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気になるグッズを衝動買い |
第10回:PC用ディスプレイでTVを見よう ゲームもきれいに映る?「マイコンソフト XRGB-2」 |
AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。 |
■TVよりPC用ディスプレイの方が大きな環境
PCはもう生活の一部にとけこんで、これなしの生活なんて考えられないです。っていうか、自宅にあるTVは14インチ、ディスプレイは17インチ。PC用の方がデカいんですわ。
14インチの方は、予算的には21インチを買うよりも高くついたというソニー製WEGAの「KV-14AF1」(購入当時39,800円)。機能や画質、大きさを納得した上で購入したものだから、不満は全然ないのだけれども、やはり、PCのディスプレイを見ているとどうにも迫力を感じない。視聴位置もディスプレイだと約30cmなのに、TVの方は1.5m程度。どうしても小さく感じてしまう。とはいえ、これ以上大きなTVを設置しようと思うと、予算もさることながら、部屋を片づけて模様替えしなくてはならない。
……そんなめんどくさいことをする気力はありません。よほど大きなTVに買い換える、というのなら話は別だけれども、そこまでの予算もないしなぁ。
この安っぽいジレンマを簡単に解消してくれそうなアイテムがあるのですよ。それが、アップスキャンコンバータ。NTSCの信号を、VGAにアップしてディスプレイに表示できるようにするアイテムなのです。
■ある日、突然在庫がいっぱい
ゲット候補はマイコンソフトの「XRGB-2」。アップスキャンコンバータの中では老舗的な製品で、これは2代目。昔、パソコン雑誌などで広告を良く見かけました。
S端子/コンポジットの入力に加え、アナログRGB21ピンの入力にも対応するという優れもの。どちらかというと「アナログRGB21ピン入力で、家庭用ゲーム機をRGB入力で楽しもう」というコンセプトらしい。まあ、ウチのWEGAは「AVマルチ端子」でプレイステーションからRGB入力ができるので、不要と言えば不要だけれども17インチの大きな画面で楽しめるのはメリット大きい。 この製品、前からかなり気にはなっていたのだけれども、いざ、欲しいと思い立ったときになぜが在庫がさっぱりない、という状況が続いていたんだよね。人気があるのだろうか?
しかし、ある日新宿を歩いていると、店頭に山ほどの在庫があふれかえっているではないですか。おお、ここは押さえておかねばなりますまい。標準価格は27,800円だけれども、値札は24,800円。大体1割引きってところですな。まあ、特殊な製品だし、この程度の値引率なら納得。無事、ゲットとあいなりました。
外箱。ブラックを基調にした渋いデザイン | 箱の裏面。対応ディスプレの説明と注意書き | 注意書きは細かい所まで書いてある。購入前に注意を |
■いろいろな制約があるものの、現行ディスプレイならばほぼOK
パッケージは、黒を基調にした「いかにもPC用周辺機器」な雰囲気。特徴として、「ガンマ補正」機能や、Y/C分離に「3ラインデジタルくし型フィルタ」を搭載するなど、AVにも気遣っていることがうかがえる。ただ、注意書きをよく確認すると、「ビデオテープの正常な再生には対応しません」との注意もあり、少々不安も感じる。まあ、買ってしまったのだから気にしても仕方ないか。
対応するディスプレイは、水平同期周波数が31kHzのものと、15kHzのもの。31kHzは、いわゆる680×480ドット(VGA)の周波数で、現行のディスプレイであれば、ほとんどが対応している周波数。ただし、Macintosh用には対応しない。15kHzは、NTSCと同等の周波数で、対応するディスプレイは現行では見受けられない。これは、「X68000」など昔のPC用ディスプレイに対応するモード。ただし「FM-TOWNS」用ディスプレイは15kHz入力は備えているが、本製品では対応していない。
ん~TOWNS用のディスプレイ、未対応ですか。実は持っているのでちょっと残念(確か「DP531」という型番)。ただし、旧機種用ディスプレイでも24kHz(680×400ドット)入力にしか対応しないものや、15kHzでも対応しないものもあり、購入の際には注意書きを確認のこと。
まあ、自分を含め、ほとんどのユーザーはVGA入力のディスプレイしか持っていないと思うので、31kHzでの注意点などを。マニュアルの記述によると、エプソンの「CRシリーズ」は全機種で正常な表示ができないそうだ。お持ちの方はご注意を。
また、液晶ディスプレイや、プロジェクタでの動作も「保証いたしかねる」とのことなので、無理に使うのはやめた方がいいだろう。ガンコントローラなど、走査線を直接読みとる機器は、31kHzには対応しない。ガンコントローラを使うシューティングゲームはあきらめないとダメですね。
以上、いろいろと制約がありますが、まあ、「いわゆる普通のディスプレイ」であれば対応しているよう。それよりも、ここまで対応状況を調べたメーカーに頭が下がる思いです。
パッケージに記載のある対応ディスプレイは、三菱の「RDシリーズ」、ソニーの「CPDシリーズ」、飯山電機の「MTシリーズ」など。ウチのディスプレイは飯山電機の「MT-17MF」。うん、大丈夫ですな。
マニュアルの対応ディスプレイの説明。これだけで7ページ |
■環境を変えることなく増設できる同梱品
パッケージに同梱の品は、スキャンコンバータ本体の他に、ACアダプタ、ステレオミニジャックケーブル×1本、ステレオミニ→RCAステレオ変換ケーブル×1本。15ピンアナログRGBケーブルは、PC/AT互換機仕様(15ピン3段)のものと、旧NEC仕様(15ピン2段)のものがそれぞれ1本が同梱。
本体のコネクタは、15ピンアナログRGB入力端子(15ピン3段)×1、RGB出力は、DOS/V仕様、旧NEC仕様がそれぞれ1系統づつ。同時出力はできないので、手持ちのディスプレイどちらかにつなぐことになる。この入出力端子は、コンバータの電源がOFFになるとスルー出力され、接続前のPC環境と同じように使うことができる。
音声入出力は、ステレオミニプラグがそれぞれ1系統づつ。こちらも電源OFF時はPCからの入力をスルーアウト可能。 アナログRGB21ピン端子は前面に1系統。コンポジット/S端子の映像入力は背面に1系統。それぞれの音声は、接続したPC用スピーカーで再生ができる。
つまり、電源がOFFになっていれば、PCの環境をそのままで利用できるし、電源を入れれば、NTSC信号をPCのスピーカーで音声を聞きながらディスプレイで視聴できる、というわけ。なかなか親切な仕様だと感じる。
本体全面部。調整用のボタンとRGB21ピン入力がある | 本体背面部。入出力端子が集まる。コンポジット/S端子はこちら |
本体と同梱のケーブル類 | 接続したところ。電源を切ればPCの出力がスルーされる | ACアダプタはこのタイプ |
■いざ、接続。その実力は……
いよいよ実際の視聴へ。ケーブル類の接続は、自分でPCのセットアップをしたことがあるのならば至って簡単。これまでPCにつないでいたケーブルを、コンバータ本体を経由する接続にする、という感じ。とりあえず、同時購入したRGB21ピンケーブルで「プレイステーション 2」をつないでみる。
あれ? なんだか妙に画面が揺れてるな……。普段見慣れている「AVマルチ」接続ではまったく感じられない「揺れ」が全面で発生していて、静止画の状態ではまともな視聴は難しい。「MT-17MF」固有の症状かと思い、編集部の三菱製「RD-F19S」に接続して視聴してみたが、症状は同じ。画面が19インチと大きくなった分、より大きく揺れを感じてしまう。「PlayStation2」のロゴも、ぶれてちらつき、とても見にくい。ただ、動画になるとぶれはかなり収まる。「鬼武者」のオープニングムービーは、動きが激しいシーンではブロックノイズが感じられるほどの高精細。
それでも画面上下にはぶれが感じられる。画面が縮小されて表示されるので余計に気になる。これはマニュアルにも記述のあるのだが、大画面の迫力もかなりスケールがダウン。動画でもぶれの影響によるのか、どうもしまりを感じられないし。ん~、ちょっと期待していたのとは違う画質だなぁ。
RGBでこの画質だから、S端子やコンポジットでの入力も……。と思いつつも、ビデオを接続してTVチューナの映像を見てみる。ああ、やはり似たようなものですわ。ただ、こちらは基本的に動画のみしか出力されないので「ぶれ」はさほど感じない。しかし、映像は全体にねむたい印象で、ディスプレイとTVの解像度の違いからか、その差も大きく感じてしまう。
正式にはサポートされていない「ビデオテープの再生」については、自分の視聴した範囲では特に問題は感じられなかった。オリジナルテープの「アポロ13」では、ねむたい画質ではあるものの、いたって普通に再生ができた。普通に録画したテープの再生も、ノイズやにじみが目立って感じられるものの、映像が乱れるなどの不具合はない。また、エアチェックしたテープもオリジナルテープ同様、いたって普通に再生ができた。
ただ、再生時の早送り/巻き戻しのサーチ時に映像がとぎれる症状を確認できたが、映像も全く見えなくなるわけではなく、とぎれることがある、という程度で実用にはあまり関係はないと思われる。「テープの再生に対応しない」のとはいうものの、(画質さえ気にしなければ)普通に使っていけるようだ。
■調整機能は多彩。それでも画質の方は……
と、ここまでは調整をする前の印象。本製品には画質の調整機能が多数用意されているのだから、調整した後の画質に期待したいところ。
用意されているのはコンポジット/S端子では、「明るさ」、「色合い」、「色の濃さ」、「シャープネス」、「黒レベル」、「ガンマ」など。RGB21ピン入力では、「明るさ」、「Green/Blue」、「黒レベル」、「ガンマ」などが調整できる。その他には表示位置や、傾きの調整などがあるが、表示領域の調整はできない。
しかし、いろいろ調整はしてみたものの、画質が大幅に改善される、ということはなかった。とはいえ、ディスプレイはドットピッチがTVよりも狭いので、調整前は多少暗い印象があったのだが、それはガンマ値と黒レベルの補正でかなり改善できた。しかし、肝心の「ぶれ」を補正することは結局できない。ダメだぁ、もうあきらめました……。
マニュアルの解説。わかりやすいが、画質はさほど改善されない | 調整画面その1。「明るさ」、「BLACK」は要調整 | 調整画面その2。主に画面位置の調整などを行なう |
■お手軽にTV/ビデオの視聴環境を手に入れたい方へ
PCの環境を変えることなく利用できる仕様や同梱品、画質補正機能。それに徹底的に調べた対応状況など、全体的に見るとユーザーの側に立った製品だと感じられる。しかし、問題は画質。特殊な製品だとは理解しているけれども、期待していた画質は得られなかった。印象としては、ちょっと電波干渉がある状態でのRF接続ビデオの画質が、高精細なディスプレイで見られる、という感じ。映画などを見るにはちょっとオススメできないし、ゲームをプレイするとしても、静止シーンの多いアドベンチャーゲームなどもあり、かなり微妙なところ。
しかし、まあ、ディスプレイでアナログソースを視聴できるメリットはあります。なんといってもパソコンから移動することなくTVが見られるのだから。
TVチューナカードを増設するよりは手軽にTV視聴環境を得られるし、CPUのパワーに依存することもない。自分のマシンは、現在K6-2の300MHz。3世代は前のCPUなので、最近のTVチューナカードを買っても使用できない可能性大。そう、この製品は救済のためにあるのだと感じるのです。自作派の方ならこの値段出せばボードごとアップグレードできますが、あまり面倒をかけずにTVを見たい方はオススメ。ただし、画質は期待しないこと。
□マイコンソフトのホームページ
http://www.dempa.co.jp/micomsoft/
□製品情報
http://www.dempa.co.jp/micomsoft/XRGB-2.html
(2001年4月24日)
[fujiwa-y@impress.co.jp]
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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp