プロジェクターといえば、とにかく巨大で大会議室専用、みたいなイメージがあったところを、まるっと覆したのが、アドトロンテクノロジーのQUMIシリーズだ。475gと軽量ながら800ルーメンの輝度を誇る高性能の「QUMI Q6」などのラインナップに、今回はそこに新顔として「QUMI Q3Plus」が加わった。

 ビジネス用途にも使えるミドルクラスの本格派プロジェクターに大容量バッテリーを搭載し、ワイヤレス接続機能やAndroid OS採用など、「QUMI Q3Plus」の注目すべきトピックはたくさんある。が、気になるのは「じゃあどんな使い方ができるの?」というところ。そんなわけで、「QUMI Q3Plus」を詳しく紹介するとともに、ビジネスシーンからプライベートまで、「QUMI Q3Plus」が活躍するポイントを探ってみることにした。

「QUMI Q3Plus」ってどんなプロジェクター?

 最初に強調しておきたいのは、QUMIシリーズのプロジェクターは、その多くが持ち運びに適した軽量・コンパクトな筐体で、会議室などに置きっ放しで使う据え置き型プロジェクターとは位置付けが少し異なること。中小企業なら、会議室ごとに1台置いて使うのはもちろん、オフィスに1台という利用スタイルもOKで、必要時に持ち運んで簡単に設置できるモバイル性能の高さが大きな特徴の1つだ。QUMI Q3Plusも当然ながら、そのシリーズの流れをくむモバイルプロジェクターに仕上がっている。

 ただ、一段とモバイル性能が高まったこのQUMI Q3Plusについては、その先の、「部署ごとに1台」あるいは「1人1台」のプロジェクターとして扱えるポテンシャルを秘めている。幅176×奥行き102×高さ28mmという片手でつかめるサイズ感で、重量は460g。このコンパクトなボディのなかに、8000mAhの大容量バッテリーを内蔵し、外部電源(ACアダプター)なしでも最大約2時間動作するのがQUMI Q3Plusの一番のポイントだ。持ち運びや設置がこれまで以上に楽になり、いわばスマートフォンのように、プロジェクターがよりパーソナルなものに近づいたと言える。

 性能面を見ると、明るさ500ルーメン(バッテリー駆動時は300ルーメン)の高寿命LED光源で、コントラスト比は5000:1、出力解像度は720p(1280ドット×720)、投影距離に応じて19インチから100インチまで対応する。プロジェクターの性能としてはミドルクラス寄りで、まさにビジネス用途にぴったりなのだが、興味深いのは利用可能なインターフェースと中身のソフトウェアだ。

 PC画面などを映し出す際に使う一般的なHDMI v1.4bの映像入力端子のほかに、USBポート2つ、3.5mmミニジャックのオーディオ出力、microSDスロットが用意されている。Wi-Fi(IEEE 802.11b/g/n)とBluetooth 4.0のワイヤレス接続機能を備え、OSにはスマートフォンやタブレットと同様のAndroidが採用されている。Android OSが搭載されることの少ないプロジェクターという特殊な機器ということもあり、扱いとしてはAndroid TVに近く、アプリは専用のアプリストアからダウンロードする形になるが、それでも自由にアプリを追加できるフレキシブルさを持ち合わせているのは面白い。

 プロジェクターだと、どうしても映像中心で考えてしまいがちだが、2W×2のステレオスピーカーを内蔵し、音声出力にこだわっている点も注目したいところ。昨今のプレゼンでは静止画のスライドとともに動画を流すことも増えているけれど、ある程度大きな音量でステレオサウンドも同時に出力できるのは、音声を別出しにしたり、プレゼン途中で動画部分のみPCの画面を直接見せるといった回りくどい手間をかける必要がなくなるなど、メリットは大きい。

ケース1:多彩な接続方法で、社内や出先での会議がスムーズに!

 そんなモバイルプロジェクターのQUMI Q3Plusが活躍する場面は、やはりなんといってもビジネスシーンが挙げられる。すでに述べたように、会議室ごとに固定で設置しておいてもよいが、せっかくなら片手で軽く持ち運べるスタイリッシュさを活かさない手はない。

 連続するミーティングをはしごするような場合も、会議室から会議室へ、あるいはちょっとしたミーティングスペースへ、QUMI Q3Plusを自由に連れ回すことができるし、コンパクトだから狭いテーブルでも設置しやすい。もし電源が取りにくい場所でも内蔵バッテリーで動作させられるので、いちいち会議の場所で電源が確保できるかどうかあらかじめ確認しておく必要もない。

 この便利さは、社内会議よりも、設備状況を事前に把握しにくい出先でミーティングする時のほうがより実感できるだろう。先方の会議室でいざプレゼンしようと思った時に、電源口の数が少なかったりすることもあるはずだ。バッテリー内蔵であればそんな電源事情は全く考慮せずに、電源オンですぐに投写できる。映し出す壁が濃い色だったり、近くに壁自体がない時は、楽に持ち運べるオプション製品の「スマートスクリーン」もオススメしたい。

 会議の種類によっては大勢が参加する大部屋になることもあるだろう。投写する映像の大きさをそれに合わせて調整する際には、QUMI Q3Plus自体を前後に動かすことになるが、バッテリー駆動であれば電源ケーブルの長さや電源口の位置を気にすることなく、見栄え優先で自由に位置決めできる。

 映像ソースを多彩な選択肢からチョイスできるところも注目したい。まず1つ目、もっともポピュラーな使い方は、従来型のプロジェクターと同じようにHDMIケーブルでPCと接続する形。ケーブル接続後に、リモコンのボタンを押してHDMIに切り替えるだけで準備完了となる。

 MHLケーブルを利用すれば、MHL対応スマートフォンと接続することで、スマートフォンの画面をそのまま映し出すこともできる。動画やアニメーションを含むスライドを見せるのならPCを使いたいところだが、シンプルなスライドを見せるだけであればスマートフォン(とスマートフォン版のMicrosoft PowerPointなど)でも十分だ。

 2つ目はUSBメモリやmicroSDカードを使う方法。QUMI Q3Plus背面のポートにメモリを差し込み、メモリに保管しているPDFファイル、動画、静止画などを内蔵ビューワーで開いて表示・再生可能だ。この場合はPCもスマートフォンも不要で、もっとも身軽な見た目で映し出せる。会議の参加者数人が入れ替わりで次々に資料を投写したい時も、メモリの抜き差しだけで素早く対応できるというメリットもある。

 最後の3つ目は、スマートフォンからのワイヤレス接続機能を使った方法。QUMI Q3Plusにプリインストールされている「HappyCast」というアプリを起動すると、iPhoneからはAirPlayで、Androidでは専用アプリとの連携で、スマートフォンの画面をワイヤレスで映し出せる。この仕組みは、スマートフォン上で動作するアプリの内容を説明する時などに便利そうだ。開発中のアプリ、あるいはGUIの参考にしたいアプリの挙動を示しながら話を進められるだろう。

 なお、QUMI Q3Plus自体はMiracastにも対応しているので、Androidスマートフォンをはじめとする端末の画面はHappyCastを使うことなく手軽に映し出せる。参考資料としてWebサイトやYouTubeなどの動画コンテンツをスマートフォン上で再生して見せるような場面でも活躍するはずだ。

 ところで、QUMI Q3Plusは付属のリモコンを使ってフォーカスや音量の調整、本体の各種設定を行えるが、Android OSベースのプラットフォームということもあり、文字入力など一部リモコンでは操作しにくいところもある。そんな時はキーボードとマウスをBluetoothやUSBで接続するという手がある。

 もちろん日本語入力もできるし、プレゼン中に急に情報を検索する必要ができてもWebブラウザーですかさずインターネットにアクセスして欲しい情報をゲットできる。まるでPCのような使い勝手でサクサク動かせるのは、QUMI Q3Plusがクアッドコアの1.5GHz CPUと1GBのメモリを搭載していることも関係しているかもしれない。


ケース2:出張先のホテルがエンタメルームに大変身!

 QUMI Q3Plusの活躍の場はオフィスワークに止まらない。遠方に出張してプレゼンをしなければならなくなった時も、QUMI Q3Plusは2つの意味で役に立ってくれる。1つは、たとえ移動が長くなっても、コンパクト筐体のモバイル性を活かしてビジネスバッグ1つで気軽に持ち運ぶことができ、いつもと変わらないプロジェクター環境でスムーズにプレゼンできること。

 可能な限り荷物を減らしたいのなら、PCを持たず、USBメモリやmicroSDカードにプレゼン資料を入れて持って行くのもアリだ。もしくは、内蔵バッテリーに頼ってACアダプターは持ち運ばないという選択肢もあるだろう。ただ、個人的に出張時にはACアダプターを持って行くことをオススメしたい。

 なぜなら、QUMI Q3Plusのもう1つのお役立ちポイントとなる出張時の宿泊先ホテルでの過ごし方が、ACアダプターのあるなし(電池切れせずに使えるかどうか)で大きく変わってくるからだ。リゾート地の高級ホテルならいざしらず、一般的なビジネスホテルの簡素な部屋の中では、備え付けのテレビくらいならあるかもしれないが、楽しみや気晴らしになるものはそれほど多くはない。しかしQUMI Q3Plusをフル活用することで、ホテルの部屋をエンタメルームに様変わりさせ、出張を格段に楽しくすることができる。

 先述のとおりQUMI Q3PlusはAndroid OSを採用しており、膨大、というほどではないが、多数のアプリが用意され、専用のアプリストアから追加インストールできる仕組みになっている。それらのアプリのなかには、定額動画配信サービスのNetflixや各種ゲームがあり、インストールすればQUMI Q3Plusで動画を視聴したり、ゲームで遊ぶことが可能だ。


 実際にホテルの部屋でQUMI Q3Plusを使ってみたところでは、白い無地の天井に向けて40〜50インチほどのサイズで映し出すことができ、部屋の照明を落とすことでNetflixの映画を雰囲気たっぷりに楽しめた。また、AngryBirdのようなアクションゲームやカーレースゲームにも熱中できた。

 ただ、ゲームアプリによってはリモコンだけでは操作できず、キーボードやマウスの利用が必須になる場合もある。AngryBirdがその1つで、少なくともマウスがないとボタン操作や鳥たちの発射ができない点には注意しておきたい。レースゲームは、アクセルワークを自動で行ってくれる場合はリモコンのみでプレイできる。リモコンのボタンを使ったステアリング操作は少し加減が難しいけれど、難易度がやや高めのレースゲームだと思えばそれほど違和感はない。

 ホテルでのQUMI Q3Plus本体の固定の仕方は、ちょっと悩ましいところだ。枕をうまく使って、ベッドに寝そべった時にちょうど顔の正面の天井に映し出せるよう調整できるかどうかがキモとなる。今回は枕元に置いた本体が時々動いてしまい、手で押さえなければならないこともあったが、それが面倒なら荷物が増えることを覚悟して、カメラ用三脚を持ち込みQUMI Q3Plus底面にあるネジ穴で上向きに固定する方法もある。ちなみにQUMI専用のスタイリッシュなスマートアルミ三脚も販売されている。

 なお、枕元に置く時、QUMI Q3Plusの排気口部分が塞がれないようにすることと、背面のインターフェース部分に接続したケーブルや電源コネクタに負荷がかからないよう注意する必要がある。

 しかし、それはともかく、ホテルの部屋で寝そべりながらの映画やゲームは、まさに極上だ。隣の部屋に迷惑をかけないよう、イヤフォンやヘッドフォンとともに使うのがオススメだが、当日や翌日の仕事の緊張を忘れてリラックスし、次に控える仕事に向けて英気を養えることは間違いないだろう。


ケース3:自宅リビングがプチホームシアターに変身!

 ここまでビジネスに関わる使い方を紹介してきたわけだけれど、どこにでも持ち運びやすいQUMI Q3Plusだけに、仕事が終わった後に自宅にも持ち帰って、プライベートの時間を充実させるのにも活躍させたい。具体的には、映像を壁に大きく映してプチホームシアターを作り上げるのである。

 QUMI Q3Plusが、Netflixなどの動画配信サービスを追加アプリで直接利用できるのはすでに述べたとおり。それに加えて、Google Chromecastのようなガジェットと組み合わせることで、ほかの動画コンテンツも快適に視聴できるようになる。例えばdTVやdアニメ、Huluなどだ。Aamazon プライムビデオも、直接Chromecastに接続して視聴することはできないが、「画面のキャスト」やPCのWebブラウザー画面をキャストすることで、問題なく視聴できる。Chromecastを使う場合、アプリをインストールしなくていいぶん、QUMI Q3Plusの内蔵ストレージ(8GB)を圧迫せずに済む、というメリットもあるのだ。

 筆者の自宅で試したところ、壁が都合良く白い無地だったこともあり、きれいに映し出すことができた。普段使っているテレビを脇によけ、リビングのソファ後ろから壁に向けて投写してみると、投影距離3.5メートルで約91インチほどの画面サイズになった。この映像の迫力は、はっきりいってこれまでに味わったことがないものだ。激しいアクションはまさに迫ってくるようだし、しっとりとした邦画のシーンもメリハリあるコントラストで感情移入できる。

 設置位置の関係からやや見上げる形になったものの、リラックス姿勢でソファに体を預ければちょうどよいポジションで、ラグジュアリーなプライベートシアター気分。唯一課題となるのは内蔵スピーカーの音質だが、重低音を響かせるSF映画にはさすがに向いていないものの、会話の多い邦画だとそれほど違和感なく視聴できる。サウンド面でももっと堪能したいなら、Bluetoothスピーカーに接続するとよいだろう。

 Chromecastを利用することで、映像だけでなく、いつものようにスマートフォンやPCでWebブラウジングしている内容をそのまま映し出すこともでき、小さな画面とはまた違った感覚でニュースサイトやSNSを閲覧していける。普段何げなく流し見している友人らの投稿写真も、100インチ近くの大画面で見れば印象がすっかり変わるものだ。

ビジネス向けプロジェクターながら、性能バランスの取れた1台

 こんな風に、QUMI Q3Plusはオフィスワークや出張でビジネスをスムーズに進めるのに大いに役立ってくれるのに加え、ちょっとした息抜きやプライベートを充実させるのにも欠かせない1台となりうる。ただ、QUMI Q3Plusはどちらかというとビジネス用途にフォーカスした製品だし、会社で購入したものをプライベートで使うのは難しい場合もあるだろう。

 しかしながら、やはりここまで多機能・高性能だと、単純に会議室だけで使うのはもったいないとも感じる。あちこちに持ち歩き、会議室以外の場所でもさまざまに駆使してこそ、QUMI Q3Plusの本来の性能を活かし切れるのではないだろうか。大容量のバッテリーを内蔵し、映画の視聴にも耐えうる画質を実現した必要十分な性能をもつモデルだからこそ、あらゆるシーンをカバーすることが可能なバランスの取れた1台になっている、そう強く感じた次第だ。

(日沼諭史)

関連情報

アドトロンテクノロジー

QUMI Q3Plus

プロジェクター製品ラインナップ

関連記事

Android OSでBluetoothスピーカーも接続できるモバイルプロジェクタ。アドトロンから

475gで800ルーメン、Wi-Fiも内蔵した小型DLPプロジェクタ「QUMI Q6」

MHLに対応した5色のDLPプロジェクタ「QUMI 5 Refresh」

アドトロン、ポケットサイズで5色のバッテリ内蔵DLPプロジェクタ「QUMI Q1」