P2Pを使った著作権侵害への対応ガイドライン策定

-権利者とISPが協力して策定。対象はWinnyから


2月8日発表

 権利者団体やISP事業者団体などで構成される「ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策協議会」(CCIF)は8日、「ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害への対応に関するガイドライン」を策定し、公表した。

 ファイル共有ソフトによる著作権侵害事案に対して、総合セキュリティ対策会議の提言では、「ISPからの確認(警告)メールによる注意喚起」、「ISPによるアカウント停止」、「著作権者等から発信者への損害賠償請求」、「警察による捜査および検挙」の4つの方法を組み合わせて対応することが望ましいとされている。

 しかし、警察による捜査/検挙を除いた対策は、著作権者のみで対応するには限界があり、ISPの協力が不可欠であることから、2008年5月に両者が共同でCCIFを設立。対応を検討していた。

 今回のガイドラインでは、権利者からの著作権侵害行為の中止要請や、ISPが発信者に発信を中止するよう通知を送る流れなどに関して、権利者団体とISP双方における手続きの透明性を確保するとともに、ファイル共有ソフトによる著作権等権利侵害が違法行為であることの周知啓発を図る事を目的としている。

 今回のガイドラインでは、ファイル共有ソフトの「Winny」を使用したP2P通信を対象としているが、検知ツールの技術的検証がなされた通信形態について、対象を拡大する事も検討されている。

 まず、権利者団体は協議会で検証されたツールを用いて、無許可で公衆送信(送信可能化状態含む)されている侵害ファイルを入手。権利者団体が著作権等を有していない著作物を複製する場合には、あらかじめ著作権者等から複製に関して許諾を得て行なうという。

啓発文書様式の例
 その後、侵害ファイルが自己、または自己の会員に無許諾で複製されたものかを確認。ISPに対して、定められた様式を使った啓発文書の送信を依頼。侵害ファイル入手元のIPアドレスやポート番号、入手日時、ファイル名、ハッシュ、侵害ファイルの権利者名や権利内容、侵害の確認方法などもISPに提示する。

 ISPでは要請を受け、それがガイドラインの要件を満たしているかを確認。その上で、権利者団体が作成した啓発文書を発信者に送付、または同内容のメールを送付するという流れになる。

 こうした問題に関するユーザーからの問い合わせなどの対応には、著作権等の専門的知識や、P2Pファイル共有ソフトに関する技術的知識を必要とすることから、これらを解説し、質問集等をまとめたWebサイトをユーザーに案内する事、IPアドレスとタイムスタンプからユーザーを特定する作業が通信の秘密を侵害しうる行為であることから、法的論点を整理し、正当性を検証しておく事なども盛り込まれている。



(2010年 2月 8日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]