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第15回:ありがとうTHX!! ありがとうルーカスフィルム!!

~大画面・大音量で楽しみたい「スター・ウォーズ エピソードI ファントム・メナス」~

 怒涛のように発売されつづけるDVDタイトル。本当に購入価値のあるDVDはどれなのか? 「週刊 買っとけDVD!!」では、編集スタッフ各自が実際に購入したDVDタイトルを、思い入れたっぷりに紹介します。ご購入の参考にされるも良し、無駄遣いの反面教師とするも良し。「DVD発売日一覧」とともに、皆様のAVライフの一助となれば幸いです。


■ 待たされただけの価値はあるのか?

スター・ウォーズ エピソードI
ファントム・メナス

(c)2001 Lucasfilm Ltd.
価格:3,980円
発売日:2001年11月8日
品番:FXBA-22733
仕様:片面2層2枚組み
収録時間:約137分(本編)
画面サイズ:シネスコ(スクイーズ)
字幕:英語、日本語
音声:1.英語(ドルビーデジタルサラウンドEX)
   2.日本語(ドルビーデジタルサラウンドEX)
発売元:20世紀フォックスジャパン

 2001年11月8日。ついに「スター・ウォーズ エピソードI ファントム・メナス」の国内盤DVDが発売された。昨年4月7日に店頭に並んだのはLD版とVHS版のみで、DVDでの発売は結局見送り。それ以来、この日を待ちわびたファンが全国に数多くいたことだろう。

 折りしも、日本公開が2002年7月13日に決まったり、公式サイトの「starwars.com」でトレーラが公開されたりと、次回作「エピソードII クローンの攻撃」によるスター・ウォーズムードが、微妙な盛り上がりを見せている昨今。

 DVD版「エピソードI」の発売も、なんとなく宣伝材料の一環のような気もしないでもないが、まずは素直に発売を喜びたい。あの驚異の映像やド迫力のサウンドが、高画質かつディスクリートサラウンド音声のDVDで楽しめるのだから。

 なお、LD版は国内のみの発売。LD市場の有終の美(?)を飾った意味もあり、これまでマニア必携の1枚とされてきた。画質、音質両面でかなり高い評価を受けている。

 また、VHS版はオリジナル版、吹替版、ワイド版と計3本もリリース。高価なDVDプレーヤー(当時)を所有するも、そのプレーヤーで一番見たいエピソードIが見れないというジレンマに陥ったAVファンは、レンタル店に山のように置かれたエピソードIのビデオパッケージを見るにつけ、切歯扼腕したという。



■ 画質は水準以上 緻密感を大画面でチェックしたい

 さて、DVD版「エピソードI」は片面2層2枚組みだが、価格は3,980円とかなり廉価。買い得感は非常に強い。また、発売日にモノがないということもなかった。というより、TSUTAYAなど大手ソフトチェーンの店頭では、専用棚を設けるなどその日はエピソードIだらけ。いつにも増して販促に力を入れているようだ。

 ケースはトールサイズのアマレーダブルケース。トールサイズケース1つの大きさながら、ディスク2枚を収納できるというもので、最近良く見かけるようになった。これまでトールサイズで2枚組みの場合、ケース2つとブックレットを化粧箱に入れるなどして販売されていたのだが、これなら2枚組みパッケージをスリムに陳列できる。ユーザーとしても保管スペースの節約になる。ただし化粧箱がないため、ブックレットなどの豪華な封入特典はあまり見られない。このエピソードIでも簡単なチャプターリストが入っていただけだった。

 本編だが、ジョージ・ルーカスということで当然THXマスタリング。画質は上の中か。パッと見は非常に美しい。なかでもCGシーンはさすがにきれいだ。コントラストは多少強めで、パリッとした感じ。しかも、シャドーの階調は十分豊かで繊細だ。彩度は高いが微妙に飽和せず、ノイズも少ない。

 CGはとにかく緻密で、細部にいたるまで鬼のように書き込まれているのがわかる。短いシーケンスでも圧倒的な情報量だ。この細密感を楽しむためには、やっぱり大画面が欲しくなる。ただ、CGにしては若干甘く感じるシーンもあった。しかし主観の問題と言い切れる範囲だろう。この作品のCGは実写との合成がほとんどなのだが、本当にうまくなじんでいるのが改めて認識できた。

 反面、実写が主体のシーンではラチチュード、コントラスト不足の場面がいくつか見受けられた。さらにCG主体のシーンとは異なり、暗部に多少のノイズがのることも。とはいえ、それほどひどいというわけではない。他のDVDタイトルと比べるとほとんど許容範囲内だ。あまりにもCGシーンがきれいなだけに、妙に気になってしまうのだろう。

 そういえば、ジョージ・ルーカスが4月のNBAの会期中、ソニーの広報文の中で「次回作はデジタルシネマカメラだけで撮影したい」との表明を行なった。CGを多用する彼の作風を考えると、うなずける話である。


■ サラウンド万歳!! ポッドレース&ライトセーバー効果音

 次に音声だが、英語、日本語トラックとも6.1chのドルビーデジタルサラウンドEXとなっている。セリフは、特に聞きづらいということはない。アフレコがほとんどの作品らしく、非常にクリアだ。

 この作品における音声の注目点はやはり効果音だろう。銃声、メカの移動音など、サラウンドを活かせる効果音が大量に入っている。特にポッドレース。左から右、後ろから前など、とにかく音がよく動く。スピード感ある映像とあいまって、まさに手に汗握る臨場感が得られた。この音なくしてポッドレースの迫力は伝わらなかっただろう。絶対にサラウンドで聞きたいシーンだ。それも立ち上がりの速いスピーカーで。

 音といえば、ジェダイの象徴、ライトセーバーの効果音もすごかった。ここまでLFEが映える効果音も少ないのでは。これまでのシリーズはVHSで見たが、もちろんこんなに低音が出ているとは気づかなかった。実にうるさい武器である。しかもサラウンド再生の場合は、ライトセーバーを振りかぶるたびに視聴者の頭上を音が旋回、振り下ろすたびに後ろに抜ける。まるで本当に切られているかのようだ。

 後半の見せ場の1つにジェダイ2人とダース・モールの決闘シーンがあるが、このときライトセーバーの効果音があらゆる方向からひっきりなしに迫ってくる。しかもライトセーバーは計3本。重低音あり移動感ありの迫力に圧倒されること間違いなしだ。

 総じて、エピソードIの画質・音質面での満足度は高い。この娯楽大作をしっかり楽しむため、今以上の大画面と新しいAVアンプおよびスピーカーが欲しくなってしまった。


■ 計6時間の特典 THXテスト信号もあり

 映像特典はDisc2に収められている。収録時間は計6時間以上にもおよび、見ごたえは十分。内容は、ルーカスフィルムとILMが語る「メイキング・オブ・エピソードI」、劇中で使用された楽曲「Duel of the Fates」のミュージックビデオ、製作風景のフォトギャラリー、トレーラー集など。加えて、starwars.comで公開されたメイキング映像集、ストーリーボードをCG化したような「アニマティクス」の解説と盛りだくさんだ。

 一連のメイキングには、CG合成を多用したこの作品ならではの興味深い内容が盛り込まれている。CG制作に興味のある方は、ぜひとも見ていただきたい。そのほか、大雨でセットや小道具がメチャメチャになったり、アミダラ女王の絢爛豪華な衣装ができるまで、アナキン役のジェイク・ロイドのオーディションといった、CG以外の逸話も数多く収録されている。

 映像特典中、最も注目すべきは「削除シーン集」だろう。この手の映像特典ではおなじみの企画だが、通常の「撮ることは撮ったが実際は使わなかった未公開シーン」とは少し趣が違う。というのも、エピソードIにはCGを起こす前にボツにされたシーンがいくつかあり、それをDVD版の発売に合わせて一から作り直したという。当時、手元にあったのはブルースクリーンを前に演技する俳優のフィルムだけ。それを利用し、ストーリーボードから省かれたシーケンスを再びCGで起こしたのがこの「削除シーン集」だ。発売まで時間がかかったはこのためかと勘ぐりたくもなる。それらのうち、いくつかは本編にも挿入されている。

 復活したシーンには、ポッドレースの2周目などシーケンス自体が長いものが多い(だから削除された)。担当者による詳しい解説も入っている。画質も良く、何度も見直してしまった。DVDでしか見れない、まさにファン垂涎の特典だろう。

 なお、Disc1には「スペシャルコレクション ターミネータ2 特別編」と同じように、「THXテスト信号」も入っていた。今回はメニューが日本語表示になり、テスト項目も映像面が少しだけ充実。なんでも専用のチェック用メガネ(ブルーフィルタ)があるらしく、それを掛けながらのテストを要求される場面もあった。機会があればぜひ手に入れたいと思う。

 「THXテスト信号」によるサウンドテストでは、相変わらず私の環境ではサブウーファのつながりが悪いことが判明。ひょっとして、ライトセーバーの効果音はもっとすごいことになっているのか? ルーカスフィルムが思い描く音に近づけるよう、早くスピーカーを入れ替えたいものだ。


■ エピソードIIも7月に公開決定

 2002年7月13日には、いよいよ「エピソードII クローンの攻撃」が日本で公開される。すでにトレーラーがテレビや公式サイトで公開されており、その中ではエピソードI同様の美麗なCGが展開されているようだ。おなじみのキャラクターやメカも登場している。

 初回封切り分がデジタルシネマのみになりそうだったりと、新しい展開を見せるスター・ウォーズシリーズ。いつかまた発売されるであろうエピソードIIのDVD版に備え、手持ちの機材を充実させていきたいものだ。とりあえず手始めにスピーカーを買い換え、ライトセーバーの効果音を聞きなおしたい。THX印付きのAVアンプも試してみたい(今はヤマハ)。画面も50型以上は欲しいなあ。

 ソフトはたったの3,980円なのに、ハードに何倍もの出費をしてしまいそうな「スター・ウォーズ エピソードI ファントム・メナス」。隠しコマンドもいくつかあるし、やはり只者ではなかった。

●このDVDについて
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□20世紀フォックスジャパンのホームページ
http://www.foxjapan.com/
□製品情報
http://www.foxjapan.com/dvd-video/cgibin/UserSearch/index_dvd.cgi?jan=4988142083920
□starwars.com(英文)
http://www.starwars.com
□Episode II attack of the Clonesのトレーラー(英文)
http://www.starwars.com/episode-ii/video/trailers/breathing/

(2001年11月16日)

[orimoto@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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