2002 International CES会場レポート
~ 松下編:世界最小のSDビデオプレーヤー、ほか ~


会期:1月8日~1月11日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center
   Las Vegas Hilton Hotel
   Alexis Park Hotel


■ 世界最小のビデオ再生システム「TH-18LX」

 2001年11月に、世界最小の携帯オーディオ機器「SV-SD80」を発売した松下は、今回は世界最小の携帯ビデオ機器「TH-18LX」を公開した。

 表示デバイスは、バックライト付き1.8インチカラー液晶パネルで、解像度はなんと640×480ドット。ボディはマッチ箱程度、重さは100g前後で、バッテリにはオリジナル形状のニッケル水素(Ni-MH)を採用している。

 再生可能フォーマットはMPEG-4ムービー、JPEG静止画、MP3またはAACでエンコードされたオーディオなどの予定。スピーカーは内蔵していないので、音声はヘッドフォン経由で聞くことになる。

 記録メディアはSDカード。この春発売予定の512MBタイプを使えばMPEG-4ムービーで3時間、冬発売予定の1GBタイプでは6時間の再生が可能になるという。半導体メモリで映像を実用的に取り扱える時代が、いよいよ本年中に実現しそうだ。

 会場では映像コンテンツを、SDカードにどのような形で記録するかといったデモは見られなかったが、TH-18LXを使って映像と音声を体験することができた。640×480ドットの解像度は1.8インチの画面サイズでは十分すぎる精密さで、またMPEG-4の映像のアラもそれほど気にならない。

 大胆なコンセプトの製品だが、仕様自体はきわめて現実的にチューニングがなされている。担当者の話しでは、「単なるコンセプトモデルではなく、きわめて製品に近い試作機」とのこと。価格は未定だが、早ければ2002年春にも正式に発表される予定。

指の大きさと比べると、「TH-18LX」の小ささが実感できる。この画面サイズながら、その解像度の高さには驚かされる まだモックアップのGBクラスのSDカード。2004年には4GBタイプの発売が予定されている。DVDクオリティのMPEG-2ムービーが2時間強記録できるようになり、携帯映像機器もMPEG-2時代に突入する可能性があるという


■ 40/45インチの液晶リアプロジェクションHDTVの新モデル

 また、40インチと45インチの液晶リアプロジェクションHDTVも、今回のCESで初披露された。40インチモデル、45インチモデルのそれぞれの型番は、「PT-40LC12」、「PT-45LC12」。

 対応フォーマットは1080i/720p/480i/480pで、PC入力にも対応。800×600ドットをリアル表示、1,024×768ドットを圧縮簡易表示できる。また、内蔵スピーカは、エクサイタ系の音場強調プロセッサ「BBERテクノロジー」を搭載しており、外部スピーカーを接続しなくても、「表現力豊かな疑似サラウンドが楽しめる」という。

40インチモデル「PT-40LC12」。発売時期は5月を予定 45インチモデル「PT-45LC12」は6月発売予定

 この製品で特筆すべき特徴は2点。透過型液晶のリアプロジェクタでありながら、輝度が平均的なCRTの2倍に相当する800cd/m2である点と、奥行きがわずか40cm前後(スタンド含む)に抑えられている点だ。これだけ薄ければ、一般家庭においても十分適合できる。

 価格は「PT-40LC12」が3,499ドル、「PT-45LC12」が3,999ドルを予定しており、インチサイズ単価では、PDPに比べてかなり優位。40インチクラスの大画面をできるだけ安価で入手したいというユーザーには、かなり訴求力のある製品だといえる。


■ 2層50GBの次世代DVD-RAMをデモストレーション

ついに書き込みメディアも2層の時代へ

 また、ブース内では、SHG青色レーザーを使った次世代DVD-RAMディスクの実働テクノロジーデモも行なわれた。

 青色レーザーを使った次世代DVDメディアの研究は各社が行なっているが、今回公開されたのは2層書き込みに対応した相変化ディスクのシステムだ。まだ実験段階だが、容量は2層メディアが50GB、単層メディアが25GB。

 説明員によれば、「技術開発は2003年には完了する予定で、実際の製品の発売はそのあとになる」とのこと。

 この次世代DVD-RAMでは、30Mbps以上のMPEG-2ムービーの記録再生が可能になる。実際にブース内では、20MbpsのMPEG-2ムービーを書き込んだ試作メディアを、試作プレーヤーで再生するデモが行われていた。

 松下では、50GBという容量について、「DVDメディアの10倍記録できる」という「大容量ディスク」的な使い方と、「HDTVクラスの(あるいはそれを超えた)ハイビットレート映像を現実的な長さ記録する」という「高画質ディスク」としての活用方法の2つのスタイルが提供できると話していた。


2層50GBディスクのサンプル。来るべきHDTV放送時代においては、数十Mbpsのビットレートは当たり前になる 次世代DVD-RAMディスクレコーダーの試作機 20MbpsのHDTV映像を、試作レコーダーで再生していた

□関連記事
【10月15日】松下、青色レーザー対応片面2層50GBの光ディスクを開発
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20011015/pana.htm


■ 松下のDVDプレーヤーは、全モデルWindows Media対応に

 また、注目される動きとしては、松下が今回発表したDVDプレイヤーのすべてが、Windows Mediaフォーマットに対応することが明らかにされたこと。Windows Mediaは、携帯オーディオプレーヤーでは対応している製品も多いが、「据え置き型の国内有名メーカー製AV機器」としては初の対応となる。

 Microsoft側では、ビルゲイツ氏の基調講演でも語られたように、「パナソニックのAV機器の再生フォーマットとして正式採用された」ことを、重要なトピックとしている。しかし、松下側は、MP3などへの対応と同列の位置づけで捉えているようで、両社には温度差がある。

 松下の担当者によれば、「MP3とWindows Mediaの再生技術には共通するところが多く、その対応は容易である。問題はライセンスと市場にニーズがあるかどうかだけ」と話していた。つまり、それらの折り合いがついた“今”、採用に踏み切ったということになる。

 今回ブース内に展示されていたDVDプレーヤーの新製品は「DVD-CV52」、「DVD-RP62」、「DVD-CP72」、「DVD-RP82」。そのすべてが、Windows Mediaに対応する。ちなみに型番にPがつくモデルはプログレッシブ、Cがつくモデルは5ディスクチェンジャ機能をもっている。また、型番末尾には、ホディカラーがブラックにはK、シルバーにはSがつく。発売時期はいずれも2月を予定している。

「DVD-RV32」
199ドル
「DVD-CV52」
249ドル
「DVD-RP62」
249ドル

「DVD-CP72」
349ドル
「DVD-RP82」
279ドル

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【12月12日】Microsoft、CirrusなどによるCorona対応チップの開発を発表
 ―CD1枚で22時間の音楽再生が可能
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20011212/ms.htm


■ 松下製最大60インチサイズのPDP他

 この他にも、説明がほとんどなく、さりげなく展示してあるものの中に、いくつか気になった製品があった。

写真上が50インチの現行モデル。60インチの大きががよくわかる

 ブース内のメインステージの壁に掲げられていたのが、60インチのPDP。全くなんの解説もなく展示していたが、実は60インチというのは松下製PDPとしては最大のもの。このPDPについての情報はどこに書かれておらず、担当者に問い合わせると「まだ話しができる段階ではない」とのこと。

 その割には、壁に4台ほど、現行機種に入り交じって展示されており、なんとも不思議だ。

 一方、ブース奥にひっそりと展示されていたのが、HDDベースのカーオーディオ試作機。今年のCESはこうしたコンセプトモデルが、他メーカーのブースでもいくつか見られた。

 パイオニアが2001年5月にサイバーHDDナビを発表したことで、カーオーディオ業界にMP3対応に続いて、HDD搭載の流れがやってきたことが伺える。

ナビゲーションの機能はなし。純粋なHDDベースのカーオーディオ。コンセプトモデルのため市販の予定は現時点ではない ブース内に展示されていたランボルギーニディアブロ。立ち入りが禁止されていて、なんのためにおいてあるのかよくわからない

□関連記事
【5月9日】パイオニア、MP3録音ができる業界初のHDDカーナビ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20010509/pioneer.htm

□2002 International CESのホームページ
http://www.cesweb.org/

(2002年1月9日)

[Reported by トライゼット西川善司]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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