鳥居一豊の「良作×良品」
「ドクター・ストレンジ」の縦横無尽6D魔法バトルをヤマハ「RX-V583」のシネマDSPで体験
2017年6月29日 08:10
今年発売された最新の薄型テレビでは、ついに3D対応モデルがなくなってしまった。ユーザーのニーズの反映でもあるので仕方のないところだが、やはり残念。かくいう我が家でも、すでにメインのディスプレイとなっている東芝の有機EL REGZA「55X910」は3D非対応なので、3D作品を見るときは、プロジェクター(VPL-VW500ES)とスクリーン(オーエス ピュア・マット3)で見ている。そんな環境になって改めて思うのだが、3D作品は劇場などでアトラクション的に楽しむというのが正しいとも思う。有機EL画質で3Dというのも興味深いところではあるが、120インチの大画面で3D作品を見ると、多少の画質差など気にならないくらい楽しかったのだ。プロジェクターは現在も家庭用モデルはほとんどが3D対応なので、今後はこうした棲み分けになるのだろう。
というわけで、今回の良作は「ドクター・ストレンジ」。事故で両手に障害を抱えてしまった天才外科医が、なんと東洋の魔術師となって戦うというストーリー。マーベル・コミックのヒーローの一人で、本作ですでにアベンジャーズと世界観を共有していることが示されているし、続編では本格的に共闘することになるらしい。もはやなんでもあり、だ。
魔法使いというと「ハリー・ポッター」シリーズが思い出されるが、本作はまったくイメージが異なる。「マトリックス」×「インセプション」という表現がまさにそれで、彼らが戦う場所は空間がねじ曲がって、大変なことになる。この天地も左右もない感覚はまさしく3Dにぴったりの題材だ。
そして、3D映像にぜひとも組み合わせたいのが、Dolby AtmosやDTS:Xの高さ方向を持つ立体的なサラウンド。この2つが組み合わされると、2重の意味で3D酔いしかねない縦横無尽の映像と音の体験が味わえる。
本作はDTS-HD Master Audio 7.1音声だが、Dolby Atmos/DTS:Xに対応したAVアンプならば、ドルビーサラウンドやDTS Neural:Xで高さ方向の音場も加味した再現が可能。今回は3D映像+3D音響の6D(?)視聴で本作を楽しもうという趣向だ。
というわけで、今回の良品はAVアンプ。選んだのはヤマハ「RX-V583」(72,000円)。ヤマハのDolby Atmos/DTS:X対応モデルとしてはエントリークラスにあたる製品だ。このクラスのアンプは機能的にも十分だし、音質も優れているが、今年またさらに音の実力を高めてきている。人気の高い価格帯ということもあるが、その充実度の高さには恐れ入る。
外見に大きな変化はないが、デジタル回路の一新など、内部は大きく変更
さっそくRX-V583を見ていこう。外観に大きな変化はなく、サイズ感を含めてほぼ同様。AVアンプとしては比較的小柄なサイズなので、薄型テレビを置くラックなどにもなんとか収まるだろう。
背面の端子群はすっきりと整理されていて、つまり入出力端子の数は決して多くない。HDMI入力4系統、出力1系統で、このほかにビデオ入力が2系統、デジタル音声入力が光×1、同軸×2となる。このほか、FM/AM用のアンテナ端子、ネットワーク端子、前面にUSB端子とステレオミニの音声入力がある。
スピーカー出力は7系統で7.1chと5.1.2chを同時に接続することはできず、排他利用となる。プリアウト出力もサブウーファー出力が2系統だけだ。
これがどういうことかと言うと、7.1chシステムと5.1.2chシステムを同居させて、ソフトに応じて7.1または5.1.2を切り替えることができない。また、プリアウト出力もないので、7.1.2chや5.1.4chといったスピーカー構成のグレードアップもできない。スピーカーを駆動するための出力や音質だけではない、上級機との大きな違いは、後から発展させる余地が乏しいということだ。
ただ、一般的には5.1.2chでも精一杯という人のほうが多いと思うので、これはこれで十分と言える装備だ。一度本格的なサラウンドを体験してしまうと、7.1.2chなどへのグレードアップを考えてしまいがち。7.1chソースは増えてきているので、スピーカーの置き場所が確保できれば、5.1chではなく、7.1chとしたい人もいるだろう。そうした人は、より、上級モデルを選ぶということになる。ヤマハであれば、AVENTAGEシリーズなど豊富なAVアンプのラインナップを用意しているので、購入時には価格と拡張性のバランスを考慮して最適なモデルを選びたい。
さておき、今回の接続では、自宅の6.1.4ch構成のスピーカーのうち、フロント×2、サラウンド×2、トップフロント×2、サブウーファ×2を使った4.2.2chを使用した。サラウンドバックのスピーカーは不使用ということだ。
接続が完了したところで、自動音場補正機能「YPAO」で測定を行なう。マイクを視聴位置にセットしてしまえば、測定自体は1分もかからずに終了できる。だから、スピーカーを左右で等距離になるように置いているのに、測定結果に誤差が出るという場合は、スピーカー位置を微調整して、実測値と測定値が揃うようにきちんとセッティングを合わせるといいだろう。自動音場補正機能は便利だが、万能ではないので、リアルなスピーカー位置の調整をしっかり行なうと、得られる効果も大きく変わってくる。
基本的なセッティングはこれで完了。後は必要に応じて、マニュアル設定を確認・微調整する。スピーカーサイズの「大」、「小」は誤判定されることもあるので、念のため確認しておきたい。
その他の設定も一通り確認してみたが、V583では4K信号のパススルー伝送だけでなく、4Kアップスケーリング機能も実装された。4Kテレビなどと接続するときはBDソフトの映像信号も4K化して出力できる。このあたりは好みで使い分けよう。
また、新たにHDR規格のドルビービジョンやHLGのパススルー伝送にも後日のファームウェアアップデートで対応する。ドルビービジョンのソフトはUHD BDで発売が始まったし、HLGはすでにスカパー! 4K放送のHDR番組で採用されている。こうした新しいフォーマットへの対応も万全だ。
「ドクター・ストレンジ」を上映開始。ほんのちょっとのチューニングも
さっそく上映開始だ。冒頭では、数々の魔導書を収めた書庫に侵入した一団がある書物のページを奪って逃走する場面となる。東洋的なテイストが入ったダーク・ファンタジーという感じでなかなかに重みのある導入だ。逃走場面ではさっそく空間を自由自在に操って物理法則を無視した大胆なアクションが展開する。さっきまで立っていたはずの路面がぐるりと回転して壁になり、必然的にすべり落ちるなど、映像なしで説明するのが難しいアクロバティックな映像が展開する。
まずはお手並み拝見とストレートデコードで聴いてみたが、RX-V583の音は、解像感が高く音場の広がりなども豊かさに再現され、なかなかの実力だ。低音がしっかりとしていて、中低音の厚みも充実しており、アクション場面の迫力ある魔法のエフェクトや爆発音なども力強い音で楽しめる。
前作(V581)に比べてS/N感やチャンネルセパレーションが大きく向上しており、中低域の厚みなどより充実している。これは大きな進歩だ。
実は前作と比べてデジタル回路基板の設計が一新されており、サイズは約20%小型化されている。配線の最適化により信号経路の短縮が図られている。そして、D/Aコンバーターは、従来が8ch仕様のチップ1基だったものを、上級機と同様に2ch仕様のDACを合計5基搭載している。
そして、各回路への電源も、大きなEIトランスはアナログ回路部専用とし、デジタル部、制御部などはスイッチング電源から給電するように見直し、アナログ部とデジタル部の電源の独立が図られている。こうした改良により、S/Nの向上、情報量の増加、そして全体的な音の質感も大きく向上しているのだ。
今年のAVアンプは、前述したような新機能も盛り込まれているが、それを理由に買い換えを考えさせるほどの強力な機能というわけではない。正直、機能から見た製品としてのインパクトは薄い。だからこそ、音質的に大きく向上させている。見た目は地味だが、中身は大きく進歩しており、より熟成度の高い製品となっている。
Dolby Atmos対応とか、目立った新機能を搭載した時期は、コスト増もあり本質的な音質の強化はやりにくい。その後に発売される後継機はそのあたりの手が届かなかった部分の改善が行われるというわけだ。
まあ、最新の製品ほどより良くなっていくのは当然で、本機も1年後には後継機が出てさらに良くなっていくのだろうが、新機能搭載直後よりもその後の熟成モデルの方が、肝心の“音”が良くなるという傾向はあると思う(まあ、目立った新機能が登場するとすぐに買い換えたくなるのも人の性質だが)。
この段階でRX-V583が昨年にも増して優れた音になっていることがわかって驚いたが、より良くなったぶん、気になるところもあった。解像感の高さや高音域の伸びの良さはヤマハのAVアンプの魅力ではあるが、RX-V583ではやや高域のキツさが気になった。
そこで最近お気に入りのAETのインシュレーター「VFE-4005H」(実売価格1,290円/4個セット)をインシュレーターの下に敷いてみた。VFE-4005Hは、粘性の高いジェル素材を発泡させたもので、2種類の振動吸収性能を持つという。触った感触はやや柔らかいのだが、工業分野で開発された振動吸収素材で耐久性にも優れるということで、長期間使っても劣化は少ないようだ。
これを使ってみると、高域のキツさがとれて、解像感の高い音がすっきりと広がるようになった。音の定位や細かな音の粒立ちも向上している。おかげでさらに音量を上げることができ、音像の厚みや力感もさらに充実した。
おそらくはトランスなどの振動による影響が低減され、音の濁りが減った結果だと思うがおおむね良好な変化だ。このクラスのAVアンプは筐体に十分な振動対策をするには限界があるので、こうしたアクセサリーは意外に効果が大きい。決して高いアクセサリーではないので、ぜひお試しを。ただし、必ずしも好ましい音質変化になるとは限らないので、じっくりと確認してから採用するかどうかを決めよう。
音が決まったところで、DTS Neural:XやシネマDSPの効果を試す
インシュレーターを交換し、自宅で使っているAVアンプ(デノン AVR-X7200WA)との音質的な実力差がぐっと近づいてきたことに戦々恐々としつつ、音が決まったところで今回の本題である4.2.2ch構成による立体的なサラウンド音響の効果を試してみる。
RX-V583のシネマDSPは「3Dモード」を採用しており、高さ方向の音響までも音場処理に反映される。ハイトスピーカーやオーバーヘッドスピーカーを使った環境ならば、まさしく4.2.2chのサラウンド再生となるわけだ。
一方、Dolby Atmosならば「ドルビーサラウンド」、DTS:Xならば「DTS Neural:X」と、5.1chまたは7.1ch収録の音を5.1.2chなどに拡張する機能もある。これらのサラウンド効果がどう変わるかを聴き比べてみた。
天才外科医として腕を振るっていたドクター・ストレンジは、事故によって両手に重い障害を追ってしまう。西洋医学のあらゆる手を尽くして治療したものの、元の機能を回復することはかなわず、思いあまった彼は東洋の魔術にわずかな期待をし、はるばるチベットまでやってくる。
そこで出会った魔術師のエンシェント・ワンは、東洋思想たっぷりの、科学的根拠に乏しい教えを説き、ドクター・ストレンジはまったく信用できない。そこで、エンシェント・ワンは、百聞は一見にしかずとばかりに、彼のアストラル・ボディを無理矢理引っ張り出し、強制的に宇宙との合一をさせてしまう。
肉体を持たない意識だけの存在になった彼は、一瞬にして地球を飛び出して宇宙に出て、さらには因果地平の彼方にまで行ってしまう。
この場面は非常にスピーディーで、なおかつ、幻想的。最新技術の力で「2001年宇宙の旅」でボーマン船長がモノリスの向こう側へ行ってしまったときのような体験をすることになるのだが、3D映像とサラウンド音響でその効果はものすごく体験的になっている。この場面は当然ながらサラウンド効果も威力抜群なので、ここでシネマDSPなどの効果を試してみた。
ストレートデコードの4.2ch再生(ソースの音源は7.1ch)では、左右の広がりや包囲感はあるものの、空間はやや平面的で奥行きもやや乏しいと感じる。映像的には濁流に呑み込まれてもみくちゃにされているような、天地も左右もぐるぐる回っているような感じなので、音だけは包まれ感はあっても回転する感じはなく、やや映像と音の不一致を感じる。
これが「DTS Neural:X」となると、天井のスピーカーからも音が出るようになって、高さ方向を含んだ包囲感になる。まさしくぐるぐると回るような回転する感じで出てくるし、途中でエンシェント・ワンが四方を周るように語りかけてくる声も、高さ感を伴ってフワフワと揺れ動きながら周回するようになる。
シビアに音だけを聴き比べると、大きな違いはあまりないかもしれないが、映像の動きと音の動きが一致することで、実際に目を回してしまったときのような酩酊感がある。筆者は今までに車酔いをしたことも、3D酔いをしたことも、VRグラスで酔ったこともないのだが(飲酒で酩酊したことはある)、これは苦手な人は酔うかもしれないな、と思うくらいに身体の感じる上下感と、目と耳から入ってくる上下感のずれを感じた。
しかもこれで終わりではない。ヤマハ自慢の「シネマDSP 3Dモード」がある。シネマDSPも、独自の音場処理で立体的な空間を創出し、天井のスピーカーにも音を振り分けるという意味では考え方は同様だ。「シネマDSP 3Dモード」の場合は、「バーチャルサラウンドバック・スピーカー」(7.1ch構成のときは「バーチャルプレゼンス・スピーカー」)という機能も加わるので、4.2.2ch構成でも、仮想6.2.2ch再生となる。これが大きなメリットだろう。
「シネマDSP」でアクション映画に適した「スペクタクル」を選んで聴いてみると、まず空間の広がりがより豊かになっていることがわかる。それでいてセリフなどの定位はより明瞭になり、フワフワと周回する移動感もよくわかる。音場が大きく拡大されるし、広がって薄まるのではなく、個々の音もしっかりと音像が立つのでより生々しい空間感が味わえる。
もっとも、こうした乗り物酔いの感覚を体験できる映像と音で生々しさが高まると、かなり気持ちの悪い感じになる。とはいえ、ドクター・ストレンジが体感している感じそのままのものなので、臨場感という意味では正解だ。
映像と音が一体となって、しかもリアリティーがあるレベルを超えると、「不気味の谷」のような認識の不協和を起こすのかもしれない。ちょっと大げさかもしれないが、そのくらいの体感が得られたのは確かで、これぞ3D映像+3D立体音響という気になる。これで、映画館の4DXのようにシートまで動くとなったら、ちょっとヤバいかもしれない。
さておき、シネマDSPの音場効果は、Dolby AtmosやDTS:Xの素の状態でのサラウンド感が大幅に向上した現在でも、いや現在だからこそより豊かな空間の表現が楽しめる機能だということがよくわかった。
詳細に聴き比べると、音の響き成分が増えているぶん、ストレートデコードの方が細かな音や響きが曖昧にならず、すっきりとした音に感じる。しかし、シネマDSPでも個々の音が響きに埋もれてしまうどころか、定位はむしろ明瞭になるので、この「すっきり」というよりも、痩せた音にも感じる。このあたりは好みもあるが、本作のようなリアルも理屈も一切通用しない荒唐無稽なエンターテイメント作品では、積極的に使った方が楽しい。
ちなみに上級機となると、Dolby AtmosやDTS:X音声にシネマDSP効果を組み合わせるということもできるようになる。
3D作品ではお約束の高所からの落下もたっぷりのクライマックスへ突入
宇宙(ユニバース)どころか、マルチバースを体験してしまったドクター・ストレンジは、エンシェント・ワンに弟子入りすることになるが、もともとの目的は魔術師になることではなく、魔術の力で自分の両手の機能を回復することだ。だが、もともと天才ということもあり、魔術を驚異的な速度で学習していった彼は、禁断の領域まで踏み込んでしまう。
その領域に存在するのが、宇宙を混沌で満たしてしまおうとするラスボス。いきおい、魔術師たちが対立する勢力と衝突することになり、魔術バトルにも巻き込まれていく。
ここに至る過程でも、よいパートナーとなることが期待できそうな「浮遊マント」との出会いとか、重傷を負った自分の手術をかつての恋人だった医師にまかせつつ、自らも幽体離脱して手術の手伝いをする場面など、やりたい放題の楽しい場面がいっぱいだ。
とはいえ、一番の見どころとなるのは、対立する魔法勢力との一大決戦。魔法使いたちは、現実世界への影響に配慮してミラー次元と呼ばれる閉鎖空間で魔法バトルを行なう。現実とは位相の異なる別世界という感じだが、それだけにやりたい放題である。ぐっと腕を差し出してひねりを加えれば世界が傾くし、折り紙で箱を作るように世界を折り畳んで逃げ道を塞いだりする。
エッシャーのだまし絵ようなトリックアートの世界を実写そのままのテクスチャーと情報量で再現し、しかも3D動画でぐるぐる動く映像は圧巻だ。たしかに「インセプション」のアイデアを思い出すが、さらに自由自在になっていて、さらに一歩前進した新しい映像体験になっている。
それに伴う立体音響も、折り畳まれた街に押しつぶされるような圧迫感や何重にも折り重なった街を落下していくようなスリルを迫力ある音響で再現しており、実に体験的。RX-V583も解像度の高い低音域が、街が折り畳まれるときの迫力をしっかりと伝えてくるし、落下中の風の音などさまざまな音を自由自在な定位で再現し、現実にはありえない空間を生々しく感じさせてくれる。
「ドクター・ストレンジ」は、2Dで見てしまうと、目で見ている空間がどういう感じになっているかが直感的に把握しにくく、ただの荒唐無稽なデジタルCG映画と思われてしまうかと心配になる。それくらい3Dで見ないと価値のない映画だと思うし、3Dで見るならばシネマDSPのような立体的なサラウンド空間を再現できる音が欠かせない。
3D映画の面白さを久しぶりに実感できたし、Dolby AtmosやDTS:Xの音響の魅力も再発見した感じだ。
言いたいことはいつも同じになってしまうのだが、今やプロジェクターしか選択肢がない3D映像はともかく、Dolby AtmosやDTS:Xはぜひとも前向きに検討してほしい。スピーカーは壁や天井への取り付けが容易なコンパクトなスピーカーでも十分にサラウンド効果は味わえる。賃貸住宅では家屋への工事が難しいし、スピーカーの配線の処理も悩ましいなど、ハードルの高さはあるが、映画好き、特に3D映画好きの人はハードルを超えて実現していただきたいと思う。その先には、まさに常識を破壊してしまうほどのインパクトを持った楽しい世界が待っているのだ。
高級AVアンプが不要とさえ思えるほど、RX-V583の出来は優秀
最後にネットワーク機能でステレオ再生についても触れよう。本機のネットワーク機能は従来通りで、Wi-Fiを使ってハイレゾ音源を含む音楽ソースの再生などが可能。独自のホームネットワーク規格である「MusicCast」対応機器があれば、それらの音源を配信することなども可能。Bluetoothによるワイヤレス機能もあるのでスマホの音楽も手軽に楽しめるし、圧縮音源の音を高音質化する「ミュージック・エンハンサー」機能もある。
オーディオ用のステレオアンプとしても充実した機能を備えている。その音も、解像感の高さや音場の広がりや奥行きの豊かさがしっかりと出ていて、ステレオ再生用としても不満のない音に仕上がっている。映画のサラウンドでこれだけしっかりとした音が出るのだから、ステレオ再生だってかなりの優れた音を楽しめる。
5万円未満のAVアンプでこれだけの音が出てしまうと、ほとんどの人にとっては「これで十分」という気になってしまうのは確かだ。もちろん、高級機になると、音質的にもさらに優れた実力になるのは確かだが、一般的な家庭の広さや音量の限界などを考えると、その差はかなり小さいと思う。
実用上ではRX-V583はほとんどの人が満足できる機能と実力を持っているのは間違いない。サラウンドには興味があるが、さまざまな理由で二の足を踏んでいる人は、この機会にぜひとも挑戦してみてほしい。「ドクター・ストレンジ」と「RX-V583」はその良い導き手になってくれるはずだ。
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