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第7回:待望のズームレンズとプログレッシブ入力を装備
~ マイナーチェンジの結果は? 「プラスビジョン Piano Avanti」 ~


 「ホームシアター」ならぬ「テーブルトップシアター」を提唱する小型軽量のDLPプロジェクターPiano「HE-3100」がマイナーチェンジ。Piano Avanti「HE-3200」として新登場した。今回は「前モデルからどう変わったのか」という点を意識しつつ紹介する。


■ 設置性チェック~ズームレンズをついに搭載

HE-3200(Piano Avanti)。直販価格は298,000円
 本体サイズは235×198×91mm(幅×奥行き×高さ)と非常に小さく、設置面積はおよそA5サイズといったところ。重量は約2.0kgとモバイル系ノートPC並に軽い。

 本体ボディカラーはシルバー、ホワイト、ブラック、レッド、イエローの5色を設定。部屋の雰囲気と調和のとれた色を選ぶのもよし、インテリアのアクセントとしてインパクトの強い色を選ぶのもお好み次第というわけだ。なお、前モデルで設定されていたブルーは姿を消している。

 設置方式は床置きフロント、天吊りフロント、床置きリア、天吊りリアの全パターンに対応する。投射角度は一般的なプロジェクタ製品よりも上向きな(投射仰角が大きい)設定となっている。これは高さの低いリビングテーブルに設置した場合を考慮したためだ。フロント床置き設置時に100インチ(4:3)投影を行なった場合、設置台(テーブル上面)位置よりも映像は約38cmも上に投影される。これは一般的なプロジェクタ製品の2倍にあたる当たる値。

 気を付けなければならないのは、天吊り常設を考えているユーザー。よほど設置位置を高くしないと逆に映像が下に来てしまうことになる。純正オプションの天吊り金具としては、低天井用の天吊り金具「HE-CB110」(42,000円)、高天井用天吊り金具「HE-CB350」(45,000円)が用意されている。

 金具自体の高さは低天井用が110mm、高天井用が可変300~350mm。低天井用を組み合わせた100インチ(4:3)投影時には、映像は天井から約50cm下に出ることになる。日本の一般的な家屋で本機を天吊り設置した場合、天井側にオフセット加工(天吊り金具を天井側に潜り込ませる補強工事)が必要になるケースが多くなるだろう。

本体デザインはハイビジョンDMDを搭載する「VP-12S1」とほとんど変わらない 本体上面の操作スイッチ類。レンズ脇のつまみでレンズシフトが行なえる

 設置用オプションがこのほかにもいくつかあるので簡単に紹介しておこう。プロジェクタ台「HE-WN101」(18,000円)は、25mmピッチで高さ152~377mmまでの工程アジャストができる設置台だ。一般的なプロジェクタ台とは異なり車輪(キャスタ)はついていない。

 テーブルトップ用チルトスタンド「HE-TS101」(1万円)は高さ調整機能を省略した設置台で、本機を載せた状態で右20度、上下7度の角度調整が行なえる。

 このチルトスタンドには、さらに疑似天吊用オプション「HE-TS102」(5,000円)というものが設定されている。これはチルトスタンドに本機を天地逆転して設置する金具で、天井加工が出来ないケースで疑似天吊り投影を行なうために使用する。本棚などの上に載せて使えば天吊り投影のように頭上から映像が投影できるわけだが、前述の通り天吊り投影の場合、よほど設置位置を高くしないと映像が下に来てしまうので使用できる局面は限られるだろう。

左から、低天井用と高天井用天吊りユニット、チルトスタンド+擬似天吊りブラケット
 台形補正はデジタルベースで行なう方式で、補正方向は垂直のみ。補正を行なうとその処理の性格上、情報欠落が起こるので使用は臨時用に留めたい。

 100インチ(4:3)の投射距離は前モデル「HE-3100」で約3.5mだったが、本機ではズームレンズが採用されたために、最短約3.2mと短くなった。「小さな部屋でも大画面」というホームシアターの要件に応えた形の改良点だ。

 実際に使用して気づいたのは、フォーカス合わせのフォーカスリングと、ズーム調整のズームリングの位置が近すぎて使いにくいということ。男性の太めの指先だと、フォーカス調整をしているとズームリングまで触れてしまい、映像が大きくなったり小さくなったりしてしまう(もちろん逆も起こりうる)。それぞれのリング面を露出させるスリットの位置を変える、などの工夫をすれば対処できた問題だと思うのだが、筐体デザインを前モデルのものを流用したマイナーチェンジなので致し方ないところか。

 ファンの音は前モデルとさほど変わらない。プレイステーション 2と同程度だ。静かな部屋なら耳を澄ますとファンの回転音が聞こえるが、実際の使用中に気になることはない。


■ 操作性チェック~リモコンはシンプルで扱いやすい

HE-3100と同じ形状のリモコン。しかし、ボタンが蓄光式になった

 電源オンから、「Piano」のロゴが出てくるまでが13秒。入力映像が実際に投影されるまでは60秒かかる(ともに実測)。最近の製品としてはやや遅めだ。

 リモコンのデザインは、前モデルものとほぼ同じ。ただし、後述する接続端子の仕様変更に伴い、入力切り換えボタンのレイアウトが変更されている。また、全てのボタンが蓄光式になった。

 各入力は独立ボタンに割り当てられており、任意の入力ソースにワンストロークで切り換えられる。また、アスペクト比切り換え用に専用の切り換えボタンがあり、メニュー操作無しで変更できる。リモコン自体のサイズは非常に小型で、ボタンの数も少ないが、全体的にシンプルで扱いやすい。

 メニュー操作は、リモコン本体中央部にある十字ボタン、そして[SET]、[MENU]、[ESC]の3つの機能ボタンで行なう。ボタン数が少ないことと特徴的な十字配列ボタンのおかけで、ある程度慣れれば暗闇でも指触りだけでメニュー操作ができるようになる。

 リモコン操作関係で少々気になったのは、その反応について。視聴者より後ろに本機を設置した場合、リモコン操作をするためにはプロジェクタの方を振り向かなければならない。

 一般的なプロジェクタ製品の場合、赤外線リモコンの受光部は本体前面、あるいは前面と後面の両方に取り付けられている。このため、スクリーンに向けてリモコン操作を行なえば、本体前面の受光部がスクリーンに反射した赤外線信号が受信、正しくコマンドが処理される。こうした操作性が本機で実現されていないのは残念だ。

 実際に本体を視聴者よりも後ろに設置した場合、どの程度リモコン操作を正しく認識できるかテストしてみたが全くダメ。ユーザーがリモコンを明示的に本体背面の受光部に向けて行わないと操作が一切できなかった。

 「視聴者よりも前の低いテーブルに設置して使うのが基本だから」ということなのだろうが、純正天吊り金具オプションを設定し、機能として天吊り設置をサポートしている以上は、このようなケースでの操作性を十分なものにしてほしかった。


■ 接続性チェック~悲願の(!?)アナログRGB入力端子を実装

 今回のマイナーチェンジの目玉の1つとなっているのが、接続端子周りの改良だ。

 新モデルHE-3200では、前モデルHE-3100にあった独立したコンポジットビデオ端子がなくなり、その代わりアナログRGB(D-Sub15ピン)端子が追加された。前モデルではPC入力がDVI-D端子に限定されていたため、「ほとんどのノートPCが接続できない」という接続性の面で大きな制約があったわけだが、この変更により制約が取り払われたことになる。

 コンポジットビデオ端子がなくなったとはいえ、コンポーネントビデオ端子の緑色端子(Y端子)がコンポジットビデオ端子との兼用端子になっているため、コンポジットビデオの入力は可能。コンポーネントビデオ端子を利用中はコンポジットビデオ入力はできないことになるわけだが、多くのAV機器がSビデオ端子を備えている現在、この仕様がデメリットと感じるユーザーは少ないだろう。

 ところで、アナログRGB入力が可能になったことは歓迎したいが、本機はホームシアター向け製品なので、DVI-D端子をアナログRGBに変換可能なDVI-I端子に変更し、D-Sub15ピンではなくD端子を増設したほうがウケがよかったのではないか、と思ったりもする。

 前段で触れたように、各入力はリモコン上の入力切り換えボタンでダイレクトに任意の映像入力の選択が行なえる。ただ、切り換えボタンを押してから実際にその映像が表示されるまで約4秒(実測)もかかり、競合他機種と比べるとかなり遅い。このあたりは今後改善してほしいところだ。

左がHE-3200、右が前モデルのHE-3100。アナログRGB端子(D-Sub15ピン)が追加された。コンポーネント端子も金メッキになっている


■ 画質チェック~色深度は深め、ハイコントラストなのだが……

メニュー画面の拡大写真。TFTの影が見える透過型液晶と違い、「密な」画素配列を持つのがDLP方式プロジェクタの特徴
 映像の要であるDMD(Digital Micromirror Device)素子には、848×600ドットというユニークなものを採用。これはアスペクト比16:9のソースを848×480ドットで、アスペクト比4:3の映像を800×600ドットで投影できるようにするため。

 公称光出力は450ANSIルーメンと、競合他機種の60%程度の輝度しかない。ただし、実際にその映像を見てみると、暗いという印象は全くない。公称コントラスト比も700:1あり、この価格帯のプロジェクタとしては優秀な値だ。

 各画素の形状はほぼ完全な正方形で、各画素間の隙間は非常に小さい。映像全体として見たときには粒状感が全くなく、人肌のような単色の面の表現も非常に「濃密」に表現される。

 このハイコントラスト性能、そして濃密な画素配列は、DMD(Digital Micromirror Device)素子を使ったDLP(Digital Light Processing)方式の特長だ。本機はDLP方式のうち、最も基本的なシステムとなる、DMDを1枚使った単板式のため、カラーフィルターを高速回転させて多色表現を行なっている。

 全体的に色深度は深めで、グラデーション表現もマッハバンドを出すことなく自然で美しい。ただし、それは中間輝度以上の色に限定した話で、暗め目の色のグラデーションはマッハバンドが顕著に見える。明部の色が鮮烈なため、相対的に見た目のコントラストは高く、遠目に見ると鮮烈な映像なのだが、暗部の色表現は3板式の液晶タイプに比べてやや見劣りする。黒浮きはないが暗い階調の色表現は若干苦手なのだ。この特性は購入の際にあらかじめ認識しておく必要がある。

 さて、本機には競合他機種に見られるようなプリセットの色調プログラムがない。ただし、色温度は「低-標準-高」の3段階、またはカスタム設定が選択でき、ガンマ補正も「ビデオ-フィルム-グラフィックス」の3種類、あるいはカスタム設定が選べるようになっている。また、全入力ソースについて「明るさ」、「コントラスト」の調整が可能で、ビデオ系映像に対しては「色の濃さ」、「色合い」、「シャープネス」の調整も行なえる。

 作り込んだオリジナル色調は、メニューの「ユーザメモリ」項目の「セーブ」にて保存することが可能。保存できる色調は、各入力端子ごとに1個ずつまで。色調設定を初期化してもユーザーメモリの内容は保存されるので、「ロード」を行なえばいつでも登録したオリジナルの色調が呼び出せる。本機はいわゆるカジュアルユーザー向きの製品だが、こうした上級ユーザー向けの本格的な機能も備わっているのだ。

 ここで、前述したガンマ補正モードについて、簡単にインプレッションを述べておこう。

○ビデオ

 明るいところがより明るくなり、色温度が高めになる。全体的にハイコントラスト。アニメやバラエティ、スポーツ中継向きのモードだと言える。

○フィルム

 明るい色の輝度が抑えられ、明部の階調表現もきめ細かくなる。中間階調の色深度も深い。モード名通り、映画向きのモード。

○グラフィクス

 色温度が高くなり全体的に明るくなる。色そのものの再現方針は「ビデオ」モードに近いようだ。コンピュータ画面やゲーム画面向きのモード。

 各モードのテストは、色温度を標準、そのほかの調整項目をデフォルト設定にして行なった。なお、こうした調整項目をいじってから気が付いたのは、どのガンマ補正モードを選択しても、あるいは色温度を上げ下げしても、暗部の階調不足が改善されなかった点だ。一方、明部の階調性はフィルムモードを選択すると劇的に向上する。色の再現性を重視するユーザーは「フィルムモード」を中心に使うといいだろう。

メニュー画面。左から画調を調整する「映像1」、プログレッシブモードなどを設定する「映像2」、設置方法などを指定する「設定」 (c)Disney Enterprises,Inc.


■ 各映像ソース別の画質チェック~480p入力に対応し、1080iも簡易表示が可能

 実際に映像ソースを見たときのインプレッションを述べておく。

●DVDビデオ(コンポーネントビデオ接続)

 今回のマイナーチェンジで、プログレッシブDVDプレーヤーの480p映像出力を入力できるようになった。また従来通り、2-3プルダウン方式のプログレッシブロジックも内蔵されているので、インタレース出力のみのDVDプレーヤーの映像もプログレッシブDVDプレーヤー相当の480pに変換して投影できる。

 実際に、パイオニアのプログレッシブDVDプレーヤー「DV-S747A」を用いて、インターレース出力したときとプログレッシブ出力したときの両方の映像を見比べてみたが、ほとんど違いはわからなかった。内蔵の2-3プルダウン・プログレシップ化ロジックの品質は良好のようだ。

 続いて色再現性についてだが、やはり映像ソースによっては単板式DMDの欠点が露呈してしまうようだ。「スターウォーズ・エピソードI」のアナキンに対するジェダイテストのシーンのような、夕暮れ時の暗い色が中心の映像では、やはり暗部の階調不足が目立つ。「バーティカル・リミット」では、クレパス内部などの暗いシーンで同様の現象が見られる。暗い映像が多い映画は残念ながら多少辛いといわざるを得ない。

 また、どの映画ソースにおいても、ズームインするシーン、横方向にキャラクターが移動するシーン、横方向にカメラがパンするシーンではやはり映像にざわつき(カラーブレーキング)が見えてしまう。

●NTSCビデオ映像(S端子接続)

 ビデオデッキを接続し、本機で地上波テレビ放送を楽しんだり、あるいはVHSビデオソフトを楽しむこともあるだろう。実際に試してみたが肌の色乗りもよく、CRTテレビに近い映像が楽しめた。

 プログレッシブ化ロジックが働くので表示映像にチラツキはなく、密度の高い映像が楽しめる。

●ハイビジョン(コンポーネントビデオ接続)

 今回のマイナーチェンジにより、ハイビジョン映像(720p/1080i)が投影できるようになった。しかし、本機ではパネル解像度的にリアル表示できないので実質的には簡易表示となる。 実際に東芝のBSデジタルチューナ「TT-DS2000」を接続して見てみたが、ハイビジョン特有の解像感はそれなりに再現されており、十分実用になる映像が出せていた。

 微妙な斜め境界線の表現でジャギーが見て取れることもあるが、簡易表示であることを考えれば納得のいくレベルの表示だと思う。

●ゲーム(コンポーネントビデオ接続)

 プレイステーション 2(PS2)の映像出力はインターレース映像なので、本機ではプログレッシブ化されて表示されるはずだ。しかし、どうも相性が悪いのか、表示映像がややチラツキ気味になる。

 プログレッシブ化ロジックの動作モードの設定項目である「プロスキャンモード」を「ビデオ」、「オート」のいずれに設定しても状況は変わらない。画面が常に動くようなアクション系ゲームやレース系ゲームでは気にならないが、RPGやアドベンチャーゲーム、テーブルゲーム系のような、固定画面系のゲームでは気になる挙動だ。

 また、DVDビデオ鑑賞の時と同様、画面がスクロールするゲームや、画面内でキャラクターが移動するシーンでは、やはりカラーブレーキングが感じられる。また、「バイオハザード」、「鬼武者」といった暗いシーンが中心のゲームでは、やはり暗部階調表現でざわつきが顕著に出てしまう。

●PC(DVI-D接続、アナログRGB接続、ビデオカードGeForce3Ti200使用)

 拡大表示される640×480ドットでは、目立ったトゲやぼやけが見られない。リアル解像度表示に迫る品質といえる。そしてリアル解像度の800×600ドットは、表示パネル全域を使用した、ドット単位で美しい映像が出る。1,024×768ドットは圧縮表示となるが文字の視認性もまずまずといったところで、実用レベル。

 公称スペックでは1,280×1,024ドットには対応していないことになっているが、実際入力してみたところ、圧縮表示ながら正しい表示が可能だった。なかなか優秀だ。

 アナログRGB接続時には、1,360×768ドット、1,280×960ドット、1,280×720ドット、1,600×900ドットといったイレギュラーな解像度もテストしてみたが、アスペクト比4:3に強制変換され、圧縮表示できた。欲をいえば1,360×768ドット、1,280×720ドット、1,600×900ドットといったアスペクト比16:9の画面モードは、848×480ドットで表示してくれるとよかった。

 ただ意外なことに、リアル表示であるアスペクト比16:9の848×480ドットは全く表示できず、「NO SIGNAL」のメッセージが出た。これはぜひ対応して欲しかった。

【DVDビデオ『ダイナソー』での投影画像】
 コンポーネント接続の投影画像をデジタルカメラ「D100」で撮影した。ソースはDVDビデオの「ダイナソー」(国内盤)。D100の設定は、コントラストをLowにした以外、すべてAUTOにしている。

 撮影後、1,024×576ドットにリサイズし、下に掲載している部分画像を切り出した。部分画像をクリックすると全体(640×360ドット)を表示する。

(c)Disney Enterprises,Inc.

コンポーネント接続
(フィルム)
DVI-D接続
(フィルム)

視聴機材
 ・スクリーン:オーロラ「VCE-100」
 ・DVDプレーヤー:パイオニア「DV-S747A
 ・コンポーネントケーブル:カナレ「3VS05-5C-RCAP-SB」(5m)


■ まとめ

投射距離(16:9)
※台形補正機能は使用せず、ズーム最短の状態
 画質チェックのセクションでは、かなりカラーブレーキングや暗部の階調不足を指摘してしまったが、カラーブレーキングの方は、その知覚に個人差があるといわれている。筆者はやや過敏なようだが、ほとんど感じない人もいる。よって、購入前にはぜひ一度、ショールームなどに足を運んで、本機の出力映像を実際に見たほうがいい。

 なお、余談だが、3枚のDMDを使った3板式DMDタイプのDLPプロジェクタでは、そうした暗部の階調不足、カラーブレーキングはその原理上、解消される。しかし、液晶パネルと比べてDMDは1枚あたりのコストが高価で、かつ光学エンジンが複雑で大がかりになるため、200万円以下の3板式DMDタイプの製品はまだリリースされていない。

 DMDが高価なのは、パテント的にも技術的にも製造できるのがテキサスインスツルメンツに限定されていることも原因の1つだが、あと数年もすればいずれ価格は下がり、安価な3板式DMDタイプも出てくるとも考えられる。

 では、本機はどういったユーザー向けの製品なのだろうか。

 今回、接続端子の充実が図られ、表示対応映像モードも増加した。しかし、厳しい言い方をすれば、これは機能強化というよりは、前モデルのユーザーから指摘された「弱点の補強」にすぎない。基本設計が前モデルから変わらないこともあり、基本スペック的には同価格帯の最新液晶モデルに対するアドバンテージは残念ながらあまりないという印象だ。

 となれば、HE-3200の魅力とは何か。それは、競合液晶モデルにない以下の点になる。

 となると、「リビングに常設」ではなく、家族の中の「使いたい人が」、「使いたい部屋で」、「使いたいときに使う」という活用スタイルを獲得したい、カジュアルユーザー向けの製品と言うことになるだろう。

 ちなみに、9月より前モデルHE-3100の有償アップグレードサービスも実施される。料金は5万円。詳しい内容についてはプラスビジョンのサポートWebサイトの方を参照してほしい。プロジェクタは決して安い買い物ではないので、こういったサービスは歓迎したい。

【HE-3200の主な仕様】
パネル解像度 848×600ドット
レンズ 光学1.2倍手動ズーム
明るさ 450ANSIルーメン
光源 130W高圧水銀ランプ
コントラスト比 700:1
投影サイズ 32~184インチ
映像入力 DVI-D×1、アナログRGB(D-Sub15ピン)×1、コンポーネント(RCA×3)×1、S映像×1、コンポジット×1(コンポーネント兼用)
騒音 32dB
対応ビデオ信号 1080i/720p/576p/480p/480i
消費電力 200W
外形寸法 235×198×91mm(幅×奥行き×高さ、脚部含む)
重量 約2kg

□プラスビジョンのホームページ
http://www.plus-vision.com/
□製品情報
http://piano.plus-vision.com/jp/product/
□関連記事
【5月16日】【大画面】低価格プロジェクタ4機種を試す
~ その4 プラスビジョン「HE-3100」(Piano)編
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020516/dg02_4.htm
【7月1日】プラスビジョン、DLPプロジェクタ「新Piano」の発売を7月20日に決定
―アップグレードサービスの内容も公開。料金は5万円
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020701/plus.htm
【5月29日】プラスビジョン、DLPプロジェクタ「Piano」の新モデル
―プログレッシブ/ハイビジョン対応、アップグレードも実施
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020529/plus.htm

(2002年8月22日)


= 西川善司 =  ビクターの反射型液晶プロジェクタDLA-G10(1,000ANSIルーメン、1,365×1,024リアル)を中核にした10スピーカー、100インチシステムを4年前に構築。迫力の映像とサウンドに本人はご満悦のようだが、残された借金もサラウンド級(!?)らしい。
 本誌では1月の2002 International CESをレポート。山のような米国盤DVDとともに帰国した。僚誌「GAME Watch」でもPCゲームや海外イベントを中心にレポートしている。

[Reported by トライゼット西川善司]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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