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“ウェアラブル”はエプソンのDNA。BT-200は新世代の「スマートグラス」

左からレースクイーンの橋本 雪乃さん、ナカジマレーシング 中嶋悟監督、エプソン販売平野精一社長

 エプソンは28日、目の前の透過ディスプレイ上に映像を表示しながら、背景をそのまま見ることができるシースルーモバイルビューワー「MOVERIO(モベリオ)」の新モデル「MOVERIO BT-200」の発表会を開催した。

 MOVERIOは、背景が透過するメガネに映像を投射するという独自のヘッドマウントディスプレイ(HMD)。新モデルのBT-200は、大幅に小型/軽量化し、メガネに近いデザインに一新。本体重量は初代モデルのBT-100から約63%軽い88gとなり、装着感を向上。また、無線LANを搭載したほか、Miracastに対応し、スマートフォン映像をより手軽に楽しみやすくした。さらに、センサーやBluetoothなどを新搭載し、アプリの追加による機能強化も予定。

BT-200
シースルーなメガネ型のHMDとなる

 シースルーを活かしたHMDとしてだけでなく、ネットワーク接続やアプリ対応を行なったことから、エプソンではBT-200を「スマートグラス」として訴求していく。ブランド名は「MOVERIO」で、製品カテゴリ名が「シースルーモバイルビューワー」、ニックネームが「スマートグラス」と使い分けていくとのこと。

 BT-200は4月24日より発売し、店頭予想価格は7万円前後。製品の詳細は別記事で紹介しているので、ここでは発表会の模様をレポートする。

“ウェアラブル”はエプソンのDNA

エプソン販売 平野精一社長

 エプソン販売の平野精一代表取締役社長は、「Exceed Your Vision」という同社の目標を掲げ、新しい成長領域として「ウェアラブル」に取り組む姿勢を示した。その理由として、「セイコーエプソンの事業のベースは“ウォッチ(時計)”」とし、ウェアラブル製品が同社の強みであることを強調。1969年のクオーツや、1985年のリストコンピュータ、1999年のロカティオなどの挑戦的なウェアラブル製品を「エプソンのDNA」として紹介した。

 こうしたウェアラブル製品を実現するのが、ジャイロセンサーや省電力化技術などのエプソンのデバイス技術であることも強調。MOVERIO BT-200ではプロジェクタで培った光学技術も「コア技術」として投入。エプソンでは、ウェアラブルについて、脈拍計のような「健康医療」、GPS機能付きウォッチのような「スポーツ」、スマートグラス「映像・情報」の3つの領域で展開する。

ウェアラブルはエプソンのDNA
エプソンのコア技術
エプソンが考えるスマートグラス

 平野社長は、エプソンが考えるスマートグラスの形を、映像を楽しむ「パーソナルシアター」、情報を扱う「スマートデバイス/アプリ・センサー」、業務利用の「ハンズフリー・現場支援」などの形を提案した。

BT-200でプレゼン。3年で5万台を販売へ

エプソン 渡辺 潤一 ビジュアルプロダクツ事業部長

 セイコーエプソンの渡辺 潤一ビジュアルプロダクツ事業部長は、BT-200を装着し、BT-200上の画面を見ながらプレゼンテーションを行なった。「皆さんの姿を見ながら、ハンズフリーで使えます。スマートグラスで、現場の仕事が変わるはず」と紹介した。

 渡辺事業部長は、軽量化や輝度の向上についてアピール。新開発の自由曲面レンズや導光板を採用した光学系では、小型化だけでなく、明るさを2倍に高めた。これにより、迫力が向上し、より明るい環境でも楽しめるとした。また、無線LANやMiracast、Bluetoothや、加速度、方位、ジャイロセンサーなどを搭載し、多機能化しながらもバッテリは従来同等に動画再生時でも6時間程度利用できることを強調。他の“スマートグラス”との違いとしてアピールした。

 トラックパッドもよりスマホの操作性に近づけたほか、イヤフォンマイクによる音声操作などの機能向上も実現。また、従来モデルで指摘の多かった接続性に関しても、無線LANとMiracastの搭載により、外部機器との連携を大幅に強化したとしている。

シースルーを活かした提案を
BT-100からの進化点
シースルーを実現するコア技術
装着性の向上
トラックパッドも一新
無線技術を利用した外部機器連携
外部機器連携のイメージ
センサーはヘッドセットとコントローラの双方に内蔵

 シースルーという特徴を活かしたAR(拡張現実)展開についても訴求。ヘッドセット側には、加速度、方位、ジャイロセンサーと、カメラを内蔵。コントローラ側も同様に3つのセンサーとGPSを内蔵する。アプリストアを2月にスタートすることなども説明した。

 他社製品との比較においては、ヘッドマウントディスプレイ的な映像の没入感を得られると同時に、Webブラウジングやシースルーなどの情報の広がりがあること。ソニー(HMZ-T3)に比べるとHMDとしては軽いことなどを訴求、Google Glassについては、両眼を利用するためよりARの効果を得やすいことなどを紹介した。

エプソン販売 中野 販売推進本部長

 エプソン販売 取締役 販売推進本部長の中野修義氏は、販売戦略について説明。スマートグラスのターゲットとして、「ながら」利用を訴求していく。具体的には、飲食しながらの映画鑑賞や、新幹線などの移動中の映画鑑賞、エクササイズビデオを見ながらのエクササイズなどを想定している。また、無線LANを活かしたモバイルでの活用も訴求していく。

 業務利用については、SI(システムインテグレータ)を通じての業務アプリケーションへの対応も予定。ハンズフリーの作業などで活用できる点を訴求していく。

両眼がエプソンスマートグラスの特徴
エプソンスマートグラスのターゲット

 プロモーションには米倉涼子さんを起用。また、プレイベントとして、東京パフォーマンスドールのAR公演に協力。1月31日から2月11日まで渋谷のシブゲキで開催されるライブパフォーマンスにおいて、20名限定で「スマートグラスシート」を用意。BT-200を装着することで3Dオブジェクトや字幕を舞台シーンの実視野に重ねあわせて表示できる。

 今後の販売目標は3年間で5万台。なお、従来モデルBT-100は目標販売台数1万台としていたが、'14年1月現在の累計販売台数は5,000台とのこと。

米倉涼子さんをプロモーションに起用
販売目標は3年間で5万台

 また、フォーミュラーニッポンに参戦しているEpson Nakajima Racing総監督の中嶋悟総監督も登壇。中島氏は、従来モデルで不満を感じていた重量が大幅に軽くなったことを評価し、レース画面を見た際の迫力の高さなども強調。「(自分のチームが)優勝したレースをこれで見たい」と語った。

左からレースクイーンの橋本 雪乃さん、ナカジマレーシング 中嶋悟監督、エプソン販売平野精一社長
中嶋悟監督

(臼田勤哉)