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第24回:1枚あたり1,745円の超お買い得パック

女ミイラが怖かった「ハムナプトラ・ツインパック」

 怒涛のように発売されつづけるDVDタイトル。本当に購入価値のあるDVDはどれなのか? 「週刊 買っとけDVD!!」では、編集スタッフ各自が実際に購入したDVDタイトルを、思い入れたっぷりに紹介します。ご購入の参考にされるも良し、無駄遣いの反面教師とするも良し。「DVD発売日一覧」とともに、皆様のAVライフの一助となれば幸いです。


■ 個別に買うより1,000円安い「ツインパック」

ハムナプトラ ツイン・パック
価格:6,980円
発売日:2001年12月21日
品番:BP-120
仕様:片面2層3枚+片面1層1枚
収録時間:約125分(ハムナプトラ本編)
      約130分(ハムナプトラ2本編)
画面サイズ:シネマスコープ(スクイーズ)
字幕:日本語字幕、英語字幕
音声:英語(ドルビーデジタル5.1ch)
    英語(DTS)
    日本語(ドルビーデジタル5.1ch)
販売元:株式会社ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント

 「ハムナプトラ・ツインパック」は、「ハムナプトラ 失われた砂漠の都 デラックス・コレクターズ・エディション」と、「ハムナプトラ2 黄金のピラミッド デラックス・コレクターズ・エディション」をカップリングした、いわゆるBOXものである。2001年12月21日の「ハムナプトラ2」の発売を機に、同日にリリースされた。

 そもそも「デラックス・コレクターズ・エディション」とは、販売元の株式会社ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(SPE)が、本編ディスク1枚と特典ディスク1枚の2枚組みセットに名づけたブランドだ。今回購入した「ツインパック」は、その「デラックス・コレクターズ・エディション」を2つ組み合わせた商品である。

 価格は6,980円。2作品/4枚組みにしてはかなり廉価で、1枚あたり1,745円。なお、ツインパックに含まれている初代ハムナプトラは、従来1枚組みで販売されていたものを、ハムナプトラ2のリリースに合わせて再販した製品。本編ディスクに加え、新たに片面2層の特典ディスクが付属している。また、英語音声にDTSトラックが追加されるなど、本編ディスクもパワーアップしている。

 すでにハムナプトラを購入済みのファンが、特典ディスクのためにデラックス・コレクターズ・エディションへと買い換えることはあまりないと思われるが、私のように見たいと思いつつもまだ買ってなかった人には、うれしい再販といえるだろう。



■ 単純明快、良作の「ハムナプトラ」

 実は2作ともまったくの未見。まずは「ハムナプトラ 失われた砂漠の都」を見てみた。難しいことを考えることなく、だれでもスカッと楽しめる、明朗快活でとてもわかりやすいアクション映画だった。シーンもアクションだけでなく、ホラーあり、コメディありと多彩だ。それらのバランスや、切り替えるタイミングも良く練られている。テンポも良く、次々と襲ってくるミイラ軍団との戦いやラストの脱出シーンには、お約束とわかっていながらも久しぶりに胸がドキドキしてしまった。この手の映画が大好きだというソマーズ監督の手腕が見事に発揮されている。心配していたブレンダンも普通に無個性なタフガイを演じていた。

 この作品で語られるべきは、なんといってもILMのCG技術だろう。スタントマンが扮するミイラもいるにはいるが、大抵のミイラはCGで描き起こしているという。そのため、体のすきまから背景が見えたり、上半身が吹っ飛んでも歩いたりと、いままでにないリアルなミイラが登場。もちろん、こうした視覚効果については、特典ディスクに詳しいメイキングが用意されているので、興味のある人ならかなり楽しめると思う。実写と特撮のなじみ具合も不自然に感じるシーンはなかった。

 英語音声は、448kbpsのドルビーデジタル5.1chと、768kbpsのDTSから選択可能。日本語吹き替えは384kbpsのドルビーデジタル5.1ch。サラウンドの臨場感は効果的で、周囲から押し寄せる虫の大群の効果音などは、本当に鳥肌がたってしまった。ジェリー・ゴールドスミスの音楽もダイナミック。

 音声解説は何と3トラックもある。解説1が監督のスティーブン・ソマーズと編集のボブ・ダクセイ。この2人は映画学校からのコンビだそうで、漫才のような掛け合いを聞かせてくれる。一方、解説2は主役のブレンダンが担当。しかし、これはちょっと物足りない。撮影時の苦労などをぽつりぽつりと語ってはくれるのだが、大抵はシーンに合わせて笑っているだけだ。ブレンダンのファンにはとっては願ってもないプレゼントなのだろうが、そもそも出演作の少ない彼のファンが、日本に何人いるのだろうか。まあ、貴重なコメンタリーであることは間違いない。

 最後の解説3は、ツイン・パック内でもっとも気に入ったコンテンツ。悪役のアーノルド・ボスルー、憎めない三枚目役のケビン・J・オコナー、渋い役柄でファンの多いオーディド・フェールの3人による、まさに「言いたい放題コーナー」。助役によるコメンタリーは珍しい。なお、コメンタリーは2chのドルビーデジタルで、ビットレートは各192kbps。

 音声トラックが多いせいか、画質の方はいまひとつ。輪郭がざらつくシーンや、暗部にノイズがのるシーンが何度が見受けられた。ただし、それほどひどいわけではなく、むしろ遺跡内のような暗いシーンが多い割には、大きな荒れもなく自然な画調を保っている。また、フィルタを使った擬似夜景撮影もあるが、増感ノイズはなく自然だ。

 見所のひとつ、砂漠の風景も感動を誘うに充分な美しさで、見ているだけで旅情がわいてくる。砂に現われる風紋をはっきり撮るため、まだ日のでない明け方を狙って撮影したそうだ。もとより日中は50度以上になるので、必然的な選択だったのだろう。なお、DVD Bit Rate Viewer 1.4で見た平均ビットレートは6.55Mbpsだった。中盤までは4Mbps台に落ち込むことも多い。

 特典ディスクには、メイキング2本、ストリーボード、未公開シーン、プロダクションノート、フィルモグラフィ、フォト・ギャラリーといった定番もののほか、エジプト王朝時代についてのミニ知識を集めた「エジプトロジー101」と「ファラオ事典」が収められている。

 ストーリーボードは、よくあるマルチアングルを使ったタイプではなく、画面上にストーリーボード、画面下に実際の画像を配置し、同時に見ることができるというもの。切り替え操作の煩雑なマルチアングルタイプよりも、この方がじっくり鑑賞できる。また、メイキング中の1本、「最新SFXができるまで」では、モーションキャプチャやブルースクリーンを使った視覚効果が解説されている。今となっては最新というわけでもないのだが、実写とCGを組み合わせる複雑な工程が詳しく描かれていて興味深い。


■ スケールアップした「ハムナプトラ2」

 2作目の「ハムナプトラ2 黄金のピラミッド」は、2001年夏公開という最近の作品。国内での興行収入は約37億円と予想されており、これは2001年公開の洋画としては7位の実績(ビデオ・インサイダー・ジャパン調べ)。DVDも2月7日付けの当AV Watchの売り上げランキングで7位につけるなど、前作を気に入った視聴者の期待の高さがうかがえる。ほとんど前作と同じスタッフとキャストが結集しているが、これはちょっと珍しいことだそうだ。すでに見知った仲なので、現場ではとてもスムーズに製作が進んだという。キャスト同氏のわきあいあいとした姿は、特典ディスク中のメイキングでも見ることができる。

 もちろん、売りのCGはより進化し、アクションシーンも大幅にパワーアップしている。特にすごいのが、砂漠の稜線を埋め、広角レンズに収まりきらないほどの大軍が高速で迫りくるシーン。ラストシーンもかなり激しいのだが、ここでは伏せておこう。また、前作で大暴れしたミイラたちが大都会(ロンドン)に出現するなど、「プレデター2」や「ロストワールド/ジュラシックパーク」を思わせるシーンもある。ほかにも、アクションファンのツボを押させた仕掛け無数にあるので、ファンなら充分に楽しめるだろう。

 ただし、ストーリーの流れがあまりにもご都合主義なため、個人的にはちょっと引いてしまった。特に「前世からの因縁」や「出生の秘密」がシナリオ上重要な位置を占めているのは、いくらなんでもくさすぎる。もっともスティーブン・ソマーズ監督のことなので、あえて狙ってやっているのかもしれない。単純な冒険ものだった前作に比べて、話が少しややこしくなったのもちょっと方向性が違うような気がする。また、ブレンダンとレイチェルは太りすぎだ。いくら設定上、10年の月日が経っているとはいえ、レイチェルなどは一瞬、別人かと思った。

 音声は、英語がドルビーデジタル5.1chとDTS、日本語吹き替えがドルビーデジタル5.1ch。コメンタリーはスティーブン・ソマーズと製作のボブ・ダクセイのコンビだけだ。退屈だったブレンダンのコメンタリーがなくなって、少しほっとした。音声のビットレートは、英語のドルビーデジタルが448kbps、DTSが768kbps、日本語吹き替えが384kbpsと、前作とまったく同じ。

 一方、映像は前作より格段にきれいになっている。輪郭もジラつかず、ノイズも明らかに減った。暗いシーンでも特に気になる場面はない。解像度も高く、本作のCGがいかに緻密に描かれているかが良くわかる。同じ描きこみ系の「スターウォーズ エピソードI」よりもくずれが見えない。これはかなりのハイビットなのでは思い、DVD Bit Rate Viewerで調べて見ると、平均6.82Mbpsと、前作より少し高いだけだった。

 特典ディスクには、メイキング2本、NGシーン集、予告編、プロダクション・ノート、フィルモグラフィ、ミュージッククリップと盛りだくさんの内容。しかし、片面1層のためか、前作より総時間では短めとなっている。また、前作にもあるエジプトロジーは「エジプトロジー201」という名称で引き継がれていた。逆に、前作との一貫性を感じた部分はここだけで、メニュー画面やDVD-ROMのインターフェイスはがらりと前作から変わっている。今回のように通して見る場合は、少し気になってしまう。

 特典で面白かったのはNGシーン集だ。これが予告編のちょっとしたパロディとなっている。シネスコサイズなので、本当に劇場で流れていたのかもしれない。また、ハムナプトラシリーズをテーマにしたという、ユニバーサルスタジオハリウッドのアトラクション「チェンバーズオブドゥーム」の紹介映像もあった。アトラクション自体の内容は要するにお化け屋敷なのだが、入場者の視点でカメラが移動し、突然ものかげからカメラ目掛けてミイラが襲い掛かってくる。正直いって本編より怖かった。


■ 古典的アクション映画の良さを再確認

 1作目の「ハムナプトラ 失われた砂漠の都」は、本編、特典を通して非常に楽しめた。こうした何も考える必要のないあっさりしたアクション作品は、今となっては貴重なのではないだろうか。特に予備知識なく購入したのだが、今回は思わぬもうけものをした。やっぱり単純なアクション映画は面白い。

 一方、2作目の「ハムナプトラ2 黄金のピラミッド」は、キャラクタ主導のご都合主義的なシナリオのためか、心から面白いとは思えなかった。しかし、不必要なまでにド派手なCGはすごい。映画ファンなら一見の価値があるだろう。こちらもあえてストーリーに没入せず、何も考えずに見るといいかも。また、前作のパロディが随所にちりばめられているので、前作を見た方ならかなり楽しめると思う。そういった意味では、ツインパックで通して見たのはラッキーだったのかも知れない。


●このDVDについて
 購入済み
 買いたくなった
 買う気はない

     

□SPEのホームページ
http://www.spe.co.jp/
□「ハムナプトラ ツイン・パック」の製品情報
http://www.spe.co.jp/video/dvd/200112/bp-120.html
□「ハムナプトラ 失われた砂漠の都 デラックス・コレクターズ・エディション」の製品情報
http://www.spe.co.jp/video/dvd/200112/tsud-30630.html
□「ハムナプトラ2 黄金のピラミッド デラックス・コレクターズ・エディション」の製品情報
http://www.spe.co.jp/video/dvd/200112/tsud-32402.html
□「ハムナプトラ AIBOプレゼントキャンペーン」の告知ページ
http://www.spe.co.jp/video/hamu2/

(2002年2月15日)

[orimoto@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内AV Watch担当 av-watch@impress.co.jp

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