2002 International CES会場レポート
~ Thomson編:MP3PRO対応10GB HDD内蔵携帯プレーヤー、ほか ~


会期:1月8日~1月11日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center
   Las Vegas Hilton Hotel
   Alexis Park Hotel


■ MP3PRO対応10GB HDD内蔵携帯プレーヤー

サイズは意外に大きく、重さも300gとそこそこにある

 Thomson multimediaが2001年6月に発表した「MP3PRO」は、人間の聴覚的特性の応用を押し進め、16bit/64kbpsでCD並の音質を実現する音声圧縮技術だ。このMP3PROの再生をいち早くサポートした携帯オーディオプレーヤー「RCA LYRA Personal Jukebox(RD2800)」が、Thomson multimediaの製品発表会で公開された。発売時期は近日中としとており、参考価格は299ドル。

 記録メディアとして、10GBの2.5インチHDDを内蔵しており、MP3PROフォーマットの音楽ファイルであれば300時間分記録ができる。再生時間は標準バッテリで連続12時間。大容量バッファを搭載することにより、読み出しエラーが原因のスキップノイズなどの発生が抑えられているという。重量は約312g。

 タイトル、ジャンル、プレイリストといった管理機能は従来の携帯オーディオプレーヤー同様に備える。パソコンとはUSBで接続し、OSはWindows 98/Me/XP、Mac OS Xに対応する。PCの外付けストレージデバイスとしても使用でき、PC側の各種データ(文書、画像、スプレッドシート、プレゼンテーションデータなど)を記録可能。この点は、Appleの「iPod」に近い発想だ。

□関連記事
【2001年11月12日】MP3の新規格「MP3PRO」を検証する
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20011112/dal34.htm


■ テクニカラーブランドのライトワンス型メモリ

このデジタルフィルムに採用されているメモリは、マトリクス社が開発したもの。
 低コストで大容量を実現するという、縦方向の半導体積層技術「3D-MEMORYテクノロジー」が応用されている

 Thomsonグループの一員であり、映画用フィルムメーカーとして有名なTechnicolor(テクニカラー)からは、テクニカラーブランドの半導体記録メディア「デジタルフィルム」が発表された。

 「デジタルフィルム」という名前だが、実際にはMMC互換のSDカードで64MBの半導体メディアだ。これまでのSDカードと同様に利用できるのだが、書き込みが一度しか行えない「ライトワンス」メディアであることが、他にはない大きな特徴だ。

 弱点のようにも思える特徴だが、同社では「CD-Rのように一度しか書き込めないメディアは、データの永続性、セキュリティ面において有利である」と前向きに考えている。例えば、変更されては困るような、重要な機密文書などの記録には最適であるし、音楽ファイルでも普段からよく聴く音楽は、書き換える必要はなく一度書き込めればいい。

 ただ、書いても消せない、書き換えられないメディアというのは、メモリというデバイスにおいては機能が制限されているという感覚は否めない。しかし、CD-Rが普及したように、価格が十分に安ければその「制限」も気にならないはずだ。

 そこで同社では、デジタルフィルムの64MBタイプを、平均的な35mmフィルムと同じ価格帯で販売していく方針だという。もし実現できれば、10ドル前後で販売されるということになり、注目を集めそうだ。

 テクニカラーブランドとしているのは、信用度の高いブランドをつけることにより、ユーザーの認知度を高めるのはもちろん、フィルム同様「一度の使い切り」というニュアンスをユーザーに定着させる意図があるようだ。

 発売は近日中を予定。容量は64MBのみで、今後の大容量化の方針について質問してみたところ「この製品の性質を考えるとむやみに容量を上げることはできない。容量よりも『35mmフィルムと同価格』というコンセプトが最優先される」との返答が得られた。つまり、今後、ライトワンスのメモリのコストが下がっていけば、同じ価格のまま128MBの製品に置き換わる可能性が高い。


■ Xboxはトムソン製品で

 具体的な製品の提示はなかったものの、同社の主力テレビ製品にはXbox用の映像入力コネクタを設けることが明らかにされた。信号自体はコンポーネントビデオ信号(色差信号)で、RGB信号ではない。15機種以上がこの入力コネクタを実装する予定で、Xbox設計元のMicrosoftとは2年のライセンス契約を締結したとしている。

 これは、ソニーの主力テレビ製品に、プレイステーション用接続端子「AVマルチ」を搭載している関係とよく似ている。「Xboxの映像は、Thomsonのテレビに専用ケーブルで接続するのが一番きれい」というイメージを、ユーザーに定着させるのが目的だろう。

 ちなみに、XboxのDVD-ROMドライブユニットには、Thomsonの製品が採用されていおり、Xboxとの関係は意外に深い。


■ アメリカンなAV機器

 最後に、製品発表会場で見かけた非常にアメリカンなAV機器を簡単に紹介しておこう。

自動車の後部座席におく液晶ディスプレイ付きAVユニット「BLV552」。DVDモデルは、VHSモデルの2種類が用意される DVDモデル。価格は499をドルを予定 VHSモデル。価格は399ドルを予定

突き出し棚の下に取り付けるAVユニット「BLD548」。「奥様が台所仕事をしているときにでもAVエンターテインメントが楽しめるように」というのが基本コンセプト。
 左の写真はTVチューナとMP3対応CDプレーヤーが一体化されたエントリー機。右の写真はDVDビデオまでが楽しめる上位機

□Thomson multimediaのホームページ
http://www.thomson-multimedia.com/
□2002 International CESのホームページ
http://www.cesweb.org/

(2002年1月10日)

[Reported by トライゼット西川善司]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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