上波放送と同じ最終面(カラー)に掲載している。民放BS4Kも同じ最終面にあるため、ユーザーはページをめくることなく、主要な4K8Kチャンネルがチェックできる。ラテ欄の見やすさ、一覧性の高さだけで他を圧倒している。

最終面に、NHK BS8K/BS4K、民放BS、地上波を一挙掲載!!

民放BS4Kの番組表には、4K記号も記載されていて、ピュア4K番組が一目で分かる。また民放BS4K番組表の左側には「おすすめ4K」番組の紹介欄も設けられている。

掲載サイズは、NHK BS8K/BS4K、民放BS4Kともに全て共通。40×74mm(横×縦)のスペースに、横10文字/縦21行の番組情報を掲載。1日13時間しか放送していないNHK BS8Kに対しても、ここまで充実した情報を載せるとは。毎日恐るべし!

なお、文字サイズは13級程度。

NHK BS8KとBS4K
NHK BS8K枠も広い!
民放BS4K
NHK BS4Kの「イ」

'18年12月1日付けの毎日朝刊には「4K・8Kスタート、テレビ面拡充しました」との見出しと共に、4K8Kの実用放送開始に合わせて番組表を大きく変更した旨が紹介されている。

それによれば、NHK BS8K/BS4Kを最終面のラテ欄に追加したこと、民放のBS番組表に4K情報を追加するとともに「おすすめ4K」を新設したこと、夕刊最終面にもNHK BS4Kの番組表を掲載した(!)こと、などが書かれていた。

この文面と実際に変更されたラテ欄からは、毎日の並々ならぬ本気度が伝わってくる。これぞ、情報不足に悩む4K8K放送視聴者を救うラテ欄。毎日新聞は正真正銘の“4K8K対応新聞”である。

というわけで、優勝おめでとう、毎日!!

情報がまだ不足している今だからこそ、新聞のラテ欄に4K8Kが必要なのだ!

以上、ラテ欄アワードは1位から毎日、読売、朝日、産経、日経、そして東京新聞という結果になった。8K番組表、4K番組表、ピュア4Kか否かの表記の有無を簡単にまとめると、下記のようになる。

新聞8K番組表4K番組表4K記号
毎日
読売ー(補足情報有)
朝日
産経
日経
東京

ちなみに。筆者が調べたところ、8K番組表を掲載するテレビ情報誌は「週刊TVガイド」(東京ニュース通信社)と、「NHKウィークリーステラ」(NHKサービスセンター)の2誌だけ。CS専門誌の中には、4K情報すら載ってないものもあることを踏まえると、毎日のラテ覧は、ちょっと、いやかなり特殊かもしれない。

「なぜ新聞のラテ欄にこだわる? EPGでいいではないか」と思う方もいるだろうが、新聞ラテ欄の優位性(使いやすさや一覧性、情報の鮮度)や影響力(年間総発行数4,000万部)には、適わないだろう。

4K8K視聴者にとって、新聞のラテ欄は貴重な情報源だ。加えて、甘い考えと一蹴されてしまいそうだが、新聞に載った4K8K番組表を見て、「4K8K要りません」と考えていた方も興味を抱くことがあるかもしれない。視聴者が少なく、4K8K放送の情報がまだ不足している今だからこそ、影響力ある新聞のラテ欄に4K8Kが必要と思う。

'19年9月にはBS日テレ(ラグビーW杯開催に合わせて3カ月前倒し)、そして'20年12月にはWOWOWが、新たに4K放送を開始することになっている。果たして今後、新聞やテレビ情報誌のラテ欄はどうなるのか?

第2回目のアワード開催に備え、これからも「ラテ欄Watch」をしていくつもりだ。

阿部邦弘