「NAB2002リアルタイムレポート」
世界最大の放送機材展、米ラスベガスでいよいよ明日開幕


会期:4月08~11日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center
    Sands Expo Center



 4月8日~11日までの4日間、ここラスベガスにて放送機器展示会としては世界最大の「NAB2002」が開催される。AV Watchでは去年に引き続き、NAB2002リアルタイムレポートをお届けする。ただしリアルタイムとはいっても、時差の関係で掲載は1日遅れとなってしまうことをあらかじめお断わりしておく。

 会場は去年と同じく、Las Vegas Convention CenterとSands Expo Centerの2カ所に分かれている。今年はさらにLas Vegas Convention Centerに新しくSouth Hallが誕生したため、去年よりもトータルで1.5倍ほど展示規模が拡張していることになる。地図を見る限りでは、South Hallはなかなかの強者が揃っているようだ。詳しくは今後のレポートを楽しみにしていただきたい。

まだ閑散としたメインエントランス付近。すでに会場設営は完了している 奥まで続く新「SouthHall」。会場の端から端まではとてつもない距離だ

 NABは基本的にNTSC機材のショーなのであるが、世界的に見るとNTSCというフォーマットは、実は少数派。地球レベルでは、圧倒的にPAL圏の国が多いのである。しかしそれでもこれだけ放送の分野で幅をきかせてきたのは、やはりメディア大国アメリカの存在が大きい。また同時に放送機器メーカーが日米に集中しているということも考慮に入れていいだろう。

 しかし最近では、従来のNTSCだPALだといった放送フォーマットに関係のない技術も多く出現するようになった。例えばストリーミングやHDTVといった技術は、従来のNTSCやPALといったカテゴリーでは分けることができない。またコンピュータを使ったビデオ用機材は、NTSCにもPALにも転用しやすい。したがって出展企業も来場者も、ヨーロッパや中東、中東南アジアなどのPAL圏から幅広く集まるようになり、よりいっそうインターナショナル色が強くなっている。

 本日こちらは日曜日で、例年ならば明日から始まるショーへ向けての準備があちこちで進められている風景が見られたものだ。しかし今年は日曜日の段階でほとんどの準備がすでに完了しており、そのせいかメイン会場となるLas Vegas Convention Centerも、いつもよりややテンションが低く思えた。

メインエントランスを抜けて開場前のロビーに進む。出展スタッフもほとんどセッティングを終えている おなじみNABStoreグッズを販売するNABStore。Tシャツから専門技術書まで幅広く取り扱っている 今年のテーマカラーは、なんと黄緑。ちょっと飾り付けには地味な色合いである

 一般的にアメリカ人は土日は休むものだ、というイメージが我々にはある。日本でも外資系企業は、きちんと土日休みにしているところが多い。しかしアメリカ人にとっても、NAB期間中は例外中の例外だ。日曜日の今日も、日中のカンファレンスが終わったあとに、ホテルのミーティングルームでメーカーによるユーザーミーティングや、プライベートショーなどが精力的に開催された。サンドイッチとソフトドリンクで腹ごしらえをしながら、夜遅くまで新技術や新バージョンの発表などが繰り広げられている。

 今回はホテル「シーザーズパレス」で行なわれた、Discreet社のユーザーミーティングに参加した。およそ1,000人ほどのホールはほぼ満席で、後ろの方には立ち見がでるほどの人気ぶり。ベータバージョンのデモンストレーションでソフトウェアがダウンするといったハプニングにも、参加者は笑いと拍手で歓迎するなど、アットホームな雰囲気ながらも熱心に新技術の発表に耳を傾ける姿が印象的であった。

 ある意味アメリカも今、経済面と技術面でターニングポイントを迎えつつある。そこにはかつての「発明と特許の国」たる奢りはみじんもなく、恐るべきパワーで突破口を切り開こうとする姿なのかもしれない。

 さて例年のことであるが、NABでは多くの出展企業が話題作りのために、今まで極秘で開発を進めてきたいわゆる「隠し球」を持って出展してくる。今回はいったいどんな目玉が飛び出すだろうか。今年もNABから目が離せない。

□NAB2002のホームページ
http://www.nab.org/conventions/nab2002/
□関連記事
【リンク集】NAB2002レポートリンク集
http://av.watch.impress.co.jp/docs/link/nab2002.htm
【バックナンバー】NAB2001リアルタイムレポート インデックス
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010502/nabindex.htm

(2002年4月8日)


= 小寺信良 =  テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「ややこしい話を簡単に、簡単な話をそのままに」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンピュータのフィールドで幅広く執筆を行なう。性格は温厚かつ粘着質で、日常会話では主にボケ役。

[Reported by 小寺信良]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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