「Inter BEE」に最新3Dカメラやプロジェクタが登場

-コンシューマ向け超解像ビデオコンバータも


会期:11月18日~20日

会場:幕張メッセ

入場料:無料(要登録)


 映像と音響、通信に関する国内最大の放送機器展「Inter BEE 2009」が、幕張メッセで18日に開幕した。放送業界向けの展示会となっており、最新ビデオカメラやモニタ、映像配信システムなどが出展されている。会期は11月20日まで。



■ ソニーは3D関連製品を中心に展示

ソニーブースはワールドカップをイメージした展示。

 ソニーは、3D対応のプロジェクタやカメラ、編集システムなどを出展し、高付加価値の映像制作をサポートすることをアピール。今年のInter BEEのテーマを「次世代フローは、いつもソニーから」と定めている。なお、3D関連の製品は、通常の展示ホールとは別の国際会議場にある201会議室で展示している。

 11月9日から受注を開始したSXRD/4Kのデジタルシネマプロジェクタ「SRS-R320」は、L/R用のレンズユニットと米RealDの3Dデジタルシネマシステムを用いることで2Kの3D上映が可能。約1TBのHDDも内蔵する。価格はシステムにより異なるが、2Dシステムの場合約1,200万円~。

 マルチパーパスカメラ「HDC-P1」(2010年2月1日発売/304万5,000円)は、220万画素の3CCDカメラで、2台使用することで小型3Dカメラとして利用可能。展示エリアでも2台を組み合わせた撮影を行なっている。そのほか、3Dライブ制作とリニア編集用のシステムや、3D制作用のステレオイメージプロセッサといった製品が展示されている。


展示ホールのブースには、280型相当のLEDディスプレイ「3D LED Wall」を参考出展。メガネを配って、3D映像デモを行なっており、大勢の人が詰め掛けていた1台で3Dに対応できるプロジェクタ「SRS-R320」。2基のレンズを搭載可能としている。
「HDC-P1」2台を使った3D撮影のデモ3D映像制作用の製品のデモ

 また、18日に発表された業務向けのAVCHD機器「NXCAM」のカムコーダとフラッシュメモリユニットも参考展示している。Exmor技術搭載のCMOSセンサーとGレンズを搭載し、HD記録にはMPEG-4 AVC/H.264を、SD記録にはMPEG-2を採用。「業務用領域で培った操作性と、快適なファイルオペレーション」を特徴とする。

「NXCAM」のカムコーダGレンズを搭載している専用フラッシュメモリ
そのほか、カムコーダ関連では、Wi-Fiモジュールアダプタ「CBK-WA01」が参考出展。これは、撮影時前に記者などが作ったファイル名や原稿、クリップフラグ、エッセンスマークなどのメタデータをカメラ側に無線LAN経由で受け渡せるというもので、撮影中の映像をノートPCなどでモニターすることも可能。新しいメタデータのワークフローを実現するとしている既発売の11型有機ELビューファインダ「HDVF-EL100」も展示

 

既発売の“まめカムHD”「HXR-MC1」の展示エリアでは、オプションの水中ハウジングが展示されている同じく既発売「ロケーションポーター」の展示。リアルタイム伝送のデモを行なっている
液晶モニターでは、TRIMASTERシリーズ新製品の56型/3,840×2,160ドット「SRM-L560」(11月1日発売/682万5,000円)や、32型「PVM-L3200」(12月発売/141万7,500円)、HDMIも備えた9型「LMD-940W」(既発売/29万9,500円)などが展示されている


■ パナソニックはSD-Video制作向けツールなど

パナソニックブース

 2010年のバンクーバーオリンピックでハイビジョン機材を投入するパナソニックは、ウインタースポーツをイメージさせる撮影コーナーを用意。P2HDやAVCCAMなどのカメラ製品を出展している。

 新製品では、NABでも出展していた小型HDカメラ「AG-HCK10」とポータブルレコーダユニット「AG-HMR10」を展示。ハンディサイズを活かし、自由なアングルで撮影できる長所をアピールしている。また、2010年1月には、レコーダとカメラそれぞれに装着できる水中ハウジングが株式会社フィッシュアイから発売予定となっている。


撮影コーナー。小型HDカメラ「AG-HCK10」とポータブルレコーダユニット「AG-HMR10」などが展示されている
1kgという小型カムコーダ「AG-HMC45」1型で960×540ドットの高解像度LCOSビューファインダ「AJ-CVF100G」業務用と民生用機器の連携として、AG-HMR10とBDレコーダDIGAを組み合わせることで、AVCCAMコンテンツをプレビューし、Blu-rayにコピーできることを紹介するコーナーも

 コンテンツ関連では、オーサリングツール「MediaArtist」シリーズに、SD-Video用を提供予定。既存のツールは携帯電話キャリア向けに着うた/着うたフルや動画、Windows Mediaコンテンツ制作に利用できるオーサリングツールを提供中だが、新たに、ワンセグ対応携帯電話で視聴できるビデオコンテンツ制作用を来春をメドに提供予定。

 これは、ディズニーから発売されている、DVDビデオとmicroSDのセット製品などでの利用を想定したもの。実際にディズニーの製品にも、エンコーダはパナソニックの製品が使われているという。これまでモバイル向けオーサリングツールで培った独自技術により高画質変換を可能にしたことを特徴としている。今後はネットワーク配信サービスでの利用や、さらなる高画質化などを検討するとしている。
 

「MediaArtist」のSD-Video向けツールの展示SD-Video動画変換の設定画面高画質HD映像ソリューションとして、フルHDの3Dや4Kの映像制作/編集、4:3映像を16:9に変換する際などの修復技術なども紹介


■ SKnetがフルHD/超解像対応ビデオコンバータを'10年発売

 SKnetは、18日に発表したWindows 7対応のデジタル3波USBチューナ「MonsterTV U3」を展示するとともに、受信機向けのSDKも紹介。これは、地上/BS/110度CSデジタル放送の受信機や録画ソフトなどを開発できるもので、上記チューナを12台まで利用できるソフトも実現可能という。視聴/録画ソフト以外にも、地デジの電波測定用モニターなどへの利用も想定する。提供開始時期は12月下旬を予定。

USBチューナ「MonsterTV U3」。本体は従来のB-CASカードと同等のサイズチューナの同時接続デモを行なっていた
超解像対応のビデオコンバータ「SK-HQCO」

 また、民生向けの製品として、DVD映像を大型ディスプレイで視聴する際などに利用できるフルHD対応の超解像ビデオコンバータ「SK-HQCO」も展示。アンカーベイテクノロジーのスケーラ「ABT1030」を搭載し、1080pアップスケーリングが可能なほか、NECエレクトロニクスの1枚超解像プロセッサ「μPD9280GM」も搭載。アップスケーリングした映像の解像感を高める。

 HDMI入力2系統とコンポーネント/S映像/コンポジット入力も備え、セレクタとしても利用できる。出力は1系統のHDMI。スケーリングや超解像機能はバイパスも可能。2010年発売で、価格は未定だが、2~3万円を想定している。


720pの映像を、左はスルー、右はアップスケーリング/超解像を加えて出力出力した映像。左の映像では草の部分に粗さが目立つが、右では改善されている製品の主な仕様
そのほか、フルHDのMPEG-4 AVC/H.264にも対応したエンコーダ新製品も展示。ハードウェアエンコードの「SK-HD264HUE」とソフトウェアの「SK-HD264SWE」を用意。会場ではソフトウェアエンコーダと、同社ビデオキャプチャカードを使って、会場で撮影した映像を変換するデモを行なっていた

 アストロデザインのブースでは、4K×2Kカメラの試作機を展示。開発中のため仕様は明らかにされていないが、このカメラで撮影した映像を4Kモニタで再生していた。また、会場の様子をデュアルレンズ搭載の3Dカメラで撮影し、3Dモニタで視聴できるというデモも行なっていた。

4Kカメラの試作機。ニコン製レンズなどを搭載していた背面端子部撮影された4K映像のデモ
10月に発売されたばかりの4Kモニタ新製品「DM-3410」3Dカメラとモニタを使ったライブ映像の3D表示デモも
西華産業のブースでは、デジタルシネマ用カメラ「RED」の周辺機器を展示。左写真はREDなど対応カメラ2台を使って3D撮影ができるElement Technica製のアダプタ。右はREDで撮影した映像の変換用「BREAKOUT BOX」キヤノンブースでは、業務用カムコーダが並ぶ撮影コーナーの中に、5D MarkIIや1D MarkIVも出展。プロにも利用されていることがうかがえる

 KDDI研究所のブースでは、テレビ視聴の新しいスタイルを提案している。これは「近未来FMBCサービス」と題しており、固定電話/移動電話/放送の3つの融合を指すFMBCを進化させたもの。

 具体的には、テレビ放送画面に、データ放送のような情報エリアを設け、家族の嗜好に合った情報を提供するという内容。携帯電話をリモコンとし、テレビに映された最新情報などから、好みのコンテンツを選んで入手できる。VOD動画配信や、ショッピングなどとも連携可能。

 携帯電話でログインすることで、現在誰が視聴しているかを画面にアイコンで表示。観ている人に合わせた情報が提供され、その人がログアウトすると、残った人に向けた情報に絞り込まれる。「個人の嗜好」は、テレビから入手したコンテンツの履歴や、携帯電話でのEZweb利用履歴などで蓄積されたデータから判断できるという。

近未来FMBCサービスの紹介。左上の放送画面のほかに、様々な情報が表示されている携帯電話で、表示されたおすすめページから好みの情報を選択テレビの前にいる人に応じた情報だけを表示できる
そのほかの参考展示では、携帯のエリアワンセグを利用して、特定の道路の混雑状況などを知ることができるという事例を紹介動画をさまざまな角度から見られる「空間共有プレイヤ」に、携帯電話でコメントを投稿できる機能を組み合わせた展示も。デモでは、ボクシングをしている映像に様々な方向から声援を送るといった例を紹介
フィックスターズのブースでは、12月18日に発売される山と渓谷社のBlu-ray「四季穂高」に、フィックスターズのAVCソフトウェアエンコーダ「CodecSys Pro」に採用されたことを紹介。従来では約2日間を要していたエンコード時間が、1時間半に短縮されたという。BD以外にも、アクトビラ ビデオなどIPTV向けの利用も想定するPS3をアクセラレータとした「CE-10」も展示。残念ながら新型PS3は仕様変更されたため利用できなくなってしまったが、現在も販売は続けている
ヒビノプロオーディオ/インターサウンドなどのブースでは、Shureのヘッドフォン新モデル「SRH840」や、AKGのモニターヘッドフォン「K702」などゼンハイザーのブースでは、ハイエンドヘッドフォン「HD800」のほか、低価格な新製品「HD448」などの展示も


(2009年 11月 18日)

[AV Watch編集部 中林暁]