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オンキヨー「CP-1050」でアナログレコード入門

設置、接続、再生まで。約5万円のハマれるオーディオ

 ハイレゾが注目されていることもあり、少なくとも一般ユーザーの間ではオーディオはほぼデジタルが席巻していると思っていたが、どっこい、ここへきてとっくに過去のものになりつつあったアナログレコードが、再び流行の兆しを見せ始めているという。

オンキヨーのマニュアルレコードプレーヤー「CP-1050」でアナログオーディオに挑戦

 音楽市場全体は縮小が進んでいるにもかかわらず、Nielsen SoundScanの調査によれば、米国におけるアナログレコードの販売数は2008年頃から急激に右肩上がりを続け、2013年は対前年比140%の伸びを示したのだとか。

 そんなアナログ回帰の流れに合わせ、オンキヨーは、1983年発売の「PX-55F」以来、同社として実に約30年ぶりとなるレコードプレーヤーの新製品「CP-1050」を、2015年1月下旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は5万円前後の中級機。“マニュアルレコードプレーヤー”と銘打たれたこの製品、果たしてどんな製品なのだろうか。

オンキヨーの清崎泰史氏に教えていただいてセッティングした

 今やデジタル音源しか耳にしていない30代の筆者だが、子どもの頃は親が所有していたレコードプレーヤーで音楽を聞いていたことがあり、なんとなく思い入れもある。そこでオンキヨーマーケティングジャパン 営業企画課の清崎泰史氏にレクチャーしてもらいながら、「CP-1050」を使って改めてレコードプレーヤーの扱い方、音楽の聴き方を教わってきた。

 アナログレコードのことをよく知らない人はもちろん、これからアナログオーディオを始めてみようかな、と考えている人の参考になれば幸いだ。

ミドルレンジの穴を埋める、“ちょうどいい”高性能レコードプレーヤー

 「CP-1050」は、“マニュアル”レコードプレーヤーと名付けられている通り、手動操作と手作業での細かなセッティングが必要とされるレコードプレーヤーだ。再生から停止まで自動化されたフルオートレコードプレーヤーと呼ばれる製品も出回っているが、CP-1050は盤上に針を置くところから、曲終了後にストップさせるところまで全て手動。操作面でのアナログ感も兼ね備えた製品となっている。

 そのなかでもポイントとなるのは、価格帯としてはミドルクラスに位置付けられる製品でありながら、ワンクラス上の性能を誇るところだろう。筐体には振動抑制に効果的なMDFキャビネットを採用し、レコード盤を載せるターンテーブルは厚みのある高剛性のアルミダイキャストプラッターをチョイス。ターンテーブルを回転させる心臓部は、ブラシレスDCモーターによるダイレクトドライブ方式が用いられる。

側面を囲うように配置されたMDFキャビネット
ダイレクトドライブ方式を採用

 1つ目の大きな特徴は、このドライブ方式にある。レコードプレーヤーの場合、主にベルトドライブ方式とダイレクトドライブ方式に分けられるのだが、前者はモーターとベルトとが連結される構造で、技術的な難易度が低く、コストを抑えつつ安定した回転と低騒音を実現しやすいとされる反面、パーツが増える分耐久性に劣ることがある。

 一方、後者のダイレクトドライブ方式は、ターンテーブルにモーターが直結している状態のため、モーターそのものの性能や制御方法が、もろに音質に影響を与えてしまう。安定していないとカクカクした滑らかさの欠けた回転になって、いわゆる“コギング”という現象が発生し、音質が劣化する。いかに安定した速度で回転させ、さらにモーターの騒音や振動を抑えるかが工夫のしどころだ。

 CP-1050では、振動を極限まで抑えた低トルクモーターを使い、さらにモーターに送る電流波形を根本から見直すことによってスムーズな回転を実現、耐久性と高音質を両立させたという。また、レコード盤に接するレコード針を支えるトーンアームは高感度スタティックバランス式S字アームとし、盤上でレコード針を精度高く移動させる。

 他社からもレコードプレーヤーが発売されているものの、多くが1~3万円台のローエンドか、6~10万円、あるいはそれ以上のハイエンドクラスに分かれている。CP-1050は、ぽっかり穴があいた5万円前後のミドルレンジに投入され、これからアナログレコードを始めたい入門者用としては手を出しやすい位置付けにある。が、前述のような装備は、実際のところ6~10万円の機材と同等かそれ以上のスペックに相当するため、かなりコストパフォーマンスの高い製品なのだ。

 なお、今回試聴にはCP-1050の他、動的ノイズを低減する独自技術DIDRCを搭載するステレオプリメインアンプ「A-9050」(52,000円)と、新開発のA-Silk OMF振動板やアルミダイキャスト製フレームで高級機に匹敵する音質を達成するという2ウェイスピーカーの「D-412EX」(12万円/ペア)という、いずれもオンキヨーの機材を使用した。

ステレオプリメインアンプ「A-9050」
2ウェイスピーカー「D-412EX」

 どちらもミドルクラスに位置付けられるCP-1050に合わせて選定したが、CP-1050の発売1カ月前となる2014年12月末には、30年の歴史を持つオンキヨーのスピーカーシリーズ「D-77」の最新モデル「D-77NE」(17万5000円/1台)も発売されたので、これと組み合わせて一段上の音質を体感してみるのも良いだろう。

12月末に発売されたオンキヨーの伝統あるスピーカー「D-77NE」
D-77NEは同社伝統技術を使った30cm径のノンプレスコーンウーファを採用している

レコードプレーヤーは設置場所の選定から

 というわけで、CP-1050を体験すべくオンキヨー八重洲ビルの試聴室にうかがった筆者。まず最初にすべきことは開梱と設置だった。

オンキヨーの東京オフィス。1FはGibson Brands Showroom TOKYO

 マニュアルレコードプレーヤーという名を表すかのごとく、購入直後は本体以外はほぼ分解された状態になっており、必要なパーツを手作業で順序よく取り付け、レコードプレーヤーとして完成させなければならない。ケーブル接続するだけでOKのデジタル機器とは、スタート時点から異なるわけだ。

箱のまま置かれた「CP-1050」
開梱する筆者(右)
パーツはバラバラの状態
今回はこのAVラックの最上段にCP-1050を設置する

 さっそく本体を箱から取り出してAVラックにセットしたいところだが、慌ててはいけない。その前に設置しようと思っている場所が適切なポジションかどうか、あらかじめ確認しておく必要がある。デジタルのAVコンポーネントでも設置の際は安定した場所か、振動しない素材を使ったラックかどうか、といったところに気を使うだろうけれど、レコードプレーヤーの場合はもっとセンシティブなのだ。

 微細な針が直接レコード盤の細かい溝に接して音を拾うレコードプレーヤーは、振動に対してきわめて敏感。当然ながら、設置台となるAVラックなどが丈夫で振動しにくい素材であることは大事だが、スピーカーから発する音がレコードプレーヤーに伝わって振動が発生しないようにすることはもっと重要だ。

 したがって、左右からの音が集まることになるスピーカーの間にレコードプレーヤーを置くのは御法度。スピーカーの背後も音が回り込むのでNG。音の影響を受けにくい、スピーカーのできるだけ外側に置くのが正解となる。AV機器をスピーカーの間に設置することも多いと思うけれど、少なくともレコードプレーヤーにおいてはそれは避けた方が良い。設置に当たっては、部屋の壁や床をノックするなどして最も振動が少なそうな場所を探すのもおすすめだ。

重量が8.6kgとそれなりに重いので慎重に。オンキヨーの清崎氏に手伝ってもらいながら設置した

プレーヤー本体の水平を取ろう

 設置場所が決まったところで、ターンテーブルとターンテーブルに乗せるラバーマットの取り付けなどを進めていくが、それと合わせて行なっておきたいのが、レコードプレーヤー本体の水平を取る作業。

まだ何も取り付けていない状態
これがターンテーブル
取り付けは、単純にはめ込むだけ
次にラバーマットをかぶせる
現時点でこんな見た目になっている

 さきほど書いたように、レコードプレーヤーにとって振動は大敵なわけだけれど、わずかな傾きも振動と同様に音質に影響してしまう。たとえば大きく傾いていると、レコード針が盤上の溝に接している時、谷側に余計な負荷がかかってしまうことは容易に想像できる。正しく溝に沿っていなければ、正しく音が出ないのは当たり前だ。傾きは後述のトーンアームの調整にも関わってくるので、その前に水平にしておかなければならない。

 可能であれば水泡で水平かどうかが判断できる水準器を使い、地面に対して設置場所が平行になるようCP-1050本体の4本の脚を回転させて高さ調節したい。水準器を持っていなければ、付属のEP盤用アダプターを利用する方法もある。EP盤は、どちらかというと一般的なLP盤より中央の穴が大きく、ターンテーブルに正確にEP盤を固定するにはアダプターが必要となる。このアダプターを用いて水平かどうかを調べるわけだ。

EP盤用アダプターを使って水平を確かめる
インシュレーターを兼ねた脚は回転させて高さ調節できる

 EP盤用アダプターはかなり正確な円柱状になっているので、レコードプレーヤーの本体上に立たせて転がらなくなるまで高さ調節すれば水平になったと言える。もしくは、イマドキなやり方としては、スマートフォンの水準器アプリを活用する手もあるだろう。

適切な針圧のために「ゼロバランス調整」を

 さて、無事水平になったら、一番微妙な調整が必要とされるトーンアームのセッティングに移る。

 いったんトーンアームの後部にバランスウエイトと呼ばれる部品を適当に回し入れた後、トーンアームの先端にヘッドシェルを取り付ける。ヘッドシェルはレコード針を含むカートリッジが装着されている部分だ。次にトーンアームを途中で支えているアームレストから持ち上げて、針を盤上に降ろす際に使うリフターをひとまず下げ、針が他の部分に接触しないよう注意しながら、トーンアームのバランスを取っていこう。

これがバランスウエイト
トーンアームの後部に取り付ける
ヘッドシェル
こちらはトーンアームの先端に固定
一通り組み立てたところ
ゼロバランス調整を行なうため、ひとまずリフターを下げる

 CP-1050のトーンアームはスタティックバランス式。レコード針のある先端方向とバランスウエイトを取り付ける後部とで、支点を中心にシーソーのような状態になっているので、まずはこのシーソーの釣り合いが完全に取れるようにバランスウエイトの位置を細かく位置調整していくことになる。これがいわゆる「ゼロバランス調整」という作業だ。

 ゼロバランスを取ることで、この後にセッティングするレコード針ごとに定められた適正針圧(しんあつ)を加える作業を、正しく行なえるようになる。極端にバランスが崩れていれば、正しい針圧にできず、レコード盤に接する針が軽すぎて再生時に跳ねたり、荷重がかかりすぎてレコードに収録された本来の音を出せなくなったりして、最悪のケースではレコード針やレコードが破損する原因にもなりかねない。

 調整方法は、バランスウエイトを回して少しずつ前後に移動させ、釣り合いの取れる場所を探っていくだけ。要するに「ゼロバランス」なわけで、針圧がゼロになるポイント、レコード盤上で針が当たるか当たらないかという微妙な加減を見極めなければならない。1つの目安としては、レコード盤上から針を軽く持ち上げた時に、ふわっと浮き上がり、アームレスト方向へ自然と戻っていくような挙動になるかどうか、とのことだ。

バランスウエイトを少しずつ回して調整……
トーンアームの動きを見る
ひたすらバランスウエイトを調整
結局いい感じにならず、しびれを切らした清崎氏が完璧なセッティングを出すことに

 釣り合いが取れたと感じたところで、CP-1050の付属針に設定されている適正針圧「3.5±0.5g」の範囲に針圧を設定しよう。

 まず、バランスウエイトの先端のダイヤル部のみを回し(バランスウエイト自体を回さないように注意が必要)、トーンアーム後部軸の上面に刻まれた白い中心線にダイヤル「0」を合わせる。そのあとで、バランスウエイトに刻まれた目盛りを「3.5」に合わせることで、3.5gの針圧になる。針やカートリッジを交換した際は、その製品の適正針圧をしっかり確認してセッティングすることを忘れずに。

 最後に、支点付近にある「アンチスケーティング調整ダイヤル」を「3」に設定する。アンチスケートとは、回転するレコード盤の上をレコード針が滑っている時、力学的な現象で回転の中心へ引っ張られる力が働いてしまうのを、逆の外側に引っ張って打ち消すための仕組み。本来は針圧と同じ3.5に合わせることになるが、CP-1050では最大3までとなっているので、この場合は3でも良いとのことだ。

CP-1050の適正針圧である3.5にセット
最後にアンチスケーティング調整ダイヤルを3にすれば完了だ

プレーヤーからの出力は「PHONO端子」に入力

 以上でレコードプレーヤーとしてのセッティングはほぼ終わり。ダストカバーを取り付けるためのヒンジの装着なども必要ではあるが、ダストカバーはただでさえ振動を出しやすい軽量なプラスチック素材なので、音楽鑑賞時は外しておいた方が良いだろう。

ヒンジを取り付けダストカバーを装着。ただし、音楽鑑賞時は外しておくのがおすすめ

 あとは付属のアース線付きRCAケーブルを使ったアンプとの接続と、電源ケーブルの接続のみ。必要なのはこの2本のケーブルだけで、迷うことはほとんどない。が、1点だけ注意しておきたいところがある。アンプ側の接続端子はLINEではなく、“PHONO(フォノ)”と表示されている入力端子にしなければならない。CP-1050は“フォノイコライザー”と呼ばれるレコード再生時に必要となる特有の回路が備わっていないため、フォノイコライザーが搭載されているアンプのPHONO端子に接続する必要があるのだ。

RCAケーブルを接続する
アンプ側の入力はPHONO端子に

 プリメインアンプのほとんどがPHONO端子を装備しているはずだが、万一存在しない場合、単体のフォノイコライザー(数千円程度からある)を別途購入するか、PHONO端子のあるアンプに買い替える必要がある。

 なぜPHONO端子に入力しなければいけないのか、普通のLINE端子ではいけないのか、といった理由は長くなるので詳しい解説は今回は避けるが、簡単にまとめると、レコードへの音の記録の仕組み上、そのまま加工せずに再生するLINE入力経由だと、小さな高域の音しか聞こえないため。フォノイコライザーを通すことで、レコードの音が正しく復元されるようになっているのだ。

圧倒的な音の存在感。“本物のアナログ”は柔らかくない!

 セッティングを終え、ようやくレコードを聞ける状態になる。ここまでずいぶん時間がかかったような気もするが、ケーブルさえ接続すればすぐ使い始められるデジタル機器とは違い、アナログ機器はこういったセッティング自体の楽しみも多い。こだわればこだわるほど、音の良さにもつながるのがアナログの面白さなのだ。

セッティングが完了したCP-1050
か細いレコード針やレコード盤自体を傷つけないよう、正しく扱いたい

 レコードをセットし、本体の電源を入れてからスタート・ストップボタンを押してターンテーブルを回転させ、トーンアームを持ち上げてレコードの聴きたいポイントに移動させる。慣れた人、あるいは慣れた感じを出したい人は、リフターを下げた状態で直接レコード針をレコード盤に置きたくなるかもしれないが、大きなノイズが発生して機材や耳を傷める可能性があるのでオススメではないようだ。

 リフターを上げた状態で目的の場所にトーンアームを移動し、ゆっくりリフターを下げて針を着地させる、という操作をするのが無難だ。もちろん、アンプの音量もあらかじめ絞っておき、針を置いてからゆっくりボリュームを上げるのがベスト。ゆとりのある、優雅な大人の振る舞いが、アナログレコードプレーヤーの正しい聴き方と言えるのかもしれない。

レコードをセット
電源を入れ……
トーンアームを慎重に移動
狙った位置まで移動したら、リフターをゆっくり下ろす
絞っていたアンプのボリュームを上げよう

 試聴に使ったレコード盤は、THE OSCAR PETERSON TRIOの「WE GET REQUESTS」と、ブルーノート・ザ・マスターワークスからリリースされているケニー・ドーハム「AFRO-CUBAN」の2種類。ちなみに前者はヴァージン・ヴィニールを用いた「100% Pure LP」と呼ぶものをレコード盤の素材として使い、元々のアナログテープからデジタルマスターでDSDファイル化し、その後DSD再生機からダイレクトにレコードのカッティングを行なうという、極限まで音質にこだわった“ハイクオリティ”な1枚だ。

ケニー・ドーハム「AFRO-CUBAN」
THE OSCAR PETERSON TRIO「WE GET REQUESTS」
半透明のヴァージン・ヴィニールで製造されたハイクオリティなレコード盤となっている

 前述のプリメインアンプとスピーカーを組み合わせて聞いた第一印象は、「レコードってこんなだったっけ?」というもの。曲間にうっすら聞こえるレコードならではのノイズとか、どことなく全体的に“セピア調”をイメージさせる雰囲気は、まさしくレコードそのものだ。ただ、世間一般でよく言われる「アナログ的な柔らかさ」という表現は、輪郭のぼやけた“眠い音”ともとられそうだが、そういったものは一切ない。

D-412EXから出力される音は、今まで思っていたようなレコードの音ではなかった

 それどころか、さほどボリュームを上げているわけでもないのに、空間に広がる音の広がりとうねりとが、鋭い音圧となってどんどん押し寄せてくる。そこには輪郭の曖昧な「柔らかさ」などみじんもなく、しかし心地よい音の波となって体に響き、ただただ圧倒的なライブの臨場感に身をゆだねるのみだった。

最初はかしこまった姿勢で聞いていた筆者だが
次第にどっぷりと……

 それもそのはず、1,500枚のアナログ盤を所有するレコード愛好家でもある清崎氏によれば「アナログ的な柔らかさ」というものは、いわばレコードプレーヤーのセッティングミスによる音の歪みが主な原因となることも多いのだという。正しくセッティングすれば歪むことはなく、本来の音がダイレクトに伝わってくるはずで、まさしく今回筆者の聞いたものが“本物のアナログの音”ということになるのだろう。

チェックポイント

・設置は2スピーカーの外側に
・プレーヤーの水平を取る
・適切な針圧にするために「ゼロバランス調整」
・アンプとの接続は「PHONO」端子に

アナログは、ハマれる要素が盛りだくさん

 今回はあくまでもCP-1050購入時の標準状態で聞いたもの。さらなる高音質を狙おうと思えば、RCAケーブルやラバーマットをグレードの高いものに買い替えたり、レコード盤の回転をより安定させるスタビライザーを導入するなど、それほど大きなコストをかけずにできることはたくさんある。

このカートリッジ自体を互換性のあるものに交換することで、音の個性を変えることができる

 CP-1050のアーム部はEIA規格ヘッドシェルに対応するユニバーサルタイプを採用しているため、レコード針やカートリッジを他メーカーのものに交換するのも容易で、自分好みの音質を探す楽しみも味わえるだろう。何より、わずかな針圧の違いでも音に変化が出てくるわけで、セッティングをいろいろ試してベストの音質を狙うなど、いくらでもマニアックに扱える点はオーディオファンにはたまらないのではないだろうか。

 また、レコードは“過去の遺産”がそれこそ山のように存在している。中古レコード店で過去の名曲を見つけられるうえ、驚くほど安価に入手できるのも魅力だ。しかも「100% Pure LP」のような、より高音質を目指した技術で復刻版がリリースされていたり、新曲がレコードで発売される例も出てきている。

 たしかに何千もの楽曲を容易に管理しつつ、気軽にBGMとして流しっぱなしにできるようなデジタルの利便性はないので、音楽をライトに楽しみたい層には向かないかもしれない。しかし、セッティングやレコード針の移動、レコードの交換といった一見手間のかかりそうな行為自体も音楽鑑賞に含まれる1要素と捉え、楽しめる人であれば、これほど深くてハマれる趣味はない。

 すでにアンプとスピーカーを所有している人なら、5万円ほどの投資でレコードを聞けるコストパフォーマンスに優れたCP-1050。これから本格的にアナログオーディオを始めたい人にとって、絶好のアイテムだ。

CP-1050なら、5万円の投資でアナログオーディオを始められる

(協力:オンキヨーマーケティングジャパン)

日沼諭史

Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、現在は株式会社ライターズハイにて執筆・編集業を営む。PC、モバイルや、GoPro等のアクションカムをはじめとするAV分野を中心に、エンタープライズ向けサービス・ソリューション、さらには趣味が高じた二輪車関連まで、幅広いジャンルで活動中。著書に「GoProスタートガイド」(インプレスジャパン)、「今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ大事典」(技術評論社)など。