「NAB2001リアルタイムレポート」
~ ロケの花「移動中継車」に潜入、ほか ~


会期:4月22~26日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center
     Sands Expo Center


 放送用機材のイベント「NAB2001」には、一般人には一生かかっても間近で見ることのできないものが含まれている。それらの中から、ここでは親しみやすいものをいくつかピックアップしてみたい。


■ ロケの花、移動中継車に潜入

 LVCCには「Mobile Media Exhibits」という屋外設営のコーナーが設けられ、そこに中継車やパラボラアンテナの出展社が集まっている。大型車や大掛かりな展示が多く、実に壮観な眺めだ。

 出展社の1つ、ニューヨークのALL MOBILE VIDEOの「Revolution」という車の中を見せてもらった。同社はこうした車両のほかスタジオを所有し、それらのレンタルを主な事業としている。

 「Revolution」は、中継車というよりは「移動スタジオ」というべきもの。これ1台で制作が行なえるだけの設備を備えており、車内にはモニター類、スイッチャー、エフェクター、ベータカムなどの機材がずらりとならんでいる。オーディオ系もデジタルミキサー、DATといった基本装備が揃っており、録音収録も可能。

 薄暗い室内のなかでスイッチ類が瞬いている様は、まるで秘密組織の移動基地のよう。内部は大きく分けて収録エリア、映像編集エリア、送信エリアの3つに分かれている。もちろん、空調、防音もしっかりと整えられている。屋外で撮影した素材を即編集し、送信するのがこの車両の本分で、ベッドやソファーなど、くつろぐための施設は皆無。また、規約により、走行デモは行なえないそうだ。

 同社はこのほか、映画ロケ用の「Cinetour」やHD編集用の「Triple Expando HD Mobile Unit」などを所有している。たとえば「Cinetour」には、Sonyの1080i/24p対応のスイッチャー「HDS-7000」を中心にした映画用素材に対応した機材が搭載されているなど、それぞれ特徴づけられてる。

トレーラーを改造した「Revolution」 内部は機材で埋め尽くされている 横の出っ張りが各部屋をつなぐ通路になる


■ 工夫を凝らしたユニークな機材たち

右のグリップが「VariZoom」。こういう状況で使用される
 放送機材のイベントだけに、撮影用小物類の出品も多い。クレーンの上など、離れた位置に設置されたDVを遠隔操作できる「VariZom」もそうした製品の1つで、記録/停止、ズーム、フォーカスの制御などを行なうことができる。

 ソニーの「VX1000」や「同2000」、「TRV20」、キヤノンの「XL1」に対応。機器の制御にはLANCを使用している。価格は399ドルから。

そびえたつ「Scanner Elite」 操作方法そのものはそれほど難しくない

 EGRIPMENT SUPPORT SYSTEMSのブースでは、巨大な撮影用クレーン「The Scanner Elite」が出展された。手元の液晶ディスプレイに映し出されたカメラの映像を見ながら、ホイールに巻かれたワイヤを、ハンドルを使って操作する。

 価格は、クレーンアームだけで20,950ドル、位置調整用の「Maxi-Dolly」とホイールが13,050ドル。ハンドルが重く、操作にはある程度の慣れが必要。

かなり高速に動かすことができる 本格的に使用するには、台車も何かで覆う必要がある

 InnoVision Opticsの「RollVision」は、搭載されたモーターにより、取りつけたDVカメラを任意の角度(上下左右)にパニングできるというもの。

 これを利用した自走式のカメラシステムが出品されていた。要するにカメラ付きのラジコンで、カメラをフードで覆うことにより、スポーツ中継などに利用できるという。

Windowsへの対応は未定
 AppleのCubeに似ているMicroNetの「Sancube」は、ノンリニア編集用の外部増設HDDで、転送速度は400MB/secで、回転速度は7,200rpm。Mac OS 9に対応し、接続はFireWireのみとなっている。FireWire×1、90GBの「SC0GB1」が1,499ドル。

 また、FireWire端子を4つ備え、4台のMacintodshに同時接続できる450GBモデル「SC450GB4」も用意されている。

 購入は同社のWebページから行なえる。なお、Mac OS Xへの対応は準備中とのこと。

 ノンリニア編集者向けのデスクも出展されていた。複数のモニタやジョグコントローラなど、多数の機材を必要とするノンリニア編集には、広いデスクが適している。

 Winstedの「Prestige SLIM Line」は、「Command Control Consoles」と銘打たれたビデオ編集者用のデスク。キーボード部は上下にスライドするほか、チルトも行なえる。また、デスクの後ろにはAC120Vのコンセント口がずらりと並んでおり、多くの機材を集中的に接続可能。価格は1組7,500ドルとなっている。

17インチモニタを3面収納可能 キーボード部は垂直に上下させることができる 電源プラグ差込口が背面ボックスに並ぶ

□NAB2001のホームページ(英文)
http://www.nab.org/conventions/nab2001/attendees/exhibitors.asp

(2001年4月27日)

[orimoto@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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