■ 主な特徴
その代わり、10型ワイド液晶ディスプイは現行品では最大の広さ。5型や7型程度のディスプレイでは得られない迫力が体験できる。 ただし、これだけのサイズと重量になると、通勤や通学時に携帯するのは現実的ではない。一番しっくりくるのは、車での移動だろう。それを見越してか、車のシガレットライターソケットから電源をとるためのDCアダプタが同梱されている。 ディスプレイ以外の特徴としては、メモリースティックスロットの搭載が目に付く。メモリースティック内のJPEGおよびMP3を再生できる。ソニー製の「DVP-FX1」や「DVP-F5」(ともに2000年5月発売、販売終了)、「D-VM1」(2001年11月発売)でも実現していなかったフィーチャーなので、その使い勝手も気になるところだ。
連続再生時間は、最大で約4時間30分(カタログ値)。8.9型ワイド液晶ディスプレイを搭載した東芝の「MED900J」に比べると、1時間ほど短い。なお、バッテリのフル充電には約7時間(カタログ値)かかる。
本体右側面には1系統の映像入出力端子を備え、S映像、またはコンポジットでの出力が可能。専用のS映像/コンポジットの二股ケーブルを使用する。一方、音声出力としては光デジタル/アナログ兼用端子を装備し、光デジタルからドルビーデジタルとDTSのビットストリーム出力が可能だ。また、珍しいことに2系統のヘッドフォン端子を装備。映像入力(コンポジット)、音声入力(アナログ)も装備しているので、活用範囲は広い。 再生可能なディスクは、DVDビデオ、ビデオCD、音楽CD、CD-R/RW。CD-R/RWに記録したMP3ファイルや、JPEGファイルの再生にも対応する。 DVD-RAM、DVD-RWのVRフォーマットは再生不可能。また、WMA、WMV、DivX、RMP4といったファイルも認識できなかった。ただし、リージョン1のDVDビデオと、リージョン2のPAL収録ソフトについては編集部で再生を確認した。
■ DVDビデオ再生時の操作性 視聴者の近くに置かれるポータブルDVDの場合、リモコンに頼らずとも主要機能を操作できる方が望ましい。DVD-L100Jの場合、再生、停止、一時停止、早送り、早戻し、カーソル移動などを本体で制御できる。 ただし、字幕、音声、アングルのダイレクト切り替えボタンはリモコンにしかない。その代わり本体には、それらを一括して設定する「DISPLAY」ボタン(OSDでの表記は「画面表示」)を備えている。本体、リモコンともボタン表記は英語だが、OSDメニューはほとんど日本語化されている。 本体操作部で気になったのは、手前にある再生、停止、一時停止、スキップの各ボタンの配置。十文字に並んでいるため、慣れないうちは奥にあるカーソルボタンとよく間違えた。また、本体に早送りボタンと早戻しボタンがないのにも戸惑った。ボタン配置の不自然さは、ポータブルDVDプレーヤーにはよくあるが、本機の場合は筐体が大柄なので、もう少し工夫の余地があったのではと思う。
早送り速度は2/4/8/16/32/128倍速に切り替え可能。2倍速のみ音声付き早送り(ただし音声は間引かれる)や、字幕の連続表示に対応する。また、一時停止時に早送りボタンを押すと、スロー送りが可能で、このときも字幕の連続再生を維持する。コマ送りは、一時停止ボタンを連打することで行なう。コマ戻しは不可能。リピートは、タイトルリピート、チャプタリピート、ABリピートを設定できる。 再生停止後のリジューム機能を搭載しているが、ディスクを本体から取り出してもリジュームできる「ディスクリジューム」には対応していない。また、ディスクを入れたままでの電源OFFからのリジュームもできない。困ったのは、一時停止の状態で一定時間操作しないと、自動的に再生を停止してしまい、その後数分で自動的に電源がOFFになってしまうこと。電源が切れるとリジュームが効かないため、一時停止した位置から再生することができなくなる。また、最大3ポイントまでのマーカー機能もあるが、やはりディスクの取り出しや電源OFFを実施すると効力を失う。 初期設定はディスクの再生中に呼び出せないタイプ。設定項目は、画面、音声、パレンタルロックなどベーシックな項目のみ。
■ DVDビデオ再生時の画質 液晶ディスプレイで観たDVDビデオは、ノートPCの画質と同程度だった。ダイナミックレンジが狭く、黒浮きが目立つ上、赤が朱色に傾いている。ただし、小型の液晶ディスプレイにありがちな、輪郭のにじみやざわつきがないため、この種の液晶ディスプレイとしては高画質だと感じる。特に洋画ソフトとのマッチングは良い。また、800×480ドットと画素数を抑えたためか、動きはMED900Jよりも滑らかだ。 横方向の視野角はかなり広く、ほぼ真横でも見えるほど。反面、上下は広くない。ディスプレイに正対した状態でパネルを傾けていくと、ちょっと動かしたところで緑かぶりし、徐々に黒の領域が増えていく。緑かぶりのまったくないスイートスポットとなると、事実上、ディスプレイと平行に正対した状態だけになる。もっとも、緑かぶりに対してシビアにならなければ、実用上問題ないレベルといえる。 画質設定項目は一切なし。その代わりディスプレイ右横のダイヤルでバックライトの輝度を調整できる。調整幅はそれほど広くないものの、場面によっては黒浮きを少し抑える程度の使い方は可能だ。 外部機器へは、S映像またはコンポジットのインタレース映像が出力できる。液晶ディスプレイと外部機器の同時表示も可能で、液晶ディスプレイだけをOFFにすることや、液晶ディスプレイを閉じたまま再生することも可能。閉じた状態でもリモコンは使用できる。 外部出力の画質は、最近のラインナップでいえば27MHz DACのエントリークラスといった印象。ノイズが多く、画も濁りがちだ。ただし、これは据え置き型と比べた場合の話。サブプレーヤーと割り切れば、問題なく使用できる。 なお、外部入力からの画像を液晶ディスプレイに表示すると、4:3の画像を画面いっぱいに引き伸ばして表示する。また、DVDレコーダからの画像を入れてみたが、にじみや輪郭の崩れが目に付く。DVD再生時の画像に比べると、かなり見劣りを覚えた。とはいえ、旅行先でDVカメラの映像を複数人で見る時などに便利だろう。
■ メモリースティックとの連携 メモリースティックスロット経由で読み込めるのは、MP3ファイルとJPEGファイル。MGメモリースティックやメモリースティックPROには対応していない。MP3再生はリピートやシャッフル再生が可能。ID3タグの表示も可能だが、日本語表示はサポートしていない。 音声は内蔵のスピーカーでも出力できるが、アナログまたは光デジタルでの出力も可能。内蔵スピーカーの場合、広がりを付加するPhantom Surroundというバーチャルサラウンドをかけることができる。
JPEGは最大1,600×1,200ドットの画像まで表示できる。基本的にはメモリースティックを使用するデジタルカメラの画像を表示するためのもので、PCから転送した画像については、サムネイルが付かないなどの制限が付く。
ただし、表示、レタッチともに動作が重く、本格的に使用するには無理がある。試みは面白いが、表示の上限が1,600×1,200ドットまでだったり、4:3の画像もすべてワイドに引き伸ばされてしまうなど、使い勝手の面でとまどう部分も多い。キャンプ場などの出先で撮影画像を大きく表示し、みんなでワイワイ楽しむためのものだろう。
■ まとめ ポータブルDVDプレーヤーでの10型ワイドは予想以上に大きく、他社製品では得られない迫力が体験できた。持ち運びにこそ苦労するが、ここまで大きければ映画ソフトもしっかり楽しめるだろう。また、MP3やJPEGの再生、メモリースティックとの連携など、付加機能が多いのも特徴。家庭内でのサブプレーヤー、またはサブディスプレイとしても有効に活用できそうだ。 気になったのは液晶ディスプレイの品質。画質的にはノートPCより少し良い程度なので、本体の大きさを考えると、ユーザーによっては、DVDドライブ搭載のノートPCと利用シーンがかぶる可能性が高い。現在、中・大型の液晶テレビの高画質化が目覚しいので、パネルメーカーのSamsungには、ポータブルDVDプレーヤーにおける高画質化にも期待したい。
□サムスンのホームページ (2003年3月19日) [AV Watch編集部/orimoto@impress.co.jp]
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