気になるグッズを衝動買い


【バックナンバーインデックス】


第9回:学習リモコン、第3の夜明け
基本操作は完璧?「ソニー RM-VL700U」


 AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。

リモコンは、多い方がいい

 リモコンはやはり便利なのです。いちいち本体に近づかなくても操作ができてしまうんだから。我が家のエアコンはリモコンがない古いタイプだから、AV機器におけるその便利さは身に染みて感じます。

 しかし、あまりに便利なため、手元にないととたんに不便を感じてしまうのが考え所。例えば、自分の部屋だと視聴位置に機器本来のリモコンと、第6回の学習リモコン「RC1200」を置いているのだけれども、ベッドの上からもテレビを見たりするんだよね。

 一応、あまり使っていない方のビデオのリモコンを置いテレビの操作はできるのだけれど、テレビのスピーカーは絞ってあって、音は大抵ミニコンポから聞いているので、音量の調節ができないのが難点。DVDも見られないし、CDも聞きたいところ。

 つまり、「もう1台学習リモコンが欲しい」ということです。今度のはベッドの上からの操作だから、それほどの多機能はいらないけれど、代わりに基本操作が簡便にできるものが理想的。


店舗行脚を重ね、ようやく入手

 実は、あたりをつけているリモコンがあるのですよ。ソニーの「RM-VL700U」。ざっと見たところ、いわゆる「簡単リモコン」の系統で、機能の一環として学習機能を装備した、というタイプ。チャンネルのダイレクト選択ボタンはもちろん、ビデオ/DVDなどの操作ボタン、DVDやCS/BSチューナ用と思われるカーソルボタンもあってかなり理想的。

 しかし、この製品情報を発見した後で、いくつか店頭を回ってみたんだけれども、どこも全滅。製品情報のページを印刷して、「これ、ありませんか?」と聞いても、店員さんは「お取り寄せになりますねぇ」の返答をくりかえすのみ。

 まあ、欲しいことは欲しいのだけれど、取り寄せるのも面倒だなぁと思いつつ、機会があるたびに店舗を行脚。するとある日、新宿の量販店でいつものように店員さんに製品情報を見せると、「少々お待ちください、在庫を確認します」と、いつもと違う反応が。お、どうも当たりの店員さんに対応してもらったようだ。

 しかし、端でやりとりを聞いていると、電話の相手方が別の製品と間違えていたり、別の店舗に走って直接確認したりで、約10分ほどが経過。う~ん、やはり学習リモコンはマイナーなんだなぁと改めて認識。店員さん、マイナーな製品につきあってもらってどうもです。

 で、結果。ありましたよ、「RM-VL700U」。在庫があるのはその量販店の中でも比較的狭い店舗で、いわゆる穴場的な存在。ふむふむ、こういうところに眠っていたワケね。

 店頭で確認してみたところ、やはり「簡単リモコン」系統と同じのブリスターパッケージ。まあ、読み通りですな。定価は5,500円だったけど、販売価格は4,400円。ん~、なかなかリーズナブル。それじゃ、これください。

 帰り際に別の量販店にも寄ってみたところ、こちらにも「簡単リモコン」コーナーにひっそりと置いてありました。あら、ちょうど出荷の時期に当たったのかな? 価格は4,000円。う、ちょっと損したかも……。

パッケージ。いわゆる「簡単リモコン」系統


一見するとビデオ/TV用簡単リモコン

 とりあえず、無事ゲットいたしました。パッケージは、先にも触れたようにブリスターで、ボタンの配置などがよく見え購入に際して安心感が得られる。

 ソースセレクトボタンは、TV/VTR/TUNER/DVD/AMPの5つ。TV/VTR/DVDは、そのままテレビとビデオとDVD。

 TUNERはCS/ケーブルチューナのものがプリセットされている。BSデジタルチューナにも学習機能で対応。まあ、CSもBSデジタルもない自分には関係ないですが。

 AMPは、AVアンプやミニコンポなどの音響機器に対応。これこれ、この機能が欲しかったのですよ。

 ボタンは見た目ではそれほど多くないけれども、操作ボタンに限れば、マランツの「RC1200」よりも多いかもしれない。何より、選局ボタンが12まであるので、普段と同じ感覚でTVの操作ができるのは大きなメリットだと感じる。しかも、上部に配されていて押しやすい。「RC1200」は最下部にあって押しにくいのよ。

 全体の形状は、上から下に向けて面積が小さくなり、下部が円錐形、上部が扁平型をしている。少々イレギュラーかも。丸形の下部は上部に比べて絞ってあり、円錐型の形状もあって、手に持ったときしっくりとなじむ。下部を持ったときは再生/停止などの操作ボタン、カーソルボタン、ボリュームなどは非常に操作しやすい。

 しかし、上部の選局ボタンなどには親指が届かないので、持ち直すことになるのだけれども、その時に下部と上部の形状の違いに違和感を感じる。ん~、なんとなく変な気分だ。まあ、慣れれば問題ないでしょう。

 背面の中央部にはくびれがあり、上部を押すとき、ここに中指を置くことで高いホールド感を得られる。ただ、自分の手の大きさだと、中指では選局ボタンまでが限界。さらに上にあるソースセレクトボタンや、電源ボタンなどは小指までずらさないと親指では押せないので、上部のボタンを押すときは持ち直すか、スライドさせる必要がある。まあ、扇形になっているので、片手で持ちながらスライドさせてもずり落ちることもないから、それほど気になるワケでもないけど。

前面。上に向かって扇型に広がっている 背面。中央部のくびれはホールド感ばつぐん
  
上部のボタン。選局や設定などがメイン 下部のボタン。デッキ操作やカーソル、音量など


プリセットメーカー、なんと約40社!

 持ちやすさは、まあ、いたって普通で満足なレベル。操作の利便性にも期待させてくれる。が、その前に立ちはだかる問題がある。それは「学習」。マランツの「RC1200」はプリセットがマランツとフィリップスのみで、学習作業の繁雑さに泣きましたよ……。

 しかし、この「RM-VL700U」ではその労苦は大幅に低減される。なんと、プリセットが約40社も用意されているのだから。

 パッケージには「TV/VTR14社対応」とあるけれど、音響機器やDVDのメーカーまで含めると約40社。TV/VTRは、いわゆる「有名メーカー」に対応だが、音響機器ではケンウッドやパイオニア、ヤマハなどはもちろん、デンオン、オンキヨー、ティアック、マランツなど玄人好みのするメーカーや、果てはナカミチ、Bang&Olfsenなんてメーカーまで押さえてある。ん~、すごいなぁ。

 ちなみにLGやサムスン、Daewoo(太宇)などの「低価格路線」系メーカーもあり。ただ、音響機器のみで、TVやビデオは入ってないんだよねぇ。サムスンはDVDが入ってましたが。

 CSチューナのプリセットには、TV系メーカー以外にもマスプロ、DXアンテナ、八木アンテナ、ユニデンなどのアンテナ系メーカーのデータもあるし、ケーブルTVのホームターミナルには、住友電気、愛知電子、Winersat、RCAなど一般にはAV機器メーカーと感じられないメーカーのものまで揃えてあり、充実のラインナップといえる。まあ、よほどの高級志向でもない限り、プリセットに対応していない機器はないと思う。TV/VTRに海外の「低価格路線」系メーカーが入っていないのは残念だけど。

 自分が持っている機器は、TV=ソニー製、VTR=三菱製とシャープ製、DVD=サムスン製、ミニコンポ=オンキヨー製(ヤマハTSS-1にはリモコンがないので除外)、CSチューナ/CATVホームターミナルは所有していない、という構成。すべてプリセットに含まれるメーカーだ。おお、なんと素晴らしいことか!

「メーカー番号一覧表」メーカープリセット番号の一覧 広げると新聞広告ほどのサイズに。約40社がずらっと並ぶ


学習作業はさくさく。操作性も快適

 ではでは、早速プリセットするとしましょうか。マニュアルもわかりやすく解説してあって好感が持てますねぇ。

 作業はいたって簡単。まず左上部にこじんまりと配されたSETボタンを押して学習モードへ移行。するとソースセレクトボタンが点灯しするので、学習させたい機器のボタンを押してから、メーカーに対応する3桁の番号を入力して決定ボタンで終了。ほら、とても簡単。

 メーカーに対応する番号は、通常の「簡単リモコン」系列では本体の背面に書いてあるのが普通だけれども、さすがに約40社もの数があるとそれは不可能らしい。別紙の「メーカー番号一覧表」にずらずらと列記してある。この別紙はかなり薄く、どこにでもありそうな紙なので、無くしてしまわないよう細心の注意を要する。ま、我が魔窟に限ってのことなのですが。

 一通りのプリセット設定作業にかかった時間は約3分。おお、涙のにじむような学習作業をこなした身としては感動的な簡便さ。んじゃ、とりあえず試してみますか。

 テレビは、同じソニー製だけあって、操作感は本来のリモコンとほぼ同一、という印象。一部対応していないボタンもあったが、それは学習機能ですぐに対応できた。

 学習作業も非常に簡単で、SETボタンを押し、ソースセレクトボタンが点灯してから、学習させたい機器のボタン→学習させたい機能のボタン(例えば「再生」)を押し、向かい合わせた本来のリモコンからその信号を送ると学習が完了。ほら、とても簡単。同じ機器なら、その状態で別のボタンも続けて学習させられる。

 「RC1200」では、学習モードに移行するにはペンの先などで押し込む必要があったが、こちらはSETボタンが押しやすいので続けての学習作業も煩雑さを感じることはなかった。ん~、いいねぇ。

 その他の機器の操作でも、プリセットには入っていない機能が結構目立ったが、学習作業が簡便なので、気づいた時点で気軽に入力できた。まあ、本来ならすべてのボタンがプリセットで対応しているのが理想だけれども、この簡便性ならば問題はないだろう。

 操作自体も、基本操作のみ、と割り切っているなら非常に快適。難点は、早送り/巻き戻しボタンのみでスキップボタンがないので、DVDのチャプターサーチが煩雑に感じてしまう、といったところ。あとは、液晶画面がないので、現在どのソースモードなのかわかりにくく、意図しない機器を操作してしまう場合があるのも難点。操作したい機器のソースセレクトボタンを押してから操作するようなクセをつけたいところ。

マニュアル。全52ページと、リモコンにしては厚い シーンを想定した例を示して解説され、理解しやすい
  
SETボタンを押したところ。このときに学習する機器を入力 学習する機器を選択したところ。あとは任意のボタンを押して、相手側のボタンを押す


配慮いろいろ。性能も高い

 もったいないのがソースセレクトのTUNERボタン。自分、CSチューナもCATVもないんですわ。

 しかし、そこも大丈夫。ソースセレクトボタンを、別の機器に設定することもできるのです。例えば、TUNERボタンを、CDプレーヤーに設定できる、ということ。

 AMPの設定では、選局ボタンにソースセレクトの機能を振ってあるので、自分のミニコンポのCDプレーヤーでは10キー代わりにはならないのだけれども(もちろん、学習で対応させることもできる)、TUNERボタンをCDプレーヤーするとよりわかりやすく操作することができた。

 また、AMP以外のソースを選択しているときには、ボリュームボタンでTVの音量も調節できる。つまり、DVDやVTRを選択していてもボリュームを調節できる、というわけ。もちろん、AMPの音量に変更することもできる。う~ん、芸が細かいですわ。ユーザーへの配慮を感じます。

 このリモコン、メインで使いたくなってきたけれども、当初の目的はベッド用の予備機。自分の部屋はそれほど広くないので、ロフトベッドを使っているのだけれども、高い所からだとたまに通らない機種もある。でも、このリモコンはバッチリ通りました。

 というよりも、これ、大抵のリモコンより入力角度が広い。比較的機器に近い位置(大体1.5mほど)でならば、機器の反対に向かってボタンを押しても通ったこともありました。

 ただし、機器側の受光部が狭いと入力も通りにくい。自分はテレビの側面端子のアクセス性向上のため、DVDを横向きに設置しているのだけれど、この場合だと受光部があまり露出していないので、本来のリモコンでも入力が通りにくい。まあ、これは特殊なケースだと思うので、あくまで参考程度ということで。

 特殊なケースを除いては、大抵の位置で快適に入力できる。うん、優秀なリモコンじゃありませんか。

大きく取られた発光部。実際に出力角度も広い 操作を想定するロフトベッド。部屋狭いです ベッド上からのアングル。この状態で通ります


なんでもアリの多機能よりも、主要機器の利便性を求める方へ

 基本操作は非常に使いやすいし、マニュアルの解説もわかりやすい。入力できる角度も広くて反応も素早い。リモコンとしての性能はパーフェクト、というかいい意味で普通。機器本来のリモコンから、基本操作のみをうまく抜き取って配したリモコンと感じる。

 マクロ機能はないけれど、全てをソニー製品で揃えていれば、ソースセレクトボタンを押すだけで複数の機器の電源が入るというマクロ機能らしきものも有り。まあ、これはソニーユーザーへのファンサービス的な意味合いが強いと感じるけれど。

 自分はそれほど設定をいじらないので、基本操作でほとんどのことは事足りてしまう。大多数のユーザーも状況はさほど変わらないと想像できるので、このリモコンは非常におすすめ。いろいろ配慮されているし、とても使いやすいです。

 問題点は、ソースセレクトボタンが少ないこと。自分の場合だともう1台のVTRとLDプレーヤーの分が足りない。せめてあと1つあれば……。贅沢を言えば状態を示す液晶が欲しいところ。小さくてもいいので、バックライト付きでお願いします。

 でも、最近はLDもほとんど稼働していないし、もう1台のビデオも同様だらから、これでもいいのかな? うん、メイン用にもう1台欲しくなってきましたよ。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□製品情報
http://www.sony.co.jp/sd/ProductsPark/Models/New/RM-VL700U_J_1/index.html

(2001年4月17日)

[fujiwa-y@impress.co.jp]


00
00  AV Watchホームページ  00
00

ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.