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パナソニック、4K放送画質進化の有機ELビエラ「HZ1800/1000」。Dolby Vision IQ搭載

4K有機ELビエラ「HZ1800シリーズ」(写真左)と、「HZ1000シリーズ」(右)

パナソニックは、有機ELテレビの新製品として、画質と音質機能を強化した「HZ1800シリーズ」と、「HZ1000シリーズ」を6月26日より順次発売する。2シリーズともに、55型と65型の2サイズを用意。全て価格はオープンプライスで、店頭予想価格は28万円(TH-55HZ1000)から。

【4K有機ELテレビ・VIERA HZ1800シリーズ】
・65型「TH-65HZ1800」 未定 8月下旬発売
・55型「TH-55HZ1800」 未定 8月下旬発売

【4K有機ELテレビ・VIERA HZ1000シリーズ】
・65型「TH-65HZ1000」 店頭予想価格42万円前後 6月26日発売
・55型「TH-55HZ1000」 同28万円前後 6月26日発売

'19年7月発売の「GZ1800/GZ1000シリーズ」の後継機。新シリーズでは、AIを使った高画質化機能「AI HDRリマスター」や、独自のパネル制御技術を進化させることで、従来機種よりも明るく高コントラストな4K映像を実現。室内の明るさに応じて、画質を最適化する新技術Dolby Vision IQに新対応したほか、倒れにくい転倒防止スタンドやスイーベル機能の追加など、利便性も向上させた。

TH-65HZ1800

ミドル機のHZ1800シリーズと、スタンダード機のHZ1000シリーズとの主な違いは、テレビ背面上部に上向き設置したイネーブルドスピーカーと、低音域を出力するウーファー&パッシブラジエーターの有無。その他の画質性能や機能などは、両シリーズで違いは無い。

TH-65HZ1000

4K放送はより明るく鮮やかに。暗部階調の表現力改善。Dolby Vision IQも

全モデルで4K/3,840×2,160ドットの有機ELパネルを採用。フラッグシップGZ2000シリーズで搭載する独自設計の構造と素材、パネル駆動を謳う“Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ”ではなく、通常タイプのパネルとなる。

有機ELビエラ独自の信号処理技術「ヘキサクロマドライブ プラス」により、自然でリアルな色彩を実現。業務用マスターモニターにも採用されている色補正技術の3次元カラーマネジメント回路「ダイナミック 3D-LUT」は、パネル特性にあわせてチューニングしており、画面の明るさに応じて、動的に補正量を変化させることで暗部だけでなく明部でも階調と色彩を忠実に再現するという。

また、ヘキサクロマドライブ プラスの色のチューニングには、独自開発の測定ツールが使われており、全輝度域で測定誤差を低減することで、業務用のマスターモニターの精度に近い色再現力を実現するとしている。

ヘキサクロマドライブ

'20年モデルでは、画素単位で明るさや色の情報を個別で制御し、高いコントラストの表現力と色忠実再現性を実現するパネル制御「Dot Contrastパネルコントローラー」をブラッシュアップ。明るさの分布まで解析し制御するアルゴリズムを追加することで、暗いシーンのコントラスト表現を一層強化したという。

Dot Contrastパネルコントローラー

地デジも4K放送も、高コントラスト映像に高画質化する「AI HDRリマスター」を引き続き搭載。これは、地デジなどのSDR映像を高画質化するため、AIにSDR映像とHDR映像のデータベースを機械学習させ、その学習データを元に最適な画質処理をすることでSDR映像もHDR映像のように高コントラストに変換するもの。

新モデルでは、同機能で新たな画質処理アルゴリズムを開発。HLGの映像信号に含まれる明るさ情報を、シーンごとにリアルタイムに解析、パネルの持つコントラスト性能を最大限引き出せるようHDR映像を高画質化。「あらゆる4K番組を明るく高コントラストに表示することが可能になった」という。

AI HDRリマスター
4K放送の高画質化処理前と、処理後のイメージ

前機種同様、Dolby Visionほか、Ultra HD Blu-ray(UHD BD)のHDR10、4K放送やビデオカメラなどに採用されているHLG(ハイブリッドログガンマ)、一部UHD BDなどで採用されているHDR10+の4方式をサポート。「HDR10+」と「ドルビービジョン」は高画質認証も取得。またハイダイナミックレンジで写真の臨場感を伝える「HLGフォト」再生にも対応する。

新機能として、室内の明るさに応じてDolby Visionの画質を自動で最適化する「Dolby Vision IQ」に対応。テレビに内蔵した光センサーから取得した部屋の明るさ情報をHDR画質処理に反映させることで、室内の環境に左右されることなく常に映像制作者が意図した画質が楽しめるという。

この他にも、HDR10コンテンツをシーンごとに輝度情報解析することで、ダイナミックメタデータを持つHDRコンテンツと同様にパネル性能を最大化できる「ダイナミックメタデータクリエーション」、地デジやネット動画などのあらゆる映像を4K高精細化する「4Kファインリマスターエンジン」、動く物体の境界線を認識して倍速補間を行なう「オブジェクト検出 倍速表示」、パネルの発光を制御して残像感を抑制する「クリアモーション」などの高画質化機能を引き続き搭載している。

ダイナミックメタデータクリエーション
オブジェクト検出 倍速表示
残像感を抑制する「クリアモーション」

HZ1800にはイネーブルドスピーカーを搭載。リモコンマイクで音響測定も

TH-55HZ1800

HZ1800シリーズでは、前世代まで採用してきたサウンドバー形状のスピーカーをテレビ本体と一体化させたデザインへ変更。前方を向いたフルレンジスピーカーと、背面ウーファー、背面上部のイネーブルドスピーカーによる総合出力80W(15W+15W+15W+15W+20W)のダイナミックサウンドシステムとなった。

HZ1800シリーズのスピーカーシステム構成
背面上部に搭載したイネーブルドスピーカー

左右のフルレンジスピーカーは、前向き配置とすることで、ボーカルの声やセリフなどをクリアな音で再生。大口径ウーファーと対向配置した2基のパッシブラジエーターが迫力ある低音を。そして背面上部に搭載したイネーブルドスピーカーが音を天井に反射させることで、立体的で臨場感ある音と画面中央への音像定位を実現したという。

またリモコンのマイクで音響環境を計測する「Space Tune Auto」を搭載。テレビでテストトーンを再生し、視聴位置でリモコンのマイクで計測すると、天井や壁からの距離や反射の影響などを解析して、視聴環境に合わせた最適な音質補正を自動的に行なうことができる。

TH-55HZ1000

HZ1000シリーズは、高剛性スピーカーボックスにより力強い音を実現する最大出力30W(15W×2)のスピーカーシステムを搭載。独自の測定方法に基づいた位相補正により、音響特性・音像定位を改善し、映像の中から聞こえてくるようなリアルな音質を目指した。

また映像と音声で回路を分離するオーディオ専用回路を採用。低ノイズ・低歪みな音声信号回路としたことで、よりクリアでパワフルな音声を実現したという。HZ1800/HZ1000共に、Dolby Atmosをサポートする。

4Kチューナーは2基搭載。お部屋ジャンプリンクは4K放送受信対応に

HZ1800/HZ1000シリーズ共に、新4K衛星放送チューナーを2基、地上/BS/110度CSデジタルチューナーを3基搭載。別売の外付けUSB HDDを接続することで、4K放送の裏番組録画や、2K放送の2番組裏録が行なえる。4K放送の2番組同時録画はできないが、4K放送の録画中に2K放送の録画は可能。

2画面機能を搭載しており、2K放送+2K放送や、2K放送+BD/録画番組視聴も行なえる。ただし、4K放送視聴時は2画面表示はできない。

お部屋ジャンプリンクを使った4K放送番組の受信に対応。全録4K DIGA「DMR-4X1000/4X600」や、4K DIGA「DMR-4W400」などの“4Kお部屋ジャンプリンク対応サーバー”を組み合わせることで、DIGA内の4K録画番組を4K解像度のまま受信・再生できる。

全録4K DIGAとの組み合わせで、過去の録画番組と未来の放送予定番組を番組表からチェックできる「過去未来番組表」も4K放送に対応する。

番組やコンテンツ視聴を妨げずに、テレビ画面下部に接続機器やアプリ一覧が呼び出せるインターフェイス「かんたんホーム」を採用。'20年モデルでは、各アイコンでサムネイル表示されるようになっており、アプリを起動しなくてもおすすめ番組などを知ることができ、より見たいコンテンツを見つけやすくなった。

かんたんホーム画面

放送やVODなどを問わずコンテンツを横断的に探せる「アレコレチャンネル」も搭載。リモコンのアレコレボタンを押すと、テレビ放送や録画番組、VODなどが一覧表示される。視聴履歴から「おすすめの録画」や「おすすめの番組」なども表示できる。

リモコンには、NetflixとABEMA(旧AbemaTV)のダイレクトボタンを装備。dTV、Amazonビデオ、アクトビラ4K、ひかりTV 4K、デジタル・コンサートホール、YouTube、U-NEXTなどの映像配信サービスにも対応する。

リモコンに音声操作マイクを内蔵。マイクボタンを押すことで、リモコン単体で音声入力ができる。番組やインターネット動画の検索、録画予約、またチャンネルや音量変更といった基本的な操作が可能。またGoogleアシスタントやAmazon Alexa対応のスマートスピーカーから音声で操作することもできる。

リモコン(HZ1800/HZ1000シリーズ共通)

パナソニックのスマートフォンアプリ「TVシェア」を使えば、テレビの基本操作やスマホ内の写真・動画・音楽をビエラにシェアすることもできる。

スイーベル機能が付いた、新しい転倒防止スタンド

液晶の一部モデルでのみ採用していた、倒れにくい「転倒防止スタンド」を有機ELテレビで初めて採用。有機ELのデザインとマッチさせるため、吸着操作スイッチの構造を見直し、薄型デザインのスタンドを新開発している。また前後15度の範囲でテレビの向きが変えられる、スイーベル機能も搭載した。

HDMI入力端子は4系統で、全系統で18Gbps入力に対応。また有機ELビエラでは初めて、eARCをサポートする。

HDMIの他には、ビデオ入力×1、光デジタル音声出力×1、サブウーファー端子兼用ヘッドフォン×1、LAN×1、USB×3を備える。USB1端子のみUSB 3.0に対応。無線LANを内蔵し、Bluetoothは送受信をサポートする。

HZ1800シリーズの消費電力と年間消費電力量は、65型が475W、232kWh/年。55型が364W、182kWh/年。

スタンドを含めた外形寸法/重量は、65型が144.9×35×90.2cm(幅×奥行き×高さ)/約36kg、55型が122.8×35×77.8cm(同)/約30kg。

TH-65HZ1800の背面

HZ1000シリーズの消費電力と年間消費電力量は、65型が466W、232kWh/年。55型が355W、182kWh/年。

スタンドを含めた外形寸法/重量は、65型が144.9×34.8×90.2cm(幅×奥行き×高さ)/約32kg、55型が122.8×34.8×77.8cm(同)/約26kg。

TH-65HZ1000の背面