発売前のAV機器をいち早く紹介 |
身近になった32V型ワイドプラズマテレビ |
日立 W32-PD2100 |
発売日/4月10日発売 実勢価格/60万円弱 |
正面 | 右側面 |
画面寸法(カッコ内は対角) |
■ AVCステーション部
正面 | 右側面 |
背面 |
上面 |
■ 主な特徴
CRT32型との比較 |
富士通との合弁企業「富士通日立プラズマディスプレイ」で開発した「新ALISパネル」を採用。画面サイズを小さくすると画素ピッチが狭くなり、開口率が低下するというプラズマディスプレイの欠点を補う技術を使用している。
電極の偶数ラインと奇数ラインを交互に発光させることで、従来と同じ電極数ながら、倍の精細度を実現。解像度は852×1,024ドットとなる。BSデジタルチューナを接続することで、デジタルハイジビョン映像をそのまま再生できる(水平方向は圧縮される)。
ALIS方式の模式図 |
映像信号の変換は、AVCステーションに搭載された「ニューマルチスキャンコンバータLSI」が行なう。デジタルハイビジョンの1080iは1,920ドットで、720pは1,280ドットでそれぞれサンプリングし、その後プラズマディスプレイに適した表示に変換する。2画面、4画面といったマルチ表示も行なえる。NTSCとデジタルハイビジョン映像の混在も可能。
AVCステーション内に同社の「アドバンスド・プログレッシブ回路」を搭載。3フィールド分の垂直方向と時間軸を検証し走査線補間を行なう「VT 3フィールド補間処理」や、フィルム映像の30コマすべてを自動的に静止画に変換する「フィルムシアター機能」、チャンネルを切り替えるごとにノイズ量を検出して除去する「巡回型オートノイズキャンセラー」機能などを持つ。また、レターボックスの映像部分だけを検出して1,024画素に拡大処理を行なう「デジタルワイドプログレッシブ」も搭載している。
モニター背面の端子群 | AVCステーション前面(カ バー内)の端子部 |
AVCステーション背面の 接続端子パネル |
ディスプレイ部に2Wayスピーカーを内蔵。アンプは50MHzでサンプリングを行なう「1bitΔΣ変調方式デジタルアンプ」を採用し、簡易サラウンド機能としてSRSの「TruBass」機能を搭載している。「TruBass」は、2つの異なる音程(周波数)を同時に聞くと、音程の差分だけを意識して聞いてしまうという、人間の聴覚を利用したもの。特に、低音が差分として意識されるため、小型スピーカーでも重低音を再現できるという。また、サブウーファ端子も1系統備えている。
モバイルスタンドと の組み合わせ |
ディスプレイ部とAVCセンター部はファンレス設計で、静音性に優れているとしている。付属の専用スタンドはスイーベル(首振り)式。ディスプレイに向かって操作できるリモコンが付属する。また、オプションとしてキャスター付きの「モバイルスタンド(TB-PD32MV:120,000円)」をはじめとした5種類のスタンドおよびラック、壁掛けユニットも用意されている。
なお、6月11日には上位機種「W32-PDH2100」が発売される。ディスプレイ部は同じだが、AVCステーションにBSデジタルチューナが内蔵され、i.LINK×2、光デジタル音声出力×1(AAC 5.1chc対応)などが追加されている。オープンプライスだが、70万円前後になると見られている。
■ 編集スタッフのファーストインプレッション
●今回の視聴機材
薄さ9cmには本当に驚かされた。デザインはすっきりとしていて、大抵のインテリアに合いそう。ただし、ディスプレイ上部のスリットに耳を近づけると、「ブーン」というノイズがかすかに聞こえてくる。 画質は想像以上に良好。BSデジタルとDVDの映像は、彩度が高く、パリッとした感じ。暗部もなかなか粘っている。プログレッシブ再生時の細密度もすばらしい。ALIS方式の地力を感じた。ただ、コントラストの高いシーンになると、多少ラチチュードが狭く感じることもあった。 地上波は、ブロックノイズがほとんど目立たずきれい。視聴したショールームの電波状態が良くなかったのだが、ノイズリダクションが強力なので、気にならないレベルにまで抑えることができた。 夕方4~6時という、ちょっと薄暗くなったショールームにて視聴したため、明るい部屋でこれくらいのコントラストが出るのかは不明。北向きで常に薄暗い我が家なら大丈夫だろう。視野角も広いし追随性も問題ない。今あるCRTの置き換えとして十分使えるのではないだろうか。 スピーカー部にはSRSのTruBassが搭載されている。テレビでの採用は本機が初めてとのこと。差異のある音程を人間が聞いたとき、低音の方をより敏感に感じ取るという性質を利用したもので、原点はパイプオルガンだそうだ。「薄い本体に品質の良いスピーカーを搭載するため、選んだ結果がこれだった」(同社)という。そんな子供だましのようなエフェクトにだまされるか、と構えて聞いてみたが、確かに低音が増強されていた(されたように聞こえた)。アタックのスピード感も削がれていないし、中高域が侵害されているわけでもない。これにはちょっと驚いた。 個人的にはコストパフォーマンスの点で非常に気に入った。画面サイズもとりあえずこれくらいで丁度いい。とはいうものの、6月に発売されるBSデジタルチューナ付きモデルや、発表会(2月7日)でアナウンスされた37型も気になるところ。
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PDPは、走査線を交互に発光させる「ALIS方式」で、店頭で確認したほかのPDPに比べてちらつき感は低い、というより50cm以内で見ない限りほとんど感じられない。通常の視聴ではまったく問題ないだろう。画素数も852×1,024ドットとかなり高精細。スペックを見ると水平方向が少々物足りなく感じるが、実際に視聴してみるとさほど気にはならなかった。十分に高画質と感じる。 視聴したDVDソフト「ジャンヌ・ダルク」は、鮮鋭感も高く、ソフトの持ち味を十分に表現してくれていると感じる。あまり画質のよろしくないアニメDVDソフト「スーパーミルクちゃん」も、きちんとよろしくない画質で見せてくれる。 音質面にも配慮してあり、「TruBass」での低音エミュレートはそれなりに迫力を感じた。なにより、ファンがないので小音量時でも安心できる。他のプラズマ製品はファンがあるものばかりで、店頭で見ていてもファンの音を感じていたので、これは大きなアドバンテージだと思う。 価格もこれまでのプラズマ製品に比べて50万円程度は安い。それでもまだ手を出しづらい価格ではあるのだが。
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モニター部の重量は26kg。一人でも模様替えが楽にできる手軽さは、ブラウン管では真似のできないところだ。一方、LDプレーヤー並みに大きいAVCステーションが気になる。デザインもあいまって、部屋に置くと非常に目立ったしまう。もう少しすっきりしたデザインだといいのだが……。なお、AVCステーションだけBSデジタルチューナ内蔵にアップグレードするといったサービスは、「今のところ考えていない」(同社)とのことだ。 実際の画質。まず、BSデジタルハイビジョンを視聴。ALIS方式では、CRTのインタレース表示と異なり、偶数と奇数ラインが一斉に切り替わるため、チラツキを感じない。ALIS方式の垂直1,024画素と、1080iとの相性は非常によく、ハッキリ、クッキリと映し出した。また、全体的に赤が強い傾向にあった。 地上波も、ある程度離れてテレビとして見るには十分な画質。特に、内蔵のゴーストリダクション機能は優秀。手動で最大にすれば、かなり電波状況が悪くても、ソフトにはなるが見るに耐える画像まで持っていけるのはたいしたもの。一般的に元のソースが悪いと、プログレッシブ化や画素変換時に、画質の荒れが増幅されてしまう傾向があるが、「W32-PD2100」ではかなり抑えられている。 DVD再生はプログレッシブ出力と、インタレース出力を見比べた。大きな差がないが、インターレス出力で「W32-PD2100」内でプログレッシブ変換させたほうが、輪郭が甘くなった。しかし、通常の視聴では気になるほどの差ではないだろう。色表現も良好でCRTにも劣らないと感じた。 アナログRGB入力は、スルー表示(リアル表示)できるのは640×480ドットのみ。それ以外の解像度では、自動的に拡大・縮小される。そのため、Home Theater PC(HTPC)用途には向いていない。1,280×1,024ドットまで対応しているが、元々テレビという位置付けなので、パソコンの表示はおまけ程度と割り切ったほうがいいだろう。
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■ 主な仕様
(ディスプレイ部)
□日立製作所のホームページ
http://www.hitachi.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/0102/0207.html
□製品情報
http://av.hitachi.co.jp/plasma/index32.html
□関連記事
【2月7日】日立、世界初の32インチプラズマテレビを発売
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010207/hitachi.htm
(2001年4月12日)
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