村田製作所、ワイヤレス充電できる電力伝送システム

-音楽プレーヤーやPCを置くだけで充電するデスクなど


手前にあるパーツの大きい方が送電、小さい方が受電モジュール。奥は同パーツを組み込んだ受電用ジャケットと充電台

6月28日発表

サンプル価格:980円
 (月産10万個受注時)

 村田製作所は、ワイヤレスで電力を供給できる電界結合方式の電力伝送システムを開発したと発表した。本体に電源ケーブルを接続せず、充電台に置くだけで携帯機器を充電したり、デスク自体を充電器にしてノートPCや携帯電話、デジカメなどを置くだけで充電するといった事も可能になるという。

 2010年秋を量産開始目標としており、月産1万台からスタート。サンプル価格は受電モジュール合わせて980円(月産10万個受注時)。

 モバイル機器の普及に伴い、ワイヤレス電力伝送システムの開発が行なわれているが、開発事例の多い電磁誘導方式には、充電ポイントから少しずれると充電できなくなるという課題がある。

 村田製作所では、電界結合型のワイヤレス電力伝送技術を持つTMMSの技術を採用。電界結合方式とは、送電側と受電側に電極を設置し、電極間に発生する電界を利用してエネルギーを伝送する方法で、電極間には容量が発生するため、容量結合方式とも呼ばれている。

 この技術に、村田製作所の回路設計技術を加え、さらに電極構造を工夫することで、位置自由度が高く、かつ高効率のワイヤレス電力伝送を実現したという。また、一つの充電台で複数種の電子機器の充電が可能。伝送部の発熱も少なく、機器への影響も軽減。村田製作所独自の安全制御方法も取り入れ、信頼性の高いシステムを実現し、位置自由度の高さを活かし、動くものにも充電できるという。

 伝送電力は1~10W。伝送効率はワイヤレス伝送部のみで90%以上。また、電力伝送のインターフェースとなる電極部が非常に薄く形成できるため、機器への組み込みが容易。さらに、充電台の素材には、透明、フレキシブルな樹脂など様々な材質が利用でき、高いデザイン性も実現できるとしている。送電モジュールの3W品でのターゲットサイズは50×25×10mm。受電モジュールは10×10×1.5mm。

 用途として同社では、携帯電話、携帯音楽プレーヤー、デジタルカメラ、ノートPCなどのモバイル機器や、照明、装飾品、住設関連などを想定。モバイル機器を置くだけで充電できるデスクや、交通機関、宿泊施設など、様々な所に導入することで、ACアダプタを使わず、どこでも充電可能な社会が実現できるとしている。


(2010年 6月 30日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]