レビュー
ソニー「WF-1000XM6」でSixTONESを聴く。“圧倒的な静寂”が推しの声の真価を引き出す
2026年8月18日 08:00
ソニーの完全ワイヤレスイヤフォンの最新フラッグシップ「WF-1000XM6」が、2026年2月の発売以来、大ヒットしている。製品についてはAV Watchでも何度も取り上げられているので、読者のみなさんも詳しいだろう。
そして現在、このWF-1000XM6の広告に、ソニー・ミュージックレーベルズ所属の男性アイドルグループ「SixTONES(ストーンズ)」が起用されているのをご存じだろうか。
今年2026年は、“6”人組のSixTONESにとって記念すべきデビュー「6周年」のアニバーサリーイヤー。そしてソニーの1000Xシリーズも「XM6」の世代を迎えているとあって、“6”という数字が紡ぐシンクロがアツい……と、まことしやかに話題のコラボだ。
となれば、この勢いに乗って「WF-1000XM6でSixTONESの楽曲を聴いて満喫しよう!」 というのが今回の企画である。
……で、まあ本題に入る前に、みなさんにちょっとお伝えしたいことがある。
本記事に先駆けること1年前。ここAV Watchに「ソニーヘッドフォンのフラッグシップ・WH-1000XM6でSixTONESの楽曲を聴く」という、ほとんど同じ切り口のレビューが掲載されていたのをご存知だろうか?
何を隠そう、このワタシが執筆した記事だ。我ながらこのときの企画、現在の“ソニー×SixTONES”コラボレーションの流れを、完全に先取りしていた。
……だがしかし。先取りしすぎて、もう誰も覚えていないだろう。そう、早すぎた。何事もタイミングが大事なのである。
というわけで、改めて今回は、1年前に先取りしすぎた企画の第二弾! むしろ、実はこっちが本題だったくらいの勢いで、「WF-1000XM6でSixTONESの楽曲を聴く」をお届けする。さあ、今度こそオンタイムだ!
ソニー最新フラッグシップTWS「WF-1000XM6」の魅力
まずは、WF-1000XM6の基本プロフィールを見ていこう。と言いつつ、上述の通りAV Watchでは何度も記事化されていて、みなさんもよくご存知だと思うので、ここでは簡単な紹介とさせていただく。
詳細スペックやスタンダードな音質レビューは、以下の過去記事を参照されたい。
本機は、世界中で絶大な評価を得てきたソニーの完全ワイヤレスイヤフォン「WF-1000X」シリーズの最新フラッグシップモデル。ノッチ形状を採用した専用設計の8.4mm径ダイナミックドライバーを搭載し、グラミー賞受賞エンジニアらとの共創による音質チューニングを施しているのが特徴だ。
さらに、高音質ノイズキャンセリングプロセッサー「QN3e」と統合プロセッサー「V2」の連携というデジタル部の進化も見逃せない。世界最高クラスのノイズキャンセリング性能で“圧倒的静寂を実現する”と謳われていることに加え、DAC性能が強化されているのもポイント。32bitオーディオ信号処理も実現している。
もちろん高音質コーデック「LDAC」に対応し、圧縮音源をハイレゾ相当へ補完する「DSEE Extreme」などの技術も搭載する。
そのサウンド傾向をざっくり言うと、デフォルトの帯域バランスはフラット傾向で、低音が上質であり、メリハリが効いている。立ち上がりの良さによるクッキリした輪郭も感じられ、音がスッと止まった瞬間の静けさも含めて、楽曲の表現として楽しめる。
同時に、決してモニターライクなわけではなく低音には深みがあり、オーディオ機器としてちゃんと音楽的だが、ドラマチックになりすぎないのが良い。すでに仕事で何度も聴いているのだが、個人的にかなり好みの1台だ。
SixTONESの楽曲、96kHz/24bitハイレゾ配信中
さて、このWF-1000XM6を使ってSixTONESの音源を聴いていくわけだが、まずは彼らの音楽についても軽く触れておきたい。
SixTONESは単なる男性アイドルグループというだけでなく、メンバーの歌唱力や楽曲の音楽的な魅力が広い層から支持を得ている。さまざまな音楽カルチャー系のメディアでも実力は高く評価されていて、主に、ロックやジャズ、R&B、ファンク、ヒップホップなどが彼らの音楽性のキーワードとして挙がるだろう。
その音楽的魅了を裏付けるように、SixTONES楽曲は、Apple Music、Amazon Music、Qobuzなどのサブスクで、主に96kHz/24bitという高スペックで配信されているのもポイントだ。
前回の記事でも同じことを書いたが、今どきのポップスの配信スペックは48kHz/24bitあたりも普通で、もちろんそれでも十分に音が良いが、同じハイレゾでもサンプリングレートが96kHzだと、「より配信クオリティに気を遣っているんだ」という感覚になる。
SixTONESの楽曲が元々96kHz以上でレコーディングされてきたか、はたまた48kHz録音を96kHzにアップコンバートして配信されている可能性もなくはないが、いずれにせよ96kHz配信はレーベル側の意向によるものだろう。
楽曲の配信スペックが高いという事実は、ファンからすればいつも高音質で推しの楽曲を楽しめる状況が整っていることになり、“高音質な推し活”が当たり前の時代が到来している。
そこで再生に使いたいのが、WF-1000XM6のようなLDACによるハイレゾ相当の伝送に対応したイヤフォンというわけだ。こういった機材を選ぶことで、高スペックの配信音源が持つクオリティをワイヤレスで享受できる。
WF-1000XM6で、SixTONES「6色の声」を享受する
今回のリスニングの核となるのは、SixTONESメンバーの“声”の魅力である。続いては、以前の記事から引用してメンバーの声質について紹介したい。
メンバーそれぞれの歌唱力の高さはもちろん、そこから生み出されるハーモニーやラップのクオリティがSixTONES楽曲の世界観を形作る核となるからだ。
メンバーの声質と特長(※筆者の印象です)
グループのセンター的存在のひとり、ジェシーさんは地の声域は低くて太いが、主旋律のど真ん中を行く心地良い中域も出せば、キレイに伸びるハイトーンも得意と、かなり歌い分けの幅が広い。ラップの表現幅も広いし、ハモリに回れば周囲を映えさせ、主役も脇役も自由自在だ。
また、男性的な声ながら歌い回しが軽やかなのも印象的。例えるなら江戸っ子の粋な空気感というか、「よっ! 待ってました!」と人を惹きつける華とノリがある。そういう点も含め、「SixTONESはこういう人たちである」というグループの色が、ジェシーさんの声に全部出ていて、耳の中でも圧倒的センター感を誇る。
おなじくセンター的存在で、ジェシーさんと並び“Wセンター”とも称される京本さんは、叙情的に伸びるクリアなハイトーンが特徴で、SixTONESの高域担当。男性っぽいグループの中で“中性的な表現”を一手に任されている人だ。
ほどよい湿度と光沢感のある声で繰り出すシャウトは、ヘヴィロック系曲の要所を一気に盛り上げるし、クリアな輪郭の声によるエモーショナルな表現は、90年代のV系ボーカリストも想起させる。アイドル性と耽美性の要所を押さえた声の存在感は、SixTONESの世界観に欠かせない。
“美声系の低音”が特徴の松村さんは、SixTONESの低域を担う人。声そのものがクリアで叙情的なところは京本さんと近く、松村さんはそれがより湿度を帯びて、太く低い方に伸びていくイメージだ。それでいて高音域の歌声にも定評がある。
しかも低いのにこもらず、抜けが良くて、男性声優さんのようないわゆる“良い声”である。憂いを帯びたドラマチックな中〜低音の表現力が楽曲の中でかなり映えていて、松村さんの声が入ってきた瞬間、SixTONESの音楽に影がさす。
髙地さんは、ソフトで明るい低〜中域が印象的な声の持ち主。しかしマットな質感で暖かいのに、グループ中で最も叙情感に溺れすぎないフラットさも両立するのが絶妙だ。
一般的に、明るい声はアイドル楽曲の真ん中に据えられやすいが、それがあえて“声の差し色的なエッセンス”として使われているあたりが普通とは逆で、SixTONES楽曲を聴いた時の面白さに繋がっている。髙地さんがいないとこの逆転は起きないので、かなり重要人物。
森本さんの声も明るくソフトで、上述の髙地さんと近い。ただ森本さんの方がより甘く、中域に芯があり、“アイドルっぽい声”をしているのが特徴だ。その歌声はファンから“キャラメルボイス”とも評される。
楽曲に合わせてエモーショナルな表現もしながら、ハモリでは主旋律を引き立てつつ自分の声を消さないバランス感覚もありと、さまざまなシーンにフィットしている。
本来、クセ強に振り切れそうなSixTONES楽曲がアイドル的ポップ感を両立する背景には、森本さんの存在が大きいと思われる。
ザラついた金属のようなハスキーボイスを持つ田中さんは、切れ味あるラップセンスで抜群の存在感を誇る。しかし、SixTONES楽曲ではそこに調和があるのが面白い。アイドル楽曲のラップは、“盛り上げ”や“曲調の切り替え”など、いわばスパイスとして差し込まれることが多い。
しかし田中さんは、“楽曲構造に組み込まれた接続詞”や“曲を支える重心”のような、いわば職業ラッパーに近い表現のラップが多くて、歌パートに馴染むリズム感が耳を惹く。
あえて言うと、個性的な他メンバーが歌う各パートを繋ぎ合わせているのが田中さんのラップで、それによってSixTONES楽曲の世界観が確立されている印象だ。
またラップ以外のボーカルパートでも、存在感のある歌声を発揮。ファンからは「一番の歌ウマは樹」という声も挙がるほど。
この濃密な6人の個性が混ざり合うサウンドを、WF-1000XM6はどう描き出すのか。以下、筆者のスマートフォン(Google Pixel 8a)とLDAC接続し、Amazon Music HDからじっくり聴いた中で、個人的にグッときた3曲をピックアップしてレポートする。
「Imitation Rain」
1曲目は、記念すべきデビュー曲。X JAPANのYOSHIKI氏が提供した、美しいピアノと疾走感のあるバンドサウンドが交錯するロックバラードである。SixTONESが出演しているWF-1000XM6のCMにも使われている楽曲だ。
これがまさにWF-1000XM6のアピールにドンピシャというか、曲が始まった瞬間、出だしのピアノの凛とした音に「おおっ」と声が出た。静けさの中にスッと浮かび上がるピアノ、その帯域の広いサウンドの精細感が美しく、一瞬で引き込まれる。芯が詰まっている感のある鍵盤の質感がリアルだ。
そこにロックなエレキギターやドラムが入ってくると、一気に楽曲のスピード感が加速する。特にバスドラムのアタック感が切れ味良くドシンと響き、滑らかなピアノとの対比で、音のメリハリ感が非常に効いている。ピアノの流麗さもドラムのアタック感も、音の分離が良いので一つひとつの要素がしっかりと聴き取れつつ、全体としては一体感がある。
全体的に非常にコントラストが高い聴こえ方で、楽曲の持つ「美しくも闇がある世界観」と見事に合致している。性能の低いイヤフォンで聴くと「普通に美しいピアノバラードJ-POP」として通り過ぎてしまうかもしれないが、WF-1000XM6レベルの解像感で聴くと、楽曲が秘めている音のコントラストと深みまで受け取れる感覚だ。
また、ボーカルの距離が程よく、メンバーそれぞれの美声がシンプルに深く堪能できるのも良い。特に本曲の場合は、今とは異なるデビュー当時の歌い方を楽しめる。そこにパッケージされたワクワク感や緊張感、熱量までも伝わってくるようだ。
「WHIP THAT」
続いては、重低音と電子音がクラブのフロアを揺らすようなトランス感のあるEDM楽曲。初めて聴いたときに、「これ系で歌って踊る男性アイドルすごいな」と個人的にかなり惹き込まれた曲だったりする。
さらに、この手の激しめなEDMは、WF-1000XM6の静けさの表現が逆に活きるジャンルだと勝手に思っているので、今回のレビューで選出させていただいた。
実際に聴いてみると、サウンドの立体感が強く、一つ一つの音の配置が手にとるようにわかる。打ち込まれたリズムの軌跡が目に見えるようだ。そして、轟く電子音が一瞬途切れる瞬間の「スンとした静けさ」が快感。
各メンバーのエフェクトがかかったボーカルは、サウンドの一部として機能しており、そうした楽曲制作上の演出や方向性がくっきりと見えてくる。
サウンドステージも広めで、左サイドの端のほうで鳴っている細かい打ち込み音まで潰れずにしっかり聴き取れる。ビートは鋭くもしなやかで、音が鳴らされるたびに水飛沫が上がるような「スパッと感」が表現されていて快感(2回目)。
後半、ラスサビに向けて怒涛の盛り上がりを見せる展開で、聴いているこちらのボルテージも自然と引き上げられていく。
「こっから」
3曲目は、レトロなファンク/ヒップホップの要素を散りばめた、熱量溢れるダンサブルナンバー。WF-1000XM6で聴くと、まず低域のキレが非常に良く、ビートの鋭さに体が揺れる。そして、こちらは6人の声の存在感がわかりやすい。
声と周囲の楽器の心地よい分離感で、真ん中に配置されるメインボーカルに圧倒的な存在感がありつつ、左右に広がるコーラスワークの巧みさとバランスが光る。
AメロからBメロにかけては、メンバー間でラップやマイクリレーが挑発的にめまぐるしく展開していくが、サビに入った瞬間、ユニゾンで6人の声がサウンドステージ全体に広がり、一気にグループとしてまとまるカタルシスがすごい。グループとしての強みが生きる楽曲構成を、WF-1000XM6が最大級に表現している。
バックで鳴るホーンセクションがブイブイと威勢よく切れ味抜群で、それに包まれる6人の声は、バラバラの個性を放ちながらも全体で一体感を生み出している。サビ後の「1,2,3,4 順番通り/いってないだけで予定通り〜」と2手に分かれるコーラスパートでは、右寄り・左寄りの両ステージから畳み掛けられるような熱量に圧倒された。
なんというか、わざわざ意識してメンバーの声を聴きにいかなくても、「向こうから自分に向けて歌いかけてくれている」ようなダイレクトな感覚だ。
“推しの声”の解像度を引き上げるイヤフォン
前回のヘッドフォンWH-1000XM6での体験も楽しかったが、今回のイヤフォンWF-1000XM6で聴くSixTONESも、これまた素晴らしい熱量のリスニング体験を与えてくれた。WF-1000XM6が表現するサウンドステージの中で、メンバーの声のグラデーションがリアルに耳に流れ込んでくる。
SixTONESのデビュー6周年という記念すべき年に、ソニーの最上位イヤフォンWF-1000XM6で彼らの音を聴くこと。それはまさに、6色の声の魅力を100%引き出す相思相愛の組み合わせと言えよう。
















