レビュー

iPhoneで音楽CD取り込みが可能に! ノーPCライフがはかどる「CDレコ Wi-Fi」

 「CDレコ Wi-Fi」(CDRI-W24AI)は、スマートフォンで直接音楽CDをリッピングできるコンパクトなCDドライブだ。無線LAN対応によりワイヤレスで、かつiPhone/iPadなどのiOS端末からも利用できるのが大きな特徴となっている。アイ・オー・データが8月下旬に発売し、実売価格は約9,980円。さっそくどんな風に使えるのか紹介しよう。

「CDレコ Wi-Fi」

Wi-FiによりiPhone対応。幅広い端末でリッピングが可能に

 同社からは、2014年4月に「CDレコ」(CDRI-S24A)という製品も発売されている。Android端末で音楽CDを直接取り込めるドライブとして人気を集めたが、こちらはUSBケーブルで接続し、対応機種もAndroid端末のみ。しかも、Android端末によってはそもそも外部USB機器を認識できずCDレコを使えない場合もあり、必ずしも幅広い端末に対応しているとは言いがたい状況だった。

左が旧モデルの「CDレコ」。サイズはわずかに「CDレコ Wi-Fi」の方が大きい

 しかし今回の「CDレコ Wi-Fi」では、物理的なUSB接続が必要ではなくなり、外部USB機器を認識しないAndroid端末にも対応するほか、iPhone/iPadなどのiOS端末からもワイヤレスで音楽CDを取り込めるようになった。同社のWebサイトでは国内製スマートフォンを中心とした機種ごとの対応状況を公開しているが、無線LAN対応によってスマートフォンユーザーの大部分をカバーすることになったと言えるだろう。

 また、従来のCDレコ同様に、USBでのAndroid接続も対応している。ケーブル接続時には取り込み速度が従来品より高速になるので、利用シーンにあわせて使い分けることも可能だ。

シンプルな本体。実はDVDドライブにも?

同梱品

 さて、「CDレコ Wi-Fi」の本体だが、PCに外部接続する一般的な光学ドライブとほぼ同様のサイズ感と見た目で、カバンに入れて持ち運ぶのもそれほど苦ではなさそうだ。ただ、電源としてACアダプタが必要になる。外形寸法は137×152×22mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約280g。

 ディスクの挿入方法はフロントローディング方式で、仕様上はiOS端末とAndroid端末に対応し、音楽CDの読み込みと書き込みが可能となっている。

持ち運びも可能なコンパクトサイズ
前面ボタンで開閉するフロントローディング方式
本体側はUSB 3.0のUSB microBタイプ
付属USBケーブルでスマホなどと接続する

 ドライブは、音楽CD専用となっているが、試してみたところスマートフォンだけでなくPCにUSB接続して利用することもでき、Windows/Mac OS上で音楽CDの読み込み、データCDのほか、DVDの読み込みも行なえ、さらに手元にあったCD-RメディアとDVD-RWメディアへのデータ書き込みや音楽CD作成もOKだった。

 メーカーのサポート外の動作となるが、PC用のCD/DVD-R/RWドライブとしても利用できるわけだ。最近のノートパソコンからは光学ドライブが省かれている事が多いので、CDレコWi-Fiがあれば何かと重宝しそうだ。

保証対象外になると思われるが、PCでCD/DVDの読み込み・書き込みもできた
PCで使う場合はより一般的なUSB 2.0のmicroUSBケーブルも使用できる

Apple LosslessもしくはFLACでのロスレス取り込みも可

ワイヤレス接続時は本体上でわかりやすくランプ表示される

 ワイヤレス接続で使う場合は、最初はスマートフォンと1対1で接続する必要がある。製品付属のQRコードを読み込んで接続設定を行うか、底面に記載されているアクセスポイント名とパスワードを用いて手動で接続する。WPSによる簡単な接続も可能だ。

 その後、あらかじめ端末にインストールしておいた専用アプリ「CDレコ」を起動。そのまますぐに使い始められるが、宅内で無線LANを使用している場合は「CDレコ Wi-Fi」自体を宅内無線LANに接続する設定を行なっておくと良い。こうしておけば、いちいちCD取り込みのたびに端末側の無線LAN設定を切り替えることなく、宅内LANを通じて「CDレコ Wi-Fi」にアクセスできるようになる。

「CDレコ」アプリの設定画面
まずは「ドライブの設定を表示」から無線接続の設定をしておきたい
ホームネットワークのアクセスポイントを選んでセキュリティキーを入力し、しばらく待てば設定完了
続いて取り込み時の音質(フォーマット)も選択しておく

 音楽CDを取り込む前には、取り込み時の音質も設定しておく。取り込み時のファイルフォーマットは96/128/256/320kbpsのAACに加え、ロスレス圧縮形式にも対応している。ロスレス圧縮形式はプラットフォームによってファイルフォーマットが異なり、iOS端末ではApple Lossless(ALAC)形式に、Android端末ではFLAC(Level5)形式になる。

 このロスレス圧縮形式の対応状況については、人によっては気になるところかもしれない。取り込んだ楽曲を別のオーディオ機器に移動したい人は、iPhoneでもFLACで取り込めれば、と思うのではないだろうか。この点については後述するが、結論を先に言えば、iPhoneでFLACで取り込めたとしても今のところはALACと変わりないので、意味がない、ということになる。

 また、スマートフォンのストレージ容量に限りがあるので、再生頻度の高いものはロスレスで、それ以外はAACでといった使い分けは必要かもしれない。

ジャケ写、曲情報を自動設定して高速取り込み

 取り込み音質の設定が完了したら、いよいよ音楽CDの取り込みだ。ドライブにCDを挿入してから、iOS端末では「メニュー」から「CDを取り込む」を選び、Android端末ではトップ画面の大きな「CDを取り込む」ボタンを押す。

 すると、Gracenote MusicIDサーバーからアルバム名、曲名、アーティスト名、ジャケット写真といった音楽CDの情報を取得し、トラックに自動設定される。あとは取り込む曲にチェックを入れて「取り込み開始」を押せばリッピングがスタートする。

iPhoneではメニューから「CDを取り込む」を選択
こちらはAndroidスマートフォンの画面
Gracenoteの楽曲情報を自動取得
アルバム名やジャケット写真も設定される
音楽CDの取り込み中
取り込み後も楽曲情報の編集が可能だ

 iPhone 5を使ってロスレス設定で取り込んでみたところ、22曲、計約60分のアルバムCDをおよそ16分余りで取り込むことができた。これでも十分なスピードと言えるが、試しにNexus 10で同じCDをUSB経由で取り込むのにかかった時間は、5分弱。iOS端末ではWi-Fi接続の選択肢しかないが、Android端末で使用する場合、スピードを重視し、端末がUSB接続に対応しているのであれば、USB経由で取り込んだ方が良いだろう。

 取り込んだ楽曲を逆に音楽CDとして書き戻すことも可能だ。楽曲の音量差が大きい場合は、自動的に音量を均一化して書き出すこともできる。ただし、データ用のCD-Rには書き込むことができないため、音楽用として販売されているCD-Rを用意しなければならないことに注意しよう。

 ところで、取り込んだ後の音楽ファイルだが、iOSではプレーヤー機能も兼ねる「CDレコ」アプリ内でのみ扱えるデータとなる。つまり、端末標準のミュージックアプリやiTunesで再生できるデータにはならない。「CDレコ」アプリでしか再生・管理できず、端末外にファイルを移動することも不可能。前述した「FLACで取り込めたとしても今のところは意味がない」というのは、iOS端末内の「CDレコ」アプリでしか再生できないのであれば、ALACだろうがFLACだろうが同じだからだ。

取り込んだ楽曲は「CDレコ」アプリのプレーヤー機能で再生
Androidでは他のメディアプレーヤーで再生できる
PCなどを使ってファイルを参照、移動することも可能

 一方Android端末では、取り込んだ音楽ファイルは新たに作成された専用フォルダ内に格納されるが、他のミュージックプレーヤーからも問題なくアクセスできる。PCと接続したり、クラウドストレージなどと連携して、他のオーディオ機器やNASなどに移動するのも自由だ。応用が利くという意味では、Android端末で使う方が何かと便利だ。

 iOS端末のiTunes(ミュージック)で音楽ファイルを管理できないのは、iOSの仕様として仕方ないのかもしれないが、PCのiTunes上からのファイル共有機能を使った転送などで、連携させて欲しいところだ。

iPhone対応で“PCレス”リッピングが主流に?

 「スマートフォンとドライブだけで、パソコン無しに音楽CDを取り込める」とシンプルな製品だが、“パソコンいらず”の魅力は大きい。4月に発売されたCDレコもアイ・オー・データの予想を超えるヒットモデルとなったというが、iPhoneという最も普及しているスマートフォンに対応したことで、さらに多くの人が利用できるようになったことは歓迎したい。

 また、最近のパソコンでは光学ドライブが省かれており、パソコンを持っていてもCDがリッピングできないという人も多いだろう。CDレコでスマホに直接取り込んでもいいし、PCにUSB接続すれば普通のCDドライブとして(サポート対象外だがDVDも)も利用できるので、様々なシーンに対応できるという意味でも魅力的。価格も約1万円とリーズナブルなので、多くの音楽CDを持っている人にこそ手にして欲しい製品だ。

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CDレコWi-Fi

日沼諭史

Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、現在は株式会社ライターズハイにて執筆・編集業を営む。PC、モバイルや、GoPro等のアクションカムをはじめとするAV分野を中心に、エンタープライズ向けサービス・ソリューション、さらには趣味が高じた二輪車関連まで、幅広いジャンルで活動中。著書に「GoProスタートガイド」(インプレスジャパン)、「今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ大事典」(技術評論社)など。