2002 International CES会場レポート
~ SRS、発泡スチロール素材の新方式平面スピーカー ~


SRSブース。平面スピーカを用いての音楽視聴ができるようになっていた
会期:1月8日~1月11日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center
   Las Vegas Hilton Hotel
   Alexis Park Hotel



■ SRS、発泡スチロール素材の新方式平面スピーカーを発表

チェリーウッドフレーム版フラットスピーカー

 米SRS LabはCESにて、新方式の平面スピーカーを発表した。平面スピーカというと、コンデンサ・スピーカや、英New Transducersが開発、オーセンテックが販売するパネル型スピーカを思い浮かべる人が多いだろう。

 今回、SRSが発表したフラットパネルスピーカー(FPS)は、こういったこれまでの方式とは違う方式を採用していることから注目されている。振動板素材には、ハニカム構造の発泡スチロールを採用。駆動ユニットをのぞくと、14インチ口径の振動板とフレームの総重量が5g程度だという。

 普通のスピーカーは振動時、正面から出力される波形と、裏方向へその逆位相の波形が出力されてしまう。この波形は、エネルギー的に正面側の波形をうち消すパワーになるため、一般的なスピーカーではエンクロージャで閉じこめたりする。

 SRSのFPSではこれを一度エンクロージャ奥面で反射させて、正面から出してしまう。SRS FPSの素材である発泡スチロールは音波を透過させることができるため、結果的に強いエネルギーを正面から取り出せるということになる。

 振動板には、再生する音域ごとに最適な振動が得られるようにするため、同心円状に溝が掘られている。同心円中央付近から高音域が、外に向かって低音域が主に出力されるという。この同心円状の溝の直径比は、自然な周波数特性を得られるための最適解に基づいている。

FPSユニット表面。同心円上に並ぶ溝がわかるだろうか。SRS社ではこの溝を「フォーカスリング」と呼んでいる FPSユニット裏面。素材は見ての通り発砲スチール。裏面と表面でフォーカスリングの直径が異なっているのが興味深い

 現在の14インチユニットの周波数特性は、120Hz~2kHzまでということで、2kHzより高い音域はツイータを組み合わせ、120Hzよりも下の音域についてはウーファユニットを組み合わせることで補うことになる。ツイータは小さいので問題ないが、ウーファはそれなりに大きなエンクロージャが必要になる。よって現時点では、ウーファは別ユニットのサブウーファという形で供給し、メインスピーカーをSRS FPSユニットと、ドーム型ツイータのコンビネーションにして「薄型スピーカー」としている。

 ブース内のデモルームにて、サブウーファをカットして、メインスピーカー(FPSユニット+ツイーター)のみの音を聞かせてもらったが、なかなか歯切れのいいドライなサウンドを聞くことができた。

アーノルドクレイマン氏。現在75歳。生涯現役を地でいく人

 今回のこの製品は、SRSの技術をほとんど一人で開発している技術者、アーノルド・クレイマン氏の名前からとって、「クレイマン」シリーズとしてラインナップされることになった。発売は今年春を予定。チェリーウッドフレーム版がペアで2,195ドル。サブウーファが749ドル。

 また、5.1chセットとしてアルミフレーム版もリリースされる予定で、こちらはシステム売りで1,000ドルを下回る程度の価格帯になる予定だという。

□SRS Labsのホームページ
http://www.srslabs.com/

□2002 International CESのホームページ
http://www.cesweb.org/

(2002年1月12日)

[Reported by トライゼット西川善司]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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