気になるグッズを衝動買い |
第53回:128MB内蔵のMP3/WMAプレーヤーで最安 安くしてくれてありがとう「Intel Pocket Concert」 |
AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。 |
■3月初旬の秋葉原にて
インテルといえば、PCに興味のある方で知らぬ人はいないほど有名な企業。そう、Pentium、Celeronシリーズをはじめ、WindowsベースPCなどに搭載されるCPUメーカーであります。
CPUは有名ですが、他の製品も作っていたことをご存知でありましょうか? なかには PCに接続する顕微鏡、なんて製品もあったのですが、自分が一番興味を惹かれたのはやはりシリコンオーディオプレーヤー。
「Intel Pocket Concert」は、MP3/WMAの再生に対応するプレーヤー。メモリカードなどの外部スロットは設けていないが、128MBのフラッシュメモリを搭載し、日本語表示対応の液晶ディスプレイを備えているのが特徴。
スペックだけを見るとなかなか魅力的なプレーヤーです。が、発売当初の店頭価格は3万円程度とかなりお高く、購入検討の対象には入っておりませんでした。だって、サイズが大きそうだし、CPU以外のインテル製品なんてよい評判聞いたこともないからねぇ。
おそらく、自分と似たような感想を持つ方が多かったのでしょう。爆発的に売れた、という話も聞くこともなく、ついに2001年10月、インテルはこのプレーヤーを含むコンシューマ製品からの撤退を発表したのであります。
そんなニュースも忘れかけていた3月の初旬、秋葉原で格安のシリコンプレーヤーがあると耳にしました。それが「Intel Pocket Concert」。この製品、標準価格はオープンプライスですが、これまでの価格はなんでも3万円前後。それが、7,000円台から買える超お買い得価格になってるそうじゃないですか。むむ、128MB内蔵で1万円割ってるプレーヤーってありませんからなぁ。とにかく、これは確認せねばなるまいて。
ということで、やってきました秋葉原。耳にした店舗に確認に行くと、「前日に売り切れた」とのご返答。ううむ、さすがにこれだけのお買い得商品、秋葉原という立わ地だけあって、買い物客も良い目をもっているものですな。
半ばあきらめかけて、駅に向かうと、駅前交差点前にある大型店の店頭でシリコンプレーヤーがデカデカと展示してありました。ふむふむ、このパッケージはどこかで見たような……。って、これがお目当ての「Intel Pocket Concert」じゃないですか。CPU製品でおなじみの青い帯の入ったパッケージで、まさに「インテル製品」。で、お値段を確認したところ、8,980円でありました。
ま、7,000円台では買えませんでしたが、この価格でもお買い得価格であることは確か。1万円未満で128MBの容量が使えて、日本語表示対応のプレーヤーが手に入るなんて思ってませんでしたよ。当然、その場でレジに持っていきましたとも。
あ~、そういえば3月って決算期ですわなぁ。この価格で提供されるってことは、まあ、それなりの大人の事情というヤツがあったのでしょう。ともあれ、自分としては思ぬ拾い物でありました。ありがとう、インテルさん。
■欲しい機能が手に入る高機能プレーヤー?
ちゅうことで、中身を改めるとしますかね。同梱品は、プレーヤー本体、ネックバンド型ヘッドフォン、USBケーブル、単4型乾電池×2本、キャリーケース、ベルトクリップ、CD-ROM×1枚という構成。
パッケージを見て初めて気づいたんですが、FMチューナも内蔵しています。いやはや、なかなか充実したプレーヤーではないでしょうか。ま、元の価格を考えれば相応(か、ちょっと高い?)という感じですけれども、1万円未満で入手できるプレーヤーと考えれば想像ができない豪華な内容です。
しかし、どういう事情があったのか、新品のはずなのに、プレーヤー本体にキズが……。液晶の保護フィルムの下にも、ちょっと汚れが目立ちました。さらに、付属のヘッドフォンにもデカいキズがございました。
これはお買い得価格の「わけアリ製品」故なのか、すべての製品がこういう状態で出荷されたのかは判断つきません。プレーヤー本体はマットな表面処理を施されたアルミニウム製ボディ。自分はあまり気にしない性質ですが、「大事に使っていこう」と考えてる方はご注意を。
プレーヤー本体のサイズは、アイ・オーの「HyperHyde Exrouge」と比較すると、かなり巨大に感じます。が、日本人の手のひらにもフィットするサイズで、シャツの胸ポケットにも余裕で入ります。USB端子は、通常のミニ形状だったので、市販のケーブルでも代用できそう。ヘッドフォンも付属してますが、ヘッドフォン端子はもちろんスレテオミニプラグ。気に入らなければ他のヘッドフォンに変えることもできます。ここらへんは「ユーザーの気に入ったものを自由に」というコンセプトなんでしょう。で、製造国は「Made in Korea」。韓国製ですな。
インターフェイスは、ボディ前面に再生/一時停止ボタンと、早送り/巻き戻しの3ボタンを、側面に各種の切り替えボタンと、電源スイッチ、そして押し込み可能なジョグダイヤルを装備。
本体の底面には携帯電話などでよく見受けられるような接点があります。これはオプションのクレードル接続用端子。クレードルを接続することで、別売の充電池に充電したり、プレーヤーを外部オーディオ機器に接続することも可能なのだとか。しかしながら、クレードルは日本未発売。ま、転送もUSBでお手軽だし、自分は「乾電池使い捨て派」なのでクレードルはいらないッスわ。
パッケージ。青い帯と「Intel」ロゴが印象的 | 同梱品一覧。1万円未満とは思えない豪華な内容 | 生産国表示は電池カバー裏面。「Made In Korea」でした |
使用前のプレーヤーの状態。保護フィルムの下に汚れが…… | 使用前についていたプレーヤーのキズ。ホントにこの状態で入ってました | 一番ひどいのが、ヘッドフォンについてたキズ。まあ、あまり気にしませんが |
■機能、操作性も大満足
んじゃ、まあ、とりあえず音を聞いてみますか。電源のスライドスイッチをONにして、再生っと。プレーヤー本体には、あらかじめサンプル曲が収録されてます。で、音質はというと、う~ん、付属のヘッドフォンが良くないのか?
付属のネックバンド型ヘッドフォンは、少々問題アリな様子。帯域がまとまり、ざらざらとした印象を受ける典型的な「安物」系の音質。しゃあないなぁ、自前のを繋ぎますか。ということで、自前の「KOSS ThePlug」に変えて再度リスニング。ふむふむ、多少ホワイトノイズが乗ってますが、屋外では放射雑音に紛れてしまうくらいのレベル。密閉度の高い「ThePlug」でそんな感じですから、問題ないでしょう。
MP3/WMAともに、「それぞれのフォーマットを忠実に」という感触の音質。「ThePlug」は低音強調気味なので、イコライザで「BASS」を-3程度に設定するとフラットな感触が得られます。ホワイトノイズ以外にノイズ感は薄く、音質的には満足です。サーチは音付きで、サビの部分もわかりやすく探せます。
FMチューナは、感度がちょっと不満かも。少し遮蔽物の多いところに入ると、ラジカセで問題ない場所でも雑音が入るんですわ。ヘッドフォンのケーブルをアンテナにしているようで、ケーブルの位置を調節すると多少は改善されます。しかし、チューニングはオートでやってくれるし、プリセットも可能。プリセット後は早送り/巻き戻しボタンで順次選局もできる。自分はあまりラジオ放送は聞きませんが、通勤/通学時に、ニュースやナイター中継を楽しまれる方にはメリットが大きいかと。
音量は20ステップで調節可能。最大出力は11mWと比較的大出力。多少インピーダンスの高いヘッドフォンでも、音量的に不満を感じることはないでしょう。試しに120Ωの「AKG K501」を繋いでみましたが、十分に鳴ってました。
ちなみにこのサンプル曲、最初のトラックには曲にあわせて使い方を解説するデータが入ってます。英語ですが。
自分の乏しい英語力では、この解説ですべての操作体系を理解できませんでしたが、大まかな操作方法はわかりました。ボリュームは上部の+/-、FM/プレーヤーの切り替えは「音符」マークボタン、電源スイッチを最上部までスライトすると、操作ロック、と。
紙のマニュアルは多言語のクイックマニュアルで、詳細はCD-ROMにPDFで収録されてますが、大抵の操作は直感的にわかります。英語がわからなくても、クイックマニュアルで大抵の操作が確認できるので安心。
で、一番便利なのは、ジョグダイヤルですなぁ。くるくる回して曲を選択。押し込むだけで曲が再生。もちろん、設定も同じように「くるくる、ポン」で設定可能。
本体左側面。FM/プレーヤー切り替え、電源、USB端子を配置 | 本体上部にはヘッドフォン端子とボリュームコントローラ | 本体右側面。ジョグダイヤルと設定用ボタン。ジョグダイヤルは押し込み可能で操作性高し |
プレイリストの編集機能などはついてませんが、プレーヤーの容量は128MB。大容量とはいえ、128kbpsで収録すると20曲程度がいいところ。プレイリストはいらんでしょう。液晶ディスプレイは、当然のようにID3タグを表示してくれて、漢字表示にも対応。操作時にはバックライトが点灯するので夜間での操作も安心です。
転送には、付属のCD-ROMから専用の転送ソフトをインストールする必要があります。転送ソフトの対応OSは、Windows 98/98 SE/2000。対応OSには含まれておりませんが、Windows XPでの転送もできました。で、インストール時にはMP3エンコード/プレーヤーソフト「Music match JukeBox」も同時にインストールしてくれます。
これは、日本市場では住友金属の扱う「Music match MP3 JukeBox」として知られるソフトですな。対応OSは転送ソフトと同じくWindows 98/98 SE/2000。Windows XP環境では一応使用可能でしたが、一部使えない機能もあるようです。ま、対応OSではないので当然といえば当然。
転送ソフトは、インターフェイスも普通で、使い勝手に特に問題なし。エンコードソフトが付いてますが、転送できるファイルに特に制限はなく、MP3/WMAであればなんでも転送可能です。著作権保護などのめんどくさい機能はナシ。やはりひと手間ないだけでも、転送作業は快適になります。なんといっても手持ちのファイルをすぐに転送できるのがよろしいです。
転送スピードは、約100MB分の転送で10分程度。リスト登録は、転送された順番に準拠します。プレイリスト編集機能はないけれども、転送時に自分の好きな曲順で登録すればOK。非常に快適でした。
音質のレベルも高く、操作性も快適、転送もらくらく。容量は128MBとかなりの大容量。漢字表示も可能だし、バックライト装備で視認性も問題なし。これだけの機能を備えていながら、撤退とはもったいない。やはりサイズと価格が受け入れられなかったのしょうか? と想像してみたりしますが。
液晶ディスプレイは漢字表示対応。スクロールスピードも適度で、長いファイル名でも読み取りやすい | バックライトは青色。操作時に3秒程度点灯。暗い場所でも問題なく確認できました |
■修理のために分解してみました
■■ 注意 ■■
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そんなこんなで自宅PCからMP3を転送しようかな、と思いながら机上にプレーヤーを取り出したるそのとき、おーっと、いけねぇいけねぇ、落としちまったよ。落下高度はおおよそ30cm。ま、これくらいなら壊れることもないでしょ。
しかし、その考えは甘かったようです。壊れました。使いやすいジョグダイヤルが。
ジョグダイヤルを確認してみると、見事に本体にめり込み、押し込まれた状態で固定。つまり、ダイヤルに触れることができなくなっているのであります。打ち所が悪かったのか……。
ううむ、修理に出して帰ってくるまでの時間がもったいないし、ここは自分で修理してみますか。え~と、ネジ、ネジっと。
ネジは電池収納部に2本発見。外してカバーを開けようとしたところ、う~ん、開かねぇ! ネジを外しても、カバーはべったりついたまま。しばらく格闘して、ネジ穴に細いドライバーをねじ込んで圧力をかけることで、ようやくカバーが外れました。で、カバーを見てみると、カバーのプラスチック部に1ヶ所、5mm程度の接着材の痕跡を確認。これでカバーが開かなかったのか。
さて、中はどうなっていたかと申しますと、基板2枚構成で、プロセッサはCirrusLogic製。フラッシュROMにはIntel製のチップが使われておりました。特にフラッシュROMチップが2枚の基板、それぞれの両面にこれでもかと配されているのが印象的。
で、件のジョグダイヤルはというと、うわ、基板からダイヤルが外れてるやんけ! 外れたプラスチック製のダイヤルを確認してみると、0.3mm程度の接着跡が1ヶ所あり、それ以外に特に基板に接合していた痕跡はなさそう。つまり、はめ込み式ではなく、接着してただけだったのね。しかも、こんな小さな接着面積で。
修理するには、ダイヤルを接着するだけで良さそう。が、これがまた大変は作業でして、中心軸に収まるよう、うまく接着できないのであります。1度はセンターを外れたまま、凸凹と回る状態でカバーを閉じましたが、接着が弱かったのか、3時間ほどで再度外れてしまいました。
で、まあ、ダマになった接着剤を取り除いては再度接着、を繰り返し、なんとか修理することができましたとさ。つーか、ダイヤルの接着弱すぎだっての。と、グチをこぼしてみたり。この個体がたまたま弱かったんですかねぇ?
カバーの裏面。接着面は5mm程度なので、破壊することなく分解できました | 基板の裏面。フラッシュROMチップは計6個。プロセッサはCirrusLogic製 | 基板の表面。再生/早送り/巻き戻しの接点を保護するためか、シートを装備 |
こちらが問題のダイヤル部。プラスチック製のダイヤルを中心に合わせて接着するのが大変 | 基板はこのように2枚重ねでボディ内に配置 |
■「探索する楽しみ」を持つ方に
サイズは少々大きいものの、手のひらであやるつには問題ないサイズ。贅沢を言えばもうひと回り小さくて、薄いのが好みですが。そうですなぁ、カセットテープサイズが最適かと。
アルミ製のボディは、購入当初から多少のキズがありましたが、それは使い込むうちに「味」のひとつとなるもの。まあ、気にしません。マットの表面処理は触りごこちもよく、高級感も高いです。
個人的にはあまり聞かないけれども、FMチューナも内蔵。メモリも128MBと、128kbpsで20曲程度の曲を収納するのに問題ないし、転送速度も100MBで10分と満足できるレベル。そして、なにより片手ですべてを操作できる操作性の高さがよろしい。
いやはや、このお値段でこれだけの高機能プレーヤーが手に入るとは。ジョグダイヤルが吹っ飛んだことを差し引いても、十分以上に満足できるお買い物でした。改めて言いましょう。ありがとう、インテルさん。
問題は、「お買い得価格で入手できるか否か」でありましょうか。その後、8,980円で購入した店舗に行ってみたところ、見事に売り切れ。しかし、他のお店では3万円程度でまだ扱っているお店もちらほらと発見。
これから1万円未満で入手するには難しいかもしれませんが、もし1万円未満で見かけることがあれば迷うことなく「買い」とオススメできる製品です。が、3万円の価値があるかどうかは……う~ん、判断はお任せします。
□インテルのホームページ
http://www.intel.co.jp/
□製品情報
http://www.intel.com/jp/home/products/audio/index.htm
(2002年3月12日)
[fujiwa-y@impress.co.jp]
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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp