レビュー

バッファロー製「nasne」“サクサク”そのまま。細かな改良が光る

バッファローが発売するネットワークレコーダー「nasne」

バッファローがソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)協力のもと継承したネットワークレコーダー「nasne」(型番:NS-N100)。3月25日にAmazon内バッファロー公式ストアで予約もスタートしたが、初回出荷分がすぐに完売するなど、変わらず高い注目度を誇っている。内蔵HDDは2TBで、価格は29,800円。

筆者は2017年4月ごろにSIE製nasneを購入し、それからは自室にないテレビの代わりとして、また出張中など出先からテレビを楽しむ手段として愛用している。

しかし、購入から4年近く経ってくると、やはり容量のやりくりが苦しくなってくる。1TBの外付けHDDを接続して録画容量を増強しているものの、残容量は12%(211GB弱)ほど。仕様上、気軽に外付けHDDを交換できないため、日に日に減っていく容量に頭を悩ませていたところに、このバッファロー製nasneが登場した。

従来の“SIE製nasne”から、内蔵ストレージの大容量化やスマホ対応表示の見直し、ポーダブルHDD/SSDのサポートなど、SIE協力のもと継承・機能強化されている。従来モデルとの外観比較なども交えつつ、“バッファロー製nasne”の使い勝手をレポートする。

なお、バッファローによれば当初の想定を上回る注文があったため、初回出荷分は予約完売。販売再開は4月中旬予定で、詳細はバッファロー公式Twitter(@BUFFALO_melco)で案内される。

簡単設置&快適操作はそのまま

従来モデルのnasneは、SIEが2012年に発売したHDDと地上/BS/110度CSデジタル放送チューナー搭載のネットワークレコーダー。HDMIなどの映像出力は備えないものの、本体にアンテナ線とLANケーブルを挿すだけで使用できる。

本体の設定などは、スマートフォンやタブレット、PlayStation 4などに向けて配信されているtorne mobile/torneアプリから行なう。設定のしやすさだけでなく、番組表の操作などがサクサクと動く快適さでも多くのユーザーを惹きつけてきた。

左がバッファロー製、右がSIE製。本体上部を見比べると、右の従来モデルにはPSロゴが
本体側面。B-CASカードスロットのサイズが異なるほか、バッファロー製(左)にはスリットが備えられた

まずは新旧両モデルの外観を比べてみた。SONYロゴやPlayStationロゴの有無など細かな違いがあるが、目に見える一番大きな違いは本体側面のスリット。既報のとおり、従来のnasneがファンレスだったのに対し、今回のバッファロー製nasneは静音ファンを搭載している。ファンというとノイズが気になるところだが、動作音はかなり小さめ。本体近くに耳を近づけてようやく「サーッ」という回転音が聞こえてくる程度だった。

本体背面。写真左がバッファロー製のnasne
付属ACアダプターも形状やロゴが異なる

またB-CASカードも従来モデルではフルサイズだったのに対し、バッファロー製nasneではミニB-CASカードになっていたほか、本体背面の端子の並びもLAN端子とUSB端子の場所が入れ替わっていた。

従来モデル(右)と並べて設置した

設置はミニB-CASカード挿入後、アンテナ端子とLANケーブルを接続して、最後に電源を接続するだけと、いたってシンプル。このあたりの設置の簡単さは従来モデルと変わらない。今回は従来モデルと併用するので、付属のアンテナケーブルを従来モデルのアンテナ出力端子に接続。それをバッファロー製nasneのアンテナ入力につなげて接続完了となった。

アプリの「nasne設定」画面。nasneを追加した直後は【未登録】として表示された
初期設定完了後の画面。B-nasneと名付けたバッファロー製nasneは「2」として認識されている

nasne設置後はPlayStation向けに配布されている「torne」アプリ、もしくはiOSやAndroid向けに配布されている「torne mobile」アプリを起動。アプリの設定から「nasne設定」を選択後、画面上部にある更新ボタンを押すことで新たに設置したnasneが検出される。

その後は名称設定やチャンネルスキャンなどの初期設定を行なえば、すぐにテレビを楽しめる。ちなみにアプリ上で設定を終えると、今まで設置してあったnasneが「1」、新しく追加したnasneが「2」として認識された。

アプリを使った放送中番組の視聴や録画操作、録画番組の再生などは、従来モデルと変わらずサクサクと操作できて快適そのもの。もっとも肝心な使い勝手の部分は、しっかりと従来モデルから踏襲されている。スピードはほぼ同じに感じられ、バッファロー製がより爆速ということもない。

外付けストレージを接続する場合は、アプリの設定から「nasne HOME」を選択後に表示されるハードディスク管理の項目で、フォーマットなどの操作ができる。

外付けストレージをフォーマットしたところ。容量5.5TBの外付けHDDとして認識された

バッファロー製nasneは従来モデルより4TB大きい最大6TBまでの外付けストレージに対応しているので、今回はバッファローのテレビ録画用ハードディスク「HD-LE6U3-BA」6TBモデルを接続してみた。すると、フォーマット後は容量5.5TBの外付けHDDとして認識された。本体容量と合わせて空き容量は7,446.9GB。これだけあれば当分録画残量に悩まされることはないだろう。

バッファロー製のテレビ録画用ハードディスク「HD-LE6U3-BA」6TBモデルを接続

またnasneが2台あると、2番組同時録画や、録画しながら裏番組の視聴、2台の機器で同時に放送中の番組や録画番組を楽しむといったことも可能になる。nasne単体には地上/BS/110度CSデジタル放送チューナー×1系統しか搭載されていないので、2台あれば家族と観たい番組が重なってしまった場合や、チェックしたいドラマやアニメの放送時間が被ってしまった場合でも安心だろう。

アプリ上のnasne認識順変更に一苦労

機能面におけるバッファロー製nasneと従来モデルの違いとして、スマートフォンアプリでの視聴時の解像度がSD画質から720pのHD画質まで向上していることが挙げられる。画質の違いは一目瞭然で、バラエティ番組などでは出演者の表情はもちろん、テロップなどもよりくっきりと表示されるようになった。

従来モデルと併用する場合も、せっかくなら画質が向上しているバッファロー製nasneを使って視聴したいところだが、筆者の環境では放送中の番組を視聴する際、アプリ上で「1」と認識されている従来モデルが優先的に使われてしまった。

そしてアプリ上に、この認識順を変更する項目は見当たらず。「nasne設定」から従来モデルのみ登録を解除し、再登録するといった方法も試したが認識順が変わることはなかった。

アプリを再インストールして初期設定を行なったところ、バッファロー製nasneを「1」として認識させることができた

結果的に筆者の環境ではアプリを一度消去して再インストールし、「nasne設定」を完全にクリアしたところ、任意の順番に設定ができたため、バッファロー製nasneを優先的に使う環境を構築できた。アプリを消去してもnasneに設定した名称やチャンネル、録画番組などの情報は保持されていた。

今回試用したのは短い期間だったものの、nasneが持っている簡単設置や快適操作といった“体験”は、バッファロー製nasneにもしっかり受け継がれており、これまでと変わらないテレビライフを満喫できた。

4月からの新生活にはもちろん、従来モデルをすでに愛用している場合でも2台目のnasneを設置することで同時録画などが可能になるので、買い足しもおすすめしたい。

現時点で、このバッファロー製nasneの対応機器は、PS4やiOS/Androidデバイス、WindowsなどでPS5には対応していない。「念のため……」とPlayStation 5上のストアでtorneを検索してみたものの、案の定「何も見つかりませんでした」と表示されてしまった。こちらは予告されているとおり、2021年末商戦期に提供予定のPS5用torneアプリを待つしかない。それまでの間、我が家では第一線を退いたPS4 Proに活躍してもらうことになりそうだ。

酒井隆文