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Amazon、プライム会員向け音楽聴き放題「プライムミュージック」開始。100万曲以上

 Amazonは18日、Amazon プライム会員向けの聴き放題音楽配信サービス「Prime Music」(プライムミュージック)を日本で提供開始した。Amazon プライムの年会費(税込 3,900円)に追加料金なしで利用可能になる。

 プライム会員であれば、AKB48、AI、GreeeeN、HY、MACO、angela、テイラー・スウィフト、アリアナ・グランデ、マルーン 5、エリック・クラプトン、マイルス・デイヴィスなど、100万曲以上の楽曲やプレイリストが聴き放題となる。

 プレイリストは、「ハピネスいっぱいのJ-POP」、「GReeeeN ヒットソングス」、「プレイ・ザ・ビートルズ on ジャズ」、「AKB48 ヒットソングス」など数百用意されている。プレイリストはAmazon社内のミュージックエディターが作成しており、日本にも担当スタッフがいるという。

プライムミュージックが日本でスタート
おすすめ
プレイリスト
アルバムを選んでダウンロード
再生画面

 Amazon Musicアプリを利用して、iOS/Android端末や Fire タブレットからストリーミング再生可能。さらに、お気に入りの楽曲やプライムプレイリストをダウンロードして、ネット回線が無い環境でも音楽を楽しめる。

 ストリーミングの品質はAACの最高256kbps。ネットワーク環境にあわせて品質を制御する[自動]のほか[高](256kbps)、[中](128kbps)、[低](48kbps)を選択できる。アプリ内では、Amazonデジタルミュージックストアで購入した曲と合わせて、ライブラリを作成できる。

設定
ストリーミングの音質
オフラインライブラリ

 Amazonプライムでは、お急ぎ便やお届け日時指定便を追加料金なしで利用できるほか、プライムビデオや、日用品宅配のAmazonパントリーなどのサービスも利用可能な会員サービス。その一環としてプライムミュージックも利用できる。また、Amazonプライム会員でない場合は、30日間の無料体験が可能となっている。

「音楽好きだけど月1,000円払えない人」を狙う

 デジタルミュージック事業を統括するAmazon デジタルミュージック部門バイスプレジデントのスティーブ・ブーム氏とアマゾンジャパン代表取締役社長のジャスパー・チャン氏は、日本参入にあたって「最適なタイミング」と語る。

アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長(左)と、デジタルミュージック部門を統括するスティーブ・ブーム氏(右)

ブーム氏(以下敬称略):米国で'14年6月にスタートし、大きな成功を収めた。主要ストリーミングサービスの一つになっている。今年は世界各国に広げており、今年7月には英国で、2週間前にはオーストリアとドイツでスタートしています。

チャン:今年はプライムの充実に力を入れています。プライムビデオ、Kindleとともに、他国でスタートしたミュージックの評判がとてもよかったので、日本でも早くすぐに皆さんに使っていただこうと。

 一方、2015年は日本において、多くのストリーミング音楽配信サービスが一気にスタートした。Apple MusicやGoogle Play Music、AWA、LINE Musicなどの競合に対し、Amazonの強みをどう考えているのだろうか?

ブーム:日本の音楽ビジネスにおいて、Amazonは14年の経験があり、トータルな選択肢を提供できます。CDやDVDを買ってもいいですし、ストリーミングでもダウンロードしてもいい。レコードでもいい。

 日本の8割はCDなどの物理メディアですが、ストリーミングはまだまだです。ですから、他の音楽ストリーミングサービスとはちょっと違ったアプローチを考えています。我々は“メインストリームリスナー”をターゲットとしています。「いつも全ての曲にアクセスしていたい」という層ではなく、「音楽は好きだけど、毎月1,000円は払えない」という方を重視しています。広告無しでキャッシング(オフライン再生)などの特徴は求めるけど、月1,000円は出せない。そこで他のプライムサービスと組み合わせて、年間3,900円で楽しめるプライムミュージックを提案しています。

 ブーム氏が語るように、日本の音楽市場ではまだまだCDのシェアが高い。CDへの売上減の影響などはどう考えているのだろうか?

チャン:CDとストリーミングが“食い合う”という考えはない。プライムミュージックの特徴は、セレクションを見ながら新しい音楽を発見できること。実際にCDやダウンロードの購入につながります。選択肢を提供することが重要と考えています。

 100万曲を超える楽曲を揃えてスタートしたプライムミュージック。プライムビデオの場合、日本参入にあたって日本の作品を重視し、約7割を日本の作品にした。Amazonプライムミュージック展開にあたってどのような方針で望んだのだろうか。

ブーム:バランスを取って、J-POPからクラシックまで広く提供する。Amazonには14年のデータの蓄積があますが、プライム会員の利用者も幅広く、様々な好みがあります。ですから、「幅広さ」は意識しています。

 また、「曲との出会い」のために、「プレイリストの充実」にこだわっているという。

ブーム:音楽の専門家であるミュージックエディターが日本を含めて在籍しており、何百ものプレイリストを社内のスタッフが作成しています。幅広いセレクションの中から、好みの曲を発見してもらう手段として用意しています。他の国でもとても多く利用されていますし、これからさらに増やしていきます。

 また、独自の取り組みとしては、オリジナルコンテンツの展開も予定している。

ブーム:プライムミュージックのオリジナルコンテンツは昨年のホリデーシーズン(年末商戦)にスタートし、これまで6つのコンテンツを作っています。先週からは、グラミー賞も獲ったバンド「Train」のオリジナル楽曲をプライムミュージック限定で配信しています。日本独自の取り組みはまだ発表できませんが、プライムに興味を持って頂くために重要と考えています。

 スマートフォンやタブレット、Fire TVなどの対応デバイスが用意されているが、他国での利用状況を見ると、スマートフォンが最も多いという。ただし、多くのユーザーが複数のデバイスで利用しているため、マルチデバイス対応は重視していると語る。

 音質面で気になるのはハイレゾへの対応。プライムミュージックでの対応予定はあるのだろうか?

ブーム:今日時点で発表できることはありませんが、ユーザーの声を聞きながら、継続的なサービス改善に努めていきたい。ストリーミングの場合は、データ帯域が多くなりますし、モバイル向けのイヤフォンでのハイレゾ対応製品は多くありません。CDの音質を求める方はCDを購入しますので、すぐにCDを買えるという強みが、Amazonにあると考えています

(臼田勤哉)