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エプソン、コントラスト無限の4K相当レーザープロジェクタ
新パネル+レーザーが実現する「パーフェクトブラック」
(2015/3/26 11:00)
セイコーエプソンは、レーザー光源を採用した“パーフェクトブラック”表現や、画素シフト方式による4K相当表示“4Kエンハンスメント”に対応したホームシアタープロジェクタ「EH-LS10000」を4月6日より発売する。価格はオープンプライスで、直販価格は798,800円。
エプソン初のレーザー光源採用により、コントラスト比“無限”のパーフェクトブラックを実現したほか、新開発のフルHD(1080p)反射型液晶パネルと画素ずらし技術を使った「4Kエンハンスメントデバイス」により、4K相当の高精細映像を実現するシアタープロジェクタのフラッグシップモデル。
レーザー採用により「パーフェクトブラック」を実現
EH-LS10000の高画質技術は、新開発の「反射型液晶デバイス」、画素ずらし技術による「4K相当画質」、レーザー光源の採用による“無限”の「高コントラスト」能力などが上げられる。
最大の特徴といえるのが、レーザー光源の採用によるコントラスト表現の向上と、広色域化。レーザーユニットは、2系統のレーザー光源を組み合わせて高輝度/高出力を実現。1系統は青色レーザーに蛍光体ホイール、ダイクロイックミラーを組み合わせて緑と赤を抽出。もう2系統は青色レーザーに拡散ホイールを組み合わせて青色を抽出し、この2系統を組み合わせて投写する。
レーザー採用によるメリットは、輝度、広色域化、コントラストの3点。明るさは1,500ルーメンと高輝度化が実現されており、色域については、デジタルシネマ規格(DCI)カバー率は100%超(一部カラーモードは対象外)で、Adobe RGBも100%カバーしている。
そして最大の特徴は「コントラスト」だ。従来のエプソンシアタープロジェクタでは、光源ランプの出力と、光学絞りを動的に切り替えることで、ダイナミックコントラストを向上していた。レーザー光源では急峻にON/OFFを切換えられ、完全に光源をOFFにした場合は、完全な黒を実現できる。
そのためEH-LS10000は、レーザー出力の調整だけで、シーンの明暗に追従。レーザー採用により、完全な黒「パーフェクトブラック」を実現できる。完全な暗室においては、スクリーン上の明るさが0ルーメン(パーフェクトブラック)となるため、エプソンでは「コントラスト値は測定できない」としている。
実際の映像を見てみると、これまでのプロジェクタでは、全黒のシーンでも光源ランプの光漏れなどに起因する若干の“黒浮き”が感じられたが、LS10000では完全に黒に感じられる。その黒さに違和感を感じるほどだ。急に黒画面が挿入されたような唐突感があるが、そのインパクトは絶大だ。
レーザーのON/OFF制御をより緩やかにすることも可能で、設定の「ダイナミックコントラスト」を、[高速]から[標準]にすることで、その効果を調整できる。
起動時間の高速化もレーザー採用のメリットの一つ。2013年モデルの「EH-TW8200」では出画までの時間が約50秒だったが、LS10000では21秒となったという。
光源の寿命は約3万時間で、交換の必要はない。輝度センサーが100時間ごとにバランスをチェックし、最適なホワイトバランスに調整する。そのため、常に安定した画質で楽しめるという。なお、万一交換する場合は、クラス2のレーザーを使用しているため、ユーザーによる交換は不可能で、修理対応となる。消費電力は459W(明るさ切替「高」)で、スタンバイ時は2.8W。実利用上では「250Wのランプ相当」としている。
新反射型デバイス+4Kエンハンスメントで、エプソン初の4K
3LCD方式のプロジェクタだが、新開発の反射型液晶デバイスを搭載。液晶パネル自体は0.74型1,920×1,080ドットのフルHD/1080pだが、画素シフトデバイスと時分割駆動により、3,840×2,160ドットの4K相当の高精細表示が行なえる。
反射型液晶デバイスは、2010年発売のEH-R4000でも採用したが、LS10000のパネルは新開発のもので、反射効率を15%高めたほか、開口率も90%に向上(R4000は84%)。また、駆動周波数も120Hzから240Hz化(2D時)するなど大幅に強化された。
また、4Kエンハンスメントデバイスも採用。画素ずらし技術により、1画素を斜めシフトさせながら、時分割駆動を行なうことで、縦横の解像度を実質2倍にする。これにより、4K相当の映像を実現する。
4Kエンハンスメントの効果は3段階で調整できるほか、OFFにしてフルHDとして投写もできる。なお、LS10000は3D表示対応だが、3D表示時には4Kエンハンスメントを適用できないため、フルHD解像度となる。
HDMIは2系統備えており、4K/60p入力に対応するが、HDCP 2.2に対応しているのは1系統のみとなる。対応解像度は4,096×2,160ドットまで。
EH-LS10000は、4Kネイティブ映像の入力より、BDビデオなどのフルHDコンテンツの高画質な4Kアップコンバートにこだわって開発したとのことで、新映像エンジン「EPSON 4Kアップスケーリングチップ」を搭載。液晶の高開口率化や4Kエンハンスメントとあわせた、ディテール表現が特徴となる。
レンズは光学2.1倍の電動ズームで、縦±90%、横40%のレンズシフトに対応する。レンズ位置を記憶できる「レンズメモリー」も搭載している。シャッターも電動式。
入力端子は4K/60p(4:2:0)対応のHDMI×2と、コンポーネント×1、コンポジット×1、アナログRGB(D-Sub15ピン)。RS-232Cやトリガー出力×2、Ethernet、USBなども備えている。
レーザー化により、発熱も減少。これにより動作音も最大で28dB、最小で19dBと大幅に低減している。外形寸法は550×553×225mm(幅×奥行き×高さ)、重量は18kg。リモコンや3Dメガネ。HDMIケーブルクランプなどが付属する。
世界ナンバーワンメーカーのフラッグシップに
セイコーエプソン 取締役 ビジュアルプロダクツ事業部 事業部長の渡辺潤一氏は、「プロジェクタの最高の感動をお届けしたい。そのためのフラッグシップモデル」と、EH-LS10000開発の経緯を説明。エプソン初のレーザー光源採用や、広色域化、4K対応などにより、「画質の新しい領域に入り込む製品。エントリーからハイエンドまで幅広いラインアップを用意したのは、世界のナンバーワンメーカーでありつづけるという意思」と語った。
なお、これまでのエプソンホームシアタープロジェクタは「dreamio」ブランドで展開していたが、EH-LS10000はdreamioブランドとは別格の製品として訴求していく方針。