気になるグッズを衝動買い |
第12回:ナイスなテクノロジーを使ったスピーカー どこで聞いてもステレオ?「ケンウッド OPM-A3」 |
AV製品はピンからキリまでいろいろありますが、いわゆるメインストリーム以外にはいろんなおもしろいアイテムがたくさんあります。ここでは思わず衝動買いしたくなるけど、冷静に考えるとどうかな~? と、気になる「モノ」に積極的なアタックを繰り広げていきます。 |
■自宅の視聴位置は3ポイント
我が魔窟でリスニングポイントは、テレビ前の座椅子がメイン。当然、スピーカーも座椅子に向けて設置してある。まぁ、気楽に聞けて不満はないのだけれども、「TV見ながらPCでネットサーフィン」な時もあれば、「ベッドの上でもCD聞きたいよね」という時もあり、そんな場合はステレオ感はあきらめなくてはいけない。
けど、せっかくのステレオサウンドなのだから、いつでも音場感を楽しめる方がいいに決まっている。「なんとかならないもんかなぁ」という欲求をかなえてくれそうな製品が出たんですよ。それが、ケンウッドの「OPM-A3」。「ポイントソーステクノロジー」という技術を使って、どこでも音場感が得られる、というアンプ内蔵スピーカー。なんでも「ユニラウンドスピーカー」というそうで、USB端子も装備して、PC用スピーカーにもなるそうな。価格はオープンプライスだが、実売価格も2万円程度ということで、何となくお買い得感が高い。うん、よろしそうじゃありませんか?
■発売日、延びたみたいです
ケンウッドのニュースリリースによると、発売日は4月中旬。念のため、メールで発売日を問い合わせてみると「4月20日~30日頃の予定」、との返答をもらい、4月25日くらいから店頭にぼつぼつと足を運んでいた。が、どこに行ってもない。
まあ、30日までは一応待ってみるか、と思って店頭に行ってみても、やはりない。「う~ん、明日なかったら再度問い合わせてみるか」と思いつつ迎えた5月1日。池袋の量販店店頭にはなかった。あれぇ? ないじゃない。
プリントアウトしたニュースリリースを店員に見せて「30日に発売してるはずなんですが」と聞いてみると、「少々お待ちください」といいながらバックヤードへ。しばらくしてから段ボールを抱えてきて、「こちらですね」と値段も告げないままレジに向かってくれました。これ、ニュースリリースにもあるようにオープンプライスなんですけど、おいくらですか?
「手元に資料がないのでレジで確認します」ということで、店頭価格は22,800円。まあ、ちょっと予想よりは高いけど、許容範囲でしょう。じゃあ、お願いします。
■気分はプラモデルな設置作業
とりあえず、無事ゲットいたしました。内容物はアンプ内蔵のサブウーファ部と、サテライトスピーカー部。あとは設置用の部材と、USBケーブル、ステレオミニプラグケーブルにマニュアルといったところ。あら、サテライトスピーカーは1個なのね。ニュースリリースの概念図だと3個構成のようだったけど、1ユニットに3スピーカーということだったわけだ。まあ、こちらの方が設置場所取らなくていいけれども。
サテライトスピーカーは本当にコンパクトな印象。奥行きも短く、手軽にどこにでも置けそう。ケーブルは1本のみで、サブウーファ側にあるアンプ部との接続は、DIN端子1つだけですむ簡単接続。サブウーファも幅はサテライトスピーカーに準じてあり、全体的に見てもコンパクト。まあ、小さなサテライトスピーカーの低音を補うのが目的だろうから、「迫力の重低音」は求められないと思う。それよりも設置位置の自由度が高いというメリットの方が大きいかな。
設置は、縦置き/横置きのバリエーションからどちらかを選択。部材を組み替えて対応するのだけれども、この設置作業がかなり面倒。部材点数は10点以上もあり、気分はまるでプラモデルを組み立てのよう。まぁ、最後にプラモデルを組んだのは中学生時代なので、感覚は忘れているけれど。
横置きの場合は、サブウーファを横に置いて、その上にフレームに取り付けたサテライトスピーカーを配置。縦置きの場合はスタンド/サテライトスピーカーをフレームに取り付けて、スタンドの上にサブウーファを設置する、という感じ。
どちらの配置にも言えることだけど、ボリュームや電源などのスイッチ類が奥に配置されるため、サブウーファのウーファ面を前面に持ってきた場合、操作には不便を感じる。まあ、一応「低音に指向性はない」ことになっているので、ウーファ面を反対にしてスイッチ類のアクセス性を向上させてもいいのだけれどもね。でも、気分的にイヤでしょう? また、縦置き時の場合は入出力端子が上下にあるため、スタンドを使わない設置ができない。素で置いたら端子が床にぶつかってしまいますからね。こういう所は自由度が低いと感じますわ。
設置面積ならば断然縦置きの方が有利だが、スイッチ類や入力端子へのアクセス性ならば横置きが有利。という感じ。設置作業がかなり面倒なので、どちらにするか熟考してから決めるのが吉だと思います。
同梱物。ACアダプタはかなり大きめ | サテライトスピーカー。接続はDIN端子 | 設置部材。組み立てるのは面倒です |
横置き用にフレームを組み立てたところ。下部にサブウーファを置く | 横置き時の正面図。サテライトスピーカーは上部に突出している | コントロール部。電源(Power)、位相切替(Phase)、ボリュームの3つのみ |
■小音量時の音場感は……?
出社前に購入してそのまま会社に持ち込んだので、とりあえず会社のPCにつないでみました。対応OSはWindows 98 SEのみサポートで、それ以外は「保証の限りではない」そうだが、Windows Meでも動作は確認。通常のUSBオーディオデバイスとして認識した。
ディスプレイの脇に縦置きで設置してみると、小さめの「ブック型PC」のような印象でなかなか座りがよい。無骨なデザインも、「これならいいかな」と思えてくる。
しかし、USBオーディオデバイスとしてみると、ヘッドフォン端子がないのは痛いかな。入力端子はUSBとステレオミニジャックが各1系統のみ。ん~、ちと少ないな。まあ、この製品のコンセプトは「2chの音場感を1スピーカーで出せるコンパクトスピーカー」ということだろうから、「ヘッドフォンなど無用」なのだろうけど、あまり大音量を出せない環境では、やはりヘッドフォンは必需品。せっかくUSBオーディオデバイスになるのだから、つけてくれても良かったんじゃない?
とにかく、音を鳴らしてみますか。使用しているMP3ソフト「BeatJam XX-TREME」で音楽を再生してみる。会社なので、回りの迷惑にならないように小音量で再生してみたのだけれども……。あれ? なんかモノラルチックな音しか出てこないな……。
出力はサテライトスピーカー3W×3、サブウーファが10Wなのだけれども、ボリュームの目盛りで9時程度の小音量では、どうもあまり音場感が感じられない。回りの目を気にしながら12時程度に上げてみたら、お、なにか感じが違ってきましたよ! しかし、長時間の検証は無理だな。ここは自宅に持ち帰ってからじっくりリスニングすることにしますか。
縦置き時の側面。ボリュームまで手を伸ばすのが大変 | モニタ脇に置いたところ。スリムで違和感は感じられない | 斜めから俯瞰。ウーファを前面にすると入力端子は上部にくる |
入力部のアップ。中央のダイヤルはサブウーファのボリューム | スピーカー出力/電源入力部。スタンドが近いため差しにくい |
■ボリューム11時くらいから音場感が豊かに
自宅に持ち帰り、とりあえず設置。設置部材を組むのが面倒なので、サブウーファをビデオの上に横置きにして、サテライトスピーカーはリスニングポイントの右正面1mに置いてみた。
最初の視聴ソフトはアニメDVD「フリクリ(6)」。テーマソングの「Ride on shooting star」は、冒頭部分のギターソロがRチャンネル、ドラムがLチャンネルそれぞれで演奏されているので、2ch音場の確認には最適なのですわ。んじゃ、とりあえずプレーイ!
目盛り9時程度では、やはりモノラルチックな印象。多少広がりは感じるが、明確に「右だ」、とはとても言えない。ここで音量を12時程度まで上げてみる。おお、かなり大きな音がしますね。音量は、出力30W×2のミニコンポ「ONKYO CR-185」の目盛り9~10時程度。この段階で壁の薄い我が家でのMAXボリュームといっていい音量が出ている。
で、結果。う~ん。確かに右から聞こえるわ。ただ、明確に「右だ」とは言い切れない感じ。ギターが右から聞こえるのだけれども、センターからも鳴っているような感じも受ける。多少ぼやけているが、音場感は確実に感じられる、といったところ。確かに1ユニットでこれだけの音場感を出すのはスゴイ。すごく不思議だ。
ただ、サテライトスピーカーをリスニングポイントから近い位置に置いたため、「音場」ではなく「音量」が右側に偏って鳴っている印象を受けてしまう。2mほど離れるとその印象もかなり薄くなるのだが、近い位置で聞くときはできるだけリスニングポイント正面に設置するのが良いかと考えて、テレビの上に持ってきたら……。うん、なかなかナイスなバランスで聞こえますよ。
「魔窟」での設置例。この位置からでも音場感は感じられる | サテライトスピーカーを右側に置いた場合。音量が偏って聞こえる | スピーカーをTV上に置いた場合。こちらの方がバランスが良い |
■PCオーディオ用ならかなり使える
その後、DVD「U-571」や、クラシックCD「パッヘルベルのカノン」なんぞを聞いてみたが、1ユニットスピーカーとは思えない音場感。3mほど離れたPC机からでも、ベッドの上からでも同じように聞こえる。しかし、この音質何か思い当たる節があるな……、と思いを巡らせてみると、ああ、「ラジカセ」に似てるんだ!
いやいや、ホントに「高音質をウリにしたラジカセ」の様な音がします。サブウーファの出力を上げると少々音がこもり気味になるし、サブウーファの出力を落とすと、鮮鋭感が増す代わりに迫力が落ちるし。まあ、このサイズの音としてはかなりレベルが高いと思いますが。ミニコンポには負けます。
ん~、ミニコンポの音に慣れた自分にはちょっと物足りないかな。リモコンもないからちょっと離れるとボリューム操作もできないし。購入前は「DVDやCDのリスニングに」と思っていたけれども、PCオーディオ専用にした方がよさそう。ケンウッドのウェブサイトの「商品情報」では「PCオーディオ」に分類されていて、もともとPC用の製品みたいだし。
自分は今まではマザーボード内蔵音源を使っていて、PCの内部ノイズが気になっていたからちょうど良いかと。モニタの横に置けば操作も楽だしねぇ。
□ケンウッドのホームページ
http://www.kenwoodcorp.com/jhome.html
□製品情報
http://www.kenwoodcorp.com/j/products/home_audio/pc_audio/opm_a3/index.html
□関連記事
【3月23日】ケンウッド、スイートスポットが広いスピーカーシステム
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010323/kenwood.htm
(2001年5月10日)
[fujiwa-y@impress.co.jp]
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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp