レビュー

Shokz「OpenDots 2/Air」“イヤカフマニア”が聴き比べ。女性ボーカル好きならAir?

「OpenDots 2」(左)と「OpenDots Air」(右)

Shokzが6月4日に発売したイヤカフ型イヤフォン「OpenDots 2」と「OpenDots Air」を、AV Watch編集部随一の“イヤカフマニア”な筆者が使い比べてみた。

OpenDots 2は、同社のイヤカフ型イヤフォンのフラッグシップモデルで、2025年に発売した「OpenDots One」の後継機。OpenDots Airは「初めてのイヤカフ型に最適」というエントリーモデル。価格は価格はOpenDots 2が29,880円、OpenDots Airが19,880円。

カラーバリエーションはOpenDots 2がパールホワイト、グレー、ブラック。OpenDots Airがデイブレイクパープルとブラック。今回はOpenDots 2のパールホワイト、OpenDots Airのデイブレイクパープルを借りている。

2機種の特徴をおさらい

「OpenDots 2」(パールホワイト)

フラッグシップのOpenDots 2は、11.8mm径のダイナミックドライバーを2基、向き合うように配置することで、16mmドライバー相当の出力を実現する「Shokz Bassphere 2.0」を採用しているのが特徴。振動板も再設計されており、初代モデルから音の歪みを70%低減している。

また、音の伝達経路を精密に設計する「MirrorPitch」技術も投入。音をまっすぐではなく、コンサートホールなどと同じように反射させて耳に届けるという技術で、これにより、低音のレスポンスと音量の向上も果たしている。

イヤカフ型で気になる音漏れは、逆位相の音波を使って音を耳へ正確に導くという「DirectPitch」テクノロジーで低減。「Shokz」アプリからは、より控えめなリスニングが可能な「プライベート」モードも利用できる。

写真手前側の丸い刻印のある部分が感圧センサー式操作に対応している

また初代モデルではイヤフォンの操作はタッチ式だったが、新モデルのOpenDots 2では感圧センサー式に変更。装着時、耳の後ろ側にくるバッテリー部分をつまむことで再生/停止、曲送り、音量調整などができる。イヤフォン前後のパーツをつなぐJointArc部分のタッチ操作にも対応する。

イヤフォンは立体シリコンデザインで片耳6.4gの軽さを実現。自動で左右を識別する機能も備えており、左右を気にせずに使用できる。初代モデルと同じくDolby Audioにも対応。

「OpenDots Air」(デイブレイクパープル)

エントリーモデルのOpenDots Airも、11.8mm径のドライバーを対向配置する「Bassphere」技術により、16mm径ドライバー相当のパフォーマンスを発揮するという。フラッグシップのOpenDots 2とおなじく、音漏れを抑制するDirectPitchテクノロジーを採用するが、音を反射させて届けるMirrorPitchや、Dolby Audioには非対応。

こちらも操作には感圧センサー式を採用。バッテリー部分をつまむことで再生/停止などができるほか、JointArcのタップ操作もできる。自動左右識別機能も採用し、左右を気にせず使用できる。

バッテリー駆動時間はOpenDots 2がイヤフォン単体最大10時間、ケース併用最大40時間。OpenDots Airはイヤフォン単体最大9時間、ケース併用最大36時間。どちらも急速充電に対応するが、OpenDots 2のみQi規格のワイヤレス充電にも対応する。

フラッグシップ・OpenDots 2を聴く

さっそく実機をチェック。どちらもBluetooth 6.1準拠で、コーデックはSBCとAACをサポートしているため、今回はiPhone 16 Proと組み合わせて、Apple Musicを音源にしている。

まずはフラッグシップのOpenDots 2から。イヤフォンのJointArc部は内部にニッケルチタンを使っており、耳に柔軟にフィット。耳たぶを優しく挟みこむ形で装着できるので、長時間でもストレスなく使用できる。

アプリ「Shokz」で、まずはDolby AudioをOFFにして「サカナクション/夜の踊り子」を聴いてみると、イヤカフ型で抜けがちな低音では芯に重さが感じられる。ボーカルやコーラスの解像感も高く、心地よく音楽を楽しめる。ながら聴きのつもりが、気がつくと音楽に没頭してしまいそうになるほどだ。

アプリ「Shokz」からDolby AudioをON/OFFできる

続いてDolby AudioをONにすると、音にリバーブが加わり、音場が広がったようなサウンドに。低音の厚みやボーカルの解像感はそのままに、音が響く空間が広がるので、イヤカフ型の構造も相まって、より開放感のあるサウンドを味わえる。

「HANA/ROSE」もイントロから「ズンッズンッ」と低音が適度な量感で響くなか、ボーカルがスッと伸びていく。ファルセットが多用される楽曲で、特に高域の一部にザラつきが感じられるパートもあるが、耳に刺さるような感覚はなく、ボーカルとコーラスの重なりも丁寧に描写される。

そのほか「Mrs. GREEN APPLE/点描の唄(feat.井上苑子)」や「櫻坂46/Lonesome rabbit」、「嵐/Love so sweet」などを聴いてみても、いずれも低音とボーカルのバランス、音の広がり感が心地よく、つい身体を動かしたくなるほど。いずれもDolby AudioをONにしたほうが音に立体感が出るので、個人的にはDolby Audioは常時ONが好みだった。

操作はカスタマイズ可能

また感圧センサー式になった操作系も使いやすい。耳の後ろ側に来る円柱のようなパーツの上下を押し込むような形で操作するのだが、押し込むと「カチッ」という操作音が聞こえるので、確実に操作できていることが分かりやすい。濡れた手でもしっかり操作でき、イヤフォンはIP57、ケースはIP54の防塵防水仕様のため、キッチンなど水回りでも使いやすいのも嬉しいポイントだった。

左が初代モデルの「OpenDots One」

筆者の手元には初代モデル「OpenDots One」もあるので、そちらとも使い比べてみた。装着感は初代モデル、新モデルともに耳を優しく挟み込むスタイルなので、長時間でもストレスなく使用できる。どちらも左右を自動識別する機能も備わっているので使い勝手も変わらない。

一方でサウンドは新モデルのOpenDots 2のほうが低音の厚みや量感、解像感など全面的にアップデートされている印象。OpenDots 2を聴いたあとにOpenDots Oneに戻ると分厚いベールがかかったような籠った音に聞こえてしまう。

また、同じボリューム設定で聴き比べても、音圧はOpenDots 2のほうがしっかりと出ている。開放型であるイヤカフ型イヤフォンは周囲の騒音に音がかき消されやすく、音楽を楽しもうとするとボリュームが上がりがち。ボリュームの上げ幅に余裕があるという点では、OpenDots Oneから乗り換えても満足度は高いはずだ。

エントリーと侮るなかれ。OpenDots Airを聴く

「OpenDots Air」(上)と「OpenDots 2」(下)のしなり具合を比較したところ。OpenDots 2のほうがよりしなやかな印象

続いてエントリーモデルのOpenDots Air。こちらもJointArc部分にニッケルチタンを使っているが、OpenDots 2と比べると弾力は固め。耳を挟み込む力もOpenDots Airのほうが若干強いので、よりしっかりと耳に固定したい場合は、こちらのほうがマッチするだろう。もちろん、耳を挟む力が強いといっても痛みを感じるほどではないので長時間でもストレスなく使用できる。

「サカナクション/夜の踊り子」を聴いてみると、低音はズシンと響くようなパワフルさはないが、「ボンッ」と小気味よく、音楽を楽しむには十分な厚み。解像感はOpenDots 2ほどではないが十分クリアなサウンドなので、ボーカルがこもったり、低音に埋もれたりして聴こえにくいということもない。

印象的だったのは「HANA/ROSE」。女性ボーカルのファルセットが魅力的な楽曲だが、上述したようにOpenDots 2では解像感の高さゆえに高音のザラつきが気になる部分があった。

OpenDots AirはDolby Audioには非対応。アプリからはイコライザーを使用できる。今回はスタンダードで試聴した

それに対し、OpenDots Airは解像感こそOpenDots 2には負けるものの、高音域のザラつき感も抑えられるので、全体的なバランスがより整った印象に感じられる。筆者はどちらかというと女性ボーカルの楽曲をよく聴くので、この点ではOpenDots Airのほうが好みに近く感じられた。

操作系はこちらも感圧センサー式で、押し込んだ際に「カチッ」と操作音も聞こえるので操作しやすい。イヤフォンはIP55の防塵防水仕様なので、洗い物などで手が濡れていても安心して操作できる。なお、こちらは充電ケースは防塵防水非対応。

甲乙つけがたい完成度。女性ボーカル好き筆者にはOpenDots Airがマッチ

Dolby Audioに対応し、より立体的なサウンドを楽しめるフラッグシップのOpenDots 2、19,880円というコストパフォーマンスの高さが魅力のOpenDots Air。OpenDots 2は初代モデルから音質や音圧、操作系が強化され、OpenDots Airは2万円以下という価格帯ながら音質や使い勝手にもしっかり配慮されており、Shokzの製品づくりの巧みさを感じた。

また、どちらもイヤフォン左右の自動識別機能を搭載している点は嬉しいところ。これにより、イヤフォンの左右を気にせずケースに出し入れでき、装着時も左右を気にすることなく使うことができる。

イヤカフ型は左右対称のデザインが多いため、見た目で左右を判断しにくいものが多い。この自動識別機能があると、ストレスフリーでイヤカフ型イヤフォンを使えるため、日々の利便性に大きく影響するポイントだと感じている。そんな便利機能がフラッグシップモデルだけでなく、エントリーモデルにも採用されている点は、大きな魅力だ。

特にエントリーモデルのOpenDots Airは価格も2万円以下で、コストパフォーマンスは高め。個人的にも女性ボーカル楽曲を聴く機会が多いので、より好みにマッチする1台だった。

酒井隆文