【バックナンバーインデックス】

新発売のAV機器をいち早く紹介


ウォークマンブランドのDVDプレーヤー
ソニー
DVDウォークマン「D-VM1」
11月21日発売
価格/オープンプライス
(店頭予想価格:10万円前後)



本体とスタンド
正面 右側面 裏面
トップカバーを最大まで開いたところ ピックアップ部。CD-R/RWの読み取りも行なえるロックは2段階。OPENつまみをスライドさせてからカバーを外す


付属の3.5型液晶ディスプレイ
カバーを閉じた状態。この状態でも音楽CD用の操作は可能 カバー裏面にボタン操作の説明がある接続ケーブルは可動式で、ディスプレイを立てたとき邪魔にならない
左側面。シフトボタ ン、BRIGHTNESSダイヤル、ヘッドフォン端子が並ぶ 中段のカーソルボタン は押し込むことが可能右側面にはボリュームボタンを装備する


■ 主な特徴

 571g(電池込み)のDVDプレーヤーと、独立した3.5型TFTカラー液晶ディスプレイを組み合わせたポータブルDVD視聴システム。再生可能なディスクは、DVDビデオ、プレスCD、ビデオCD、CD-R/RW。パッケージにはプレーヤー本体用のスタンド、テレビなどに接続するときのAV出力アダプタ、赤外線リモコン、インナーイヤヘッドフォン、ACアダプタが付属する。

 バッテリは専用のリチウムイオンで、本体に挟み込むように装着する。バッテリを外した状態でもACアダプタで駆動できる。液晶ディスプレイを使用した場合、6時間のフル充電で4時間、2時間充電で2時間の再生が可能。充電は本体にバッテリを装着した状態で行なうが、ディスクの再生中は充電できない。

バッテリを外した状態
バッテリを外した内側にもウォークマンのロゴがある 正面。手前の端子部は付属ディスプレイとの接続用 外したバッテリ。単体での発売はない

 本体と付属の3.5型液晶ディスプレイとは専用コネクタ経由で接続。液晶ディスプレイ部には電源ON/OFF、カーソルキー、再生・早送り・早戻し、ボリュームの上下といった操作ボタンが備えられ、シフトキーとの組み合わせで視聴に関するほぼすべての操作を行なえる。また、カーソルキーは押し込むことが可能で、決定ボタンも兼ねている。

 液晶カバーは金属製。90°以上開口させることでスタンドとしても使用できる。なお、カバーを閉じた状態でも操作スイッチが露出しており、ディスプレイを必要としない音楽CDの再生時などでも再生や早送りといったひと通りの操作が行なえる。また、ヘッドフォン端子は、プレーヤー本体と液晶ディスプレイ側面の2箇所に設置。両方同時に出力できる。

 テレビなど他の出力機器と接続する場合は、同梱の専用AV出力アダプタを使用する。AV出力アダプタには、S映像出力、コンポジット出力、アナログ音声出力、光デジタル音声出力端子を搭載。

付属品
ヘッドフォンは1つ付属する AV出力アダプタ 付属のリモコン

 なお、本体にはDTSデコーダは搭載せず、ドルビーデジタル音声をヘッドフォンなどにアナログ2chにダウンミックスして出力する。音声プログラムは、「ノーマル」、「バーチャルサラウンド ヘッドホン1」、「バーチャルサラウンド ヘッドホン2」、「バーチャルサラウンド スピーカー」、「MEGABASS1」、「MEGABASS2」の5種類を選択可能。バーチャルサラウンドでは、ドルビーデジタル5.1chソースの音場をヘッドホン、または2本のスピーカーで再現する。

 そのほかにも、ダイナミックレンジを圧縮する「オーディオDRC(Dynamic Range Contorol)」も搭載し、「ノーマル」、「テレビ」、「ワイドレンジ」の3種類を設定できる。そのうち「ワイドレンジ」は外部スピーカー用の位置付けとなっている。なお、シャープネスや彩度といった、画質に関する項目の設定はなく、液晶ディスプレイの「BRITNESS」だけが調整可能。

 サムネイル画像によるタイトル、トラック、チャプタ、アングルの一覧表示もでき、連続した9つのシーンをサムネイル表示する「ストロボ再生」も搭載している。

 また、ポータブル機らしい機能の1つとして「乗り越し防止タイマー」を備えている。指定した時間が経つとアラーム音が鳴るというもので、0~150分の範囲で分刻みによる設定が可能。アラーム音はプレーヤー本体、液晶ディスプレイ部のいずれかのボタンを押すことで解除できる。なお、バッテリやACアダプタを外すと設定が無効になる。

設定画面など
再生中に入れる「メニュー1」。字幕や音声の選択が可能 「メニュー2」。チャプタリストやプログラム再生の設定を行なう 初期設定画面。再生中は設定不可能。テレビ接続時の項目が多い
乗り越し防止タイマーの設定画面 サムネイル表示できるチャプタサーチ画面(左)とストロボショット。(c)Disney Enterprises,Inc.


■ 編集部のファーストインプレッション

 今回はスタッフの各自が外出時に持ち出し、通勤時などに視聴してみた。

 また、画質評価の参考として、DVDビデオ「ダイナソー」を液晶ディスプレイに表示し、デジタルカメラ「COOLPIX995」で撮影したものを別ページに掲載している。リサイズとトリミング以外は、補正を行なっていない。

【「ダイナソー」の画面写真】

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物 欲
ゲージ
■物欲の考証
 何の先入観もなく店頭で見かけたとすれば、かなり衝動買いしそうなアイテムです。でも、使い道を考えるうちに、高揚した気持ちが自然と冷めてくるかも。10万円前後という価格も、エントリークラスのDVDプレーヤー+液晶ディスプレイと考えるとやっぱり高い。もっとも、デザインや「新機軸のアイテムを所有する」という付加価値も高いわけですが。
 しかし、第13回のケンウッド製DVD内蔵ミニコンポの視聴時にいだいた「寝転んだまま小さな液晶ディスプレイで音楽ソフトを見たい」という個人的な欲望については、これを使えばバッチリ満たせそうです。ただし、音質が件のミニコンポと比べるといまひとつ。それに、今回やって見てわかりました。それほど楽しいものでもないということが。
 ありそうでなかったディスプレイ分離型のポータブルDVDプレーヤー。プレーヤー本体をカバンの中に入れておき、ディスプレイだけを外に出せば、通勤時でも目立たずDVDビデオを見ることができる。まずはこのコンセプトに惹かれた。デザインや全体の質感も良く、かなり物欲を刺激する。

 付属の3.5型液晶ディスプレイは、以外に細部まで描写する。DVDビデオ「モーニング娘。のミュージカル LOVEセンチュリー~夢はみなけりゃ始まらない」での舞台全体を撮った遠景でも、メンバーそれぞれをなんとか判別できる。これは思ったより実用的だ。洋画の字幕もきれいに表示される。ただし、貸出機では画面の四隅が暗く、4:3のソフトではかなり気になった。

 画質調整はほとんど行なえないのだが、この画面の狭さならノイズも階調性も気にならないだろう。ただし、動きの速い被写体やシーンだと残像が残るためか、なんとなく眼が疲れた。また、透過型液晶ではないため、陽光下では見づらくなるのは、まあ仕方がないか。

 メニュー体系は同社のDVDプレーヤーと良く似ている。液晶ディスプレイ接続時には、シフトを併用した操作を要求されるが、覚えてしまえばそれほど苦にならない。カバー裏にも簡単な説明がついていて便利。しかし、メニュー内でのカーソル操作は常にワンテンポ遅れるため、気の短い人はイライラするかもしれない。それほどメニュー操作を頻繁にする製品でもないだろうが。

 気になったのは液晶ディスプレイ部のヘッドフォンジャック。左側下部にあるのだが、両手でディスプレイを持った場合、ちょうど左手でつかむ位置と一致する。簡単に抜ける構造ではないのだが、多少の持ちづらさを覚えた。

 なお、テレビにつないだ状態でも視聴したが、暗部の階調性がとぼしく、ノイズも目立つ。輪郭もボケ気味で、最近の据え置き型DVDプレーヤーに比べると多少見劣りのする画質だった。AVアンプに出力したドルビーデジタルも、解像感がいまひとつ低い。

 電池も映画1本分くらいはしっかり持つし、デザインもかっこいい。液晶ディスプレイを立てておけるなど、細かいところまで造りこまれている印象。さすが「ウォークマン」の名を付与するだけあって、良くできた製品だと思う。問題は10万円前後という売価と、潜在ニーズがどれだけあるのかという点。

 想定される使い方としては、DVDに録画したテレビ番組をビデオモードでDVD-R/RWに記録して移動中に見るとか、英語字幕つきの洋画をA-Bリピートで見て通勤時の英会話学習に役立てるとかか。

orimoto@impress.co.jp

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物 欲
ゲージ
■物欲の考証
 問題はやはり価格。10万円というのは少々手を出しづらい。液晶付きポータブルDVDプレーヤーとしては妥当な価格設定だとは思うが、自分としては「ポータブル環境でDVDを見たい」というニーズにこの価格は出せない。

 けれども、製品は非常に魅力的。価格が4~5万円までに下がれば是非入手したいと思う。

 「ウォークマン」の名を冠することで、「ポータブル性」をアピールしている製品だと感じた。実際、ポータブルでの使用は快適。プレーヤー本体はカバンにしまい、小さなディスプレイ部だけを持ち歩く感覚は、ポータブルCDプレーヤーの使用感と大差はなかった。ヘッドフォン端子もついており、まさに「大きなリモコン」である。サイズ的には胸ポケットに入れてもOK。クリップは付いていなかったが、収納に困ることもない。シフトボタンを使っての操作は当初こそ戸惑いを感じたが、すぐに慣れるだろう。OSDで各種設定も可能で、インターフェイスはソニー製DVDプレーヤーと同等。ここまでの操作が小さなディスプレイ部でできるとは驚き。ただ、リモコンでの操作と比べると、やはりわずらわしいのだが。

 ディスプレイは他の液晶搭載ポータブルDVDプレーヤーに比べれば3.5型とかなり小さめだが、視聴に問題を感じることもなし。これ以上大きなディスプレイを採用すると、胸ポケットに入らなくなると思われるので、携帯性を考えると妥当な大きさだと思う。

 アスペクト比が4:3なので16:9ソースは少々迫力がなくなるが、逆にアスペクト変換をすることなく4:3ソースを見られるのがうれしい。ディスプレイを近づけないと字幕の判読が困難ではあるが、ディスプレイサイズが小さいため、顔の近くに寄せるのは容易で電車の中で立ちながらの視聴も快適だった。

 画面の精細感は正直言ってイマイチ。アニメなどの主線がはっきりしたソースではジャギーを感じてしまう。ただ、動きの多いソースであればそれほど気にはならない。また、16:9ソースでは目立たなかったものの、4:3ソースでは四隅が暗くなっているように感じられた。冒頭のメーカーロゴなど背景が1色で表示されているときは特に目立つ。製品版で改善されることを望みたい。

fujiwa-y@impress.co.jp

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物 欲
ゲージ
■物欲の考証
 凄くよくできていると思うし、個人的には実用性も高い。液晶の画質も良好。デザインもかっこいいので、素直にほしい。

 でも、価格が……。はっきりいって、10万円出すなら、DVDオーディオやSACDがかかるプログレッシブDVDプレーヤーを選んでしまう。6~7万円ぐらいまで下がれば買いか。

 液晶ディスプレイ付きのDVDプレーヤーは、既にシャープや松下、パイオニア、そしてソニーからも出ているが、液晶ディスプレイ部を分離することで実用性がかなり増した。というのも、従来の液晶一体型では、使っているとかなり目立つ。このDVDウォークマンなら、液晶が小さいのであまり目立たない。実際に電車の中で使っていても、他の乗客の注目を集めることはなかった。使いながら考えたのだが、このサイズの液晶なら、携帯電話や、ゲームボーイなどの携帯ゲーム機を見ているのと大差ないので、珍しく思わないのだろう。

 全体的な作りもかなりよく、デザインもよくできている。やはり、“ウォークマン”ブランドだけのことはある。液晶の画質は、かなりクリアで、字幕の判読も容易。ただし、そのため粒状感を強く感じることも確かである。また、今回は製品版ではないからか、液晶の四隅が暗くなっているのが気になった。製品版では改善されていればいいのだが……。

 あと、面白い機能が「乗り越し防止機能」。映画に没頭して、載り越す心配までしてくれている。通勤距離が短い人なら、あんまり必要ない機能だろうが、ある程度の時間電車に乗っている人だと、映画を見ていて、終電で乗り越すと大変なことになるので、非常にありがたい機能だ。

 オーディオ面で期待していたのが、ドルビーデジタル5.1chソースから仮想音場をヘッドホンで再現する「バーチャルサラウンド」機能。しかし、実際に聞いてみると確かに奥行きがでるものの、音の定位があまりよくない。特にセンターチャンネルが宙に浮いてしまい、セリフを聞き取ることもかなり難しい。特に、電車内などの騒音が多少でもあるところだと、それに紛れてしまう。ちょっと実用で使うのには無理があると感じた。

 モノとしての完成度は驚くほど高い。しかし、問題は値段。DVDプレーヤーがガンガン安くなっている現在、DVDレコーダとほとんど変わらない価格では、購入する人は限られてしまうだろう。

furukawa@impress.co.jp

【主な仕様】



□ソニーマーケティングのホームページ
http://www.sony.co.jp/sd/
□ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/sd/CorporateCruise/Press/200109/01-0927/
□関連記事
【9月27日】ソニー、3.5型液晶ディスプレイ付属の「DVDウォークマン」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010927/sony.htm

(2001年11月1日)


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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