【バックナンバーインデックス】

発売前のAV機器をいち早く紹介


動画も音楽も再生できる新CLIE
SONY PEG-N700C
発売日/4月7日発売
実勢価格/50,000円前後



上面

左側面 正面 右側面

底面

裏面

画面は十分明るくなった 液晶カバーが付属する スタイラスにはCLIEロゴが

クレードル装着時(正面) クレードル装着時(左側面) ACアダプタ


■ 主な特徴

 ソニー2機種目となるカラーPalm機。前モデルからAV指向が強かったが、音楽再生ソフトが付属したことでその性格がさらに強まった。耳かけ式のオリジナルヘッドフォンやヘッドフォンリモコンも付属するので、本格的な携帯メモリプレーヤーとして利用できる。

耳かけ式のヘッドフォンと
リモコンが付属している
先端で液晶画面やグラフィ
ティエリアをタップできる

 ディスプレイは、320×320ドットというPalm系モデルとしてはトップレベルの解像度。フォントは専用のものを使用する。ディスプレイは前モデル同様に反射型TFTだが、フロントライトが強力になり、室内でも十分に視認できるレベルまで明るくなった。そのほか、独自機能のジョグダイヤルにもバックボタンが追加されるなど強化が図られている。

最大記録時間
※128MBメモリースティック使用時
ビットレート記録時間
132kbps約120分
105kbps約160分
66kbps約240分
 DSPを内蔵し、専用ソフト「Audio Player」でATRAC3形式の音楽ファイルを再生できる。著作権保護はMagicGate。PC内に保存した音楽データを同梱の「Open MG Jukebox」を使用してMGメモリースティックに保存し、本機で再生する。転送ビットレートは132kbps/105kbps/66kbpsの3種類。付属のリモコンで再生、停止、次曲、前曲といった基本操作が行なえる。

 動画を独自形式に変換すれば、専用ソフト「gMovie」で再生可能。変換は同梱の「PictureGear 4.3 Lite」から行なう。解像度は160×120ドット/120×90ドット/80×60ドットの3種類で、圧縮をカラー、白黒(高画質)、白黒(高圧縮)から選べる。白黒の場合はディザの強さを調節可能。音声は高・中・低・なしの4段階を選択できる。

 4月末には、同社のVAIOシリーズに登載されている「Giga Pocket」(Ver2.0以上)を使用すれば、同ソフトで録画したテレビ番組をMGメモリースティックに保存し、本機で再生することができるようになるという。

 また、TV番組取得ソフト「TV Scape」も4月末に配布される予定。これは、最大1週間分のテレビ番組情報をインターネット接続により入手し、本機で閲覧できるいうもの。テレビ番組の予約録画機能を持つ「Giga Poket」と連動させれば、外出時に番組データをチェックして予約を仮設定、帰宅したらHotSyncさせて「Giga Poket」で予約確定という使い方が可能になる。

携帯音楽プレーヤーとして
使用できるようになった
動画は160×160ドットまで


■ 編集スタッフのファーストインプレッション

78
物 欲
ゲージ
■物欲の考証
 現在使用中のPocketPC「jornada548」に比べて、画面の美しさには確かに惹かれるものがある。しかし音楽再生も動画再生もjornadaで行なえるため、50,000円前後という価格にはちょっととまどいを感じているところ。
 スピードが遅いのも気になった。ホーム画面のスクロールでもたつくようでは、日常使用できついものがありそう。
 それにしても、Palmというプラットフォームをここまで独自性あるものに変えたソニーはすごい。ヒューレットパッカードにも是非jornada548用のリモコン付きヘッドフォンを作って欲しい。
 前モデルから縁のあった私としては、とりあえず「画面が明るくなって安心した」の一言につきる。音楽再生ができるようになるなど、やっと当初のコンセプト通りのソニーらしいPalmになったようだ。ライバルはカシオのPocketPC「カシオペアE-700」、シャープのザウルス「MI-E1」。本機の利点は電池の持ちだろう。連続音楽再生約11時間(カタログ値)を見たとき、「携帯音楽プレーヤーとしてやっとまともに使えるPDA」という印象を受けた。

 その音楽再生機能についてだが、付属のヘッドフォンが使いやすく、音質的にもとりあえず満足できるレベルにある。OpenMGでのチェックイン/チェックアウトは個人的に面倒だと感じたが、常にPDAを持ち歩いている人なら、PDAが音楽プレーヤーとして使えるメリットは大きい。もっとも、現在常用中のWMP7→PocketPCへの転送の方が分かりやすくて、ファイルサイズも小さくなるようだ。

 見た感じの動画のフレーム数は5~7fpsほど。コントラストも低く、AVファンから見ると「高画質」にはほど遠いレベルにある。しかし、テレビ番組をPCでキャプチャしておき、移動中に見るという使い方には、個人的に魅力を感じた。操作性も気になるところ。例えば、再生中にジョクダイヤルをシャトルとして使えるのだが、フレームが粗いためか狙った位置にポイントできないのが恨めしい限りだ。

 静止画を見ることもできる。私の場合、「デジカメの画像を見る」というのがメインの使い方になるのだろうが、256色表示なのが痛い。他のPDAに比べて表示が高精細なだけに、非常に残念だ。加えて表示が遅い。ソニー製のデジカメなら、撮ったメモリースティック内の画像をそのまま本機で閲覧することができるが、デジカメの液晶よりきれいだとは思えなかった。

 Palmとして見ると、処理速度の遅さが気になった。画面切り替えやスクロールなどは、時としてPalmとは思えないほど遅いことがある。ボディの厚みも増し、多少持ちにくくなったようだ。また、前面パネルのボタン類が堅くなっている。その上、スクロールボタンが若干小さくなった。よく使うボタンなので残念。CFカードが使えないのも、P-inComp@ct全盛の今となっては通信系にも物足りなさを感じる。

 PDAに求める機能はユーザーによって微妙に異なる。私の場合、PIMの表示スピードとラフに扱えるある程度の頑丈さが命だと考えているので、本機はちょっとニーズに合わないようだ。とはいえ、表示の美しさ、本機のボディの高級感、音楽再生時間の長さには大きな魅力を感じたのも確か。このまま進化して、PDA兼持ち歩ける「AVルーム」が実現することを期待したい。

orimoto@impress.co.jp

60
物 欲
ゲージ
■物欲の考証
 「WorkPad」を使った自分としては、「進化したPalm機」としてなかなか面白く遊ばせてもらった。非常によく頑張っていると感じるのだが、サイズが大きめなのはやはり気になる。「Palm Vx」程度のサイズであればゲージもぐぐんと上がるのだけれども。
 ただ、非常に中途半端な出来であるという印象は受ける。自分はきっと映像再生機能を使わないだろう。音楽再生についてもサイズの壁があり、かなり微妙。確かに欲しい気持ちもあるのだが、映像がもう2ランク上のクオリティになり、サイズが「Palm Vx」程度になったら即購入だと思う。
 少々サイズが大きいのが気になる。とはいえ、本体はスリムなので片手でも十分に持てるし、重量も「ちょっと重いかな?」という程度。気になるというだけで、大きな欠点とは言えない。

 液晶は反射型にしてはかなり視認性が高いと思う。フォントの表示が高精細なので、他のPalm OS機よりも文字が読みやすい。アイコンが他のマシンと同じ解像度なのは不思議ではあるけれど。  画像の表示も、この画面で見る分には「必要にして十分」というレベル。特別に美しいというわけではないが、PDAとして考えて見れば非常に頑張っているという印象を受けた。ただ、「マンガをダウンロードしてPDAで読む」というシーンを想像したときは「4コママンガなら」というレベルだろう。画面が小さいので、表示する画像は「それなり」の迫力になってしまう。

 気になるのは音楽再生機能。リモコンが付いているのは非常にポイントが高い。PDAとはいえそれなりの大きさなので、ポケットや鞄に収めてキャリングする事を考えると、利便性が高いと思われるからだ。リモコンの形状は、丸みを帯びさせて先端部を少し絞って形。スタイラスとしても使用可能で、よく考えてある。画面でも操作が可能だが、リモコンでの操作の方が多くなるだろう。音質は、自分としては「必要にして十分」なレベル。ATRAC3の音はMP3に比べて高音が伸びている、という感触だった。

 しかし、PDAとして使う場合はリモコンのコードは結構邪魔だと感じる。贅沢を言えばトランスミッタでリモコンに音を飛ばすくらいのことはして欲しい。もちろん、サイズはそのままで。

 ビデオ機能はひそかに期待していたのだが、映像の第一印象は「紙芝居」。コマ飛びが激しく、「映像」とするには少々はばかられる。音は結構良いので、見たい番組を外出時にどんな感じか確認して、実際の視聴は自宅でゆっくり、という使い方なら納得できる。今回はまだサービスが開始されていないため、試すことができなかったが、VAIOと連動したインターネットを使った同時番組予約が可能なので、利便性は高いと思われる。

 振り返ってみると、AV機能は「PDAにしては頑張っている」といえるだろう。贅沢を言えばもっともっとハイクオリティな環境を作って欲しいのだが、他のPalm OS機にない機能をこれだけ盛り込んだのは立派。音楽再生機能は実用レベル。本体内蔵の充電池で音楽再生11時間は、画面の表示がOffだとしても結構すごいと思う。

 映像/画像に関しては、「このクオリティならあってもなくても一緒かな?」などと感じてしまうのだけれども。

fujiwa-y@impress.co.jp

62
物 欲
ゲージ
■物欲の考証
 質感とかはソニーらしい物欲をくすぐる出来だが、Jornada 680ユーザーの私は、キーボードのない端末は使えないので。

 注目の製品である新型「CLIE」。放っておいても、雑誌、インターネットなど色々なモバイル系の媒体で徹底的にレビューされるだろう。それをなぜ、「AV Watch」という、言わば畑違いの媒体で取り上げるのか。それはやはり、新型「CLIE」には動画再生機能と、音楽再生機能があるからだ。そこらへんの話題は、モバイル系の媒体では、取り上げられることも少ないことだろう。

 で、音楽再生機能。フォーマットは、ソニーだからもちろんATRAC3。チェックイン/アウトが必要になるのは、仕方ないところか。音質はポータブルオーディオプレーヤーとしては、必要十分なもの。ただ、プレーヤーソフトの機能が音質調整はできなず、前曲や次曲へは操作できるが、早送り、巻き戻し再生ができなかったりするのは、ちょっと残念。

 また、耳かけ型ヘッドフォンリモコンが付属するのは嬉しい。バックライト付き液晶で漢字が表示できればもっと嬉しいが、そこまでしては製品の方向性が変わってしまうか。連続再生時間は表示OFFで11時間(カタログ値)。最近のポータブルCDや、MDに比べれば見劣りするが、通勤・通学の往復で聞く分にはまったく問題ないだろう。さらに、音楽再生には専用DSPを使っているので、再生しながらでも、他のアプリケーションが遅くならないのはいい。

 もう1つの目玉機能。動画再生は「gMovie」という独自フォーマットが使用される。ただ、「gMovie」プレーヤーは、新型CLIEの特徴である320×320ドットに対応していない。また、フレームレートが低く(5fps程度だろう)、さらにブロックノイズもかなりのもの。音声はしっかり聞き取れるが、番組の内容は理解できるという程度と思った方がいい。間違っても映画を見ようなどと思ってはいけない。ただ、Dragonball VZ 33MHz上のPalm OSでここまでできるのかという驚きはある。

 ここで、基本仕様について少し。320×320ドットになって、フロントライトも強化された反射型液晶はきらびやかで、視野角が広く視認性の高いすぐれもの。ただ、対応ソフトでないと拡大処理されて表示されるため、表示はドットがより目立ったしまう。その他でも、ジョグが対応アプリでなくても使えるようになったり、バックボタンが追加されたり、細かい部分でも改良されているのは好感が持てる。惜しむらくは、Palmなのに遅いこと。やはり、PDAは吸い付くような操作感でなければいけないと、個人的には思う。(Jornada 680ユーザーがいうのもなんだが……)

furukawa@impress.co.jp


【主な仕様】



□ソニーのホームページ(Sony Drive)
http://www.sony.co.jp/sd/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/sd/CorporateCruise/Press/200103/01-0314/
□関連記事 【3月14日】ソニー、オーディオ機能搭載・液晶解像度4倍の新クリエ(ケータイWatch) http://k-tai.impress.co.jp/news/2001/03/14/clie.htm

(2001年3月29日)


00
00  AV Watchホームページ  00
00

ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.